●遠征任務(わけても海上護衛任務)の重要性について
 艦これの面白いところに、後方支援の重要性がある。
 かつての太平洋戦争において、日本海軍は序盤でこそハワイで真珠湾したり、南太平洋にまで進出したり、それなりの活躍をみせたが戦争が進むにつれて、精細を欠いていく。
 その原因として、ミッドウェー海戦の敗北や、ガダルカナルでの消耗がよくあげられるが、空母が沈んだり、航空機や熟練パイロットが失われたことは、痛くはあっても致命傷ではない。
 日本海軍が、ぱっとしなくなった最大の理由は、艦隊や航空部隊を前線に送り出し、彼らに実力を発揮させるための補給や整備を整えるという、後方支援能力の貧弱さにある。
 対するアメリカ海軍については、有坂純さんが『歴史群像アーカイブ3』所収の『怒涛の米軍物量戦』で書かれているが、守勢ではなく、攻勢に出た戦争後半における後方支援能力の高さには瞠目すべきものがある。フィリピン侵攻作戦において、アメリカ海軍は第3艦隊に空母8隻、軽空母8隻を編成したが、こいつらが大量に消費する燃料は、タンカーでどんどん後方から送り出された上、給油艦34隻、護衛空母11隻などでなる海上兵站戦務群が洋上給油ステーションとなって前線近くまで進出し、腹を空かせた空母に燃料を供給し続けたのである。
 このあたりの、「無駄になってもいいから、大量の物資を途切れることなく送り出し続ける」アメリカ軍の兵站センスはたいしたものである。同時に、このセンスは、いらなくなった物資をどんどら捨てたり爆破して処分したりして平然とできる人や組織でなくては、なかなか身に付くまいとも思う。対して日本的な美意識はやはりカンバン方式に代表される、無駄を削ぎ落として効率を追求するところにあるように思う。

 閑話休題。艦これに話を戻す。

 艦これでも、艦隊が充実してくると兵站がネックになってくる。出撃して損傷した艦艇が、ドックに順番待ちの長い列を作り、資源がなくなったので、出撃できない艦隊が暇そうに港でちゃぷちゃぷ水遊びをしている風景は、艦これを遊んでいる人であればおなじみであろう。
 もちろん、WEBゲームであるからには課金をすることで足りない資源を何とかする手はある。ドッグも、課金して数を増やすことが可能だ。このあたりの感覚も、史実っぽさが出ていて、なかなかに面白い。
 しかし、多くの場合、兵站を支えるのは遠征(おつかい)任務である。中でも海上護衛任務は、そこそこの難易度・時間で、燃料200&弾薬200を補給してくれるので、艦隊の生命線となっている。
 だが、第1艦隊はこの遠征任務に参加できない。これはなんとも無念な話で、常に物資不足に泣いている我が海軍としては、第1艦隊も海上護衛任務に投入したいのが本音だ。
 というか、艦隊決戦とかいらないよね。

 検索したところ、遠征任務を担当できる第3艦隊が運用できるようになるのは、川内型軽巡洋艦3隻がそろう任務を達成したら、ということらしい。
 〈神通〉と〈那珂〉の2隻は、ちょくちょく出現しているので艦隊にそろえているが、いつまでたっても〈川内〉が登場しない。早くこいー。

●南西諸島防衛戦~敵機動部隊を撃滅せよ!
 遠征艦隊を海上護衛任務に送り出し、物資をためる。
 物資がたまったら出撃し、経験点と艦娘を獲得する。
 すでに同じ艦がいる艦娘は、見なかったことにして廃棄処分にし、物資をためる。あ、その魚雷発射管と12.7cm連装砲は剥いておけ。使えるからな。
 これを繰り返しているうちに、だんだんと主力艦隊の陣容が整ってきた。

 旗艦は我が艦隊初の空母〈祥鳳〉である。戦闘機は相変わらず搭載せず、九九式艦爆と、九七式艦攻が主力である。よく命中させるので常にきらきらモード(高揚状態)にあり、テンションも高い。脆いが、修理にさほど手間がかからない。まことにお手軽な、いわゆるチョロイン枠。

 護衛部隊の主力は、これまた我が艦隊初の重巡洋艦〈足柄〉である。〈足柄〉は史実ではイギリス海軍から「飢えた狼」とまで評された艦であり、黙っていれば、すらりとしたプロポーションのモデル体型な美人さん。だが口を開くと「飢えた狼」どころか「血に飢えた狼」になる。いいから落ち着け。美人なのにヒロインになれない枠。

 艦隊のまとめ役として重宝するのが、初期から長く旗艦を続けて気が付けばレベル20越えで酸素魚雷搭載艦となった〈名取(改)〉である。〈祥鳳〉の空襲、〈足柄〉の砲撃で撃ちもらした敵艦を、魚雷攻撃や夜襲で、こっそり後ろから忍び寄って刺し殺す。どうみてもヤンデレ枠。

 これら頼もしすぎる3隻を中核に、マップ1-4「南西諸島防衛戦」に挑むわけであるが……制空能力が足りない。
 マップ1-4「南西諸島防衛戦」をクリアするには、マップボスである敵機動部隊を撃破する必要があるのだが、この艦隊には正規空母が含まれる。
 戦闘機を搭載していない〈祥鳳〉では、敵艦隊にたどりつく前に搭載機をばたばた落とされてしまい、戦力が半減してしまうのだ。かといって、空母なしではつらい。
 もう1隻、どうしても空母が欲しい。
 そんな中で建造されたのが、軽空母〈隼鷹〉である。
 同じ軽空母だが、搭載機数は〈祥鳳〉の30機に対して〈隼鷹〉は58機。
 また、最初から戦闘機を搭載しているのだが……九六式艦上戦闘機である。ちと古い。
 仕方ないので、慣熟航海(レベル上げ)を繰り返しながら装備品を作ってみる。
 運良く、さほど失敗を繰り返すことなく零式艦上戦闘機21型、名高き零戦が完成する。ありがとう、庵野監督!

 こうして軽空母〈祥鳳〉〈隼鷹〉、重巡洋艦〈足柄〉、軽巡洋艦〈名取(改)〉に、「なのです」駆逐艦〈電〉、「ボクっ娘」駆逐艦〈時雨〉を加えた我が第1艦隊は、幾度かマップ1-4「南西諸島防衛戦」に挑み、ついに敵艦隊を退けたのである。

 そして登場したのは……なんと戦艦〈扶桑〉であった。
 ついに本当の意味での主力艦、超ド級戦艦が我が艦隊に加わったのである。

(続く)