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Category Archives: 読み物

魔機復元01

まずはじめに じめんをかく つぎには そらをかく それから おひさまと ほしと つきをかく (谷川俊太郎 『えをかく』) 光あれ ――Light will be.  見渡す限りの、砂と空。  真昼の日差しを浴びた砂はただ […]

狐狸狐狸 参

 我が家には座敷童が棲んでいる。  僕が引っ越す時から既に年季の入った家だったのだが、前の入居者はこの姿の見えない同居人を連れて行かなかったようだ。  僕は最初そういうモノが棲んでいるとは聞いていなかったので、寝室のドア […]

狐狸狐狸 弐

 僕が少年時代を過ごした家の、すぐ傍の山には狸が棲んでいた。  我が家の猫たちにとっては、餌を横取りする招かれざる隣人であったが、この世の中では生きていくのも厳しかろうと僕らは見て見ぬふりをすることにしていた。  ある年 […]

狐狸狐狸 壱

 もうかれこれ二十年ほども前の話になる。  陰暦四月の初め、父と共に僕は丹沢山中にわけいり、頂を目指していた。春霞む卯月の頃と言っても桜並木に花は無く、見渡す限り芽吹いたばかりの葉が淡く緑色に茂っていた。  山頂も間近と […]