●海軍の休日(ネイバルホリデー)
 ネイバルホリデーとは、1922年に締結されたワシントン軍縮条約によって、各国海軍の建艦競争が抑制された日々のことを指す。
 うちの艦娘たちの運命への影響で言うと、戦艦として建造を予定されていた〈赤城〉は空母となり、条約の制限一杯に武装を詰め込んだ〈妙高〉型重巡洋艦は、〈足柄〉さんが餓えた狼と評されるようになった。

 この条約で各国は戦艦の建造を中断することになり、日本でもギリギリ間に合った(ことになっている)〈陸奥〉以後、戦艦は長らく建造されなかった。
 軍縮条約を破棄した日本が〈大和〉の建造を開始するのは、1937年。その間、日本は大正時代に建造した戦艦を、改装を続けながら主力としていたのである。

 期間限定海域のマップ3「湾内突入」攻略を成功させたとはいえ、鋼鉄資源とバケツのことごとくを使い果たした結果、我が艦隊は否応なしに海軍休日へと突入した。
 出撃した戦艦空母のほぼすべてが穴だらけになりながら煙をふきつつよたよたと帰って来た時には、居残り組の駆逐艦娘たちは青くなったが、どうやら全員が無事だということで、ほっと安堵する一幕もあった。

 また、期間限定海域の攻略によって、新たな艦艇も加わった。

 正規空母の〈加賀〉と〈翔鶴〉。
 資源の都合もあって〈赤城〉1隻だけで回していた空母機動部隊の新たな主力艦である。
 〈加賀〉は元戦艦で、やはりワシントン軍縮条約の影響で空母として誕生した。
 〈翔鶴〉は最初から航空母艦として建造された〈蒼龍〉〈飛龍〉に続く新設計の正規空母だ。ミッドウェイの戦いで〈赤城〉〈加賀〉〈蒼龍〉〈飛龍〉が一気に失われた後は、数少ない主力空母として奮戦を続けた。
 搭載機数が多いので、レベルアップすれば頼りになるはずだ。

 高速戦艦の〈金剛〉。
 かつて日本の同盟国であったイギリスで建造された戦艦である。艦娘的には、帰国子女扱いのようだ。

 資源がなくなって海軍休日になったとはいえ、遠征艦隊に資源調達を任せるばかりでは暇である。これら、新たに加わった艦娘を中心に、育成艦隊を編成してレベルアップを行っていくこととした。

艦娘育成艦隊
 旗艦:空母〈翔鶴〉 紫電改2×21、彗星艦爆×33、流星艦攻×21
          戦艦〈霧島〉改 41cm連装砲、35.6cm連装砲、15.5cm三連装副砲、12.7cm連装高角砲
          戦艦〈金剛〉 35.6cm連装砲×2、12.7cm連装高角砲
          空母〈加賀〉 零戦52型×18、彗星艦爆×18、流星艦攻×45
 ※残り2艦は、適当に重巡と軽巡を組み合わせて

 期間限定海域で、潜水艦の襲撃が多発したことから考えて、今後、どの艦種が必要になるかは分からない。これまでは攻略を考えて特定の艦娘だけレベルアップしてきたが、それでは依怙贔屓と……ではなく、戦場の変化への適応能力が下がるリスクがある。

 まんべんなく育てる……とまではいかないが、〈五十鈴〉のようにレベルが上がったら、改造して良い装備を手に入れられる艦も多い。今後は、できるだけ多くの艦娘を育てよう。

〈五十鈴〉「あたしのレーダーかえせーっ!」

 聞こえない、聞こえない。

●修理用ドック増設
 巡洋艦や駆逐艦のような打たれ弱い艦娘を安心して育てられるよう、修理用ドックを課金して2つ増設することにした。
 脳内ドラマ的には、我が根拠地艦隊が期間限定海域でそれなりの成果を上げたことへのご褒美、という風にしておく。

 それにしても、修理用ドック4つというのは、実に快適である。今まで2つしかないドックを早い者勝ちで艦娘が奪い合い、先のマップ攻略戦ではドッ クを早く空けるためにバケツがどんどん消えていったのだが、4つあればかなり柔軟に艦娘の修理を進めることができる。資源の枯渇と共に、修理ドック2つが 艦隊運用のボトルネックになっていたことを実感する日々である。

〈赤城〉「スポーツ活動でたとえると、シャワールームの増設でしょうか」
〈名取〉「それ、すごく重要ですよね。これからの時期は特に」
〈足柄〉「汚かったり、水の出が悪いシャワールームだと、やる気がすごく落ちるものね。こういう福利厚生の部分も、戦力の重要な要素よ」

 いや、その通りなんだが、居住性を犠牲にして戦闘力向上を狙った設計の〈足柄〉に言われると、なんだか釈然としないな、おい。

〈加賀〉「そこまで理解しておいて、これまで修理ドックを2つだけにしておいた提督にこそ、言われたくない……」
〈金剛〉「きっと、提督にも理由があったのデース! 人には言えない理由が!」
〈隼鷹〉「ふーん、ほんならこれまで修理ドック解放せんと意地悪しとった提督は、汚れた艦娘の匂いをくんかくんかする変態さんやったいうことやな。そら、人には言えんわなー」

 濡れ衣だっ! 人に変な性癖を追加するな!

〈祥鳳〉「その……飛行甲板さえ、清潔にしていただけるなら、私は別に……」

 お前も、耳まで真っ赤になるほど恥ずかしいなら、口にするなよ!

〈龍田〉「だめですよー、提督さんー? 女の子を泣かしたら、めっ、ですからねー」

 はい、すみません。謝ります。私が全面的に悪うございました。