林譲治『太平洋戦争のロジスティクス』日本軍の兵站補給の成功と失敗について知ることができる、優れた著作

2013年12月20日 ミリタリ, 兵站補給, 歴史 No comments

 兵站補給とは何だろう?
 本書で紹介してある、第一次世界大戦でのアメリカ海兵隊ソープ少佐の言葉がなかなか、洒落た言い回しとなっている。

『戦争を演劇にたとえれば、戦略は脚本で、戦術は役者の演技、ロジスティクスは舞台管理、舞台装置、舞台の維持である』(P18)

 太平洋戦争において、日本軍は最終的に、『舞台管理、舞台装置、舞台の維持』に失敗して敗北している。
 本書では、この日本軍の失敗が、何に帰因しているのか、について、平時における日本軍の兵站補給の体制作りから、実際の運用に至るまでを丁寧に追っている。

 本書を読んだ上での私なりの理解としては、次のようになる。

 まず、日本軍の兵站補給は、平時における法制度や組織の準備がきちんと行われており、『軽視』は当てはまらない。
 だが、平時においては日本の持つ国力の限界から、どこを優先してどこを後に回すか、という判断が成されており、兵站補給は出来るだけ、平時には小さい組織と人材で回し、戦時には必要とされる動員を行いつつを、不足分を民間人の徴用や、民間組織の利用で補うという仕組みとなっていた。

 この仕組みは、日清と日露というふたつの戦争を教訓として、それなりに当時の日本の国力としては、まともなものだった。

 それが歪み始めたのは、戦前の日本の他のこととも関係するが、中国との戦争の始まりと、その長期化である。
 日華事変の前、日本陸軍は17個師団を有していた。陸軍の兵站補給の諸制度や人員・予算も、この17個師団を戦わせることを前提として作られている。
 中国との戦争がなし崩しに拡大し、止めどころを失ってから4年。太平洋戦争の直前には、これが51個師団に3倍増している。
 そして太平洋戦争の間に、戦争末期の本土防衛の動員も含めると、120個師団が増設されている。もちろん、陸軍の臨時予算も増額されてはいるが、どう見ても兵員の増加分には達していない。
 太平洋戦争における日本の兵站補給は、まず、軍の規模の拡大に追いついていない。末期の動員になればなるほど、武器も弾も装備も何もなく、すでに30代40代になっているおっさんまでが徴兵されているわけだから「この戦争はもうだめじゃろ」と感じた国民が多くいたのは当然である。

 では、兵站補給において、まったく打つ手がなかったのか、と言われるとそうではない。
 合理的に考えれば、動員しても使えない軍隊を増やすよりは、戦線を縮小して兵站補給の負担を軽減し、その余力でもって、より機動的でアメリカにとって「いやらしい」戦い方は可能であったろう。

 実際、太平洋戦争序盤のマレー半島におけるマレー電撃戦が本書では日本の兵站補給が成功した事例として紹介されている。ここでは、日本軍は自動車化された補給部隊を重点配備した第25軍でもって、電撃戦を成功させ、その兵站補給も無事にこなしている。

 しかし、戦争の半ば以後、日本軍が主導権を失ってからは、広げすぎた戦線の整理も追いつかず、それどころか、戦局の打開がアメリカ相手には不可能となったので中国戦線での攻勢を行うようになったりと、人が負けが込んでいる時にやらかす迷走ぶりだけが目立つようになる。

 打開策のない状況に追いつめられると人間というのは、「どうせ」とか「いっそ」とかの自暴自棄な精神になりやすく、この精神状態では、ロジスティクスはうまく機能しない。

 ロジスティクスの語源は「計算術」である。兵站補給を考えるには、定量化して、数字にする必要がある。さらに言えば、数字に「従う」必要がある。ダメなものは、ダメなのである。無理なものは、どうやっても無理なのだ。出来ることにするため、数字の方をいじりはじめてはいかんのである。

 だがダメだ、無理だ、という声を人や組織が聞き入れるには、未来への展望や、希望が必要となる。
 展望や希望がないのに、ダメだ、無理だと数字を持ち出されては、「なら対案を出せ」「んなものあるかボケ」的な感じで売り言葉に買い言葉となってゆき、「お前の言うことが正しかろうが聞いてやらん」という状態になってしまう。
 数字や正論で相手をへこますだけでは意味がない。
 その上で、より良い未来を提示することが出来て、人も組織も動かせるのである。

 そういう意味ではやはり――
 アメリカもイギリスも中国も敵に回して戦争している状態で、より良い未来を提示しろ、というのは、かなり難易度が高かったようにも思う。

 著者の林譲治さんは、あとがきで、このテーマではまだまだ扱うべき題材が多くあると述べられておられる。しかし、本書は日本軍の兵站補給の組織がどのようなもので、どう動いていたかを含め、たいへん分かりやすく、網羅的に知ることができる。また、導入部で兵站補給を「地区の野球大会を開催することになった」という日常的で身近な例で例えられており、こうして点でも初心者にも分かりやすい良書である。

 兵站補給についてちょっと勉強してみようかしら、くらいの軽い気持ちでも十分に楽しめると思うので、是非、多くの人に読んでいただきたい。

アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(28)E5攻略前夜のメモ

2013年11月17日 雑記, アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌 No comments

■E5攻略艦隊を編成

●ゲージ削り時
第1艦隊/北ルート
北上(92)15.5cm三連装副砲×2+甲標的
島風(82)10cm連装高角砲×2+応急修理
足柄(84)20.3cm連装砲+15.5cm三連装副砲+三式弾+応急修理
羽黒(78)20.3cm連装砲+15.5cm三連装副砲+三式弾+応急修理
金剛(92)46cm三連装砲×2+三式弾+応急修理
比叡(82)46cm三連装砲×2+三式弾+応急修理

第2艦隊/北ルート
大井(84)15.5cm三連装副砲×2+甲標的
ヴェールヌイ(76)10cm連装高角砲×2+応急修理
摩耶(64)20.3cm連装砲+15.5cm三連装副砲+三式弾+応急修理
雪風(70)10cm連装高角砲+53cm艦首(酸素)魚雷+応急修理
榛名(84)46cm三連装砲×2+三式弾+応急修理
霧島(82)46cm三連装砲×2+三式弾+応急修理

第3艦隊/中央突破
伊8(31)甲標的
伊19(36)甲標的
伊108(66)甲標的+61cm五連装(酸素)魚雷
伊58(69)甲標的+61cm五連装(酸素)魚雷

第4艦隊/航空支援
飛鷹(70)彗星・流星のみ
隼鷹(70)彗星・流星のみ
千歳(69)彗星・流星のみ
千代田(69)彗星・流星のみ
駆逐艦×2

●決戦時
第1艦隊/北ルート
足柄(84)20.3cm連装砲+15.5cm三連装副砲+三式弾+21号電探
羽黒(78)20.3cm連装砲+15.5cm三連装副砲+三式弾+応急修理
金剛(92)46cm三連装砲×2+三式弾+応急修理
榛名(84)46cm三連装砲×2+三式弾+応急修理
北上(92)15.5cm三連装副砲×2+応急修理
大井(84)15.5cm三連装副砲×2+応急修理

第2艦隊/中央突破
大和(99)46cm三連装砲×2+三式弾+14号電探
陸奥(97)46cm三連装砲×2+三式弾+応急修理
伊勢(68)46cm三連装砲+15.5cm三連装副砲+三式弾+応急修理
日向(68)46cm三連装砲+15.5cm三連装副砲+三式弾+応急修理
扶桑(71)46cm三連装砲+41cm連装砲+三式弾+応急修理
山城(71)46cm三連装砲+41cm連装砲+三式弾+応急修理

第4艦隊/航空支援
赤城(92)彗星12型・流星改のみ
加賀(85)彗星・流星改のみ
蒼龍(75)彗星・流星改のみ
飛龍(75)彗星・流星改のみ
駆逐艦×2

■現時点での備蓄資源
燃料:103k
弾薬:104k
鋼材:91k
ボーキサイト:77k
バケツ:597

■E4攻略時の資源消費
燃料:65k(152987→87900)
弾薬:41k(144300→103111)
鋼材:45k(128358→83197)
ボーキサイト:4k(72641→68679)
ダメコン発動:3回(轟沈なし)
バケツ消費:約200

谷口克広『信長の政略』 現実的な合理主義者としての信長像

2013年10月1日 歴史, 読書感想 No comments

 織田信長という人物への評価は、なかなかに難しい。
 歴史上の人物というのは、だいたいそういうもの、と言えるが。
 いや、歴史上でないにしても、人間というものはだいたい評価が難しい。
 私の評価はどうだろう? あなたの評価はどうだろう?
 仕事の評価。人間性の評価。相手によって、見方によって、私の評価も、あなたの評価も、ずいぶんと違うのではないだろうか。

 織田信長もまた、革命家だとか、いやそんなことはないとか。尊皇だとか、朝廷とは敵対していたとか。仏教に厳しいとか、そうでもないとか。とかく、あれこれ評価が分かれている。それだけ、多くの研究家が、さまざまな切り口で信長像を見てきたせいであろう。

 ひとりの人間を、多面的に見れば、「人間だからいろいろある」となってしまうのはこれはいたしかたない。

 本書『信長の政略』は、江戸時代から現代に至る多くの信長への研究を参考にしつつ、筆者の谷口克広氏なりの信長像というものを描いている。たいへん誠実で、分かりやすい良書である。ツイッターでこの本を紹介していただいた、お菓子っ子さん( @sweets_street )に感謝したい。

 この本を読みながら、私の中では現実的な合理主義者、という信長像が浮かんできた。
 信長としては、なんといっても、現実的にならざるを得ない事情がある。
 19才で父から家督を継いだとはいっても、信長は四面楚歌の状況であった。
 まず、家督そのものを自分が継ぐか弟が継ぐかで一族や家臣が争っている。
 さらに、その家督といっても、織田弾正忠家というのは、織田家の中でも傍流である。
 父親の信秀がぶいぶい言わせていたといっても、その根拠になる家柄はたいしたことがないのだ。

 かように。尾張半国にしたところで、誰が支配するのが正しいかとか、その理由はとか考えると、曖昧模糊としていて、よくわからない。戦国時代が実力主義だとか言われても、その実力ってナニよ? 誰かが、別の誰かと実力が違うって、それ、どんな客観的な根拠があるのよ? ってなもんである。
 世の中というのは虚と実が混じり合っていて、ややこしい。

 そんな中、信長は現実に対して合理的に対処する術を身につけていった。
 合理的というのは、言い方を変えると。

・自分には、出来ることと、出来ないことがある
・出来ることの中にも、かけたコストへのリターンが見合うものと、見合わないものがある。

 こういうことではないかと思う。
 家督相続から十年。一族やらご近所やらと狭い尾張の中で戦い抜くうちに、信長の合理主義者としてのセンスは鋭く磨かれていった。
 そのひとつが、速度重視である。
 野戦を重視した機動的な戦い方は、若い頃から信長に共通している。

 その総仕上げが、桶狭間の戦いである。
 ぎりぎりまで、決戦戦力を動かさず、動かさないことによって、敵に情報を与えない。
 そして、いざ動くと決めた時には、ひたすら駆け抜ける。一日二日なら兵站にも負担がかからないから、強行軍などの無理もきく。そして、メールも携帯電話もない時代には、移動を続ける軍勢に関する十分な情報を、敵が手にすることはできない。どんな情報も、それを伝えるまでのタイムラグのせいで古くなるからだ。

 桶狭間で今川義元を討ち、尾張を、そして美濃を手に入れて十分な実力を身につけた信長は、その後は天下人への道を進む。
 天下人としての信長の行動原理は、やはり現実に対して合理的であった。
 もちろん、うまくいかなかったこともある。信長が前提とした「現実」が、情報の不足や信長の願望、予断によって曲げられていた場合は特に。
 信長なりに「現実はこうだ」と思っていても、実際には違っていれば「合理的な判断」とやらも、間違うことになる。

 しかし、おおむね信長の現実への見方は正しかった。
 信長が、中世的な因習やら制度やらをどのくらい好いていたか、嫌っていたかは分からない。しかし彼は、そういうものがある、ということについては現実的に判断した。
 自分が利益を得るために、それらを排除しようとすれば、当然、大きな抵抗がある。
 ここで信長は考える。
「そのコストは、かけるに足りるか? 否か?」
 結論は、だいたいにおいて、否、だった。
 だから信長は、自分に敵対するのでない限り、中世的な制度に手をつけることをしなかった。自分に必要でなければ、無視をして距離を取った。
 経済発展のために、座や荘園をどこでもかしこでも撤廃するのは、コストばかりかかってリターンのないことだった。だから、信長は悪影響がない限り、放置した。そのかわり、交通の便を良くする道路の普請には熱心だった。これはかけたコストに見合う投資だった。
 寺社にしても、敵対すれば戦うが、その必要がなければ放置した。
 世論に対して気を配り、悪評を気にしたのも、評判が悪くなることで生じる不利益を放置することが、合理主義者の彼には我慢ならなかったからだ。
 籠城を嫌い、すぐに決着がつく野戦を好んだのも、そのために敵よりも多くの兵力を集めることに腐心したのも、合理主義ゆえである。一か八かの賭けは、その必要があればためらわないが、必要がなければ避ける。合理主義者だから。

 そうして考えると、信長が短気で気むずかしい人間であったのもよくわかる。
 現実を直視する人間は、そこに自分の価値観とは相容れないもの、気に入らないものを山のように見てしまう。善意や悪意で現実をほしいままにねじ曲げる方が、気に入らないものは見ないですむのだ。
 しかし、若い頃に一族や家臣ですら敵に回す経験をしてきた信長には、そのように現実をねじ曲げることは望んでもできなかったに違いない。結果、彼はできるだけ現実を、不愉快であっても、自分に可能な限り直視し続けた。だんだんと気むずかしくなるのも分かろうというものである。自分の権力が増すに従って、周囲に当たり散らすことや無駄にプレッシャーをかけることも増えたに違いない。
 粛正もしたし、その反動で謀反も増えたが、信長の力は日ノ本に比類なきものになる。

「いろいろ反感も買ったが、このままいけば、天下はオレのもの」

 天正10年6月。本能寺にて。
 現実主義者で、合理主義者の信長はそんな風に現状を分析していたのではないかと思う。
 それが突然の、光秀謀反である。やはり、信長も人間である。自分で「これが現実だ」と思っていたものに、バイアスがかかっていたのだろう。

「こいつは、しょうがねえ(是非もなし)」

 自分が勘違いしていた「現実」を即座に修正した信長は、合理主義者らしく、そう言って炎の中に消えたのである。

『宇宙戦艦ヤマト2199』のSFネタ解説その5:ガミラスによる地球侵攻作戦とデスラー

2013年9月29日 雑記, 『宇宙戦艦ヤマト2199』のSFネタ解説 No comments

 宇宙戦艦ヤマト2199に出てくるギミックや台詞を元に妄想をたくましくしていくSFネタ解説シリーズの5回目。
 いよいよTV放送も最終回。今回は、ガミラスによる地球侵攻作戦についてあれこれ考えてみたい。今回はSFネタはあまりなく妄想多めであり、ちょっとデスラーに手厳しい内容となっていることを、事前におことわりしておく。

●開戦~地球側からの先制攻撃
 比較的設定のスジがすっきりしているヤマト2199において、最終回まで見てなお、大いなる疑問として私が頭をひねっているのが地球からのガミラスへの先制攻撃である。

 考えてみてほしい。
 太陽系外縁に宇宙人のものと思われる宇宙船がやってきた。こちらからの通信に反応はない。
 その状態で、よし攻撃だ! やられる前にやるのだ! というのは、論理が何段階かすっとばされている。

 相手(ガミラス)がどのくらいのテクノロジーと勢力を持っているのか、あの時点で地球側には推測する最低限の情報すらない。
 また、場所は太陽系外縁である。地球の衛星軌道に陣取られたわけではない。いきなり攻撃されたわけでもない。

 なんで? とは誰しもが思うだろう。
 とはいえ、こればっかりは情報が足りなさすぎる。
 もしかしたら、火星との内惑星戦争がトラウマになって地球政府に地球外の生命はみんなクトゥルフだくらいの宇宙恐怖症みたいなものが蔓延していて、意味もなく攘夷を始めたのかもしれない。
 あるいは、芹沢一派は、地球にすでに潜入した暗黒星団勢力(あるいはボラーかガトランティス)の手先に騙されて、ガミラスとの開戦を決意したのかもしれない。

 とにかく戦争は始まった。それもかなりなし崩しに。唐突に。
 この時点で、デスラーが地球について知っていたとは思えない。また、何らかの陰謀を企んだりもしていないだろう。

●第二次火星沖会戦~遊星爆弾攻撃に切り替え
 旧作の宇宙戦艦ヤマトでは、地球はガミラスの新たな母星になる、という設定だった。
 当時のガミラス人は「放射能が含まれる大気でないと生活できない」などの設定が与えられており、地球を放射能汚染させたのも、そこで生活するためである。
 しかし、ヤマト2199世界のガミラス人は、佐渡先生がメルダを診断した時に明らかになったように、遺伝子の99%が地球人と同じで、まずもって地球人と同根であることが分かっている。メルダやユリーシャがそうであるように、地球人とイスカンダル人とガミラス人は同じ環境でのみ生存できる。地球環境が破壊されれば、ガミラス人も暮らすことはできない。

 ヤマト2199では、それゆえに地球を新たなガミラスの母星にするという設定は消えている。第1話で環境が破壊されたことに対して森雪が「自分たちが暮らそうとしているのかも」という旨の発言をしているが、これも無視していいだろう。どう考えても、デスラーたちがあの状態の地球で暮らせるとは思えない。このへんは、冥王星基地にいたシュルツら、ザルツ人も同様である。

 では、いったいぜんたい、木星の浮遊大陸のプラントを利用してまで変えようとしたあの謎生態は何なのか?
 ガミラス人にとっても生存に適さないような奇妙な生物を蔓延させる理由はどこにあるのか?
 地球を焦土にするだけなら、単に遊星爆弾による質量攻撃だけで十分である。

 ここでシュルツが漫画版で口にしている言葉が気にかかる。
 地球へのこうした攻撃は、「総統の肝いり」なのだそうだ。
 二線級の部隊であるザルツ人旅団に任せた辺境の星への攻撃が「総統の肝いり」?
 どうもこのあたりから、デスラーは地球侵攻に何か目的を見いだしたのではないかと考えられる。

●イスカンダルからの使者~コスモリバースシステムの供与
 では、デスラーの狙いは何か?
 地球ではない。地球人でもない。
 地球は辺境の星だし、地球人のような二級臣民はガミラスの版図に大勢いる。
 であれば、デスラーの狙いはただひとつ。
 彼が愛してやまない、スターシャを手に入れることだ。
 地球はそのための釣り餌である。

 地球がガミラスとの戦争で支配された、滅ぼされた、というのであれば、スターシャ側のリアクションは「抗議」だけで終わる可能性が高い。
 支配されたザルツがそうであるように。また、反乱を起こして焼き尽くされたオルタリアがそうであろうように。
 スターシャの、イスカンダルのリアクションは、戦争であればそこで止まる。
 だが、異星生物の繁茂による環境破壊はどうだ?
 おそらく、イスカンダルには、環境破壊によって滅びようという星には、コスモリバースシステムの供与を申し出て救いの手を差し伸べるという、国法のようなものがあると思われる。かつて、ビーメラ星に、救いを差し伸べようとしたように。

 地球がガミラスに支配されることは座視できても、遊星爆弾で環境破壊されて滅びることを、イスカンダルは見過ごすことができない。そういう、ややこしくも厳密なルールがイスカンダルにはある。
 しかし、今のイスカンダルには、イスカンダル人は3人の姉妹しか残っていない。
 スターシャ、サーシャ、ユリーシャである。
 使者を送ろうとすれば、どうしても、サーシャとユリーシャを地球に送らねばならない。
 それは、とても危険なことだ。
 サーシャが火星で亡くなったように、ユリーシャもまた地球での事故(テロ?)やヤマトの航海で危険にさらされたように。

 かなりの確率で、スターシャは、3人しかいないイスカンダル人の姉妹2人を失うことになる。

 ただし、スターシャの妹がヤマトに乗っていることをデスラーが確信したのは、セレステラによる調査の後のようだ。それまでは、デスラー魚雷を使ってヤマトを沈めようとしているし、その頃はまだ、スターシャの目論見を打ち砕いて「君のやり方では、宇宙を救うことはできないと分かったろう?」と精神的に追いつめることが主な目的だったのではないかと思われる。

●ただスターシャを手に入れるためだけに
 デスラーの目的が、地球環境を破壊してスターシャを精神的に追いつめる、あるいは妹を拿捕することだとすれば、その目的は後一歩で成功するところだった。
 そして、そうやってスターシャを絶対の孤独に追い込み、彼女を救えるのは自分だけ、という状況を作り出すのがデスラーの真の狙いだったとすれば、これはもう……なんというか……愛というよりは……

 ストーカー行為である。
 宇宙レベルの、コスモストーカーだ。

 いったいぜんたい、デスラーはどこで間違ってしまったのか。
 ガミラスの指導者を伯父がやっていて、権力のない若造だった時代。その時代に、スターシャにもっと強引に迫っていればよかったのか。
 それとも、スターシャのことはすっぱり諦めて、自分を愛するセレステラの想いに答えてやればよかったのか。
 あるいは、宇宙に平和と秩序をもたらすなどと無理なことは考えず、総統府で艦これを遊んで、〈雷〉に「そうそう。もーっと私に頼っていいのよ!」と言ってもらえていれば、宇宙は平和だったのか。

 なんとなく、最後の選択肢が一番、誰も不幸にならないような気がしないでもない。
 シャアもそうしていれば良かったのに。

 それにしても、とばっちりを食らったのは、やはり地球である。
 先に攻撃したのは自分たちの方とはいえ(しかもそれを今なお隠蔽する体質は、かなりどうかと思われる。芹沢以外はまともそうな指導者が多いので、これはもしかしたら、本気で別の宇宙勢力の陰謀かもしれない)地球の生態系を無茶苦茶にされるほどの失態ではあるまい。
 (歪んだ)愛は地球を滅ぼす。
 愛、恐るべし。

アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(27) 海軍休日ふたたび

2013年9月21日 雑記, 未分類, アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌 No comments

〈大和〉を手に入れる激戦の『南方海域強襲偵察』のマップ4をクリアしてからしばらく。
 我が鎮守府では平和な日々が続いていた。

〈舞風〉「おーい、提督ー。仕事しようよー」

 あー?

〈舞風〉「ほらほら、第2艦隊も第3艦隊も第4艦隊も戻ってきたよ」

 おー。んじゃ、士気高揚艦娘はそのまま。
 士気高揚が切れちゃった艦は、待機状態の士気高揚艦娘と交代。

〈舞風〉「だから、その士気高揚艦娘がもういないんだって。ぼけーっと何日も回してるから、交代で全員、元に戻っちゃってるよ。あたしも含めて」

 そうか。じゃあしょうがないな。ウィークリー任務もそろそろこなさないと週末になっちまう。

〈舞風〉「ルーチンだなー。大丈夫? 飽きてない?」

 いやいや、楽しんでるぞ?
 私は、根っこのところが内政ゲーマーなんだ。人と遊ぶ時には攻撃的なプレイもするけど、他人と競争しない場合には、ひたすらだらける。

〈舞風〉「まあ、そうだろうね……資源の備蓄量をみれば分かるよ」

▼資源量
燃料:100k(40k)
弾薬:110k(28k)
鋼材:68k(20k)
ボーキサイト:25k(10k)
高速修理資材:500(168)
※()内は〈大和〉入手時

〈舞風〉「貯めたもんだねー」

 デイリー任務・ウィークリー任務以外は、遠征くらいしか回してなかったからな。

〈舞風〉「そのデイリー建造だって、ALL30だよね。新しい艦娘、欲しくないの?」

 欲しいのは〈長門〉と〈瑞鶴〉だからなー。
 建造で資源を使うのはもったいない。
 いずれドロップするさ。

〈舞風〉「しないよ。このところずーっと、南西諸島海域くらいしか行ってないじゃない」

 でもなー。西方も北方も、けっこう敵が強いからなー。昔は潜水艦を送って被害吸収艦にできたんだが、今は潜水艦送ると、対潜装備持った軽巡がお出迎えしちゃうからなー。

〈舞風〉「そりゃするよ! 深海棲艦だって、頭はあるんだから、対策くらい取るって」

 あるのかー? いや、頭部はあるのは分かるが、知性はあるのかな、あれ?
 ……おや、誰か来たぞ。

〈天龍〉「おいこら、いい加減にしろ、この堕落提督。いつまでぐーたらしてんだ。気がつきゃ、星が減って中将になってるぞ」

 おや、本当だ。
 仕事してないから、ランキングも落ちたか。

〈天龍〉「何すかしたこと言ってやがる。やる気ないのか、こっちは暇して……いや暇はしてないか」
〈龍田〉「遠征艦隊は、簡単な任務でも6隻編成ですものねー。軽巡2隻と駆逐艦4隻」
〈天龍〉「ああ、しかも士気高揚状態にするため、毎日のように、鎮守府近海を回ってるから経験値だけは貯まりやがる」
〈龍田〉「私も〈天龍〉ちゃんもレベル40。他の軽巡娘もレベル35~39ですものねー。忙しくてデートもできない」
〈天龍〉「ウチにいるちびっ子(駆逐艦娘)も、レベル30ばっかりだ。まあ、艦隊の底上げしてんのはいいことか」

 そうだぞー。軽巡と駆逐艦は、太平洋戦争の後は、だいたい仕事が同じような感じになってきて、現代海軍ではこの2種類がいれば、だいたいのことは片が付くようになったからなー。

〈天龍〉「うんちくはいいんだよ。でも、おかげで〈赤城〉とか完全に食っちゃ寝モードだぞ。三段飛行甲板空母どころか、そのうち三段腹空母だ」

 デイリーで演習に出してる〈大和〉もレベル70を超えて改になったしなー。
 もう、することないかなー。クッキーでも焼くかなー。

〈響〉「そんな自堕落提督に、朗報だよ」

 お、どうした〈響〉?

〈響〉「僕を70レベルまで育ててよ」

 うわ、今は何レベルだっけ?

〈暁〉「私たち、第6駆逐隊は全員42レベルよ!提督なら覚えててよね!」
〈天龍〉「俺らより高いんだよな」
〈電〉「あうあう。3-2海域をクリアするために頑張ったのです」
〈雷〉「それでね!提督!〈響〉を70レベルに育てると、改2で第二段階になるんだって!」

 なるほど……(ごそごそと鎮守府情報を見る)ふむ、ソ連艦娘になるのか。これは面白い。育ててみよう。

〈響〉「それともうひとつ。新マップで、南方海域が解放される。MO作戦で、珊瑚海とかあるみたいだよ」

〈祥鳳〉「珊瑚海!」
〈翔鶴〉「MO作戦!」

 わ、どこから沸いて出た。

〈祥鳳〉「珊瑚は嫌いですが、珊瑚海は因縁の海です!今度こそ、勝ちます!」
〈翔鶴〉「はい!ポートモレスビーを手に入れて、FS作戦を成功させましょう!」

 あー、昔の架空戦記だと、よく成功したなー。ポートモレスビー攻略。その後は、フィジー=サモア線を制圧して、オーストラリアを孤立させて単独講和したりとか。
 実際には、オーストラリアまでの兵站を維持するための輸送船が……

〈響〉「はいはい」

 最後まで喋らせてくれよ。
 まあ、いいか。よし〈響〉の育成と、艦娘の前世からの因縁を晴らすとするか。

 備蓄を取り崩せ!
 主力艦のビルジを抜け!
 〈大和〉と〈陸奥〉をたたき起こせ!

 久しぶりに、戦争らしい戦争をやってみようじゃないか!

〈雷〉「なんだか、心の底から楽しそうね」
〈響〉「内政プレイヤーとかなんとかカッコつけてるけど、提督は本当はお祭りが大好きなのさ」
〈電〉「わくわくしてきたのです!」

〈翔鶴〉「待っていて〈瑞鶴〉。ポートモレスビーまで行けば、きっとあなたにも会えるはず……」

 あ、〈翔鶴〉は留守番ね。

〈翔鶴〉「なんでですかーっ」

 レベルまだ低いからなー。今回は〈赤城〉〈加賀〉の一航戦でやる。

〈加賀〉「ここ(攻略艦隊)はゆずれません」
〈翔鶴〉「うー……でも〈瑞鶴〉来たら、五航戦で育ててくださいね?」

 というわけで、海軍休日を終え、攻勢再開であります。

アルシャードセイヴァー『ミョルニルの雷石』キャンペーンBチーム第4回『激闘、帝国東方地域』今回予告とハンドアウト

2013年9月8日 TRPG, アルシャードセイヴァー『ミョルニルの雷石』キャンペーン No comments

■今回予告
 ミッドガルド東方。
 真帝国とヤシマとの間に広がる緩衝地帯で、とある事件が起きた。
 ワームスカルの飛空戦艦と思われる船が出現し、ヤシマ特殊部隊によって撃墜され、鹵獲されたのだ。
 特殊部隊の名はヤシマ柳生・・・ヤシマにおける非合法特殊剣士部隊である。

 ワームスカルの襲撃によって負傷し、ミーティア落下物の担当を外された銀十字軍のグンター・グーデリアン少佐は、鹵獲されたワームスカルの飛空戦艦の調査と、ヤシマ側との折衝を、部下であるキミたちクーリエ隊に命じた。

 アルシャードセイヴァー
 『ミョルニルの雷石』キャンペーン
 Bチーム第4回『激闘、帝国東方地域』
 そして今、君は神話を越える。

■ハンドアウト:
================
ハンドアウトA(シャルロッテ、スルーズヴィルド推奨)
コネクション:グンター・グーデリアン 関係:庇護
 ミーティア平原での戦いで、グンターが負った傷の治療は長引いていた。どうやら、奈落病ウィルスとは別の、新型の奈落ウィルスに冒されたらしい。
 だが、グンターは病床にあってもワームスカルに対する調査を続けていた。
 今回の、ワームスカルの飛空戦艦調査は、是非とも成功させねばならない。
【クエスト:ワームスカルの飛空戦艦の調査を可能にする】
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ハンドアウトB(ヤタ、ヴェイハルトリ推奨)
コネクション:ヤシマ柳生 関係:ライバル
 帝国東方の中立地帯でワームスカルの飛空戦艦を撃墜したのは、ヤシマ柳生というヤシマの特殊部隊だという。クエスターと同等の力を、修行だけで身につけた強者だ。
 もし連中が、墜落した飛空戦艦の調査を邪魔するというのであれば、実力で排除する必要がありそうだ。
【クエスト:ヤシマ柳生と腕を競う】
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ハンドアウトC(K推奨)
コネクション:皇帝レオポルト2世 関係:主君
 キミは、帝都でセレーナ・ゴルデンバウムと再会した。皇帝陛下はヤシマとの和平条約が締結された(リプレイ『モーニングムーン』参照)今、ヤシマとの中立地帯である帝国東方での騒動を気にかけているという。
 皇帝陛下に、良き報告ができるよう、頑張ろう。
【クエスト:帝都に戻り、陛下に吉報を届ける】

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B4_map

感想その2『近代技術の日本的展開』中岡哲郎:瀬戸内海航路に出現した“先端技術”その名は焼玉エンジン

2013年8月24日 歴史 No comments

 焼玉エンジンというものがある。
 今も、いくつか実物が残っていて、ポンポンポンポンポンポンとどこかユーモラスなリズムを立ててピストンを動かす光景がyou tubeなどで見られる。
 ディーゼルエンジンなどの“普通”のエンジンに比べて、パワーは弱く効率も悪いが、単純な構造で作りやすく、素人でも簡単な訓練で確実に扱える内燃機関である。

 戦前の日本では、これが広く使われていた。
 焼玉エンジンは、当時の日本産業の身の丈にあっていたからだ。工作機械の精度が悪く、部品などの標準化ができない戦前の日本の工業界では、精緻な部品を使用する機械は、熟練工が手作業で仕上げて初めて完成する。整備もまた同様だ。工業技術が足りないところを、人の技能で補っていたのが、戦前の日本である。

 だから、焼玉エンジンのように無理をしていない“先端技術”が普及した。
 その場所のひとつが、瀬戸内海航路である。

 江戸時代、瀬戸内海は日本の物流の大動脈だった。大阪には、江戸から蝦夷から九州から四国から物が集まり、また運び出された。水運が、それを担った。
 幕末になり、日本が開国すると、外国からの大型船も瀬戸内海にやってきた。
 しかし、大阪湾は遠浅で、しかも川から大量の土砂が流れ出す。大型船が積み卸しを行う港を作るには、不向きだった。
 そこで外国航路の大型船は、神戸に向かった。ここならば、土砂の流入がなく、大型船用の港を作ることができたからだ。その後も神戸港は順調に発達を続け、アジアを代表する国際貿易港のひとつとなっている。

 一方で小型船が中心の国内航路は、浅い港でもそれなりに運航が可能だった。
 明治になってから、国内航路で運ぶ重量物のひとつに石炭が入ってくる。大阪にこの石炭を運んでいたのは、最初は帆船だった。帆船ならば遠浅の港に入ることができ、そこから艀に積み替えて堀川を利用して直接、石炭を届けることもできた。
 その後、曳船がしだいに数を増す。これは小型汽船(150トンクラス)が170トン~200トンの石炭を搭載した運搬船を数隻曳航するものである。途中の港で切り離す形で、一度に複数の目標に荷物を届けることができる。海の列車のような輸送方法である。

 そんな中に入ってきたのが、焼玉エンジンを使うポンポン船、機帆船である。
 焼玉エンジンは単純な構造のため小型のエンジンを作って、小型の船に載せることができた。
 焼玉エンジンは漁業では小さな漁船での遠洋漁業を可能にし、海運においては、島や沿岸に住む父ちゃん叔父ちゃんが家財として購入して自分で運航する「一杯船主」を生み出した。現代で言うところの個人事業主のトラック運送業のようなものである。そしてもちろん、昭和も高度成長時代にならねばトラックのような“高度技術”は高値の花だったのだ。

 技術面だけでなく、インフラ面でも焼玉エンジンを使う小型の機帆船は日本の身の丈にあっていた。
 戦後の昭和28年(1953年)時点ですら、瀬戸内海航路に汽船が横付けして岸壁荷役できる港は28港しかなかった。残りの1191の港に入って荷役が可能だったのは、機帆船なのである。立派な大型船を造ってもそれが入ることが可能な港がないのでは、宝の持ち腐れだ。

 少し高台にある私の家からは、広島湾の西側が望める。厳島との間の水道を、日々ひっきりなしに船が往来する。瀬戸内海は今も昔も交通の大動脈だ。今はほとんどがディーゼル船である。
 かつてはここを機帆船が行き交っていた。今の目では、レトロなエンジンで動く、ポンポン船。だが、それは戦前から戦後の日本にとって、誇りになり、頼りになる“先端技術”だったのである。

『近代技術の日本的展開 蘭癖大名から豊田喜一郎まで』中岡哲郎:明治からの日本の後発工業化について考えさせられる良書

2013年8月21日 歴史 No comments

 明治維新後、日本の工業化が成功したのはよく知られている。
 緻密なデータで知られるパラドックス社のゲーム『Victoria』では、文化や技術というその国が固有に持つパラメタを「書き換える(チート)」かのごとき大成功イベントとして、明治維新を扱っている。

 もちろん、結果として日本は世界史に残るほどの成果を出した。そしてそれは、欧米列強がお手本としての工業化をすでに成し遂げており、その手法を真似たからでもある。
 しかし、何もないところから成果が出たわけではない。
 すべてが、真似たいと思っていた通りにできたわけではない。

 SFでは昔から、タイムスリップ物で現代人が過去へ行き、現代(未来)の知識や情報を元に社会を変革するというお話がある。マーク・トゥエインの『アーサー王宮廷のヤンキー』や、L・スプレイグ・ディ・キャンプの『闇よ落ちるなかれ』などだ。
 21世紀の現代でも、ライトノベルでは異世界転移・転生などの形で、先進情報による社会変革が描かれた作品が書かれている。
 しかし、世の中は「先輩がうまくいってたやり方で、俺も成功したっす!」とはいかないものである。憧れの金持ち父さんになるには、成功者がやった手法を無批判に取り入れてもうまくいかないものだ。

 というわけで、日本が近代技術を取り込むに至る流れを、本書を通して自分なりにまとめてみる。誤読・勘違いがあればご寛恕いただきたい。

 古来、日本は大陸から海を渡ってやってくる文物に憧憬を抱いてきた。それは仏像や貨幣などの物だけではなく、言語も、宗教も、思想にいたるまで、日本は中国の強い影響を受け、学び続けてきた。
 欧州列強が大航海時代を迎えて、ユーラシア大陸の果てから商船が到着するほどに海上交通が発達した室町時代の後半より、そこに新しいものが加わってきた。

 木綿である。『朝鮮王朝実録』にある朝鮮側の交易記録によると15~16世紀の日本との交易においては、朝鮮からは主に木綿が輸出され、日本はその代金として銀を支払っていたとある。(村井章介『中世倭人伝』より)
 交易が統制された江戸時代になると木綿は国内での生産が中心になる。
 江戸時代半ばまでの、日本が海外から多く輸入した品が生糸である。西陣などは、ほぼ完全に中国産生糸に頼っていて、これが海外への金銀の流出につながっていた。
 その後、元禄の頃より日本国内でも生糸の生産が始まる。諸藩は財政的にきつくなっていたこともあって、風土が養蚕に向いているようであれば、藩が主導して生糸の生産を始めるようになった。余談であるが、朝日新聞で連載中の宮部みゆきさんの小説『荒神』でも生糸の殖産が物語に関わっている。

 生糸はこの後、昭和の時代まで長く日本の主力輸出品となる。その始まりは、江戸時代にあり、ここで明治を迎えるまでの一世紀、あれこれ試行錯誤を繰り返してノウハウや人材が日本全国に浸透していたことが、明治以後の大ブレイクにつながっている。
 このあたりは木綿の生産もそうで、明治のチート的な日本の工業化は何もないところから生まれたわけではなく、貿易統制をされていた江戸時代にちゃんと国内産業として発達をしたものが下地になっていることが分かる。

 だが、幕末になって国を開いたとたん、日本は容赦なく海外との品質競争にさらされることになる。ここで、日本が幕末に結んだ通商条約が不平等であったことも大きい。関税などを自由に決めることができないため、もろに品質と価格で海外製品に圧倒されてしまうのだ。このまま滅びるわけにはいかないという強い危機意識も、積極的な技術導入につながったことだろう。

 本書では、海外と日本の綿糸の品質の差について、当時の人の記録が紹介(P86~87)されていて、これが面白い。
 同じ織機で、国産の糸と輸入糸とを使って織らせてみると、音が違うのだそうだ。
 国産の糸の織機は、3秒ごとに、「パタン・・・パタン・・・パタン」。
 輸入糸の織機は、それが「パタンパタンパタン! パタンパタンパタン! パタンパタンパタン!」と3倍の速度になる。
 この違いは、海外綿糸が製糸に工夫をかけて細く長く強い糸を作り上げたことで生じたものだ。そして、そうした工夫も、自然になったのではなく、インドの優れた綿布に圧倒されたイギリスの織物業界が、国際競争に打ち勝つために知恵と金を注ぎ込んだ結果である。海外との交易が競争を生み、競争が品質の向上を促したわけである。

 開国の後、日本は一時は先行していた海外の高品質の商品に圧倒される。日本製の生糸にせよ、綿糸にせよ、海外では『安かろう悪かろう』で今ひとつ評判がよろしくない。
 そこで、国が主導して海外から成功事例を導入しようとしたわけであるが、これは直接的にはうまくいかないことが多かったようだ。
 富岡製糸工場など官営の工場は、海外から技術者や機械を導入して『成功した』『実績のある』ものを取り入れようとしたが、それは当時の日本においては高コストになりすぎ、利益よりも維持費が高い、というものになっていた。このあたりは、八幡製鉄所の建設においても言えることで、自分にノウハウの蓄積がないものを取り入れると、うまくいっている時にはいいのだが、何かトラブルがあった時に解決できずに詰まる、ということになる。タイムスリップした時や、異世界に転移した時のために覚えておきたい。

 鉄道もまた製糸業と深い関係がある。明治13年に政府主導から民間資本導入へと切り替わってから、上野~前橋など、北関東に向けて鉄道が延びていく。北関東は江戸時代から生糸の産地であり、これが前述した海外からの技術導入によって発展しているところへ、輸送インフラである鉄道がやってきたのだ。建設着工から1年。上野から60kmの熊谷まででもう、沿線が活況を呈し、前橋まで到達するや北関東全体の経済を押し上げた日本鉄道株式会社とは、ずいぶんと違う。以後、まるでPCゲーム『A列車』のごとく、両者ががっちりと噛み合って、日本の産業は驚くべき持続的発展を遂げ始める。
 ちなみに、この逆が本書ではメキシコ鉄道の例としてあげられている。首都で大産業地帯であるメキシコシティと、海外との交易を行うベラクルス港の間、400kmは人も産業もほとんど存在しないこの鉄道は、まったく国内経済を活性化しなかったというのだ。

 経済発展なくして技術発展は定着しない。自分の金になるから、人は頑張るのである。

 ここまでがだいたい本書の前半を読んでのまとめである。本書の後半、二度の世界大戦と戦後の発展については、また機会があればまとめてみたい。

アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(26)/『南方海域強襲偵察』マップ4クリア

2013年8月14日 未分類 No comments

アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(26)/『南方海域強襲偵察』マップ4クリア

 期間限定海域『南方海域強襲偵察』のマップ4をクリアした。

●E-4「敵大型超弩級戦艦を叩け!」:“幸運”を掴むまでサイコロを振り続けろ!

 イベントマップ4は、イベントマップ2や3と違い、シンプルな構造となっている。
 攻略艦隊に駆逐艦2隻さえ入れておけば、南方の補給艦隊ルートを通って、必ずボス戦までたどりつく。羅針盤はあるが、荒ぶることはない。実質、一本道である。

 しかし、そこにたどりつくまでが、大変だ。
 最初の二連戦では深海棲艦の〈装甲空母姫〉が、flagship戦艦やflagship空母を引き連れてお出迎えである。
 成長限界まで近代化改修したレベル90の〈陸奥〉ですら、相手がflagship戦艦や空母では、クリティカル一発で中破である。装甲の薄い高速戦艦〈金剛〉や、雷撃能力に特化したハイパー〈北上〉様などは一発大破もある。駆逐艦娘や空母であれば言うまでもない。

 この敵のクリティカルについてはもはや、確実な回避方法はない。〈島風〉に2個のタービンを増設して回避が100を超えても、当たる時は当たるのである。
 そして、敵の攻撃がクリティカルで命中すれば、それ以上の進撃はできない。諦めて、再度チャレンジするしかないのだ。

 そうやって、3回に2回くらいの割合で撤退を選びつつ、なんとかボスの南方棲戦姫いる最深部まで到達したとしよう。
 この時の敵編成は2パターンある。

パターンA:絶望
 〈南方棲戦姫〉flagship
 〈戦艦タ級〉flagship
 〈戦艦タ級〉flagship
 〈護衛要塞〉flagship
 〈護衛要塞〉flagship
 〈護衛要塞〉flagship

パターンB:希望
 〈南方棲戦姫〉flagship
 〈護衛要塞〉flagship
 〈護衛要塞〉flagship
 〈護衛要塞〉flagship
 〈護衛要塞〉flagship
 〈護衛要塞〉flagship

 ここでもflagship〈戦艦タ級〉が登場することが半分くらいの確率である。
 こうなったら、よほどの幸運が重ならない限り、〈南方棲戦姫〉を沈めることはできない。攻撃が分散するのもさることながら、〈戦艦タ級〉の砲撃×4回によって、こちらの艦娘の多くが損傷をこうむり、攻撃力が低下してしまうからだ。

 この難関に挑むは、我が鎮守府の精鋭である。

▼第1攻略艦隊
・CV〈赤城〉Lv81 彩雲10機、烈風40機、流星改32機
・BB〈陸奥〉Lv91 応急修理女神、46cm砲、91式徹甲弾、33号電探
・BB〈金剛〉Lv77 応急修理要員、46cm砲、21号電探、15.5cm三連装副砲
・DD〈島風〉Lv67 応急修理要員、61cm四連装酸素魚雷、10cm連装高角砲
・DD〈雪風〉Lv49 応急修理要員、61cm四連装酸素魚雷、10cm連装高角砲
・TC〈北上〉Lv60 応急修理要員、61cm五連装酸素魚雷、甲標的
消費燃料:260 消費弾薬:411

 ハイパー化した雷巡〈北上〉改2が艦隊に編成されているのは、先行雷撃への期待からである。砲撃戦が始まる前に敵の数を1隻でも減らす(あるいは損傷を与えてダメージを減少させる)のは、今回のような敵の攻撃が当たるかどうかが確率問題になっている戦いでは特に重要である。
 〈北上〉が加わったので、E3攻略艦隊に比べて空母が〈赤城〉1隻だけになっている。敵には〈装甲空母姫〉や〈空母ヲ級〉flagshipがいるので、制空権を一方的に奪われないよう、戦闘機を増やして運用している。

 攻略艦隊を支援する艦隊は2つ。

▼第2航空支援艦隊
・CVL〈千代田〉航改Lv58
・CVL〈千歳〉航改Lv56
・CVL〈飛鷹〉Lv54
・CVL〈隼鷹〉Lv54
・DD×2
「前衛支援任務」を担当
消費燃料:108 消費弾薬:84

▼第3砲撃支援艦隊
・BBV〈扶桑〉Lv62
・BBV〈山城〉Lv57
・BBV〈伊勢〉Lv55
・BBV〈日向〉Lv52
・DD×2
「艦隊決戦支援任務」を担当
消費燃料:208 消費弾薬:368

 ボス戦まで行えば、1回の出撃で燃料576、弾薬863が吹っ飛ぶ計算である。いざ挑んでみると、序盤の〈装甲空母姫〉相手の2連戦で、3回のうち2回くらい引き返す羽目になったが。引き返した場合でも支援艦隊の燃料と弾薬は消えていく。コストパフォーマンスを考えればE4攻略は避けた方が無難だろう。
 また、強力な敵の攻撃にさらされるので、戻ってきた時には艦隊はたいていボロボロ。
 小破、中破はまだマシな方で、大破が半数の3隻などということもある。
 当然、これだけのレベルが上がった艦隊は、駆逐艦であっても2時間、3時間とドック入りしてしまうので、高速修理資材が不可欠だ。

 さて、それではこれらの燃料・弾薬、各種資材の備蓄はどうであったかというと。

▼資材消費・経過時間・出撃回数
燃料:62k→40k(約22000消費)
弾薬:50k→28k(約22000消費)
鋼材:32k→20k(約12000消費)
ボーキサイト:20k→10k(約10000消費)
高速修理資材:315→168(147個消費)
時間:20時間
出撃:30回前後

 今回も、攻略に必要とされる2倍の資材を用意する、アメリカ海軍プレイである。
 艦これまとめサイトを見ると、潜水艦による敵ボス削りプレイというのもE4攻略の選択肢のようだが、私はあえて資源を浪費する正面押しで攻略を試みた。

 攻略を開始してみると、まさに地獄。まさに鉄底海峡(アイアンボトム・サウンド)。
 とにかくマップ入ってすぐの〈装甲空母姫〉2連戦が抜けない。

「〈金剛〉大破ーっ!」 戻れ、戻れ。
「〈雪風〉大破ーっ!」 急ぎ帰還せよ。
「〈赤城〉大破ーっ!」 あ、旗艦はかまわんから突っ込め。

 駆逐艦が大破するのはしょうがないが、〈金剛〉でも一発大破があるのがflagship〈戦艦タ級〉の恐ろしさである。
 そして、ボス戦に到達した時のflagship〈戦艦タ級〉2隻の絶望感といったら……一度だけ、その状態で夜戦に持ち込んで〈南方棲戦姫〉を沈めたことがあるが、これはもう、偶然のなせる技である。
 途中までは大破したら引き返す、という作戦方針を貫いたが、ボス戦においては、敵の残りがボスを含む1隻か2隻で、ダメージを与えられる可能性があれば、積極的に夜戦に持ち込んでいる。

「〈島風〉轟沈っ!」
「応急修理要員、急げっ!」
「〈島風〉耐久力7まで回復!」

 夜戦での〈南方棲戦姫〉の砲撃で、一度だけこのような出来事があったが、艦娘の轟沈からLOSTという最悪の展開だけは避けることができた。

 途中、連続して3回出撃が空振りし、4回目にしてボスまで到達したものの砲撃支援が来ないこともあった。遠征の支援艦隊が間に合わなかったのである。この時に思わず天を仰いで、無駄に終わったこの4回の燃料と弾薬について慨嘆したものだ。

 そして、その次の出撃の時。
 運悪く南ルートの輸送艦隊との戦いで〈雪風〉が大破した。他の艦の損傷は軽微である。
 どうする? 私は、しばらく悩んだ。
 画面上のマウスカーソルが、『進撃』と『撤退』の間で小刻みに震える。
 応急修理要員は〈雪風〉にも搭載してある。1発なら、耐えられる。
 しかし、ボス戦は、夜戦をやらなくとも空襲、砲撃戦×2回、そして雷撃と4回の攻撃にさらされることになる。〈戦艦タ級〉が出現して撃ちまくってきたら、どうなる?

 結局、私は『撤退』のボタンを押した。

 冷静になって考えてみれば、これは悩む問題ではない。5回連続で出撃が無駄に終わっても、修理と補給を済ませて、6回目の出撃をすれば良いのである。
 しかし、5回連続でハズレ(正しくは5回目は支援がなかっただけで、削ってはいる)を引いたことが、私から冷静な思考を奪っていた。

 人間は、簡単に感情に支配される。連続した敗北や無駄に終わった作業は、人を焦らせる。焦った人は、ミスをする。
 実際に人生も命もかかってない、ただのゲームですら、こうである。
 アメリカ海軍という、強力で時間が経てば経つほど手に負えなくなる敵を相手にして、敗北必至の戦いに自分と仲間の運命を賭けていた日本海軍の人たちが、往々にして感情に支配され、冷静な思考を奪われたのも、こうしてみれば、よく分かるのだ。

 もちろん、理性を失った結果としての失敗については、免罪する必要はない。
 希望的観測に目を曇らされて、不利な情報から目をそらして、避けられるはずだった損害を増やしたことも、責めを負うべきことであろう。

 だが、失敗した人の弱さ愚かさをあげつらうことには、私は賛同できない。
 罪を憎んで、人を憎まず。理想ではあろうが、その理想を捨てざるを得ない緊急時以外には、まず理想を大事にして良いと思うからだ。

▼成果
戦艦〈大和〉
軽空母〈瑞鳳〉
重巡洋艦〈熊野〉
軽巡洋艦〈鬼怒〉
潜水艦〈伊58〉

 E4マップは、攻略に回数をこなしただけあって、多くの艦娘が艦隊に加わった。
 彼女らの育成をしつつ、しばらくはまた遠征任務中心の海軍休日を楽しみたい。

アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(25)

2013年8月7日 未分類 No comments

■『南方海域強襲偵察』マップ3クリア

 期間限定海域『南方海域強襲偵察』のマップ3をクリアした。

●E-3「敵集結地を強襲せよ」:航路上に立ちふさがるフラッグ戦艦とフラッグ空母
 イベントマップ3は、実質的なクライマックスと運営が宣言しただけあって、マップ2に比べて格段に手強い海域であった。
 特に、航路上に立ちふさがるフラッグ空母とフラッグ戦艦は、クリティカルで命中すれば、改造済みの〈長門〉型戦艦であろうが一発でごっそりhpをもっていく難敵である。
 この難関に対しては、こちらも十分な準備を整えて立ち向かうしかない。
 まず、燃料と弾薬は、5万、3万をそれぞれ用意した。
 鋼材とボーキサイトは、2万3千と、1万8千。高速修復材も260個。

 今回のクリア目標は、米国海軍プレイである。
 艦これの提督の間では、課金によって資源やアイテムを確保して遊ぶやり方を、米帝プレイと呼んでいるが、アメリカ海軍はどちらかというと「足りなくなったら増やす」ではなく、「足りなくならないように用意する」戦い方をしている。

 実際に消費するかどうかは別として、必要量よりも多めの量が常に前線に到着し続けるように、兵站システムを整えて戦いに望むのである。

 当然、このやり方には「無駄」が多い。

 何しろ、使わない燃料、弾薬、資材を前線に送り続けるのだ。硫黄島の戦いでは、戦いが終わった後も大量の武器弾薬が余ったものだが、回収する価値がない、と判断したものは、どんどら穴ほって爆破して埋めている。必要なものをジャストタイムで必要量だけ届けるトヨタのカンバン方式とは違って、無駄だらけのこのやり方は、洗練された美しさはないが、戦争のように何が起きるか分からない状況では強みを発揮する。

 思わぬトラブルが生じた時、この方法ならば、余裕をもって対処できるのだ。
 質が同じなら、戦争で強いのは「無駄」と「犠牲」を許容できる軍と国家だ。

▼資材消費・所要時間・出撃回数
燃料:51k→40k(約11000消費
弾薬:34k→25k(約9000消費
鋼材:23k→19k(約4000消費
ボーキサイト:18k→14k(約4000消費
高速修理資材:261→210(51+α個消費
時間:7時間
出撃:18回前後

 序盤にフラッグ空母のクリティカルや、荒ぶる羅針盤によって栗田ターンを繰り返したため、思っていたよりは時間も資材もかかってしまったが、目標であるアメリカ海軍プレイはできたように思う。
 ようは、相手が泣いて謝るまで殴り続けるのをやめなければいいのだ。英国紳士の戦い方は、まったくもってエレガントである。

▼第1攻略艦隊
・CV〈赤城〉Lv80 彩雲、烈風、流星改、彗星
・CV〈加賀〉Lv66 応急修理要員、烈風、流星、彗星
・BB〈陸奥〉Lv88 応急修理女神、46cm砲、91式徹甲弾、33号電探
・BB〈金剛〉Lv77 応急修理女神、46cm砲、21号電探、15.5cm三連装副砲
・DD〈島風〉Lv65 応急修理要員、61cm四連装酸素魚雷、10cm連装高角砲
・DD〈雪風〉Lv40 応急修理要員、61cm四連装酸素魚雷、10cm連装高角砲
消費燃料:292 消費弾薬:330

 アメリカ海軍プレイなので、旗艦以外にはダメコン要員を搭載した。そのおかげで、ボス前で中破でもためらわずに前進を続けることができた。なお、お守りがわりになったのか、ダメコン要員を実際に使用することはなかった。

▼第2航空支援艦隊
・CVL〈千代田〉航改Lv57
・CVL〈千歳〉航改Lv55
・CVL〈飛鷹〉Lv52
・CVL〈隼鷹〉Lv53
・DD×2
消費燃料:108 消費弾薬:84

 「前衛支援任務」では、軽空母4隻を送り出した。一度も支援してくれなかったことがあり、マップ1-1で士気高揚状態にしてから支援を行わせたところ、そこそこの活躍をみせてくれた。ただし、潜水艦相手には1度もダメージを与えることができなかった。

▼第3砲撃支援艦隊
・BBV〈扶桑〉Lv61
・BBV〈山城〉Lv56
・BBV〈伊勢〉Lv54
・BBV〈日向〉Lv50
・DD×2
消費燃料:208 消費弾薬:368

 「艦隊決戦支援任務」では、航空戦艦4隻を送り出した。攻略艦隊がボスにまでたどりつけなくても、砲撃支援艦隊は燃料と弾薬を消費する。しかし、無駄を恐れてはアメリカ海軍プレイはできない。それに、実際に支援があった場合の効果は、やはり大きかった。相手の耐久力をこれで削った結果、砲撃戦2巡目ではなく1巡目で敵艦隊の何隻かを沈めることができれば、味方の受ける被害はずいぶんと少なくなるのだ。

 苦労はしたものの、イベントマップ3はクリアし、ドロップ艦である重巡〈鈴谷〉も獲得した。
 最大の難関であるイベントマップ4には……〈大和〉が待っている。
 果たしてここに挑むべきかどうか。じっくりと考えてみたい。
 悩むのも、このゲームの楽しみのひとつであろうから。