●艦これの終焉を妄想してみる
 今や飛ぶ鳥をレールキャノンで落とす勢いの艦隊これくしょん。
 提督数も、新しいサーバの登場で10万を超え、20万に迫る勢いである。
 だが、盛者必衰、円環の理に従っても始まりがあるものにはいつか終わりがくる。

 果たして、艦これの終わりはどのようにもたらされるのであろうか?

 以後は、私が妄想した艦これの終焉(イベント)である。

===
▼遠征艦隊、帰還せず

 終焉は、遠征艦隊の帰還と共に始まった。

〈天龍〉「すまねえ・・・提督、しくじった」

 第2艦隊を任せている〈天龍〉が、満身創痍で鎮守府に帰還したのである。

提督「おい〈天龍〉!お前、海上護衛任務じゃなかったのか!」
〈天龍〉「ああ・・・くそっ、あたしとしたことが、ドジふんじまったぜ・・・」
〈龍田〉「提督、失礼します――〈天龍〉ちゃん!ダメじゃない、ドックに入らなきゃ!あなた、触雷して大破してるのに!」
提督「〈龍田〉!お前もボロボロじゃないか!話は後にして、ふたりともドックに――」
〈天龍〉「いいから聞けっ!大事な話なんだっ!」
提督「う・・・」
〈天龍〉「鎮守府の港の外に機雷原が敷設されている。すぐに掃海艇部隊を編成して、航路を切り開け。このままじゃ、他の遠征艦隊までやられちまう」
提督「わかった。すぐに向かわせる」
〈天龍〉「よぉし、いい子だ。それと、資材とチビ(駆逐艦娘)どもは無事だ」
提督「ああ、お前のおかげだ。いつも助かる」
〈天龍〉「へ、そう思ってんのなら、たまにはあたしを第1艦隊に編入しろってんだ・・・ったくよぉ・・・」
提督「おい〈天龍〉!しっかりしろ〈天龍〉!」

===
▼海上封鎖

 遠征艦隊に送り出した艦艇が、鎮守府周辺に敷設された機雷によって、次々と損傷を受けるようになる。そしてそれに伴い、任務が失敗する割合も増えてくる。
 それまで出撃せずに遠征艦隊を回していれば、それなりに資材が回復していたというのに、今や遠征や機雷の掃海任務に送り出す艦艇の消費する燃料と弾薬の方が、上回るようになったのだ。
 備蓄していた燃料と弾薬がじりじりと減少する。
 これを補うには、課金しかない、と提督の多くが財布を握りしめてアイテム屋に駆け込むが――そこには、すべての棚が空になり、しょぼくれるアイテム屋娘の姿しかなかった。
 考えてみれば、道理である。アイテム屋にだって、無から燃料や弾薬が生じるわけではないのだ。今や、鎮守府周辺の海は、深海棲艦により完全に封鎖されつつあった。

===
▼機雷原を突破せよ

 その頃、第1艦隊は、はるか南泰平洋で立ち往生していた。戦艦と空母を中核とする第1艦隊は、南泰平洋の根拠地であるトラクター島で、母港に戻ることもならず、雪隠詰めとなっていた。

〈長門〉「こうなっては、いたしかたあるまい。どれだけの損害を被ろうが、全艦隊が一丸となって鎮守府への航路を突破するのだ」
〈陸奥〉「姉上、ですが今となっては突破こそ至難の業かと」
〈霧島〉「私の計算でも、機雷原を全艦が突破できる可能性は3%未満です」
〈加賀〉「そう、戦艦も空母も機雷原を切り開く能力はない。とても危険」
〈金剛〉「主力艦だけで来たのが仇になってマース」
〈長門〉「そのことを悔やんでも仕方ない。我々は、何としても、母港に戻るのだ。たとえ半数が沈んだとしてもな」

〈扶桑〉「先頭は、私に任せていただけないかしら?」

〈山城〉「姉様っ?!」
〈扶桑〉「こういうのは、順番があると思うの。〈長門〉さん、あなたならそのことが分かるはず」
〈長門〉「・・・ひどい人だ、あなたは。また私に、あの夜を繰り返せというのか」
〈扶桑〉「何度でも。それが必要である限り」
〈長門〉「分かった。先頭は〈扶桑〉続いて〈山城〉〈伊勢〉〈日向〉。その後に私と〈陸奥〉。〈金剛〉たちは最後尾だ」
〈比叡〉「ちょっと待って! 私たちの方が機動力があります!前衛には向いています!」
〈長門〉「だめだ。相手が機雷なら、機動力は関係ない。そして、お前たちの防御力では一発の機雷が致命傷になりかねん」
〈比叡〉「ですけど!」
〈長門〉「それに、こちらが逃げようとしたら、敵の追撃もあり得る。そのときこそ〈金剛〉型の出番だ。いいな」

===
▼鎮守府最後の戦い

 満身創痍となった第1艦隊が帰還した後も、戦況は悪化の一途をたどる。
 せっかく戻ってきた第1艦隊だが、出撃するどころか、資材不足で修理すらままならぬ状態でボロボロになった身体を港にさらしている。

〈赤城〉「提督」
提督「こんな夜中に、なんだ?」
〈赤城〉「提督こそ、こんな暗い部屋で書類仕事なんて、目が悪くなってしまいますよ」
提督「そうも言ってられない。なんとか燃料と資材を調達しないと。このままでは、じり貧だ」
〈赤城〉「そんなにも、悪いのですか。駆逐艦娘たちにあげる燃料すらないほど」
提督「いや・・・ん、そうだな。お前に隠してもしょうがないか。今や、最後の備蓄に手を出すかどうか、ってところだな」
〈赤城〉「あの・・・いざとなったら、私を解体・・・いひゃい、いひゃいれふ!」
提督「さんざん、今まで食っちゃ寝しておいた身で、ロクな資材にもならないくせに、解体されて楽になろうだぁ、どういう了見だ? 怒るぞ、こらっ」
〈赤城〉「すみません。でも、相手が機雷原と潜水艦型だけになった今、私に出来ることは、もうこれくらいしか・・・」
提督「いや、こうなったからこそ。お前には最後の仕事がある」
〈赤城〉「最後の仕事って・・・いやですよ、提督を見捨てて逃げる役なんて」
提督「そうじゃないって。あー、なんて言ったらいいかな」

 提督は、鎮守府の床にどっかとあぐらをかいた。
 〈赤城〉もまた、その隣に横座りとなる。

提督「深海棲艦の狙いは、なんだと思う?」
〈赤城〉「何って・・・恨みを晴らすために、船や人を襲ってるのでは?」
提督「そりゃ恨みはあるだろう。けど、こうなってみると分かるが、あいつらは、俺たち人間なんか、最初から眼中にない。深海棲艦がこんな風に機雷原で航路を封鎖する手をとってたら、ハナからお手上げだった。なのに連中は、最後の最後になって、反則とも言うべき、通商破壊に出た。手を出せない深海から、機雷だけ放出して来ている。これまでこっちに合わせて海の上でドンパチやってたのに、だ。なぜだ?」
〈赤城〉「そう言われても・・・嫌がらせのようにしか思えませんね」
提督「そうだ。こいつは嫌がらせだ。それも、俺たち人間にじゃない。お前たち、艦娘への嫌がらせだ。深海棲艦の狙いは、お前たち、艦娘を絶望させることなんだ」
〈赤城〉「私たちを戦わせ、勝てると思わせて絶望に・・・まさか、彼らの狙いは・・・」
提督「お前たち艦娘を絶望させて深海棲艦にし、仲間にする気だろうな」
〈赤城〉「そんな、ひどすぎます! 私たちの心を弄ぶなんて! 提督よりひどい!」
提督「奴らは人間じゃないから・・・いやいやいや! なんでそこで俺? 俺ってそんなにひどい? セクハラって、そんなにひどい罪?」
〈赤城〉「希望を持たせておいて、突き放すあたりが、そっくり同じ手法ですね。極刑に値する罪です」
提督「濡れ衣だ! 俺はお前以外にそんな希望を持たせるようなことは・・・コホン」
〈赤城〉「・・・ほら、そうやって繰り返す」

提督「話を戻すぞ。連中は、最後にお前たちに絶望をたたき込むためやってくる。この鎮守府に、全力で侵攻してくる。そうしなければ、せっかくの準備が意味を持たない。このまま戦わずに勝利しても、お前たちが絶望して深海棲艦にならなかったら、連中にとっては意味がないからな」
〈赤城〉「その最後の戦いに――私は必要なのですね」
提督「全員が、必要だ。もう一隻たりとも失うわけにはいかない」
〈赤城〉「でも、燃料と弾薬は? あと、ボーキサイト」
提督「それは俺の仕事だ。なんとかする。だから、今はこらえてくれ。最後の戦いに、勝利するために」
〈赤城〉「いいでしょう。でも、最後の戦いに勝利したら、覚悟してくださいね。バケツと資材と、それと・・・期待、してますから」
===

 かくして、提督と艦娘たちは最後の戦いにおもむくのである! ばばーん!