物語概要

リベルニア建国王が田舎領主からリベルニア王都の建都に至るまでの立身出世物語

時代設定など
 一般的にリベルニアを使って作られている動画のさらに100年ほど前の設定。

フレス山脈(仮名)
リベルニアの北に連なる2000m級の険峻な山脈。リベルニア平原と中原地方を隔てており、リベルニア建国王によってHauptarterie(大動脈道路)が建設されるまで人の生き気はほぼ不可能だった。

神聖王国
リベルニア建国以前に栄えていた中央集権型の王国。末期は悪性が続き有力豪族の専横と権力争いが激化し、幼帝暗殺をきっかけに内部分裂して戦国時代に突入する。

リベルニア
中原との陸路および、東方との海路を結ぶ貿易都市。名は自由の都の意味する。後にリベルニア王国建国のときに首都に定められ、国名もと氏名に合わせてリベルニア王国と名付けられる。

登場人物

・フレスベルク公
 山間に住む鳥人族の長の爵位名。フレスベルクは古くは魔石鉱山を預かる有力豪族だったが、鉱山の枯渇とともに主だった収入がなくなり没落し、お家断絶となり領地は古王国に没収された。その後、魔石鉱山一帯を領地を与えられたリベルニア建国王が大動脈道路建設の折に、鳥人族の協力を得るために爵位を与え、当時の鳥人族の長にフレスベルクの名も与える。それが代々鳥人族の長の名として受け継がれている。

・リベルニア建国王
 名前未定(それっぽいドイツ語の名前を考える)
 遺跡図書館(ライトノベル図書館をドイツ語訳した感じの名前にする)より軽く7~8世紀分は進んだ社会学、情報学などの情報を得て、科学技術を魔法でまねることを思いつき、技術および情報チートによって覇権を握る。
 戦術よりも戦略に秀でた策士で、遺跡図書館から発掘されたまおゆうを読んで、世界の改革を志すようになる。というと聞こえは良いが、実際にはどうにかして旧神聖王国の体制をぶっ壊したかっただけの危険人物。
 魔法に秀でた一族の出だが、当人にはあまり魔法の才能がなく早々に魔術師の道を断念、戦略を学んで武官としての道を歩む。闇視や遠視、幻音といった簡単な知覚魔法を駆使して反乱軍を誘導し、開戦直後に敵首領を待ち伏せ急襲して首を上げるというゲリラ戦術で武功をあげる。

・大商人
 かつては鉱山商いで栄えた御用商人の一族。旧フレスベルク家の没落に伴い主軸であった魔石の取引による収益を失うが、当主の手腕が優れておりあの手この手でなんとか生き残っていた。建国王赴任後に古代遺跡の情報をもたらしたのもこの大商人で、その後リベルニア王国の海運陸運をたばねる大商人となる。

・魔法の発明家
 建国王が大商人から情報を得て古代遺跡探索のために雇った異国の魔法使い。付与魔術を得意としており、遺跡の情報を元に強化石弓や無限機関などの数々の魔動器を発明し、後に大商人の支援を得て建設された魔法大学校の初代校長に就任する。

・巫女
 遺跡図書館の情報に魅入られて、訳本を生涯作り続けた本の虫。

魔法のアイテム

・強化弩弓
 金属軟化の弓手を使い弦を引くことを前提にした強化クロスボウ。素のままだとよほどの力自慢が渾身の力を振り絞らない限り弓が引けないくらいの威力を持つが、弓を弾く瞬間だけ弓を軟化させることで女性の力でも弓を弾くことができた。ソードワールド旧版で言うとクレインクインクロスボウが毎ターン発射できる感じのチート兵器。

・魔力外輪車
 車輪の前半分に重量化、後ろ半分に軽量化の魔法をかけて駆動する重量変化型第一種永久機関をエンジンとした自走式駆動車。巨大な前輪が特徴。最高速度はさほどでもないが、たくさんの貨車を引くことができた。同じ原理で魔力外輪船も作られる。

・ゼンマイ式プロペラエンジン
 巻く時に金属軟化の魔法を使うことで強力な回転力を長時間維持する特殊なゼンマイを使ったプロペラエンジン。本体には軽量化の魔法もかかっており、金属製ながら重さはほとんどない。鳥人族にこれを背負わせることで、平地での長距離滑空を可能にした。

・通信球
 従来の魔力砲台の遠視に使われていた遠見の水晶球の小型版。二つの水晶球が対になっており、両方の水晶球に魔力を注ぎ込むと送信側の水晶球に映った映像を受信側で投影することができる。小型のものほど遠くまで効果が及ぶという特徴があり、親指大の水晶球で約100kmで受信可能だった。この大きさでは映像は読み取れないが、ランプの光を遮る間隔を操作することでモールス信号通信を行った。

技術チート要素
・教育革命
→税役による留学制度、日常魔法の整備と基礎教育
→活版印刷による情報伝達

・農業革命
→パペットオークの魔法を使った農作業ノウハウの確立
→耕作、脱穀などの農機具の発明
→新種の作物の輸入

・情報革命
→インド式数学の導入
→モールス符号と遠見の水晶を使った遠隔通信システムの整備

・産業革命
→軽量化魔法による動力装置の発明
→ばね式
→トレース型人形による精密機器の製作

・軍事革命
→鳥人族による空偵察システム
→金属軟化魔法による強力弩弓兵とスカーミッシュ戦術

リベルニア建国史(仮)

リベルニアがそれまで放置されていた理由→険峻な山脈に阻まれている上、人間(というかよそ者)に対して敵対的な態度をとっている鳥人族の勢力下にあったため、道を整備して安全に山を越すことができず、海側に人が住んでいなかった。

鳥人族:知能を有して独自の言語を持っていたが、活動範囲はカルモ山脈に限られており、よほどの事情がない限りふもとまで下りてくることはなかった。部族争いに敗れた一族が地上に降りてきて、食うに困ってふもとの村で行き倒れていたところを、たまたま通りがかった当時の領主:ガター・シンナに拾われ、客人としての待遇を受ける。

コーストライン公国:中原地方との陸路を持ち、内陸部に栄えていた王国。キューキヨ、リューチ、ダイマー、ルマエの4門閥貴族が交代で公王を務める

年表

前80年頃:カルモ魔石鉱山が枯渇、事実上の閉山となる。
前42年 :魔術名門のシンナ家にて三男のガター・シンナが生まれる
前24年 :ガター・シンナが魔術師の道をあきらめ、公王騎士団に入隊
前20年 :コマガバの乱勃発、公国各地でこれに応じた小規模な内乱が多発
前21年 :フレスベルク・ハバランドが病没しフレスベルク家が断絶、カルモ廃鉱山一帯は公王直轄領となる。
前18年 :ヤーシの会戦にてガターがコマガバ一党を捕えコマガバの乱を鎮圧
前17年 :ヤーシの会戦の武勲報酬としてガーターにカルモ魔石鉱山領が与えられる
前17年 :赴任したガターはカルモ廃鉱山一帯を仕切る商人ハナードから情報を得て、カルモ山脈を踏破、ケーマイエ図書館遺跡を発見
前16年 :ケーマイエ図書館より得た情報をもとにガターの改革を開始
・魔化農機具のレンタルと引き換えに、各農村の農奴から若者数名を徴収して2年間旧鉱山町で都市労働をさせながら文字、簡易魔術を教える夫役教育制度を開始
・ハナードにアラビア数字を伝授、遠見の水晶とモールス信号を組み合わせた遠隔通信システムを構築し、公国各地にハナード商会を通じた諜報ネットワークを構成する
前15年 :はぐれ鳥人族に遭遇して保護、鳥人族について研究を開始
前14年 :ハナード出資で極秘裏に魔法機械研究所を創設。魔術を応用した土木工事や兵器などの研究を本格的に開始する
前12年 :鳥人族との交渉に成功し、カルモ山脈横断路の建設開始
前12年 :サノミヤを巫女としてケーマイエ図書館に常駐させ、写本作業開始
前11年 :コーストライン公王暗殺事件発生。公国は有力貴族に分かれた分裂内乱時代に突入
前8年  :カルモ山脈横断路開通。海岸に漁村、塩田を目的とした入植を開始する。
前3年  :ルマエ公の第一次遠征隊との防衛戦。カルモ石弓隊の初陣。なんとか撤退させることに成功。
前2年  :第二次遠征隊との防衛戦。鳥人族による空挺部隊の初陣。遠征軍を壊滅させる。
元年  :ガターによって新都市がリベルニアと命名され、独立都市国家に。初代国王に鳥人族の長を任命、フレスベルク公の名前を与える。
3年   :魔術大学校創設。ガターは初代学長に就任し、カルモは山脈横断路を守るる砦兼関所として軍事拠点化。
4年   :南洋地方(現銀匙湾)との直通航路開拓に成功、以後、リベルニアは南洋航路を主軸に海洋交易都市としての地位を盤石なものとする。

ガターについて
魔術名門のシンナ家三男として生まれたガターは、幼いころより聡明で好奇心が強く、若いころから様々な学問をおさめていた。秀才っぷりを買われシンナ家の跡継ぎ候補として魔術もおさめていたが、魔力がさほど強くなく、また家督争いに巻き込まれることを避けるため魔術師の道をあきらめて公国騎士団に入隊。
気楽な放蕩息子を決め込むつもりでいたが、騎士団入隊後しばらくしてコマガバの乱が勃発し、武家名門門閥貴族の後ろ盾もないため望まぬ戦に幾度も駆り出される羽目に陥る。
軍人としてのガターは知略に富み、コマガバの乱で奇襲奇策で幾度も劇的勝利をおさめて名を上げる。その原動力となったのは、魔術師で構成された特殊部隊で、子飼いの部下に闇視や音消しといった初歩的な魔術を仕込み、前線工作部隊を組織。また、自身もフクロウの使い魔などを駆使して戦況を把握するなど、情報戦で圧倒的優位をとり、地形を利用した奇襲をかけるという戦法を得意としていた。
当初、圧倒的な苦境で生き残るために奇策奇襲での劇的な勝利を重ねるうち、魔術師ガター、奇跡のガターなどと呼ばれ人望を集めるようになる。特に貴族階級をかさにきた言動がなく、部下を厚遇することから一般兵士の人望が高く、騎士団上層部からは疎まれるようになる。
謀殺の危険を感じたガターは情報工作を仕掛け、当時辺境の不良荘園となっていたカルモ領へ自身を左遷させるように誘導。楽隠居の地を得る。
カルモにて田舎貴族を満喫しようとしていた矢先、カルモの地商人ハナードから遺跡の情報を得て好奇心がうずき、過酷なカルモ山脈踏破を達成して遺跡を調査。異世界の英知(実はラノベ)を集めたケーマイエ図書館を発見。そこで魔王と勇者が協力して経済的に世界を改革するという物語を読み感銘を受け、まねしてガターの改革を実行する。
ガターの改革はまおゆう世界ほどに劇的な効果を及ぼさなかったが、少なくともハナードに莫大な利益をもたらした。その後、魔法機械研究所を設立して様々な技術開発を行い、そこで開発された新技術はリベルニア建国後20年以上続くコーストライン公国戦乱時代にリベルニアの独立を守る原動力となる。
リベルニア王国建国後、政治をハナードとフレスベルク公に任せて隠遁、初代の大学学長に就任し、10代のころ夢見た楽隠居を達成。齢87に老衰で亡くなるまで誰得な研究に没頭する。早い話が人生勝ち組になったヤン・ウェンリー。

サノミヤ
ガターの改革で開始した賦役制度で鉱山都市カルモを訪れる。カルモにやってきた時点で独学で文字が読めるようになっており、ガター本人の手ほどきを受けて1年余りで魔術文字も読文も習得した秀才。とにかく本を読むことに貪欲で、放っておくと寝食を忘れて本を読み続ける重度のブックワーカー。
鳥人族の協力を得て山越えで荷物を運ぶことが可能になったのを機にケーマイエ図書館に常駐し、ひたすら本を読んでは写本を作る作業を続ける。精神体であるケーマイエ図書館の司書とも意気投合し、リベルニアの重大な局面にたびたび司書からの有用な助言を伝えたことから巫女と呼ばれるようになる。外見は結月ゆかりみたいな感じ。

フレスベルク公
リベルニア初代国王。鳥人族との部族争いに敗れて山を追い出されて行き倒れていたところをガターに保護される。鳥人族の中でもとりわけ責任感が強く、聡明。部族争いで敗れこそしたものの、その能力は当時の族長に劣るものではなく、若さ故の経験の差による敗北だった。
ガターの庇護下で人間の共通語を習得。魔法機械研究所で開発された武器を見て、鳥人族は人間との共存しなければ邪魔者として滅ぼされることを悟り、ガターの依頼を受けてカルモ山脈道建設での鳥人族との交渉役として活躍。
山脈道交渉では最後まで難色を示した当時の族長を決闘で倒し、族長となることで鳥人族を納得させた。
その後も鳥人族を地上の町で暮らすように誘導し、都市建設作業を通じて人間との友好関係を構築。リベルニア建国時にフレスベルク公の名を受け継ぎ、初代国王となる。

ハナード
カルモ地域一帯を仕切っていたやり手の地商人。没落したカルモの町ではろくな収益は得られないのだが、公国から派遣される役人を通じて何とか商会を切り盛りしていた。
ガターがケーマイエ図書館からもたらした数学、情報学のメリットを即座に理解して商売に応用、莫大な利益を得ることに成功する。商人としての野心はかなり強く、海洋貿易都市建設構想を立ち上げてガターに売り込み、国政にかかわるようになる。

ガターの改革
字面はルターの改革のパロディだが、中身はまおゆうでやっていたような技術面、教育面での改革。
識字率の向上のため、農奴の中から若者を2年間都市労働に従事させつつ文字の勉強をさせ、最終的に農作業で使える木のゴーレム、土のゴーレムなどの魔法を習得させるという計画を立てたが、ガターが領主になる前のカルモ周辺の荘園では、もともと土地がやせていて収穫が少なく苦しい生活をしていたうえに、公国から派遣されてきた役人が苛烈な搾取をしており極度の貧困状態にあり、若い働き手を町に送るような余裕はなかった。
そこで、ガターはハナードを通じて中古の武器を買い集め、ケーマイエ図書館で得た情報をもとに新しい農具に改造して村にレンタルして人手不足を補い、その代金の代わりとして若者を二年間の賦役につかせるという形で人を集めることに成功。この制度により農具と農法の改革が行われ、5年で荘園の生産性を倍増させることに成功する。
ハナードにアラビア数字の概念導入を進め、魔法の水晶とモールス信号を組み合わせた遠隔情報通信技術の実験を行って見せ、資金協力を確約させる。
永久機関のアイデアをもとに、軽量化及び重量増加の魔法を組み合わせた駆動装置を発明。ふいごの動力などに活用して工業生産能力を強化。

魔法機械研究所
ハナードが中心となって作り上げたガター公認の研究所。主に魔法を応用した土木建築技術を行っていたが、極秘裏に兵器に関する研究も行っていた。
建国までの主な研究成果は移動型魔方陣による土木工事用大型ゴーレム造成技術、軟化魔法付与を用いた強力な石弓の量産、鳥人族向け魔法強化ゼンマイによる飛行補助装置の発明