■シナリオデータ
プレイヤー人数:3~5人
PCの消費経験点:0点
プレイ時間:1時間

■シナリオの目的
 このシナリオは、ダブルクロスの入門用シナリオである。ゲームの判定方法や、侵蝕率などの処理、ロイスとタイタスといった仕組みを学び、戦闘を行い、ダ ブルクロスの一通りの内容を1時間でプレイすることを目的としている。プレイ後に得た経験点でキャラクターを成長させ、もう1本シナリオを遊ぶのもよいだ ろう。
 なお、このシナリオでは《リザレクト》の処理を把握するため、強制的にPCにダメージを与えることになる。あらかじめ、GMはシナリオの目的と理由を説明して、了承をとっておくこと。

■シナリオ概要
 このシナリオはダブルクロスThe 3rd Editionのルールブック1に掲載されたオープニングコミックの内容をなぞる流れにしてある。シーン数は全部で5つ。学園の中でジャームが暴れ、PC①のシナリオロイスの友人がジャーム化し、それを倒す展開となる。
 シナリオはPC①が通う学園をステージとして進行し、シナリオ内の時間も、おおむね1時間ほど。

■クイックスタート
 本シナリオでは、以下の5つのサンプルキャラクターを使用することを推奨する。
PC①:不確定な切り札
PC②:閃光の双弾
PC③:誇りある紅
PC④:深緑の使徒
PC⑤:真実の探求者

===トレーラー
 平和な学園生活は、一瞬で終わった。
 学園に出現した無数のジャーム。
 危機の中で覚醒した若きオーヴァード。
 だが、その友人はジャームと化す。
 互いに牙をむけるバケモノとバケモノ。
 ダブルクロス3rd『護るべきもの』
 ダブルクロス、それは裏切りを意味する言葉。

===シナリオハンドアウト
■PC①
ロイス:田井足太郎(たいたすたろう)
推奨感情:P友情/N厭気
 キミはごく普通の学生だ。だが、ある日突然、キミの学校はバケモノに襲撃される。そして、バケモノとの戦いの中でキミもまた、バケモノとなってしまう。

■PC②~⑤
ロイス:茂撮望都(もどりもと)
推奨感情:P庇護/N疎外感
 キミはUGNの関係者/協力者だ。とある学園が、ジャームの襲撃を受けた。キミは、人々を護るため、学園に向かった。

===

シナリオMAP
===
●シーン1:覚醒
シーンプレイヤー:PC①
◆解説
 PC①が通う学園に、突如としてジャームがあふれだし、PC①もまた、オーヴァードとして覚醒する。
 PC②~⑤の他のPCは、ジャームを退治するために、PC①と合流する。
 この場面でのジャームはエキストラである。
▼衝動判定(判定のやり方)
 難易度9で判定。
 ダイスの振り方、達成値の求め方、クリティカルした時の振り足しの方法について学ぶ。失敗したときのバッドステータスについても補足しておく。(このシーンではBS:暴走の影響はない)
▼侵蝕率
 記録方法や、上昇していくことによるメリットとデメリットについて学ぶ。
▼ロイスの取得
 合流時に、PC間ロイスをもうひとつ追加で取得させる。
◆描写
 放課後の学園は、バケモノの群れに占領された。PC①の友人の田井足太郎も、逃げ出そうとしてバケモノの群れに捕まってしまう。
 PC①もあわや、というところで、他のPCが駆けつけるが、間に合わない。
 だが、次の瞬間。オーヴァードとして覚醒したPC①はバケモノ=ジャームの群れを一撃で粉砕する。
▼セリフ:田井足太郎
「こんなバケモノだらけの学校にいられるか! 俺は家に帰るぞ!」
(ジャームの群れの中に消える)「うわあああっ、助けてくれぇっ」
◆結末
 オーヴァードとして目覚めたPC①に、他のPCが自己紹介をしてロイスを結び、シーン終了。

●シーン2:喪失
シーンプレイヤー:PC②
◆解説
 PC①の友人の田井足太郎(たいたすたろう)がジャーム化して、クラスメイトの茂撮望都(もどりもと)を襲う。
 田井足太郎を止めるには、PC①の持つエフェクトを使用する。
 田井足太郎はジャーム化しており、もはや取り戻せない。彼へのロイスをタイタス化する。
▼エフェクトの使用
 サンプルキャラクターを使用している場合は、不確定な切り札の獣爪撃。
▼ロイスのタイタス化
 PC①のハンドアウトのシナリオロイスである田井足太郎を、レコードシート上でタイタス化にチェックする。
◆描写
 女子生徒の悲鳴が聞こえた。駆けつけてみると、女子生徒がドアを必死に押さえて、部屋に入ろうとするジャームを食い止めている。
 女子生徒=茂撮望都を手伝ってドアを閉めると、今度は窓を破って田井が現れた。だが、田井はすでにジャーム化していた。
▼セリフ:茂撮望都
「きゃあっ、助けてーっ」
(助けられて)「あ、ありがとうPC①くん。でも、いったい何が起きてるの?」
(田井が登場し)「あ、田井くんも無事だったんだ。……田井くん? きゃあっ?!」
▼セリフ:田井足太郎
(気絶した望都を腕に抱いて)「なんだ、こいつまだ、バケモノになってないのか。だめだろぉ? 仲間はずれはよぉ」
(PC①に)「お前はもう、俺と同じバケモノになったようだな。へへへ、いいぜいいぜ。一緒にバケモノの世界を作ろうぜぇ!」
(望都に向かって爪を伸ばしながら)「こいつはどうすりゃ、バケモノになるかな? まず目玉でもえぐってみるか……」
(エフェクトで止められて)「おいおい、どういうつもりだ。同じバケモノの俺を攻撃するなんて……この裏切り者がっ! いつまでも人間のつもりでいるんじゃねえっ!」
◆結末
 もはや田井は心までバケモノとなっていた。彼へのロイスをタイタスにしてシーン終了。

●シーン3:衝動
シーンプレイヤー:PC③
◆解説
 ジャーム化した田井足太郎(たいたすたろう)が暴れ、PCは傷を負う。このシーンまでの田井は、エキストラである。演出の上では田井がPCを攻撃するが、田井はデータを持っていない。また、PCが田井を攻撃する方法もない。
▼【HP】とダメージ
 最初にPC①が2D10+15点のダメージを受ける。
 続いてPC全員が、2D10+15点のダメージを受ける。
 いずれも攻撃ではなく、ダメージなので回避やカバーリングはできない。
▼《リザレクト》
 HPが0になれば(PC①はかなりの高確率で0になるだろう)《リザレクト》が発動し、PCは【HP】を回復させ、侵蝕率を上昇させる。
◆描写
 ジャーム化した田井が、謎のエフェクトを発動させてPCを攻撃する。
▼セリフ:田井足太郎
(PC①にダメージを与えて)「PC①、死ねえっ!」
(全員にダメージを与えて)「お前たちも、死ねぇっ!」
(《リザレクト》が発動)「へへ、どうだ俺の力は……な、なにっ、立ち上がるだと……このバケモノめっ!」
◆結末
 バケモノ(ジャーム)に、バケモノ(オーヴァード)と蔑まれる。それこそが、超人でありながら常人の中で生きるPCに課せられた重い十字架なのか。シーンを終了し、クライマックスへ。

●シーン4:戦闘
シーンプレイヤー:PC④
◆解説
 クライマックス。衝動判定を行う。
 場所は学園の屋上。PCは田井足太郎(たいたすたろう)とジャームを倒す。全員を倒せば、戦闘終了。
▼戦闘の処理

 エネミーは4体。
・田井足太郎×1
 基本データはジャーム:ジェノサイダー(『R2』P266)に《漆黒の拳》5を追加。
 戦闘プラン:同一エンゲージに2人以上のPCが入るまでは、射撃攻撃。PC2人が入れば、《漆黒の拳》で白兵攻撃。
・ジャーム:クラッシャー×3(『R2』P264)
 戦闘プラン:近くのPCと同じエンゲージに入り、白兵攻撃。
▼タイタスの使用
 戦闘中、GMはタイタスの使用を促す。PCの攻撃での命中値が、エネミーのリアクションの回避値をわずかに下回った場合などに、達成値の+1Dが可能である、など。
◆描写
 キミたちは、気がつけば校舎の屋上に出ていた。まだ残っているジャームは、全員が田井足太郎に従っている。すでに理性は残っていないようだが、田井が一番強いことを、本能で理解しているかのようだ。
▼セリフ:田井足太郎
(PC①に)「みろよ、バケモノが俺に従ってる。俺はバケモノの王ってわけだ」
「へへ……力がわいてくるぜぇ。闇と、雷の力がなあっ!」
(倒された)「力がぬけていく……へ……バケモノなんて……やっぱ、俺の柄じゃなかったな……畜生、今週のバイト代、もらいそこね……」
◆結末
 田井と、ジャームは倒された。後片付けは、やってきたUGNのエージェントがやってくれるだろう。

●シーン5:帰還
シーンプレイヤー:PC①
◆解説
 PCは日常へ帰還する。
▼バックトラック
 クライマックスフェイズの最後に行う。ここでは、このシーン5がクライマックス兼エンディングということで、シーンの最初にバックトラックを行う。
◆描写
 学園に再び日常が戻ってきた。破壊された校舎は修復され、事件に遭遇した教師や生徒には、記憶処理が施された。
 しかし、戻ってこないものもある。
▼セリフ:茂撮望都
「PC①くん、おはよー」
「そういえば田井くん、転校なんだってね」
「急にいなくなっちゃうんだもの。びっくりだよ」
「PC①くんは……わたしに黙って、いなくならないよね?」
◆結末
 望都の問いかけに、PC①が答えてシーン終了となる。
===
■アフタープレイ
 エンディングが終了したら、アフタープレイを行う。レコードシートの項目をチェックして経験点を算出する。
 本シナリオの、「シナリオの目的を達成した」は5点となる。