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ROGM回顧録04 彼らはあらゆる努力をしたはずだ

 異世界のマップには、中央付近3箇所に謎のオブジェクトがある。「????」などと意味ありげな名前がついていて、直接の元ネタになったゲーム(*1)ではこれが「ラストダンジョン(ラスダン)」とされていた。

あからさまに怪しい何か。

あからさまに怪しい何か。


 今のところこの中に入ることはできないが、最終的な勝者になるためには、「ラストダンジョンに隣接したキャンプを維持していること」が必要だろう、と考えられていた。

 当時、僕らは漠然と「3箇所あるラスダンのうちとにかくどれかひとつに、隣接キャンプを作ればいい」と思っていた。だが、僕らが進出しようとしていた中央北側のラスダンは、実質的に共和国の勢力下にあった。
 キャンプを建てるには、そのセルが資源地やキャンプなどではない空白地で、かつ自国の支配下になければならない。

 ちなみにセルを支配下に置くことを僕らは「塗る」と呼んでいた。自国の色(教国の場合はオレンジ)で囲われるからである。
 ラスダン周囲の「塗り合戦」は熾烈を極めていて、せっかくオレンジに塗ってもすぐに共和国(黄色)に塗り替えされてしまう、という状況が続いていた。

 ところが偶然、僕が新しいキャンプ地を探している時、中央ラスダンの隣接セルがオレンジに塗られた。「はははまさかなー」などとひとりフェイントを入れつつ建設予約ボタンを押すと……あっさりと受理されてしまった。

「ど、どうしよう」

 それまでまともな戦闘には参加していなかったのに、明らかに「本気で攻撃されること必至」な場所に自分のキャンプが立ってしまう。さすがにこれは自分だけの責任では済まない、と判断し、即座に同盟に助けを求めた。するとすぐに別の同盟主に連絡が行き、彼の(プレーヤーの性別を知る方法はないので、女性かもしれないが)呼びかけによってACCAが誕生したのであった。

 完成したばかりのキャンプは、敵からの攻撃に極めて脆い。にも関わらず、キャンプ完成当日、僕は朝からどうしても抜けられない仕事で不在であり、移動中の電車(このためにグリーン券を買った)から無線でどうにか繋いで状況を知るのが精一杯という最悪の状況だった。ACCAに集まった人々が全力で周辺セルを防衛してくれたため、帰宅まで命を長らえることができた。
 あの日はほとんど不在の上、わずかに繋げた時にもにさらに操作ミスを重ねるという有様で、思い出すだに嫌な汗がでる。僕の代わりに防衛の指揮をとってくれたプレーヤーにはいくら感謝をしても足りない(*2)。

 しかし最も危険な時間帯を脱したとはいえ、僕のキャンプが戦略上最も重要な場所に立っているという事実は代わらない。「敵は必ず来る」と信じてひたすら防御を固める日が続いた。

 そして12月30日、午前9時38分。彼らは来た。
 朝起きて、いつものように何気なくブラウザを開いた僕の目に「被攻撃4」の文字が飛び込んだ。「4箇所から攻撃を受けている」という表示である。
 即座にACCAに報告し、国別チャットで救援を要請。
 仲間たちの献身によって守られたキャンプを失うかも知れないという恐怖とともに、僕の脳裏をひとつの思いか駆け抜けた。

 この攻撃は共和国の総攻撃だ。僕は今、対人トッププレーヤーからの本気の攻撃を受けている。
 彼らはあらゆる努力をしたはずだ。僕を倒すために。

*1 「Web恋姫✟夢想」と噂されていた。
*2 その節は本当にありがとうございました。

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