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ROGM回顧録17 墨俣の一夜城

 敵のキャンプを落とすだけでは、異世界支配率は上がらない。
 教国の勢力を大きくするには、落とした後の地に自国のキャンプを建てていく必要がある。

 しかし、前述したように作られたばかりのキャンプというのは極めて脆弱で、食糧資源が得られる「農場」のレベルも低いことから、大きな部隊で守るというのも難しい。
 そこで考え出されたのが「地雷」によるキャンプの防衛である。

 キャンプを攻撃するには、その隣接セルが自国の色で塗られていなければならない。
 セルを塗ること自体は普通は難しくない。作ったばかりのキャラクターでも、ちゃんと装備さえあれば充分可能である。ただし、そのセルに敵のキャラクターがいなければ、の話だ。
 塗ろうとしたセルに敵のキャラクターがいた場合、「すべての敵キャラクターのHPを0にし」「かつキャラクターが連れていた兵士をすべて0」にしなければならない。

 キャラクターのHPや兵士に対する損害は、攻撃力と防御力から割合で計算されるため、敵の兵士をいきなり0にするのはかなり難しい。例えば100人いる兵士を0にまで減らしたいと思うと「99.0%を超える損害」を与える必要があり(端数は切り上げ)、これには敵の15倍の戦力が必要になる。
 塗りに失敗した場合、攻撃したキャラクターは出撃元のキャンプまで帰還させられる(通常の移動時間がかかる)。

 つまり、戦闘に勝つのではなく、セルを塗らせず、敵を帰還させる(あわよくばダメージを与えて戦闘不能にする)ことを狙ったのがキャラクターによる「地雷」戦術である。

 1月2日の大攻勢で落とした中央ラスダン南側のキャンプ跡地には、教国最強の騎兵部隊を持つプレーヤーが新たにキャンプを予約していた。そしてこの新キャンプを守るため、教国有志による「人間の盾」作戦が敢行された。キャンプの周囲のセルすべてに防衛隊が配置され、「人は生け垣」の言葉通り、共和国からの「塗り」を跳ね返す地雷となったのである。
 さらに、新しいキャンプには近隣キャンプから随時資源が輸送され、建築時間短縮アイテム(有料)の猛烈な連打によって瞬く間に農場と結界が拡張されていった。

 教国2つめのラスダン隣接キャンプは、あたかも「墨俣の一夜城」の如く、一日にして成ったのである。
 この作戦は教国による野戦築城の手本となり、何人ものプレーヤーが後に続くこととなった。

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