●〈陸奥〉と46cm砲
 曹操の話をすれば曹操が。
 〈陸奥〉の話をすれば〈陸奥〉が。
 前回の日誌を書いた翌日、西方海域のカレー海でボス戦でS勝利し、我が艦隊は戦艦〈陸奥〉を獲得した。
 大和型戦艦が未実装の現在、艦これでは最新鋭戦艦である。

 さっそく演習も含めスパルタ的に鍛え上げ、メンテが終了した本日(7/10)には、レベル48にまで上がっている。

 装備も現時点で最高のものを揃えてある。
 ・46cm三連装砲
 ・41cm連装砲
 ・九一式徹甲弾
 ・21号対空電探

 これにより砲戦力は、火力:153射程:超長 にまで向上している。
 また装甲:95耐久:90も他の戦艦から抜きん出ており、なるほど、戦前の少年少女の遊ぶカルタで『む:陸奥と長門は日本の誇り』と書かれていただけのことはある。
 ただ、実在の〈陸奥〉は46cm砲=18インチ砲を搭載してはいない。ワシントン軍縮条約で世界中で戦艦の建造が中断した時に、最大の砲は41cm砲=16インチ砲で、これを装備した戦艦は7隻しかなかったあった。これを世界のビッグ7と呼び、〈陸奥〉はそのうちの1隻である。

 ワシントン軍縮条約では日本の保有する戦艦は、英米の6割とされた。
 戦争は基本的に強い側が勝つ。そして強さを支えるのが数だ。戦争はまず何より相手より数をそろえることが大事だ。
 しかし、条約で最初から相手の6割と決められた日本海軍では、この数のハンデをどうやって埋めるかに頭を悩ませることになる。

 ひとつの手が、ワシントン軍縮条約で制限されていない巡洋艦をミニ戦艦として整備するというもので、〈妙高〉型がやたら砲雷撃戦に特化したのも、小さい船体にできるだけ多くの火力を詰め込もうとしたせいである。
 もうひとつの手が、日本に攻め込んできたアメリカ艦隊を、全力で袋だたきにして一度の戦いで勝利する、艦隊決戦への特化である。
 41cm砲よりもさらに強力な46cm主砲搭載戦艦は、こうした決戦思想から生み出された。
 昭和の頃には46cm砲は、アメリカ戦艦の41cm砲よりも射程が長いから、敵をアウトレンジして叩くためにある、という説がまことしやかに流布しており、私も子供の頃にはそうした本を読んで育っている。しかし、実際には46cm砲に期待されたのは射程よりも一発のパンチ力であった。なぜなら、平時の演習でもアウトレンジな三〇キロメートル以上の超長距離砲撃の命中率はかんばしくないものだったからである。

〈赤城〉「アウトレンジは空母のお仕事ですね」
〈加賀〉「空母というか、艦載機のお仕事です」
〈赤城〉「艦これのシステムでは、最初の空襲1回だけですが」
〈陸奥〉「射程が超長なら、専用の砲撃フェイズがあるとうれしいのに」

 だから当たらないから、ダメなんだってば。
 41cm砲だろうが、46cm砲だろうが、昼間砲戦距離は24km~25km、それでも当たらなければ、もっと近づいての撃ち合いを想定したのである。

 艦隊決戦においては、戦艦がずらりと一列に並ぶ単縦陣となる。(敵もたぶんそう)
 この時の戦艦の数は互いに10隻以下だろうと考えられていた。この数では、1隻あたりの戦力比率が大きい。より早く敵の1隻を戦闘不能にすれば、一気に有利になる。
 なので、艦隊決戦では、可能であればこちらの戦艦2隻以上で敵の戦艦1隻を集中攻撃し、とにかく1隻でも早く無力化させよう、と考えていた。

〈金剛〉「おう、正しいデース。私たちの戦いでも、敵の戦艦が序盤で沈めば有利になりマース」
〈霧島〉「計算の上では〈金剛〉お姉様の言う通りですわ」
〈比叡〉「でも、実際にはどれを狙うかは、ランダムですよね」
〈榛名〉「提督さんの中には、自分に選ばせろと考えている人も多いみたいなんですが」

 理想はそうだが、演習でも艦隊決戦で1隻の敵を複数の戦艦で集中砲撃するというのは、なかなかうまくいかなかった。戦闘が激しくなれば、敵味方の動きも複雑になっていく。
 さらに撃ち合いになって艦に被害が出ると、1隻の艦内でも統一射撃管制が困難になることがある。戦争が始まってからは砲塔1つ2つがばらばらに生き残っている場合でも有効な砲撃ができるよう、管制要員を分散配置させるようになる。
 また、〈金剛〉型高速戦艦は、敵にうかつに突っ込まないよう注意されている。理由は打たれ弱いから。

〈霧島〉「第三次ソロモン海戦・・・ですわね」
〈比叡〉「頑張ったんだけどなぁ・・・」

 ありがたいことに、艦これでは一方的な空襲は最初の1回だけ、夜戦は必ず砲撃戦の後で、プレイヤー提督側が選択できる(敵に夜戦を強制されない)と、史実とは違う戦艦に優しいルールになっている。
 また、バケツ(高速修復材)の存在のおかげで、損傷を受けた戦艦がすぐに復帰できるというおまけつきである。史実ではボロボロになったらそのまま戦争が終わるまで復帰できないこともあったのだから、なんという厚遇であろうか。

〈金剛〉「むしろ、沈むまで戦えというブラックな職場になった気がしマース」

 いいから、出撃だ。メンテが終わって新しい艦娘も実装されたし、何より我が艦隊には最後の戦艦〈長門〉が来ていない。まずは北方海域3-3:アルフォンシーノ方面だ。

〈赤城〉「このマップは空母2隻が必須ですね」
〈加賀〉「一航戦の出番でしょうか」

 いや、なんか敵艦隊の対空能力が高くてボーキサイトの消費がすごいらしいので、軽空母に行ってもらおう。〈祥鳳〉に彩雲偵察機を搭載してある。
 新しい提督プレイヤー諸氏も参加したことだし、まだまだ戦いは続くのだ!

〈北上〉「提督っち~、それ未完フラグ」