リジットの婿取り(『翠星のガルガンティア』二次創作)

2013年7月4日 小説, 翠星のガルガンティア No comments

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 アニメ『翠星のガルガンティア』最終回を見た後、ツイッター上で流れてきた、「リジットはこのままでは行かず後家になるのでは?」というつぶやきを元に、あれこれと妄想してみました。
 時間軸的には第13話のエンディング後、しばらくして、です。
 私は、ベベル×リジットのカップリングを強く推奨するものであります。
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『ガルガンティア後日談:リジットの婿取り』

 しつこく食い下がるクラウンを振り切るようにしてリジットが逃げ込んだ部屋には、先客がいた。
「リジットさん?」
 車椅子に座って古い書物をめくっていたのは、エイミーの弟のベベルである。
「ベベル? 何してるの、こんなところで?」
「それは僕の台詞ですよ。ここに置いてあるのは、古い時代の書物です。リジットさんのお仕事に関係しそうなものは、何もないと思うんですけど」
「それは……」
 なんとなく事実を言いづらく、リジットは眼鏡を直すふりをして時間を稼ごうとした。
 ばさり。その拍子に胸元に抱いていた書類に挟んでいた紙の束が床に落ちる。クラウンから逃げる時に適当に挟んでいたのが災いしたのだ。さらに間の悪いことに、落ちたのはベベルの目の前の床だった。
 ベベルが白い手を伸ばして、写真を拾い上げる。
「これは、男の人の写真……ウォームさんに、こっちはジョーさん?なんで礼装した皆さんの写真をわざわざ……」
 はっ、と何かに気づいたベベルが顔を上げてリジットを見る。
 かあああっ。リジットの顔が真っ赤になった。
 そのまま、ベベルは何も口にせず、リジットに落ちた写真を渡した。
「……」
「……」
 互いに沈黙が続く。
 ベベルは利発な上、優しい子だ。
 リジットが持っていた写真が何なのか。
 リジットがなぜ、この部屋に駆け込んできたのか。
 すべてを察した上で、沈黙してくれている。
 しかし、その優しさはリジットにとっては居心地が悪かった。そして、ベベルが用意してくれた、この時点で最上の選択肢である、何もなかったかのように部屋を出ていくことが、なぜか出来なかった。
「そうよ。お見合い写真よ」
 はぁっ、とため息をついてリジットは告白した。ベベルがくすり、と笑う。
「クラウンさんに、押しつけられたんですね」
「まあね」
 リジットは思う。本当にこの子はよく頭が回る。それに昔に比べてずいぶんと健康になった。レドが引き揚げた古代文明の遺産からいくつかの医療技術が再発見されたおかげだ。次世代の五賢人としての教育も、オルダム先生から受けている。
「仕方ないですよ。今やガルガンティア船団は、船団連絡会議の議長を務めるほどの大船団。その船団長が、いつまでも独身では、みんなやきもきしちゃいます」
 ベベルの表現はかなりオブラートに包まれている。古代技術を復元しつつあるガルガンティア船団の船団長であるリジットに外部から近づく男は、そこに権力と富の匂いをかぎつけた山師(サルベージャー)のような連中ばかりだ。
「まあね。クラウンが薦める縁談も、そのあたりを配慮してくれて、身内の中から選んでいるわ。後は古くから付き合いのある船団の船主とか。ありがたくは、あるのよね」
「でも、選びきれないんですね」
「ええ、そう。必要に迫られて義務で相手を選んでも、良い結果になるとは思えないのよ」
「どなたか、心に決めた方はおられないのですか」
「……いないわ」
 わずかに胸をよぎったのは、今は遠い人の面影。それは子供の頃には淡い初恋であり、長じてからは、深い尊敬と信頼へと変わっていった男の顔だった。
「いないわ」
 リジットはもう一度、自分に言い聞かせるように言った。
 あの人が生きていた時ですら、それは恋とか結婚とかとは無縁の感情だった。
 それでも、こういう時に最初に思い出してしまうのは、なぜなのだろう。
「リジットさんには、もう少し、時間が必要なのだと思います」
 ベベルは静かな口調で言った。
「船団長になったばっかりなのに、結婚でまで悩まれては大変です。オルダム先生とも相談して、周囲がうるさく結婚を勧めないようにできないか、考えてみます」
 表情にも、声にも、冗談めかした様子はない。
 ベベルは本気でそうするつもりなのだ。
「ありがとう、ベベル」
 リジットはベベルの頭に手をのばして、頭を撫でた。潮風に傷んでいないさらさらの髪の毛。ちょっとうらやましい。
 ベベルが、くすぐったそうに笑う。そういうところは、年相応の少年の笑顔だった。
「そうね、時間があれば……もうちょっと、成長する時間が」
 あんなにも、無表情で堅苦しかったレドが変化したように。
 あんなにも、お調子者で自分勝手だったピニオンが……そこはそのまま、人間として成長……してるはず。たぶん。きっと。
「私にも、時間が欲しいわ」
「はい、僕も時間が欲しいです」
「え?」
 リジットは、どきり、とする。まさか? いや、そんなはずは――そこまで考えて、ああ、とリジットは気づいた。ベベルは、これまでずっと、自分にあまり時間がない、と意識しつつ生きてきたのだ。
「そうね。あなたにもっと時間があげられるよう、私も頑張るわ」
「はい、一緒に頑張りましょう」
 ベベルが手を伸ばし、リジットはその手を握った。

(ひとまず、おしまい)

アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(17)

2013年7月4日 雑記, アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌 No comments ,

  • 新型艦娘、大募集

 キス島撤退作戦(3-2)をクリアしたことで、3-3へと行けるようになったが、そろそろ、先に進むよりは新しい艦娘をゲットしたいものである。

▼優先度「高」:戦艦〈長門〉〈陸奥〉
 〈長門〉と〈陸奥〉は言うまでもなく、世界のビッグ7である。
 〈大和〉〈武蔵〉が建造されるまでは長く連合艦隊の旗艦は〈長門〉が務め、国民の間の知名度は高かった。
 この2艦を望む最大の理由は、貫通力の不足を感じることが多くなったからである。
 艦これにおいては、砲撃戦に内部でいろいろ処理をしているっぽく、当たってもダメージがろくに通らない場合と、コレは弾薬庫を誘爆したろ、と思われる大ダメージが出る場合がある。
 この時代の戦艦というのは、実に堅牢に作ってあると同時に、どうしても脆いところが残されている。というのも、巨大な艦のすべてを分厚い装甲で覆うわけには、いかないからだ。あまりに重くなりすぎてしまう。
 そこで、守らねばならない部分を堅牢に作り、そうでないところは壊れても問題ないような設計にする。いわゆるバイタルパート(VitalPart=重要区画)という概念である。
 主砲や艦橋、機関などをバイタルパートとして装甲で囲めば、一発や二発、直撃を受けても戦闘力は低下しない、という設計思想である。
 しかし、古い戦艦には、このバイタルパートの設計に欠陥があった。高速戦艦の〈金剛〉型も、超弩級戦艦である〈扶桑〉型〈伊勢〉型も同様の欠陥がある。

〈金剛〉「それはもしかして、改装工事で強化されたところデスカ?」

 その通り。甲板部分の装甲だ。

〈金剛〉「Oh…確かに、上からの攻撃には弱いデス」
〈扶桑〉「私もそうですわね。上から責められると、ちょっと・・・」
〈伊勢〉「私と〈日向〉は、装甲をちょっと増量してみたけど、やっぱり甲板は薄いね」

 こうなったのは、キミたちの基本設計が、第一次世界大戦の経験が得られる前だったことに起因する。

〈金剛〉「第一次世界大戦の経験というと……ドッカーバンク海戦や、ユトランド沖海戦デスネ」

 そう。戦艦の砲撃力が向上した結果、砲戦距離は日露戦争の日本海海戦よりもさらに伸び、1万mを超える遠距離砲戦となった。こうなると、砲弾は艦の側面ではなく、上面に集中して命中するようになる。
 それまでのバイタルパートは、側面から命中する前提で作られていたので、上と下は死角だったのだな。

〈伊勢〉「後は弾薬庫が誘爆するとまずいんだよな。火災とかでさ」

 内側からの爆発だからね。外側がいかに堅牢でも、中で誘爆したのではひとたまりもない。そういうこともあって、第一次世界大戦以後の戦艦はやたらめたら頑丈に進化していくんだけど、そこで海軍休日(1922~1936年)が発生して、古い戦艦を代替わりできなくなっちゃった。

 海軍休日前の最後の戦艦である〈長門〉(1920年竣工)と〈陸奥〉(1921年竣工)は、だから〈大和〉が竣工する1941年まで20年もの間、最新鋭戦艦であり続けたんだ。
 艦これでは〈大和〉〈武蔵〉がまだ登場していないから、〈長門〉〈陸奥〉が砲力でも防御力でもトップクラス。敵の深海棲艦の戦艦が頑丈になってきたから、これからの戦いではこの2隻がどうしても欲しい。

〈金剛〉「ヘー」
〈扶桑〉「そう……ですか……」
〈伊勢〉「ま、いいけどさー。若い子の方がいいのは男の性ってね」

 あ、いや、もちろん皆さんにも頑張っていただきますよ!

▼優先度「中」:空母〈飛龍〉〈瑞鶴〉
 〈蒼龍〉がいて、〈飛龍〉がおらず。
 〈翔鶴〉がいて、〈瑞鶴〉がいない。
 なんとなく、バランスを欠いている感じがするので、この2隻の相方である空母にも、来ていただきたい。
 戦力的には、まあ、いなくても問題なく回るのであるが。

▼優先度「中」:軽空母〈瑞鳳〉
 軽空母〈祥鳳〉の相方である。
 戦力として見た場合、燃料と弾薬の消費が激しい正規空母よりも、軽空母の方がいろいろと扱いやすい点も大きい。特に我が艦隊の〈祥鳳〉は最初の空母ということもあって、レベルも一番高く、ここぞというところで頼りになる。〈瑞鳳〉にもぜひ頑張っていただきたい。

▼優先度「低」:駆逐艦〈雪風〉
 気が付けば、駆逐艦必須のマップ3-2「キス島撤退作戦」も終了した。〈雪風〉の必要性は下がったが、なんといっても幸運艦である。いつかは出会いたいものだ。

▼優先度「低」:軽巡〈鬼怒〉〈阿武隈〉
 このあたりになると、現状ではコレクションを揃え、図鑑を埋めることが主目的になる。

 ところで、将来は外国艦艇が参加する可能性もあるということであるが、WW2で日本の同盟国だったドイツ海軍の艦艇は〈ビスマルク〉〈ティルピッツ〉をはじめ、元は男性の政治家や軍人の名前を冠している艦が多い。ここはやはり、艦娘ならぬ艦漢(かんかん)として、男の子でやっていただくというのはどうだろうか。
 そしてもちろん、そう、中破した時には……(ろくろを回す仕草)

アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(16)

2013年7月3日 アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌 No comments

●キス島撤退作戦
 北方海域のマップ2「キス島撤退作戦」は、ちょっと特殊なマップである。
 駆逐艦のみで編成された艦隊だけが、敵ボスのいるエリアまで進撃でき、駆逐艦以外を含む艦隊は、皆、別のエリアに向かわされるのだ。

〈赤城〉「でも、レベルアップにはいいですよね、このルート」

 それには同意。最初のエリアは重巡洋艦を含む前衛艦隊で、これを突破した後は、必ず空母機動部隊との戦いになる。何と戦うかあらかじめ分かっていれば、艦隊編成にも余裕ができるし、そこにレベルアップしたい艦艇を混ぜることができる。

〈千代田〉「あたしとお姉も、ここでレベルアップしたのよねー」
〈千歳〉「最初の敵は空母がいないから、爆撃機と攻撃機だけ積み込んで戦えるものね」

 だが、先のマップにススムためには、駆逐艦の育成も合わせて行わねばならない。
 狙いをつけたのが、第6駆逐隊の艦娘たちである。

〈暁〉「やっと前線ね!ずっと遠征任務で飽き飽きしちゃったわ」
〈響〉「〈暁〉、縁の下の力持ちというのは大事な仕事だよ」
〈雷〉「せっかくの前線任務が、北にある霧の海っていうのは、残念だけどね」
〈電〉「でもでも、私達のレベルでも、突破できるのですか?」

 ずっと遠征を続けてたこともあってレベルは20オーバー。改造はしたが、確かにまだまだ危なっかしいよな。
 皆をまとめてレベルアップしようにも、実戦では危険が多い……よし。

 作戦発動を決めてから、第6駆逐隊は演習任務から外れ、第1駆逐艦隊に編成された。
 旗艦は〈島風〉である。

〈島風〉「みんな〈島風〉についてくれば大丈夫だからね!」

 ついてこれねえよ。
 残る1隻の枠は、その時点でもっともレベルが高かった〈時雨〉となった。

〈時雨〉「光栄だね。僕の出来る限りをしよう。約束する」

 この6隻で向かうのは実戦ではなく演習である。
 演習では、どれだけダメージを受けても、実際に被害は被らない。
 また、敵艦隊のレベル平均が経験値算出に使われるので、強い敵と戦ってボロ負けしても、経験値がしっかり入ってくる。
 というわけで、気にせずどんどん行け。

〈暁〉「そうは言うけど提督……相手には〈長門〉さんとか〈陸奥〉さんとか……」
〈響〉「いや、その2隻のレベルは低い。編入したばかりなんだろう。主力は90レベルの〈赤城〉〈加賀〉さんだね」
〈雷〉「冷静に分析しないでよ!それって空襲でやられちゃうってことじゃない」
〈電〉「あうあう……とても勝ち目がないのです」

 勝たなくていい。だからいってこい。

〈時雨〉「うん。行ってくるよ、提督」
〈電〉「〈時雨〉ちゃんは、怖くないのですか?」
〈時雨〉「怖いか怖くないかで言えば、怖いよ。でもね……あの時ほどは、怖くない」
〈雷〉「何よ、あの時って……あ、そうか」
〈電〉「スリガオ沖夜戦の時、なのですね」
〈時雨〉「狭い海峡の中、そこら中が敵だらけだった。〈扶桑〉も〈山城〉も、みんな勇敢に戦ったよ。でもね、その勇敢さは何の役にも立たなかった。僕たちは一矢を報いることもできず、全滅した」

 ぎゅっと。〈時雨〉は小さな拳を握りしめる。

〈時雨〉「僕はあの戦いを、共に戦った人を誇りに思う。そして、誇りだけでは勝てないことも知っている。あの時の僕たちは弱かった。弱ければ、勝てないんだ。僕は誇りを胸に抱いたまま、弱さを克服したい。それが今、僕たちがここで戦っている理由だと思うから」
〈雷〉「うん、私もその通りだと思うわ」
〈電〉「あんな悔しい思いは、もう嫌なのです」
〈響〉「今度こそ、勝利を暁の水平線に刻もう」
〈暁〉「わ、分かったわよ!私だって、ちゃんとやれるんだから!」

 演習を繰り返してレベルをあげた第1駆逐艦隊は次の陣容となった。

〈島風〉改 Lv52 61cm四連装酸素魚雷、10cm連装高角砲、強化型艦本式缶
〈暁〉改 Lv34 61cm四連装酸素魚雷、12.7cm連装砲、10cm連装高角砲
〈響〉改 Lv34 61cm四連装酸素魚雷、12.7cm連装砲、10cm連装高角砲
〈雷〉改 Lv35 61cm四連装酸素魚雷、12.7cm連装砲、10cm連装高角砲
〈電〉改 Lv35 61cm四連装酸素魚雷、12.7cm連装砲、10cm連装高角砲
〈時雨〉改 Lv32 61cm四連装酸素魚雷、12.7cm連装砲、10cm連装高角砲

 駆逐艦の中では別次元の強さを誇る〈島風〉には、さらに強化型艦本式缶を装備してもらって、回避88である。敵艦に〈島風〉を狙ってもらい、〈島風〉がそれを避けまくるというのが理想だ。
 残りの駆逐艦も、近代化改修で装甲や火力を限界まで上げてある。
 相手が重巡であっても、そうそうひけはとらない。
 が、相手が戦艦、それもエリート艦となれば話は別だ。
 戦艦の2回の砲撃が命中すれば、2隻の艦が中破か大破となる。

〈響〉「くっ……やられた……」
〈暁〉「〈響〉が被弾したわ!」
〈雷〉「きゃあーっ!」
〈電〉「〈雷〉ちゃん、しっかりするのです!」
〈島風〉「もう! そっち狙っちゃダメなのに! どうして〈島風〉を狙わないの?」
〈時雨〉「これは突入は無理だな。みんな、撤退するよ」
〈雷〉「でも、次のエリアまで行けば任務終了なのよ。運がよければ……」
〈時雨〉「運に頼ってる時点で、僕たちはまだ弱いんだ。本当の強さは、運が敵に回っても勝てることだ。違うかい?」
〈響〉「そうだね。ここは撤退しよう。撤退すれば、次にまた来ることができるさ」
〈島風〉「よーしみんな! 〈島風〉について来て! 一目散に逃げるよー!」

 その後も、ルーレットのイタズラで敵空母機動部隊に衝突する恐怖を味わったり、無理矢理反転されたものの、ついに、敵の戦艦を突破し、我が艦隊はキス島突入に成功したのである。

〈島風〉「島にいる敵は補給艦ばっかりで弱いんだね。なーんだ」
〈暁〉「なんだか、ほっとしちゃったわ」
〈響〉「まだ帰り道があるから、注意しないと」
〈雷〉「大丈夫、霧がでてきたわ。これに紛れて逃げるわよ」
〈電〉「島の人は、全員撤退成功なのです。犬が一匹、取り残されたみたいですけど」
〈時雨〉「その犬には誰かがこの島に戻った時に、出迎えてもらうことにしよう。帰って来たときに誰も出迎えてくれないのは、さみしいからね」

 〈時雨〉は霧の中に溶け込んでいく島を振り返った。そして、そっと呟いた。

〈時雨〉「みんな……今度は、突破に成功したよ」

アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(15)

2013年6月27日 アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌 No comments

●日本海軍は通商破壊が苦手
 艦これでは、毎日、あるいは毎週発生する任務がある。
 これをデイリー/ウィークリー任務と呼んでいる提督は多いだろう。

 提督の朝は、一杯のコーヒーと、デイリー開発の運試しで始まる。

 デイリー任務の多くは、ルーチンである。
 今日はちょっと奮発してレア艦の建造を狙ってみようかとか、そういうことはあるが、ほとんどは毎日同じようにやれば、同じような結果が出てくる。
 その中で、思うようには進まないものが、ひとつある。
 敵の補給船を3隻沈めろというデイリー任務だ。
 補給船を狙う場合、南西諸島海域のバシー島沖(2-2)、あるいは東部オリョール海(2-3)に艦隊を派遣する。

 が、どちらもルーレットがくるくると回る海域であり、運が悪いと補給船と遭遇しない。
 この海域でpixivであがっているヒコロウさんのイラストのような目に遭った提督は多いだろう。こちら

〈北上〉「でもさー。補給船を狙うのに戦艦や空母を持ち出すのもアレな気がすんだけど。こういうのって、潜水艦のお仕事じゃない?」

 確かに。通商破壊作戦というのは、対象が商船だから、それほどの攻撃力は必要とされない。全40門の魚雷発射管も必要ない。

〈北上〉「うわ、藪蛇。英語で言えばブッシュスネーク。まさか提督にこんな無体な仕打ちを受けるとは。無体すなわちノーボディ」

 なんでそこを英語にするんだ。そして、そこまで言われるほどのことか。
 ともかく、補給船狙いの通商破壊は、普通ならばたいした攻撃力が必要とされない。
 しかし、補給船が船団を組んで護衛艦隊を連れていれば話は別だ。

〈北上〉「艦これだと、補給船狙いでも戦艦や空母連れていくよね」

 護衛が強力だからな。けれど、実際の戦いでは護衛も、襲撃も、担当するのは巡洋艦のお仕事だ。帆船の時代にはフリゲートと呼ばれていた艦だ。

〈北上〉「フリゲートかー。どんな艦?」

 ある程度の航続距離があって外洋を航行することができ、高速で、大砲もそれなりに搭載している艦だ。なんでも出来る艦だな。

〈北上〉「器用貧乏ってことか。でも、あたしら日本の巡洋艦は船団護衛や通商破壊が苦手っぽい印象があるけど?」

 まったくもってその通り。日本海軍にとっての巡洋艦は、小型の戦艦だ。
 遅れてきた海軍国である日本は、明治に入ってからも戦艦をたくさんそろえるなんて贅沢な艦隊編成はできなかった。日清戦争の時に『三景艦』として〈松 島〉〈厳島〉〈橋立〉という三隻の巡洋艦を建造(2隻はフランスから購入)したけれど、これには、わざわざ艦の大きさに不似合いな、32cm砲を搭載して ある。艦隊決戦に備えて砲撃力をとにかく高めたかったんだ。

〈北上〉「まさかの私のご先祖様が。大きさに不似合いって、どのくらい?」

 排水量4200トン。艦これだと、軽巡洋艦だな。

〈北上〉「それに32cmは無茶だなー」

 うむ。実戦では、口径が小さくともたくさん発射できる速射砲が役に立ったくらいだ。
 しかし、国力の関係から十分な数の軍艦を揃えることができない日本では、以後も、重火力型で、砲雷撃戦に特化した巡洋艦が設計される。

〈足柄〉「私を呼んだかしら? 砲雷撃戦なら得意よ!」
〈夕張〉「小型の船体に装備を詰めるだけ詰むのはロマンよね」
〈北上〉「はー、なるほど。私と〈大井〉っちの重雷装艦だけじゃないんだ」

 武装をたくさん搭載しすぎてバランスが悪くなった日本の巡洋艦や駆逐艦は、第四艦隊事件で船体強度の不足が露呈する。
 しかし、そもそもの始まりは、近代日本が国の大きさに不似合いな海軍力を整備しようとしたことにあるんだ。

〈北上〉「それが、船体の大きさに不似合いな武装を搭載した巡洋艦になったってことね。あ、でもこれって戦艦や空母にも言えるの?」

 ある程度はね。日本の国力では海上護衛と通商破壊に重点を置いた長期戦に追い込まれたら勝ち目がないから、来寇する敵艦隊との短期決戦に絞って海軍力を整備した。
 戦艦も空母も、長期間にごりごり消耗するのではなく、短い戦いで決着をつけることを前提としていた。空母が敵の攻撃に脆かったり、航空部隊が戦いで消耗した後で再建が難しいのも、そこまで予算と人手をかけられなかったからだ。

〈北上〉「へー。でもそれって、そんなに間違ってる考えじゃないよね?両方やろうとして失敗するよりはさ」

 そう。間違っていたのは、短期決戦で勝敗が決まるという前提部分だ。

〈北上〉「前提部分で!だめすぎる!」

 ただ、長期戦になったら消耗したあげく敗北するから、そっちは捨てるという部分は正しかった。

〈北上〉「なんとかならない?」

 ならない。これはもう、日本の立地の問題だ。
 通商破壊で苦しめるにはアメリカもイギリスも遠すぎて手に負えない。
 海上護衛で守りきるには、日本が守るべきエリアは広すぎて、これまた手が回らない。
 Civilization4的にはワールドビルダーで立地を何とかしないと詰むレベルだ。

 ……あ、ひとつだけ手があった。

〈北上〉「ナニ? もったいぶらないで教えてよ」

 Hearts Of Iron2ではよくある展開だけど、明治維新あたりから政治レベルで組み直して、日清戦争も日露戦争も満州事変も日中戦争もなく、英米と敵対しないなら問題ない。太平洋戦争は起きないから、短期決戦も長期戦もない。戦わないから負けない。

〈北上〉「戦わないで勝利かー。孫子の兵法的にいいんじゃないかな」

 でもその場合、ほとんどの艦娘が必要ないので作られない。その並行世界だと、お前と〈大井〉は真っ先に消えるぞ。

〈北上〉「あうー、そういうオチかー」

 艦娘の魅力のひとつは、戦略レベルでの失敗や錯誤を軍艦の設計で何とかしようとした、必死さ、健気さにあるんだ。いいからもう一回、バシー島沖行ってこい。今度はルーレットで迷うなよ。

〈北上〉「ほーい。重雷装艦〈北上〉出動するよー」
              :
              :

 そして、しばらくの後。

〈北上〉「いやー、今度は敵の主力艦とぶつかっちゃってねー。そのかわりS判定で勝って〈最上〉んゲットしてきたから。3隻目だけど」

 あうー、そういうオチかー。

アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(14)

2013年6月24日 アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌 No comments

●高速と低速について
 艦これには、足の速い高速の艦娘と、足の遅い低速の艦娘がいる。
 足が遅い代表が、戦艦&航空戦艦だ。
 〈扶桑〉〈山城〉〈伊勢〉〈日向〉は、いずれも最高速度が22~25ノット(時速45km)ほどである。
 対して、高速戦艦の〈金剛〉〈比叡〉〈榛名〉〈霧島〉はというと、こちらは最高が30ノット(時速55km)である。
 自動車の速度でいくと、時速45kmと時速55kmには、あまり差がないように見えるが、道路に沿って走る自動車と違い、どこまでも平たい海のどこを 走ってもいい艦船では、この10kmの差が、どうしてバカにできない。赤信号も渋滞も坂道もないので、移動力のちょっとした差が位置取りの重要な差になっ て現れるようになるのだ。

 第二次世界大戦での戦艦同士の戦いというのは、1万mも2万mも離れた敵と打ち合うことになるので、百発百中とはいかない。

〈金剛〉「1分後には、あそこらへんにいる敵にファイヤー!」

 という風に、お互いの動きを読みながらの砲撃戦となる。
 だから、一発必中を狙うのではなく、何門もの主砲から同時に発射する。

〈伊勢〉「主砲、6基12門、一斉射!」

 これは12発の砲弾で敵艦を包み込み、そのうちの1発か2発かを命中させようという射法である。
 主砲は、細長い軍艦のあちこちにあるから、一番良いのは敵に側面を向けてたくさんの主砲を同時に敵に発射できるようにすることである。逆に、敵の側面をこちらに向けさせることがなければ、敵は少ない主砲で砲撃戦をせざるを得ず、砲撃力が低下する。
 そして敵味方がお互いにちょっとでも相手に有利な位置を取ろうと場所争いをしている時には、わずかな速度差がじわじわと効いてくる。遅い側は、だんだんと行動を制限され、不利な位置へ、不利な位置へと追い込まれていくのだ。

 また、各艦は火力を集中する意味もあって各艦がばらばらに行動せず、陣形を組んで艦隊行動を取る。単縦陣は一般的な砲戦用の陣形で、輪形陣は空母 を他の護衛艦で囲んで敵機を近づけないための陣形だ。陣形を維持するためには、他の艦と速度を合わせなければならず、艦隊内に低速艦がいると、それに合わ せて全体の速度が落ちてしまう。高速艦と低速艦を混ぜて運用すると、そういう問題も出るのだ。

〈扶桑〉「レイテ突入では、それで私たちだけ、別働隊だったんです。でも、スリガオ沖で……うう」
〈山城〉「夜戦の混乱の中で、姉様ともはぐれてしまって……ぐすっ」

 まずい、ふたりのトラウマスイッチが。
 えー、大砲よりもさらに発射角度や射程が限られている魚雷戦にいたっては、位置取りこそすべて、とさえ言える。駆逐艦や軽巡洋艦が、普段の巡航速度はさほどでなくとも、短距離選手のように海戦の時には高速を発揮できるよう設計されているのも、このためである。

〈夕張〉「うん……そうよね。駆逐艦の艦娘たちが、最高で35ノット出せるのに、それを率いるあたしだけ30ノットとか、何のための引率役やら……」

 しまった、今度はこっちかい。

〈島風〉「島風には誰も追いつけないよっ!」

 だから、お前ひとりが速くてもダメなんだってば!

アリアンロッド2E「妖魔に取り憑かれた王国」(犯人当てミニゲーム付き)

2013年6月23日 TRPG, 妖魔に取り憑かれた王国 No comments , , , , ,

■ストーリー
 エリンディル大陸南方の海に、小さな島国がある。
 平和なこの国に、妖魔の魔の手が忍び寄る。
 この島国にやってきた妖魔シュウズは、靴の形をした妖魔だ。自分を履いた人間を操る能力を持つ。
 封印されていた妖魔シュウズを解放してしまったラッキー王子は、PCたちに、調査を依頼する。妖魔シュウズが取り憑いたかもしれない人間は、4人。
 ラッキー王子の父であるカール国王。
 騎士団長のジャック・ジョウスト。
 神官長のクィンシー司祭。
 そして大貴族のアマデウス公爵である。
 PCが、調査を進めてシュウズが取り憑いた相手を特定し、妖魔シュウズを退治することができれば、このシナリオは終了する。

■今回予告
 エリンディル大陸南方の海に浮かぶ、トランプ島。
 この平和な島に、妖魔がやってきた。
 そして、あろうことか王国の重鎮の誰かに取り憑いてしまったのである。
 この島にやってきた冒険者のキミたちは、ラッキー王子から妖魔退治の依頼を受ける。
 だが、妖魔を退治するためには、まず妖魔が取り憑いた人物を見破らなくてはいけない。
 妖魔が、取り憑いた人間を完全に支配する前に、その人物を発見できるだろうか?

 アリアンロッド2E「妖魔に取り憑かれた王国」

 冒険の舞台がキミを待つ!

■ミニゲーム用シナリオ地図

アリアンロッド2E「妖魔に取り憑かれた王国」ミニゲーム用マップ

■犯人当てミニゲームのルール
 アリアンロッド2E公式サイトからダウンロードのこと → こちら

■ギルドハンドアウト
(選択)コネクション:ラッキー王子 関係:庇護
 トランプ島にやって来たキミたちは、7歳くらいの男の子、ラッキーと会う。
 その子はこの島国の王子であり、キミたち冒険者に仕事を依頼したいのだという。
 どうやら敵は妖魔で、長く平和が続いたこの島の人間の手には余る事態のようだ。
 しかも、妖魔はすでに国王、騎士団長、神官長、大貴族という島の大物に取り憑いているらしい。まずは捜査を進めて、誰に取り憑いたかを明らかにしよう。

■オープニング
 トランプ島。この島に到着して桟橋に降りたキミたちは、身なりのいい少年と会う。
「皆さんは冒険者ですよね? お願いです! この島を助けてください!」
 ラッキーという少年が言うには、この島は妖魔に狙われているのだという。
 しかも、ラッキーはこのトランプ島を治めるトランプ王国の王子だそうだ。
 だが、島は長い間平和が続いており、こうした事態に何とかできる人物といえば4人しかいないのだそうだ。
「でも、その中のひとりに、妖魔が取り憑いているんです!」
 聞けば、ラッキーは一週間ほど前に、浜辺に漂着した壺を拾ったのだそうだ。
 なんだろうといろいろいじっていると、壺が開き、中からもくもくと黒い煙があがって、そこから姿が見えないが声が聞こえてきた。
『ふはは、ワシは妖魔シュウズ。ワシを封印の壺からだしてくれて礼を言うぞ。お礼にお前に取り憑いて……む、子供か。サイズが合わ……ううむ、お前では、ダメだ。や、あちらに強い人間の気配がするぞ。ふふ、そいつに取り憑いてやろう』
 黒い煙は壺から離れて、窓の外に消えた。
 ラッキーが大あわてで追いかけたところ、四人の人物に会ったのだという。
「妖魔シュウズは、どうもその四人のうちの誰かに取り憑いたみたいなんです」
 その4人とは。
 騎士団長のジャック・ジョウスト
 神殿長のクィンシー。
 ラッキーの父親で国王のカール。
 大貴族のアマデウス公爵。
 この平和な島の中では数少ない、妖魔とも戦える人々である。
 果たして、この中の誰が妖魔に取り憑かれたのだろうか。

■イベント管理

●J:騎士団長ジャック・ジョウスト
▼1枚目のイベント
 平和なトランプ王国では、騎士団といっても自警団のようなものである。
 騎士団長のジャック・ジョウストは、島の見回りがてら、あちこちの村で馬上槍試合を行って、島の住人を楽しませている。
 PCも、馬上槍試合をすることで、ジョウストから情報を聞き出すことができる。
・ジョウストと馬上槍試合を行う:【筋力】11
 成功すると、ジョウストが島を巡回しながら、夜中にこそこそとひとりで浜辺に出ているという村人の噂を聞く。
▼2枚目のイベント
 夜中に浜辺に出ているというジャック・ジョウストの様子をうかがう。
・ジョウストを尾行する:【感知】11
 成功すると、ジョウストが島をぐるりと囲む結界(海をにらむモアイ像)に何か細工をしていることが明らかになる。
 判定に成功したPCが調べてみると、島を囲む結界が弱くなっていることが分かる。
 海から、ぞわりとする風が吹いてくる。登場PCは全員【MP】を1D点失う。
▼4枚目のイベント
 結界を弱めていることについて、ジャック・ジョウストを問いつめる。
・ジョウストを問いつめる:【精神】11
 成功すると、ジョウストは真犯人に騙されて、結界を強化するつもりで細工をしていたことが分かる。こっそりやっていたのは、島の人々を不安にさせないため。
 ジャック・ジョウストから真犯人の情報を得る。
 この調査を行ったシーンプレイヤーは、場札の1枚選んで、それを開いたままにできる。

●Q:神官長クィンシー
▼1枚目のイベント
 神官長のクィンシーは美形のエルダナーン青年で、村の女性信者にとても人気が高い。だが、浮ついた噂ひとつなく、身の回りの世話も、寡黙なヒューリンの青年神官クラウスひとりに任せている。
 しかし、最近になって神殿の周囲には不穏な噂が流れている。
・不穏な噂を調べる:【幸運】10
 夜中に、神殿の中に美しい女性がいたという噂が流れている。
 気になったクィンシーのファンのひとりが神官のクラウスを問いつめるも、そのような女性に心当たりはまったくないとのこと。
▼2枚目のイベント
 神殿の内部を調べてみると、頻繁に使われていそうな隠し扉がある。仕掛けを動かして扉を開けてみよう。
・隠し扉を開ける:【器用】11
 隠し部屋の中には、女性の衣装や持ち物などがある。女性の姿はない。
 何やら嫌な予感がする。登場PCは全員【MP】を1D点失う。
▼4枚目のイベント
 神官長のクィンシーの後をついて、決定的な場面に踏み込む。
・決定的な場面に踏み込む:【敏捷】11
 成功すると、クィンシーが隠し部屋の中で女性の服装に着替えた場面に出会わす。実はクィンシーは女性で、一族の掟やらの理由で女性であることを隠して神官長をしていたのだ。クィンシーが女性であることを知っていたのは、幼なじみのクラウスだけである。
 犯罪などは関係ないが、今の時点で公開するとゴシップになる。このことを内緒にするかわりに、PCはHPポーションかMPポーションを2本もらうことができる。(1本ずつでも、どちらか2本でもいい)

●K:国王カール
▼1枚目のイベント
 国王カールは30才。息子のラッキー王子を産んだ王妃は、5年前に病死して現在は独身である。再婚をうながす声は多いが、本人は気楽な独身生活を満喫しているもよう。
 決まった相手はいないが、あちらこちらで浮き名を流している。
・国王カールの素行を調べる:【精神】11
 国王カールは、ここ1、2年はラッキー王子への教育を考えて大人しくしていたようだが、またお忍びで町の酒場にくりだすようになっているようだ。
▼2枚目のイベント
 国王カールが変装してお忍びで町に出かける。後を追いかけよう。
・お忍びの国王カールを追跡する:【敏捷】11
 成功すると、カールが酒場に入った後、女性と逢い引きしていたはずが姿を消していることに気が付く。調べてみると、カールは女性だけ二階に取ってある部屋に行かせ、自分はこっそりと裏口から外に出ているようだ。
 酒場のケンカに巻き込まれる。登場PCは全員【HP】を1D点失う。
▼4枚目のイベント
 国王カールが姿を消しているのは、交易路拡大のため、このあたりの海賊を撃滅する作戦を計画していたため。会っていた相手はやはり海賊だが非道は働かないキャプテンREDで、外道働きをする他の海賊を、トランプ王国と共同作戦で沈めようとしている。
・密談の場を探り出す:【感知】11
 うっかり密談の場に踏み込んで、REDの仲間とあわや戦闘になりかける。REDがお詫びに、協力してくれる。
 この調査を行ったシーンプレイヤーは、場札の1枚選んで、それを開いたままにできる。

●A:大貴族アマデウス公爵
▼1枚目のイベント
 アマデウス公爵は、古くからトランプ島の中央にある森に住むヴァーナの一族(猫族:アウリク)の長である。公爵の地位ではあるが、大貴族というよりは部族長。
 誇り高くあまり町には出てこない。気になることがあって町に出ているようだ。
・公爵が町にいる理由を調べる:【幸運】11
 判定に成功すると公爵の古い友人である猟師と仲良くなり、話を聞き出すことができる。公爵は、部族の占い師に町でよくないことが起きる、とお告げを聞いたのだという。
▼2枚目のイベント
 アマデウス公爵は、町でよくないことが起きるのを調べにやってきた、にしては日長一日、ごろごろと寝てばかりいる。
 そして夜になると、目をランランと光らせて飛び出ていく。
・公爵を追いかける:【体力】11
 判定に成功するとアマデウス公爵を見失わずに追いかけることができる。
 アマデウス公爵は町の外にある迷宮の中に入っていく。
 様子をうかがったところ、ゴーレムが出てきて戦闘となった。他にも罠もあるようだし、中に入るのは危険だ。登場PCは、全員【HP】を1D点失う。
▼4枚目のイベント
 アマデウス公爵が入っていた迷宮について王宮にある古文書などから調査する。
・古文書を調べる:【知力】11
 アマデウス公爵は、奈落に対して力のある護符を迷宮で探していたのだ。
 そのことをアマデウス公爵に聞くと、迷宮から取ってきた護符をラッキー王子に渡す。
 護符の力で、シーンプレイヤーは、場札の1枚選んで、それを開いたままにできる。

●7:ラッキー王子
▼1枚目のイベント
 ラッキー王子と一緒に、王子が海岸で拾ったという壺を調べる。
 壺には封魔の呪符が貼ってある。長い間海の中にあったので、汚れている。
・呪符の汚れを取る:【器用】11
 判定に成功すると、妖魔シュウズの特徴が分かる。
 この妖魔は、人に取り憑いてそれを操ることができる。しばらくの間なら、人間ごと戦闘不能にすれば、妖魔シュウズだけ分離してこれを再び壺の中に封印できる。
 さらに一定時間が経過すると、取り憑かれた人間も邪悪化して完全にシュウズと一緒になる。こうなると、もうその人間は助からないし、シュウズもパワーアップして手に負えなくなってしまう。
▼2枚目のイベント
 妖魔シュウズの弱点について、王宮にある古文書を調査する。
・古文書を調べる:【知力】11
 妖魔シュウズは、〈闇〉属性であり、対抗属性の〈光〉属性で攻撃すると、魔法防御力0でダメージを与えることができる。この情報があれば、聖水を購入す ることができる。また、Q(神官長)の4枚目のイベントがまだなら、4枚目のイベント時にポーション2本ではなく、聖水1本を手に入れることができる。
▼4枚目のイベント
 妖魔シュウズは、普段は靴の形に擬態している。これまで履いていない、珍しい靴をはいているようなら、その人物に取り憑いていると考えていいだろう。次の手番のシーンプレイヤーは、2枚ではなく3枚のカードを表にすることができ、そのうちの1枚を開いたままにできる。

■犯人判明ゲームクリアイベント

●J:騎士団長ジャック・ジョウスト
 ジョウストが今にも海の結界を破り、海から敵を召喚する場面。
 敵は妖魔シュウズ×1とギルマン×3、ギルマンアーチャー×1
 クライマックスフェイズへ移行する。

●Q:神殿長クィンシー
 神殿の中でクィンシーが倒れており、クラウス(取り憑かれている)が、神殿の地下墓地から、死者の軍団を呼び覚まそうとしている場面。最初クィンシーに妖魔は取り憑いたが、神殿の中では女性の服装に戻っていることが多く、仕方なくクラウスに取り憑いている。
 敵は妖魔シュウズ×1とスケルトン×3、リビングアーマー×1
 クライマックスフェイズへ移行する。

●K:国王カール
 国王は、凶暴な海賊と取り引きをしている場面。町の人々を海賊に売り払い、この島を海賊島にしてしまおうとしているのだ。
 敵は妖魔シュウズ×1と山賊(海賊として扱う)×3、魔術師見習い×1
 クライマックスフェイズへ移行する。

●A:アマデウス公爵
 公爵は、地下の迷宮から妖魔を呼び出している場面。
 敵は妖魔シュウズ×1とフォモール×3、フォモールメイジ×1
 クライマックスフェイズへ移行する。

■バッドエンドイベント
 Sカウンターが10個ともなくなれば、そこでゲーム終了である。

●J:騎士団長ジャック・ジョウスト
 海からやってきたギルマンの軍勢に、町は占領されてしまう。

●Q:神殿長クィンシー
 神殿の地下から死者の群れがわきだして、町を覆い尽くしてしまう。

●K;国王カール
 海賊が海からやってきて、町を略奪し、人々を奴隷としてさらってしまう。

●A:アマデウス公爵
 地下から妖魔たちが出現して、町を焼き払う。

■エネミーデータ
●妖魔シュウズ
分類:妖魔 属性:闇 レベル:6 識別値:9
筋力14(4)
器用22(7)
敏捷18(6)
知力12(4)
感知22(7)
精神15(5)
幸運15(5)
HP:95
MP:26
武器:スパイク ダメージ10、近接、物理
命中判定3D+7
回避判定2D+6
行動値:8
移動力:9
物理防御:10
魔法防御:5
スキル
《豪腕》1(『R1』P313)
《変幻攻撃》1(『R1』P316)
《ワイドアタック》1(『R1』P107)
《インベナム》1(『R1』P108)
・攻撃パターン1(3ラウンドまで)
《インベナム》+《ワイドアタック》命中3D+8/ダメージ3D+10&BS:毒1
・攻撃パターン2(4ラウンド~)
マイナー、メジャーなし 命中3D+7/ダメージ3D+10

■ミッション成功と成長点
妖魔シュウズが取り憑いている対象を的中させた:3点
妖魔シュウズを倒して封印した:5点

 

アリアンロッド2E「妖魔に取り憑かれた王国」今回予告、ハンドアウト、地図

2013年6月22日 TRPG, 妖魔に取り憑かれた王国 No comments , , , , ,

■今回予告
 エリンディル大陸南方の海に浮かぶ、トランプ島。
 この平和な島に、妖魔がやってきた。
 そして、あろうことか王国の重鎮の誰かに取り憑いてしまったのである。
 この島にやってきた冒険者のキミたちは、ラッキー王子から妖魔退治の依頼を受ける。
 だが、妖魔を退治するためには、まず妖魔が取り憑いた人物を見破らなくてはいけない。
 妖魔が、取り憑いた人間を完全に支配する前に、その人物を発見できるだろうか?

 アリアンロッド2E「妖魔に取り憑かれた王国」

 冒険の舞台がキミを待つ!

■ミニゲーム用シナリオ地図

アリアンロッド2E「妖魔に取り憑かれた王国」ミニゲーム用マップ

■ギルドハンドアウト
(選択)コネクション:ラッキー王子 関係:庇護
 トランプ島にやって来たキミたちは、7歳くらいの男の子、ラッキーと会う。
 その子はこの島国の王子であり、キミたち冒険者に仕事を依頼したいのだという。
 どうやら敵は妖魔で、長く平和が続いたこの島の人間の手には余る事態のようだ。
 しかも、妖魔はすでに国王、騎士団長、神官長、大貴族という島の大物に取り憑いているらしい。まずは捜査を進めて、誰に取り憑いたかを明らかにしよう。

アリアンロッド2E「妖魔に取り憑かれた王国」ミニゲーム用マップ

2013年6月22日 TRPG, 妖魔に取り憑かれた王国 No comments , , ,

アリアンロッド2E「妖魔に取り憑かれた王国」ミニゲーム用マップ

アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(13)

2013年6月21日 アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌 No comments

●巡洋艦と駆逐艦を育成してみる

 艦隊これくしょんは、課金のない状態では保有艦数は100隻が限界だが、実際には、こんなに数は必要とされない。
 編成は4艦隊で、1艦隊6隻なので24隻あれば全艦隊が最大数で出撃できる。

 このうち、巡洋艦と駆逐艦が主力となるのが第2~第4の遠征艦隊だ。
 私は遠征艦隊を軽巡洋艦×2隻、駆逐艦×4隻で編成しているので、3個遠征艦隊で、必要とされるのは軽巡洋艦×6隻、駆逐艦×12隻である。
 〈金剛〉シスターズの高速戦艦が4隻そろったことで、遠征用の第4艦隊が使用可能となり、資源不足はかなり解消された。
 現時点では遠征任務は、海上護衛任務、タンカー護衛任務、鼠輸送作戦を中心に回している。

 一方で主力である第1艦隊であるが、海域を先へ先へと進むにつれ、どうしても戦艦と空母の出番が多くなってくる。
 いわゆる、主力艦と呼ばれる艦種だ。
 現時点での我が鎮守府艦隊は以下の主力艦を有している。(※は低速艦)

高速戦艦
〈金剛〉改 Lv49
〈比叡〉改 Lv35
〈榛名〉  Lv22
〈霧島〉改 Lv44
航空戦艦
〈扶桑〉改 Lv45※
〈山城〉改 Lv38※
〈伊勢〉改 Lv35※
〈日向〉改 Lv28※
正規空母
〈赤城〉改 Lv52
〈加賀〉改 Lv42
〈蒼龍〉改 Lv35
〈翔鶴〉改 Lv43
軽空母
〈祥鳳〉改 Lv52
〈飛鷹〉改 Lv35※
〈隼鷹〉改 Lv36※
〈鳳翔〉改 Lv28※
〈龍驤〉  Lv23
〈千代田航〉Lv17
〈千歳航〉 Lv15

 現時点で最強の戦艦である〈長門〉〈陸奥〉はまだ未加入で、これに正規空母の〈飛龍〉〈瑞鶴〉をデイリー建造とドロップで狙っている。
 ひとつの艦隊には6隻しか入らないので、これらの主力艦を第1艦隊内でローテーションするだけでも、相当な数、出撃を続けることができる。

 しかし、主力艦ばかりの艦艇は、ゲーム的に不利益がなくとも提督である私の気分が不安になってしまう。誰と競うでもない、文字通り艦隊をコレク ションするゲームである。ここは限度枠いっぱいまで駆逐艦や巡洋艦を取り入れておこうではないか。そして、主力艦隊である第1艦隊が出撃する時には、戦力 としては反映されないが、周囲を巡洋艦や駆逐艦が取り囲んでいる、という風に考えて悦にいりたいものである。

〈名取〉「いいんですよ、私。別に戦力として使えない艦でも」

 おう……聞いていたのか。

〈名取〉「私がお手伝いできたのは、まだ主力艦がそろう前の戦いですものね。主力艦がそろって、空襲や長距離砲撃戦が可能になれば、魚雷を抱えて突っ込むしかない私なんか、お役に立てませんよね」

 ああ、いやその。

〈名取〉「だから、私は気にしてませんってば。駆逐艦娘ちゃんも好きですし、一緒にのんびりと遠征任務に行くのもいいかな、って思ってます。ああでも、そうなると、提督からいただいたこの酸素魚雷とか、必要ありませんよね。取り外して、爆雷を搭載しようかな」

 わかった、わかったから。
 これからは、駆逐艦と巡洋艦も育てていきます。はい。
 実際、史実の太平洋戦争においては主力艦の出番はあまりなかったのだ。
 ハワイ真珠湾奇襲作戦や、ミッドウェイ作戦が華々しく伝えられてはいるが、ああいう主力艦がぞろぞろ出て両軍がぶつかるという戦いは、そう何度も発生していない。
 特に戦争後半になると、主力艦がでても、まるで華々しくない。日本軍がぼろぼろ沈むだけだからだ。これは別に、日本の艦娘が特別に弱いわけではない。
 現実の戦場には、1艦隊6隻制限など存在しないからなのだ。

 考えてもみてほしい。艦これの戦闘システムで、こちらに6隻主力艦がいて。
 敵側に、40隻くらい戦艦と空母がずらずら並んでいる状況を。
 戦闘が始まるや、こっちが6回砲撃するたびに、向こうは40回バカスカ撃ってくるのである。加えて、こっちはへたをすると、最初の空襲で半分くらい中破している。
 こんなクソゲーやってられるか!という気分になること請け合いである。

 戦力に差がありすぎ、ナニをやってもダメだということになると、日本人の指揮とか組織運営とか、そういうのとは無関係に無力感と虚無主義が忍び寄ることになる。誰でも『皇国の守護者』の新城直衛のようになれるわけではないのだ。
 自分の力が何の役にも立たない、という気持ちほど人と組織を腐らせることはない。

 自分にできることがある。
 自分ががんばれば、何かを良くできる。

 そういう気持ちが大事だと思うので、やはりここは巡洋艦と駆逐艦の底上げもきっちり行っていこう。
 史実では、その力を十分には発揮できなかった、彼女たちと――彼女たちと共に戦った男たちのためにも。

アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(12)

2013年6月14日 アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌 No comments

●チョークポイントとしての海峡
 南西諸島海域を落とし、北方海域と西方海域への道が開かれた。
 この、ある海域を制圧したら別の海域へ行けるようになった、という流れは戦略上重要なチョークポイントである海峡(NarrowSeas)をユーザー艦隊が制圧したから、と考えることができる。

 明治になり、近代国家となった日本にとって最初に国家戦略上重要なチョークポイントとなったのが、対馬海峡である。大陸に侵略するにせよ、大陸か ら侵略されるにせよ日本列島と大陸との距離がもっとも短くなる対馬海峡は重要なチョークポイントであり、ここを日本に敵対する勢力に制圧されれば、著しく 不利になる。日清戦争、そして日露戦争は、日本の国家防衛という視点で言えば、対馬海峡を日本が確保し、日本列島を“より安全”にすることが最大の目的で あったと言える。
 逆に言えば、日露戦争におけるロシアの目的もまた、この対馬海峡を大陸側から制圧する朝鮮半島を自国の影響力に置くことだった。当時、ロシアはウラジオ ストックと旅順の二カ所に海軍基地を建設できていたが、朝鮮半島が日本側の勢力圏にあったことでこのふたつは分断され、その力を著しく弱められていた。こ れは、当時の軍艦が石炭焚きで、太平洋側をぐるりと遠回りするだけの機動力がなかったからでもある。もし朝鮮半島、そして対馬海峡をロシアが支配したとこ ろで日本を植民地にするほどの余力はなかったろうが、本土が“より危険”になった日本がロシアの影響を無視できず、その動向に引きずられるようになったこ とは間違いない。軍事力の使い方の基本は抑止力であるが、この抑止力には

「ワシに逆らったら、どうなるか、ようよう考えた上で判断せえよ」

 という、相手がこちらの利益を無視して好き勝手な行動することを“抑止”する意味合いが強い。国家レベルでやることというのは、民間レベルで考えればヤクザの手口とあまり変わりはない。少なくとも“抑止”される側にとっては、そうだ。

 世界に冠たる大英帝国もまた、世界中にあるチョークポイントを己の勢力下に置くことで、その支配力を拡大してきた。地中海の西の出口であるジブラ ルタル海峡、東の出口であるスエズ運河は英国海軍のコントロール下にあった。北にある黒海はロシアのものだったが、黒海から地中海への出入り口であるボス フォラス海峡はトルコの勢力圏にあり、イギリスはトルコが自分の味方になることがなくとも、ロシアの味方にはならぬよう気を配っていた。
 インド洋から太平洋への出入り口にあるシンガポールもまた、長くイギリスの至宝であった。東南アジアは無数の島が存在するが、特に海に突き出るように なったマレー半島と、スマトラ島に挟まれたマラッカ海峡は、21世紀の現代においても海運の大動脈である。この太平洋側の出口を塞ぐシンガポールに、イギ リスは海軍基地を置いて一帯を勢力圏に置いたのである。

〈雷〉「はい提督! 質問があるんだけど!」

 何かね〈雷〉くん。
 ……どうでもいいけど、そうやって〈電〉たち第六駆逐隊が机並べてると、小学校っぽくなるな。

〈暁〉「一人前のレディに向かって小学生なんて、失礼しちゃうわ」
〈響〉「ま、遠征任務よりは勉強の方が気楽でいいね」
〈電〉「いつもは駆逐艦娘でローテーションしてるのです」

 そろそろ、遠征任務以外で育てる方法も考えないとなー。で、質問はなんだ?

〈雷〉「私たちが、南西諸島海域の敵艦隊を撃破したことで、南西諸島海域から北方海域、西方海域につながる海峡が制圧できたってコト?」

 うん。ゲーム的には、艦これは海軍のゲームだ。プレイヤー提督が艦隊決戦で勝利して航路を安全にした後、輸送船が陸軍部隊を上陸させて、海峡を扼する島や基地を占領したんだろう。
 ただ、これはオフィシャルではなくて、私が推測したことだからね。

〈雷〉「西の海にはカレーや紅茶があるから重要なのは分かるけど、北の海に行ってもいいことはないような気がするわ。寒いし!」

 そりゃあね。けど、これは現実の方の地球での話だけど、北極の氷が溶けて小さくなってくることで、北極海航路というのが脚光を浴びている。これま で閉ざされて航路としては使えなかった北極海が、気候の変化と、衛星などを利用した氷や海流の監視能力の強化で、経済的に見合う航路へと変化していきつつ あるんだ。
 環境とテクノロジーの変化によって、それまで重要でなかったものが、重要になることがある。北方海域も、そういう風に見ることができるかもしれないね。

 ……いかん、口調まで教師っぽくなってしまった。