ゲーム脳、という言葉がある。
Wikipediaによると
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「テレビゲーム(正確にはコンピュータゲーム全般)が人間の脳に与える悪影響」
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を象徴したものということらしいが、本稿では私なりの定義をさせてもらう。
ゲーム脳とはすなわち、ゲームのやりすぎで、ブドウ糖が不足して疲弊した状態の脳のことである。
いやいや、笑うなかれ。
ゲーマー、特にディプロマシーなどのマルチゲームや、TRPGをプレイするゲーマーであれば一度はそのような経験があるに違いない。
脳を使うと、ブドウ糖が消費される。勉強や仕事でも、もちろん減る。だが、もっとも大量に消費するのは、ゲームをした時だ。
ゲームは楽しい。楽しいから、歯止めがなくなる。イギリスから北海の制海権をいかに奪うか。どのタイミングで清国に攻め込むか。どうやって依頼人を裏 切って宝を独占するか。そんな楽しくてうれしいことばかり考えているものだから、ゲーマーの脳は常時使用率100%の状態だ。
その集中力を仕事か勉強に使えと言ってもせんのないことである。
そして、脳を使えば、ブドウ糖が減る。
(陰謀や裏切りが)激しいゲームを数時間プレイすれば、脳のブドウ糖は枯渇状態になり、ゲーマーは疲労困憊になる。
そこで終わっていればいいが、まだ続くと、ゲームがだれてしまう危険もある。
ゲーム脳を防ぐ方法はただひとつ。
ブドウ糖を補給することである。
しかし、これは言うは易く、行うは難い。たとえば、昼前にゲームをはじめて昼食をとってからゲームを続けるというパターンでは、ゲーム脳対策にならないのだ。ちゃんとした食事の消化と吸収にはそれなりに時間が必要で、ゲーム脳対策としてのブドウ糖の補給には適さない。
では、チョコレートやキャンディといった消化吸収が早くて糖分の多いお菓子はどうかというと、これも実はタイミングが合わない。
ゲームに集中しはじめると、ゲーマーはゲーム以外のすべてを忘れる。暇な時に舐めていた飴の糖分など、集中を始めて10分で使い切る。以後、10分おき に、あめ玉を口に放り込むなり、マックスコーヒーをぐびりとやるなりすればいいが、ゲームに集中しているゲーマーはそのようなことをきれいに忘れている。
むろん、ゲーマーも最終進化段階になると、たとえ大脳を99%までゲームに費やしていても、残った1%を条件反射に用い、パブロフの犬的に機械的に糖分 を口に運ぶようになる。が、ここまで進化できるゲーマーは限られているし、どういうわけか、そこまで進化したゲーマーはやたらとメタボになってしまい、日 常生活に支障を生じるようになる。
となれば、対策はただひとつ。
ゲーム開始前に、十分なブドウ糖を体内に蓄え、数時間のゲームを経ても脳にブドウ糖が供給できるようにするのだ。
そんなことが本当に可能なのか?
可能なのである。
そのための食材が、今回のお題にある寒冷地仕様の軍用レーションだ。
寒冷地仕様の軍用レーションとは、その名の通り、寒いところで戦闘をする兵隊さんのための食事(レーション)で、一食で3000キロカロリーだの 4000キロカロリーだのの、信じがたい数字が並ぶ。氷点下-30度といった過酷な環境では、兵士が自らの体内に蓄えたカロリーを消費して体温を維持しな いとあっというまに凍えて死んでしまうのだ。
むろん、こんなものをいかに過酷といってもゲームのために丸ごと食ったのでは、ゲーム脳にはならなくとも、健康によろしくない。
食べるのは、軍用レーションにパックされているデザートのケーキだ。
先だっても、ミラノ北部にあるBalconiのスイートロールケーキを食べたのだが、これの効き目がものすごかった。
そのときは、ゲームではなく仕事の打ち合わせであったのだが、いくら脳を使っても、まるでブドウ糖が切れない。まさに夢のような感覚であった。
日本では大和物産などが輸入しており、関東近辺の人であれば1本300円くらいのお手軽な値段で購入が可能だ。
むろん、カロリーは多い。けれど、さすがはイタリア人のお菓子というべきか、Balconiのスイートロールケーキは、さわやかな甘みであり、口触りもよくて食べやすい。
食べ過ぎてはまずいが、ゲーム前にみんなでつつくのならば、問題は少ないと思う。
なお、このときにはコストコのチーズケーキも食べたのだが、こちらは軍用レーションではないが、実に実直な、“まじめな”味の濃厚なチーズケーキであっ た。ブドウ糖の補給という点では今ひとつかもしれないが、ゲーム脳を防ぐ役目は十分に果たせる。女性漫画家の仕事場にもっていったら、「チーズケーキには ちょっとうるさい」を自認する彼女達がうなったという曰くつきのチーズケーキである。
ゲーム脳を防ぎ、ゲームを楽しくプレイするためにも、ぜひ軍用レーションのデザートを試してみてはいかがだろう。
新たなゲーム展開が、皆さんを待っている!
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………………今思ったのだが、これってつまり、単純に皆が疲れて諦めないので、泥沼の戦いが延々と続くだけかもしれんな。ゲームによっては。
まあでも、ゲームは楽しく遊ぶのが何よりということで――
今は昔の物語である。