MMD動画を10倍楽しむ動画

前置き
・ルールを理解してからスポーツを見た方が楽しいように、MMD作品も知っておくとより奥深さがわかるようになる

3DCGの基本
・3DCGは三角形の集まり
・3DCGアニメーションとは人形ジオラマのコマ撮りアニメである
・モデルを動かす仕組み(ボーン)がある

MMDのすごいところ
・実はMMDと似たようなことができるソフトは昔からあった
→商業3DCGソフトとか、オープンソース系の先行ソフトをさらっと紹介
・簡単に動く、貧弱なマシンでも動く
 →インストールすらいらないソフトなんだよ、という話
・編集中にリアルタイムレンダリングされる
→独自描画エンジンを持たない
・見ず知らずの人と分業できる仕組みを作った
→映像制作はいろんな技術が複合して作られるもの。MMDを核としてそれぞれの技術を持った人が自然と力を合わせることができるようになったんだよ、という話

MMD動画の、そこにしびれる、あこがれる
・MMD動画を支えるすごいツールを作った人
 PMDEditorの極北P、MMEの舞力介入P、AviutilのKEN氏
・モデル製作のすごい人
 ○○式、ってついてる有名モデラーさんのこと
・モデルセットアップのすごい人
 アラン・スミシーさんとか、ゴロペコさんとか、人型ボーンでメカの動きさせてた人とか
・モーション作成のすごい人
 PAC室長、6666AAAP、ダンスモーションのすごい人
・エフェクトのすごい人
 そぼろさん、針金Pさん、ビームマン
・カメラワークや演出のすごい人
 総仕上げのところ、とりあえずD-2さんを紹介
・MMD以外のところがすごい人
 Aviutlのすごい人(悪徳金融1号さん、白瀬うにさんとか)とか、声部の人たちとか
・一人で全部やっちゃうすごい人
 動画とサウンドの両方できちゃう人、ストリークPとか
・動画を作って投稿すること自体がすごいんだ
 最後に、見てるだけの人にはできないことをやってるんだということを強調して動画の締めとする。名人様はカッコ悪いぞ、と

作成手法
まず、パワポ+NMM+CeVIO(プレスコ)で動画作って、MMDに口パクだけする映像を重ねる

解説キャラクター
ナレーション:タカハシ
先生役:ONE(モデルは2/6公開予定のやつ)
生徒役(ボケ):さとうささら(モデルがあるか要調査)
生徒役(ツッコミ):すずきつづみ(モデルがあるか要調査)
→モデルがそろわないようであれば、先生:レア様(ONE)、ボケ:マリエル(つづみ)、ツッコミ:うさうさ(ささら)

草稿
タイトル:この動画について(タイトルはシーン切り替え時にタカハシがタイトルを読み上げ)
ONE「この動画は、MikuMikuDance、つまりMMDで作られた動画作品を見るときに、知っておくとより楽しめる、という豆知識をまとめたプチ講座です。講師役は私、レア」
ささら「生徒役その1、うさうさ」
つづみ「生徒役その2、マリエル」
三人「で、お送りします」
(三人のこの動画内でのMMD関係の知識についてテロップで説明)
つづみ「私、MMDの動画のことも全然知らないんですけど、こんな講座が必要なほどそんなに難しいものなんですか?」
ONE「そんなことはありません。動画作者さんは知らない人が見ても楽しいと思えるように作っているし、MMDのこと知らないと難しくてわからないなんてことはあまりないわ。でも、知っていた方がより楽しめますよってポイントはあるの」
ONE「例えば、サッカーの試合を見るのに、サッカーのルールや試合しているチームのことを知っていてひいきの選手がいる人と、チームも選手もルールも何にも知らない人のどっちが楽しく試合を観戦できると思う?」
ささら「そりゃあ、知ってる方が楽しいに決まってます」
つづみ「応援する選手がいるだけでも楽しくなりますね」
ONE「テレビで放送している試合だとそういうことは解説者やアナウンサーさんが説明してくれるからわかるけど、MMD動画の解説はたいていがMMD動画作者向けで、内容も難しいものが多いのよね」
ささら「そういえば、MMD杯動画のメイキングをいくつか見たんですけど、技術的な話は難しい用語が多くて何をやっているのかもよくわからなかったかも……」
ONE「というわけで、この動画ではMMD動画を見ている人向けに、MMD動画を支える技術や要素について広く浅く解説していくわ。ここ違うよ、ここがわかりません、なんて疑問があれば、遠慮なくコメントしてくださいね」
ONE「ただし、この動画を作っている作者は、MMD動画はたくさん見ているけどMMDでも動画作成自体はこの講座が初めてという初心者です。動画の作り方については質問されても別のMMD動画講座をご紹介するといった形になるかと思いますので、ご了承ください」

タイトル:3DCGアニメーションとは
ONE「MMDは3DCGアニメーションを作るソフトなんだけど、まずは3DCGってどういうものだか知ってる?」
つづみ「台本にあったのでさっき調べました。コンピュータの演算によって3次元空間内の仮想的な立体物を2次元である平面上の情報に変換することで立体感のある画像を作る手法、だそうです」
ささら「……なるほど、さっぱりわかんない」
ONE「そうね、例えば、箱やボールみたいな奥行き、厚みのある物体が遠くや近くに置いてあったらどんなふうに見えますよ、というのをコンピュータに計算させて表示させた絵のことを3DCGと言います」
(ここで説明する絵を表示)
ONE「ほとんどの3DCGは小さな三角形をたくさん重ねて表示して、いろんなものを表現しているの。この三角形一つ一つのことを『ポリゴン』って言うのよ」
(ワイヤーフレームな絵を表示する)
ONE「さあ、次はアニメーションについて説明するわね。アニメーションについては調べてみた?」
つづみ「はい。ええと、『コマ撮りなどによって、複数の静止画像により動きを作る技術』です。……コマ撮りってなんですか?」
ONE「コマ撮りっていうのは、『静止している物体を1コマ毎に少しずつ動かしながら撮影して、あとでつなげて動画にする手法』のことよ」
つづみ「お人形ハウスに並べたお人形を、ちょっとずつ動かしては写真にとって、パラパラアニメにしているような感じ?」
ONE「わかりやすく言うとそういうことね。MMDというのは3DCGで作った人形やオブジェをたくさん並べて、ちょっと動かしては撮影、またちょっと動かしては撮影、を繰り返して、動画にまとめてくれるソフトなの」
ささら「あれ……? でも、人形を動かすだけじゃ、ダンスはしてくれないんじゃ? MMDってMikuMikuDanceの略ですよね」
(このへんで後ろで静止画をぱらぱらマンガっぽく編集して表示)
ONE「そうね。だから、MMDで使われるモデルにはアクションフィギュアみたいに関節を曲げてポーズをとったりする仕組みが用意されているの。そのあたりの細かいことは後で説明するわね」
つづみ&ささら「はーい」

タイトル:MMDのすごいところ
ONE「はい、次はMMD以外の3DCGソフトについて簡単に説明するわね」
ささら「MMD以外?」
ONE「そうね、実際にどんなソフトがあるのかまでは知らなくていいと思うけど、MMDの動画を見るなら『考え方の違い』について知っておいた方が良いと思うわ」
ささら「考え方? MMDを作った人がどう考えていたかってことですか?」
ONE「そう。MMD作者の樋口MがMMDを初めて公開したときの動画にそのあたりのことが説明されているの」
(MMDの特徴のところの文章を引用と断って表示しておく)
ONE「コンテンツツリーに登録しておくから、あとで見てみてね。で、考え方の話だけど、MMDって性能の低いパソコンでも快適に動作するように作られているの」
ささら「他のソフトはそうなってないんですか?」
ONE「ほとんどの3DCGソフトはMMDよりも性能もお値段も高いパソコンでないとまともに動作しないわね。自分で3DCGを表示する仕組みを持っていて、よりきれいに表示することを優先しているから、どうしても性能の高いパソコンでないといけないのよ」
ささら「あれ? じゃあMMDって3DCGを表示する仕組みを持ってないんですか?」
ONE「MMDで使われている3DCGを表示する仕組みは、ゲームに使うのと同じ仕組みを借りて使っているのよ。だからMMDはゲームが動く程度の普通のパソコンでも比較的快適に動くのよ」
(テロップでDirectXについて解説しておく。あと、最初のMMDは本当に軽かったんだというフォローも)
つづみ「でも、そのかわりきれいな表示は難しい……?」
ささら「はやい話が、ゲーム画面みたいな表示しかできないってこと?」
ONE「そう、今ではMMDでもすごい映像が作れるようになっているけど、MMDが生まれた7年前は、ゲームで動いている画面と、専用の3DCGソフトで作られたムービーは誰が見ても違いがはっきり分かるくらいクオリティに差があったのよ」
つづみ「じゃあ、MMDって、実はすごくないってことなんですか?」
ONE「それは違うわ。MMDの本当にすごいところは、最終的な動画になる綺麗な画面をそのまま編集できることなの。少なくとも、プロが映像制作に使っているような高価なソフトだと、編集画面は編集専用の簡易表示になっているはずよ。だから、出来上がった作品がどんな映像になるのかは作業している間はわからないの」
ささら「それって動画作る人が困るんじゃ……どうしてほかのソフトだとそうなっているの?」
ONE「簡易表示でないと表示が遅くてとても操作できないからよ。きれいな映像が作れるんだけど、きれいな映像は複雑な計算が必要ですぐには表示できないから、作業をしている間は簡単な表示しかしないのよ。でも、MMDはゲームで使っている仕組みで映像を作ってるから、作業している間もゲームと同じように動かせるってわけ。これってとっても凄いことなのよ」
(テロップでリアルタイムレンダリングとプリレンダリングの簡単な説明を表示しておく)
つづみ「そっか、だからMMDは簡単に使えるって言われてるんだ」
ONE「そう。きれいな映像を作ることよりも、簡単に使えること、だれでも使えることを一番に考えて作られた、そこがMMDの一番すごいところだと思うわ」
(MMDがヒットした背景はいろいろあって似たようなコンセプトのソフトが他にもあるかも、みたいな補足をテロップで出しておく)

タイトル:MMDの素敵なところ
ONE「それから、MMDの重要な特徴に、『モデルを作ることができない』ということがあげられるわね」
つづみ「あれ? でも、MMDのユーザーモデルっていっぱいありますよね。どうやって作っているんですか?」
ONE「MMDとは別の3DCGモデルを作るためのソフトを使っているわ。でも、それが映像作品を作るためにすごく大事なことだったの。二人とも、歌とダンスだったらどっちが得意?」
(代表的なモデリングツールをテロップで紹介)
ささら「私は歌の方が得意かな(鼻歌)」
つづみ「私はどっちかと言うとダンスの方が……」
ONE「そうね。人にはそれぞれ得意なこと、不得意なことがあるわ。同じように、モデルを作るのが得意な人、モデルを動かすのが得意な人がいるの。さて、ここで問題です。どっちの人がよりすごい作品を作れると思う?」
ささら「……うーん、わかりません」
つづみ「モデル作りが得意な人が作ったモデルを、動かすのが得意な人が使えばいいと思う」
ささら「え? そんなのあり?」
ONE「ふふっ、マリエル正解。力を合わせて作るのが一番なのよ。MMDではモデルを作ることができないから、誰かが作ってくれたモデルを借りて作品を作るのが『普通』なのよ。モデルだけじゃないわ、モーションや、エフェクト、音楽、他いろいろ誰かが作ってくれたものをたくさん借りて、はじめてすごい作品が出来上がるのよ」
ONE「だから、多くのMMDの動画にはとても長い『クレジット』がついてるんだけど、二人はクレジットを気にしたことはある?」
つづみ「そういえば、MMD作品についているような長いクレジットって、テレビ番組とか映画とかでしか見ないですね」
ONE「本来、映像作品っていうのはいろんな分野の専門家が何十人も協力し合って初めて良い作品が作れるものなのよ。だから、テレビ番組や映画はあんなにたくさんの人が力を合わせて作っているの」
ささら「でも、それってMMD以外で作られた動画も同じですよね」
ONE「そうね、ニコニコ動画では、誰かが作ったものにさらに自分が得意な何かを足して新しい作品として発表するマッシュアップという形が一般的だわ。そういう形だと、コンテンツツリーの一つ上の動画を紹介するだけになっちゃうのよね。MMDで作品を作っている人たちのやり方はそういうマッシュアップの形をさらに進化させたともいえるわね」
ONE「たくさんの人の力を借りて作るけど、その人たちへの感謝の気持ちを忘れちずに、クレジットと言う形で作品の中に残す。それが当たり前になっていることも、MMDのすごく素敵なところってこと。わかった?」
ささら&つづみ「はい!」

タイトル:MMD作品を構成する要素
ONE「さて、それじゃいよいよ、本題に入るわよ。まずはMMD作品を構成する要素について説明するわね。MMDで作られる動画は、大きく分けてモデル、モーション、演出の三つの要素で構成されています」
ささら「あれ? モデルって、MMDでは作れないんじゃ」
ONE「そうね。でも、その前に『MMDのモデルには関節を曲げてポーズをとったりする仕組みがある』という話をしたのを覚えてる?」
つづみ「そういえば……」
ONE「さっきも言ったように、モデル自体はMMDとは別のソフトで作るのだけど、そのモデルをMMDで動かすためにはアクションフィギュアの関節みたいに曲げたり動かしたりできる仕掛けを組み込まなくちゃいけないの」
つづみ「じゃあ、私たちがこうやってポーズをとったり、表情を変えたりできるのも、その仕掛けが組み込まれているからなんですね」
ONE「そう、そして、その仕掛け自体はMMD独自のものなの。だから、MMDで作られたわけじゃないけど、私たちのようなMMD専用のモデルが存在するのよ」
つづみ「なんとなくわかりました。じゃあ、モーションは?」
ONE「これも最初に言った話のおさらいになるけど、アニメーションってどんなものだったか覚えてる?」
つづみ「確か、『静止している物体を1コマ毎に少しずつ動かしカメラで撮影し、あたかもそれ自身が連続して動いているかのように見せたもの』でした」
ONE「はい、よくできました。そのアニメーションで、どのコマでモデルがどこにいてどんなポーズを取っているのか、というのを記録したデータのことを、モーションというのよ。つまり、私たち動きそのもののデータのことね。演劇に例えれば、モデルが役者さんで、モーションは役者さんの演技になります。モーションがMMD動画を作る上で一番大事な要素と言っても良いでしょうね」
ささら「さっきから私たちが全然動かないのも、うp主のモーション作成がへったくそで作る気がないからなんですね」
(メメタァとかの効果音ポイテロップを入れておく)
つづみ「……え、ええと、最後の演出はどういうものなんですか?」
ONE「演劇で言う演出とほぼ同じで、照明、カメラワーク、エフェクトなんかを使って映像を一つの作品にまとめ上げる仕上げの作業のことよ。実はとても重要で専門の技術の必要な作業なのよ」
つづみ「そういえば、テレビ番組のテロップなんかでも演出って専門のスタッフが居たりしますね。やっぱり大事な作業だからなんですね」
ONE「この3つが、MMDを使って作業をする場合に必要になる主な要素よ。この三つはどれも公開されている素材が少なからずあるから……」
ささら「クレジットにだれが作ったものを借りたが書いてあるんですね」
ONE「そういうこと」

タイトル:MMDの、すごい、ツール
ONE「それじゃあ、ここからは『MMD作品のここがすごい』がわかるポイントのお話しよ。ここがわかっているとMMD動画を見る楽しみがぐっと広がるから、みんな頑張って勉強してね」
ささら&つづみ「はーい」
ONE「まずは、MMD作品を支えるツール、PMXEditorとMMEについてよ」
ONE「PMXEditorは簡単に言うと、他のソフトで作られたモデルにMMDで動かすための仕掛けを埋め込むためのソフトよ。作者は極北P。たくさん公開されている素敵なモデルがMMDで動くのはこのPMXEditorのおかげなの。ちなみに、簡単にだけどモデルを作る機能も用意されているのよ」
(テロップにPMDEditorのことも書いておく)
つづみ「ほへー、すごいソフトなんですねー」
ONE「後で紹介するモデル作りのすごい人たちも必ず使っているソフトだから、どういうものかくらいは知っておいてね」
ONE「次に紹介するのはMikuMikuEffect、通称MMEよ。作者は舞力介入P。MMEはそれまでのMMDが使っていなかったエフェクトをMMDで使えるようにするソフトなの」
つづみ「あの、ずっと気になってたんですけど、エフェクトってなんですか?」
ONE「あら、ごめんなさい、そういえば説明してなかったわね。エフェクトっていうのは、SFX映画とかで使われる特殊効果みたいなものよ。例えば、モデルを光らせたり、金属っぽい質感にしたり……」
(DirectX、HLSLとかのキーワードと簡単な説明をテロップで出す)
ささら「ビーム撃ったり、ビーム撃ったり、ビーム撃ったりするやつよねっ♪」
ONE「他にも、画面全体の雰囲気を変えたり、雪や雨を降らせたり、水面を作ったりいろんなことができるのよ。中には、モーション作成を便利にしたりしてくれる、なんてものもあるわ」
つづみ「PMXEditorもそうですけど、MMEもMMDの世界を変えるような発明だったんですね」
ONE「そうよ。もし、MMDの歴史という授業があったら、PMXEditorとMMEは教科書の目次に名前が出ていると思うわ」

タイトル:MMDの、すごい、モデラー
ONE「さあ、次はMMDの一番の華、モデラーついてのお話よ。MMDのモデルは、3DCGモデルにMMDで動くための仕掛けを仕込んだものだという説明をしたけど、そのもとになる3DCGモデルを作っている人がモデラーと言われている人たちなの」
つづみ「私たち三人はかにひらさんというモデラーがデザインしたんですよね」
ONE「そうね。ちなみに、初音ミクさんみたいにいろんなモデラーがモデルを作っているキャラクターの場合、モデラーさんの名前を取って○○式って呼ばれることが多いわ」
ささら「MMDに同梱されているミクさんは、あにまさ式ミクさんって呼ばれてますけど、これってあにまささんが作ったした初音ミクモデルって、意味の名前なんですね」
ONE「そうよ。あと、元になるモデルがあってそれを別の人が改変して公開している場合もあるのだけど、そういう場合は〇○式改変~という名前になっていることが多いわ。有名なところではLat式ミクやtda式ミクが改変OKの利用規約になっているので、たくさんの改変モデルがあるわね」
つづみ「改変した人の名前はつけないんですね」
ONE「そうね。中にはいろんな作者さんが改変に改変を重ねている場合があるから、改変した人の名前まで全部モデル名に入っていると大変なことになっちゃうし、個性が一番残ってる最初にモデルを作った人から、自然とそういう風になっちゃったみたい」
ささら「じゃあ、改変した人の名前は残らないの?」
ONE「そんなことはないわよ。MMDモデルをMMDに読み込んでみるとわかるけど、そのモデルがどんなモデルなのかという説明をモデルの中に記録することができるから、たいていはそこに細かい情報が書いてあると思うわ」
(うさうさのモデル情報画面のSSを出す)
ささら「でも動画見てる人にはそんなのわかんないんじゃ……あ、そうか、そういう場合はクレジットを見れば」
ONE「そうね。動画の作者さんにもよるけど、クレジットには改変作者さんの名前も挙がっていることが多いわね」
ささら「そっかー。じゃあ、お気に入りのモデルが見つかったら、クレジットを見てモデラーさんのこともチェックしようっと」
ONE「それがいいわ。そのモデラーさんが作った他のモデルも好きになるかもしれないしね」

タイトル:セットアップの、すごい、モデル
ONE「次は、モデルのセットアップについてのお話しよ」
つづみ「セットアップってなんですか?」
ONE「セットアップっていうのは、モデラーさんが作ったモデルにPMXEditorでMMDで動かすための仕掛けを埋め込む作業のことよ。この作業はモデラーさんとは別の人が行っていることがあるの。確か、うさうさもそうだったわよね」
ささら「はい。モデリングがかにひらさんで、セットアップが一風さん(読み不明なので調べる)で、物理演算がehehe(読み:えへへ)さんです」
つづみ「セットアップって、人によって違いが出たりするものなんですか?」
ONE「そうね、動画を見ているだけだとわかりにくいかもしれないけど、セットアップの作り込みによって『そのモデルができること』はずいぶん変わってくるわ。特に重要なのがモーフと物理演算ね」
ONE「モーフっていうのは、モデルの一部、場合によっては全体をを変形(モーフィング)させる仕掛けのことよ。泣いたり笑ったりなんか表情の変化や口パクの動作は基本的にすべてモーフを使って作られているの。中にはモーフでロボットのように変形したり、武器や衣装を出し入れしたりなんてことできるモデルもあるわね」
ささら「そっか、マリエルのあざとかわいい表情なんかもモーフを使って作られてるのね。確かに大事だわ……」
(背景で有名な顔芸モデルに変顔させておく)
ONE「物理演算は、スカートのすそや髪の毛、うさうさの耳みたいに、重力や風の影響を受けてひらひら動くものを自動で動くようにする機能と思っておけば良いわ」
つづみ「自動って、どういうことですか?」
ONE「モーションを作成しなくても計算して動いてくれる、ということよ。もしも物理演算がなかったら、うさうさがジャンプしたときに耳やスカートがどういう風に動くのかも全部手動で設定しないといけなくなって、モーションを作る手間が何倍、モデルによっては何十倍もかかってしまうのよ」
(物理演算導入前のMMDのバージョンについて補足テロップ)
ささら「つまり、モーションの作りやすさが変わるんですね」
ONE「そう。でも、物理演算を綺麗に動かすためにはものすごく綿密な設定と調整が必要なのよ。限度を超えて激しい動きをすると、物理演算はどうしても変な動きになってしまうものなのだけど、それをいかに抑えるのかも大事なポイントね」
(参考資料としてアラン・スミシーさんのスカート解説動画を紹介)
ささら「そのあたりのバランス調整がセットアップ職人さんの技なんですね」
ONE「そういうこと。表だってセットアップした人の名前が前に出てくることはあまりないのだけど、MMD動画にどういう影響を与えるのかを知っていると、これまで何気なく見ていた作品に新しい発見があるかもしれないわよ」

タイトル:MMDの、すごい、モーション
ONE「さあ、いよいよ次はモーションについてのお話ね。さっきも説明した通り、モーションは私たちモデルの動きそのものよ。このモーションがMMDモデルに命を吹き込むんでいると言っても過言ではないわ」
つづみ「じゃあ、魂実装済みタグが付いているようなMMD動画って、モーションがすごいってことなんですか?」
ONE「そうよ。魂がこもってみえるような自然なモーションを作るには手間と技術の両方が必要なの。全身が連動した動作とか、握手のような複数のモデルの一部分が接触する動作とか、見てる分には簡単そうにみえるけど作るのは凄く大変なのよ」
ささら「全身が連動するってどういうことですか?」
ONE「そうね、ボールを投げる動作なんかが分かり易いかしら。ちゃんと体重を乗せてボールを投げる動作は、まず足を出して重心を動かして、腰を回転させて、背中を捻って肩、腕、肘、手首が順番にちょっとずつタイミングがずれながら動いて、最終的に指先まで動きが伝わっていくの」
つづみ「なるほど、一つのしぐさでも沢山の動きが合わさっているんですね。確かにとても大変そうですね」
(接触モーションが難しい理由も背景で図解しておく)
ONE「柔らかい動きは全身が連動している動作であることが多いし、何気ない仕草でも動作が自然であれば自然なほどモーション作成の難易度は高いと思って間違いないわ。あと、意外な注目ポイントは指先や足先かしら。指は細かい関節が集中している場所だからモーションを作るのもかなり大変だし、足先は常に地面に触れているから不自然な動きをしていると目立ちやすいの。モデルごとの調整が難しいからから、配布モーションもそのまま使えないことが多いし」
つづみ「配布? モーションって配布できるんですか?」
ONE「ええ、MMDはモーションのデータをモデルごとに保存することができるから、ダンスモーションや歩いたり走ったりと言った何度も使われるモーションがたくさん配布されているわ」
つづみ「配布されているモーションって、どのモデルにも同じように適用できるんですか?」
ONE「条件はいくつかあって、まず同じボーン構造を持っている必要があるし、それからモデルの大きさや体型がだいたい同じくらいでないと適用しても上手く動かないから修正が必要になるの」
つづみ「あの……ボーン構造って何ですか?」
ONE「そういえば、モデルのセットアップでボーン構造のことを説明するのを忘れていたわね。ボーン構造って言うのはモデルのどの部分がどういう風に曲がったりねじれたりするかを決める構造のことよ。アクションフィギュアで言うと、関節がどの部分にあってどこまで曲がるか、といった仕掛けにあたるものよ。そして、モーションデータというのは、どの関節(ボーン)がどのタイミングでどれだけ曲がったのか、という情報を記録しているの」
(テロップでモーフの挙動、モデルの位置も含まれているという補足をしておく)
つづみ「そうか、ボーン構造が全然違ったりすると、モーションデータがあってもどこをどう曲げて良いのかがわからなくなるんですね」
ONE「そういうこと。だから、人型のMMDモデルは、だいたいがMMD本体に同梱されている初音ミクモデルと同じ形のボーン構造を持っているの。モデルによって動いたり動かなかったりするパーツもあるから、全部が全部同じ訳じゃないけどね。例えば、うさうさの耳は私みたいな普通の人間モデルに比べて長いから、特別に耳のボーンを持っていたりするわね。もちろん、一般的な配布モーションにも耳のモーションは含まれていないから、耳を動かしたければ耳のモーションを作る必要があるの」
(うさうさの耳ボーンのスクリーンショット出しておく。ついでにボーン構造の標準化もMMDの隠れた功績の一つ、みたいなフォローテロップをいれておく)
ささら「そうか、手足だけじゃなくて、髪の毛や服や耳も動かそうと思ったらモーションを作らないとダメなんですね」
ONE「逆に言えば、配布モーションを使わずに全部のモーションを一から作るのであれば、ボーン構造が異なっていてもかまわない、ということでもあるわね。だから、モーションが作りやすいようにモデルを改造、例えば、ボーンを動かすためのボーンを付け加えたりする人もけっこういるのよ」
(多段沼なイラストをいれておく)
ささら「……凄い世界なんだってことはなんとなくわかったかも」
ONE「美しいモーションを作るには感性やセンスも大事なんだけど、理論や技術もすごく奥が深いのよ。正直、用語を把握するだけでもかなり大変で、見ているだけならそこまで細かいことを知る必要もないと思うわ。でも、奥が深い分、知れば知るほど今まで気づかなかった新しい魅力が見つかることもあるのよ」
(キーフレーム、補間曲線、多段ボーン、外部親、物理分離、反転ペースト、腕IK、全ての親、センター位置バイアス付加、フレーム位置角度補正、MMDエンジン、階段打ち、縦打ち、ラジ割り、物理モーション焼きこみ、kinect、準標準ボーン、VSQリップシンク、腕切IK、オートグルーブボーン、肩キャンセルなどモーションやボーンに関わる用語をテロップでたくさん並べておく。こっそり秘密結社多段ボーンとか物理沼とかも入れておく)

タイトル:エフェクトとか、すごい、演出
ONE「さあ、MMD動画の三つの要素の家の最後、エフェクトや演出についてのお話しよ。エフェクトについてはちょっと難しい話になるけど、あとちょっとだからみんな頑張ってね」
ささら「MMEのところでちょっとだけ出てきましたけど、エフェクトって何かすごいものってことしかわからなかったです」
ONE「じゃあ、MMEによるエフェクトのポイントをもう少し詳しく説明するわね。MMEによるエフェクトっていうのは、MMDが行っている計算による3DCG処理を強化して、より複雑なことをできるようにしたものよ」
つづみ「より複雑なこと、ですか……?」
ONE「そう。MMDは3DCGを表示する仕組みの話をしたけれど、覚えている?」
つづみ「はい、ゲームに使うのと同じ仕組みを借りて使っているんですよね」
ONE「その通り。でも、MMDはその仕組みの中でも動作が重い機能はほとんど使っていないの。MMEはそんなMMDが使っていない動作の重い機能も使えるようにしてくれるものなの。そして、その機能を組み合わせて実際にいろんなことをするのがエフェクトよ。エフェクト一つ一つがMMDの追加機能だと思えばいいわ」
ささら「マシンスペックが低いとエフェクトが使えないって話をよく聞きますけど、動作の重い機能を使ってるからなんですね」
ONE「エフェクトは技術寄りの要素が強いMMD関連要素の中でも、特に専門性が高いものの一つね。そのせいか、MMD動画には欠かせないものになっている割にエフェクトを作って公開している人はとても少なくて、テロップを見るようになるといろんな動画で同じ名前を見るんじゃないかしら」
ささら「そういえば、クレジットのエフェクトのところに同じ人の名前がずらっと並んでいるのってよく見かけます」
ONE「そういう事情もあって、エフェクト作者さんの知名度って割と高い印象があるわね。エフェクトについてはこんな感じかしら。次は、エフェクト以外の部分での演出についてね」
ささら「MMDでの演出って、エフェクト以外にはどんなものがあるんですか?」
ONE「エフェクト以外の演出のMMDでの要素と言えば、カメラワークや照明なんかが重要なポイントね。この二つは実写の映像でも使う技術だから、定番ノウハウがすでに確立されていて、MMD勉強会やMMD動画作成講座でもそういったノウハウが紹介されていたりるわね」
つづみ「カメラワークや照明で動画の善し悪しってそんなに変わってくるものなんですか?」
ONE「そうね、カメラワーク次第で伝わってくる情報量も大きく変わるし、ドラマやダンスPVではカメラワークで迫力ものすごく変わってくるわね。照明はMMD本体のの機能ではあまり凝ったことはできないのだけど、画面の明るさや色合いが変わってくるから雰囲気作りにとても重要な要素ね」
ONE「MMDはカメラモーションも切り出して保存することができるから、ダンスPV向けのカメラモーションも配布されているわね。カメラモーションはモデルのモーションとセットでないと意味がないから、使えるシチュエーションはかなり限られているの。ドラマ作品なんかでは全部作者の人が手打ちしているケースがほとんどね」
OME「演出は優れているほど違和感なく自然にみえるものだからなかなか違いがわからないのだけど、何となくだけでも良さがわかるようになると、より深く作品を楽しむことができるようになると思うわ。何気ない演出の中にも作者さんのこだわりやメッセージが込められていることもあるし、ね」

タイトル:MMD以外の、すごい、いろんなこと
ONE「次はMMD以外の要素についてのお話よ。MMDは凄いツールではあるけれど、できないこともあるし、苦手なこともあるから、そのあたりについても軽く触れておくわ」
ささら「できないこと……? なんか、ありましたっけ?」
ONE「沢山あるわよ。例えば、音声編集とか」
ささら「あっ、言われてみれば……」
ONE「MMDは音声は元々ある音声ファイルをそのまま使うだけで、音声の編集作業はできないわ。もともとダンスPVを作るために作られたソフトだから、音声ファイルはもともとあるものを使うのが前提なの」
ONE「でも、MMDドラマでは効果音を足したりする必要があるから、ちゃんとしたものを作ろうと思ったらAviUtlのような動画編集ソフトでの加工が必要になるわ。字幕なんかもMMDの基本機能ではできないし、MMDの苦手なことの一つね」
(MMEでテロップ出したりもできるというフォローテロップ)
ONE「あと、MMDはAVIファイルしか出力してくれないから、ダンスPVのように楽曲データが先にある場合でもつんでれんこみたいなエンコードソフトが必要ね」
ONE「MMEのエフェクトでもできるけど専用の編集ツールを使った方が楽な特殊効果も多いし、動画を作る人がどちらのやり方により精通しているか、という部分でも変わってくるんじゃないかしら」
つづみ「そっか。MMDだけで何でもできるというわけではないんですね」
ONE「特に大変なのはやっぱり音声ね。MMDでCGアニメーションは作れるようになったけど、テレビアニメのように声優さんに声をあててもらうのはものすごく大変なのよ。役にあったイメージで声の演技をお願いできる人を集めるのはすごくハードルが高いし、機械音声だとこの動画みたいなナレーションはできても演技はまだまだだし」
ONE「声に違和感を感じないというのは、演出や脚本での工夫が良かったり、役者さんたちの演技が素晴らしいってことなのよ」
(主な音声作成ソフト、MMDフルボイス部の紹介をしておく)

タイトル:おわりに
ONE「最後に、この講義を通じて知ってほしかったことをまとめるわね」
ONE「一番知ってほしかったことは、MMD作品はいろんな人が力を合わせて作っているんだってこと」
ONE「MMD作品は映像に関わるいろんな分野の技術をそれぞれ得意な人が素材やツールを提供することで成り立っていて、作っている人が感謝の気持ちを込めてクレジットを出すという素敵な文化があるということ」
ささら「今日の講義で、クレジットに書いてあることの意味がなんとなく分かるようになれた気がします」
ONE「それと、MMD動画に限った話ではなくて、アニメーション動画を作るのにはとてもたくさんの分野の素養が必要ってことも重要なポイントね」
ONE「いくらMMD素材を通じていろんな人の協力が得られるからと言っても、演出や構成は自分で考えないといけないし、MMD以外にも音声をはじめとして考えないといけないことはたくさんあるわ」
ONE「ほとんどのMMDクリエーターさんはそれを全部一人でやってるわけだけど、それがどれくらい大変で、どれくらい時間がかかる作業なのか、このあたりのことを考えるきっかけになれればいいなと思ってるわ」
(ブチャラティを出して『モーションはつける、カメラもつける、エフェクトも入れる、音声も調整する、シナリオも考える、コンテも切る、使った素材のクレジットも作る、全部やらなくっちゃあならないってのが「MMDer」のつらいところだな。覚悟はいいか?俺はできてるぜ』→ゆがむ名人様、みたいな小ネタを挟んでおく)
ONE「全部を上手にできる人なんていないし、作業にかけられる時間にも限度があるわ。作品を完成させて公開する、それ自体がものすごく大変なことなのよ」
(実際大変だろうな、と思ってましたが、やってみたらやっぱすごい大変です……みたいなテロップをいれる)
ささら「いつも見ているお気に入りの動画も、気づかず見逃していたポイントがあるんだろうな。あとでもう一度見直してみようかな」
ONE「それがいいわ。最初にもいったと思うけど、『この動画はココがすごい!』ってポイントが見つけられるようになると、前よりもっと見るのが楽しくなるわよ」
ONE「というわけで、今回の講義はここまでです。ご視聴ありがとうございました」