雑記

アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(8)

2013年6月4日 アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌 No comments

●期間限定海域マップ3「湾内突入」
 ひたすら任務をこなし、遠征を繰り返して資源を貯めることしばし。
 ある程度の資源が蓄積された。

 石油:8000+
 弾薬:8000+
 鋼鉄:4000
 ボーキサイト:8000+
 高速修復材(バケツ):26

 まずまずの、物資備蓄である。
 同時に湾内に突入する、第1殴り込み艦隊も編成される。

旗艦:空母〈赤城〉改 紫電改2×20、零戦52型×10、彗星艦爆×20、流星艦攻×32 
航空戦艦〈扶桑〉46cm三連装砲、35.6cm連装砲、21号対空電探、瑞雲偵察機×10
航空戦艦〈山城〉35.6cm連装砲×2、21号対空電探、瑞雲偵察機×10
戦艦〈霧島〉改 41cm連装砲、35.6cm連装砲、15.5cm三連装副砲、零式水上偵察機×3
軽空母〈祥鳳〉改 零戦52型×18、彗星艦爆×12、天山艦攻×12、応急修理女神
軽巡洋艦〈名取〉改 20.3cm連装砲、12.7cm連装高角砲、61cm四連装(酸素)魚雷

 予備艦(損傷時交代艦)
航空戦艦〈伊勢〉35.6cm連装砲×2、12.7cm連装高角砲、瑞雲偵察機×11
軽空母〈隼鷹〉改 零戦52型×18、彗星艦爆×18、天山艦攻×18、応急修理要員
軽空母〈飛鷹〉改 零戦52型×18、彗星艦爆×36、応急修理要員
軽巡洋艦〈五十鈴〉改 20.3cm連装砲、12.7cm連装高角砲、61cm四連装(酸素)魚雷

 轟沈で艦娘が失われるときついが、そうでなければ、ある程度の目算を立てての攻略が可能である。
 何より、期間限定マップは、6月5日まで。これを逃せば、敵泊地に捕らえられている正規空母〈翔鶴〉を救出する機会が失われるのだ。

〈赤城〉「え、そんな話、初めて聞きましたよ?」
〈祥鳳〉「どこにも書いてないわよ。そんなこと」
〈電〉「でっちあげなのです!」

 ええいうるさい。ゲームというのは、こうやって脳内ドラマを妄想して楽しむのだ。
 期間限定海域マップは、通常のマップと違い、1回ボス戦に勝利してもクリアとならない。連続した攻勢を仕掛けなくてはクリアできない上、時間の経過と共に敵戦力が回復してしまうのだ。
 それゆえに、攻略をかける時には、修理のためのバケツ(高速修復材)と資材の備蓄が必須となる。

 さらに、「湾内突入」マップは特別なボス敵として泊地棲鬼と空母フラグシップ、エリート艦隊が最奥にいる。万全の状態で挑んでも、かなりの強敵だ。加えて、潜水艦の攻撃もしのがなくてはいけない。
 潜水艦相手は諦めて、空母と戦艦ばかりの艦隊編成も考えなくもなかったが、その場合、途中で潜水艦の雷撃で損害を被れば帰還せざるをえない上、現時点での艦隊のボトルネックは、資材とバケツである。無駄に損害を受ける危険は冒せない。
 そこで、艦隊最後尾の1隻は、対潜戦能力に優れた軽巡洋艦に守ってもらうこととした。レベル30の〈名取〉改は対潜41、レベル21の〈五十鈴〉改は54もの対潜能力がある。空母の爆撃と合わせれば、十分な護衛だ。

 作戦開始!

 いきなり3連続で、敵ボスにたどりつけないというアクシデントに見舞われる。
 最初の敵前衛艦隊を排除するところで空母や軽巡洋艦が大破して引き返したり、最後の湾の手前で、ルーレットによって道を変更させられたり。

 ボスにたどりついてからも、苦戦は続いた。
 今度は2連続で敗北と戦術的敗北。ボスの泊地棲鬼のヒットポイントを削りきることができないまま、その周囲の護衛艦隊に艦隊がぼこぼこにされてしまったのだ。

〈霧島〉「うう……私の完璧な計算が……」

 不甲斐ないのが眼鏡な知的美人〈霧島〉さんである。やたら敵の弾が当たる。そして誘爆するのか、すぐに中破、大破の判定を受ける。高速戦艦〈金剛〉4姉妹は、高い機動性の代わりに防御力に難があるのだが、これでは困る。それこそ“計算が立たない”。

〈霧島〉「提督? なんだか目が怖いですよ……いやっ! いやああっ!」

 〈霧島〉から41cm砲をはぎとり、航空戦艦〈伊勢〉に回す。

〈伊勢〉「ええっ? いいのかい? 正直、パラメタで言えばあたしが一番、装甲は薄いぜ? あたしは80だけど、〈扶桑〉〈山城〉姉妹は89。〈霧島〉だって84だ」

 こういうのは、数字じゃない。どういうわけか、お前は敵の砲撃を受けてもダメージがあまり通らない。その幸運(確率の偏り)に賭ける。

〈伊勢〉「分かった。ごめん〈霧島〉、後で返すから」
〈霧島〉「大事に使ってくださいね?」

 すでにこの時点で、バケツ(高速修復材)は10個以上消耗していた。負けてるわけだから、損害が大きいのは道理だが、だとしてもこの流れはよくない。

 そして、この流れを変えたのが、やはりあの艦娘であった。

〈名取〉「あ、あ、あ……当たってくださ~~~いっ!」
〈泊地棲鬼〉「ギャアアアッ!!」

 夜戦で酸素魚雷を敵ボスにたたきこんでトドメを刺したのである。
 雷装パラメタ99(酸素魚雷込み)は伊達ではない。ここぞという時に頼りになるヤンデレである。
 酸素魚雷は、魚雷のエンジンを回すのに圧搾空気ではなく、純酸素を利用している。そのため、他の魚雷であれば発生する空気の白い泡が航跡として発生せ ず、敵に発見されることなく、その脇腹に突き刺さるのである。撃たれた側の艦の水兵の目撃証言から酸素魚雷が『青い死神』と呼ばれたという、まことしやか な噂もあるほどだ。

 〈名取〉の一撃で初勝利が得られると、その後、流れは一気にこちらに傾いた。
 とはいえ、ルーレットで追い払われることもあるし、今ひとつダメージがふるわないこともある。そしてたとえ勝利しても、ボス戦をくぐり抜ければ無傷とはいかない。
 修理に使う鋼鉄の在庫はみるみるうちになくなっていき、バケツもまた、消える。

 そしてついに。
 最後のバケツ(高速修復材)が、〈赤城〉に渡される日がやってきた。

〈赤城〉「あの……」

 早く食え。そして、ドッグをあけろ。他の娘が入れないだろうが。

〈赤城〉「そうではなくて、私が食べてもいいんでしょうか?」

 お前な、自分の修理にかかる時間を見てみろ。12時間だぞ! 12時間と46分! お前がそこで12時間粘ったら、この作戦はパーだろうが!
 いつもは遠慮なくバクバクバクバクバク食ってるくせに、なんでこの大事な時だけ、遠慮するんだ!

〈赤城〉「む」

 なんだ、文句あるのか。

〈赤城〉「あります。それこそ、この大事な時だからこそ、私でなくて他の艦娘にバケツと資材を回した方が、いいんじゃないですか? きっと、私より強くて――」

 だから、お前なんだよ。

〈赤城〉「私より、活躍できる艦娘が――え?」

 お前が、この艦隊で、一番強い。

〈赤城〉「冗談……じゃないですよね?」

 この資源がなくて苦しい時に、冗談なんか言うか。
 お前の艦載機を見てみろ。紫電改2×20、零戦52型×10、彗星艦爆×20、流星艦攻×32。数も機体も、この艦隊で最高だ。今回、姉妹艦の〈加賀〉 を湾で解放したが、まだレベル1。お前はなんだかんだでレベル41。これは〈祥鳳〉のレベル44に次ぐ数字だ。そして、こと戦闘力に関して言えば、お前は 〈祥鳳〉より上なんだ。
 その代わり――

〈赤城〉「その代わり、コストパフォーマンスは悪い、ですね?」

 分かってるじゃないか。お前さんは、ヤクザ映画でいえば用心棒の先生だ。食客として普段は食っちゃ寝してても、ここぞというところでは活躍してもらわないと。

〈赤城〉(ぐびっ、ぐびっ、ぐびっ)「……ぷはあっ」

 行けるな?

〈赤城〉「はい! 一航艦!〈赤城〉行きます!」

 そして。
 ついに。

〈翔鶴〉「助けていただいて、ありがとうございます!」

 期間限定海域マップ3「湾内突入」の攻略は完了したのである。

〈翔鶴〉「本当に、皆さんにはどうお礼を……えーと……聞いてますか?」

〈扶桑〉「大丈夫、山城?」(残hp53、小破)
〈山城〉「姉様の方こそ、大丈夫ですか?」(残hp13、大破)
〈伊勢〉「うわあ、最後の最後ででかいのもらっちゃったよ」(残hp4、大破)
〈祥鳳〉「敵のエリート艦艇に粘られましたね」(残hp8、大破)
〈五十鈴〉「五十鈴が夜戦で酸素魚雷でトドメでしたし! 当然ですし!」(無傷)

 マップ攻略にふさわしい激戦の結果、艦隊はボロボロになっていた。

〈赤城〉「でも、良かったですね。作戦成功して」(残hp24、中破)

 まったくだ。あそこまでお膳立てして、負けたらしゃれにならん。
 だが、勝利と引き替えに鋼鉄資材は200しか残っていない。
 バケツもなく、全員を回復させるのは当分先となるだろう。
 しばらくは休養の日々(ネイバルホリデー)となりそうである。

〈名取〉「ううう~~みんな、どこに行ったの~~?」(残hp2、攻略完了の1回前の戦いで大破)

アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(7)

2013年6月3日 アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌 No comments

●空母と基地航空隊
 我が艦隊の正規空母は、今もって〈赤城〉1艦のみである。
 これは、艦隊に配属されたばかりの〈赤城〉が、いきなり大破して大量の鋼材をむさぼる(当時は枯渇状態だったので、しばらく放置)という暴挙をやってのけたからである。
 正規空母1隻で、この体たらくである。もしこれが2隻になったら、艦隊の兵站は崩壊しかねない。ドロップ品であればともかく、わざわざ生産してまで手に入れようとは考えない。

 また〈赤城〉加入前に、すでに軽空母〈祥鳳〉と〈隼鷹〉が戦力化していたことも大きい。これら2艦のうち、特に〈隼鷹〉は搭載機数も多く、正規空母に引けを取らない航空戦力を運用でき、さらには資源の消費量も常識的な範疇に収まっていた。
 その後も、軽空母は数を増やしていき、現在では〈隼鷹〉と同じく商船改造空母の〈飛鷹〉も加わっている。艦隊の最大数が6隻というゲームの仕様もあり、 正規空母は〈赤城〉の1隻で、後は必要に応じて〈祥鳳〉〈隼鷹〉〈飛鷹〉を艦隊に組み込めばそれで足りるようになっている。これらはいずれもレベル25以 上になっており、搭載機も零戦52型、流星艦上爆撃機と一世代上だ。さすがに装甲と耐久力は低いが、誘爆して沈まないように、応急修理要員を装備してい る。艦隊がまだ弱かった頃からの付き合いであるこいつらが沈むと、さすがに立ち直れそうにない。

 艦これのプレイヤー提督は、空母は兵站に多大な負担をかけ、しかもすぐにボロボロになって回復に時間がかかる、という印象を抱いている人も多いだろう。
 そしてそれは、ほぼ間違いない。
 空母とは、戦力を維持するのがとても大変な兵器なのだ。

 戦闘において、空母そのものが攻撃の対象となるのは、これは致し方ない。なので艦隊の他の全艦艇は、空母を守るためにある。空母機動艦隊が空母を中心に置き、護衛艦艇を周囲に配置した輪形陣を組むのも、そのためである。
 ミッドウェイ海戦で主力空母4隻を一気に失った日本海軍はさらに徹底していて、空母艦隊と敵との間に、戦艦を中心にした前衛艦隊というのを置いて、敵へ の警戒と、いざという時の盾役を担わせている。さらに戦争の後期になれば、後方に置いた空母艦隊とは別に、前方に装甲空母を配置して、ここを中継基地に敵 空母にアウトレンジ攻撃を仕掛けようと画策するほどである。
 ミッドウェイ海戦というのは、それほどに日本海軍に強い衝撃を与えたのである。
 アウトレンジにこだわったのは、互いに距離を詰めての空母同士の戦いが、せいぜい相打ちにしかならない現実があった。相打ちでは、生産力に勝るアメリカ 海軍に勝てない。日本にとっての勝機は、こちら側だけが相手に一方的にダメージを与える作戦にしかなかった。日本海軍のたてる作戦はどんどん巧妙で複雑に なり、ちょっとしたトラブルで瓦解してしまう現実味のないものへ変わっていく。

 しかし、日本海軍のこうした努力は実ることなく終わる。

 空母機動部隊を再建することはできても、それだけでは意味がない。空母はあくまで航空機を運用するための洋上移動基地であり、搭載された航空機そのものが戦力であるからだ。
 日本海軍とて、母艦航空隊の育成に力を注がなかったわけではない。しかし、アメリカと違って戦前の日本では自動車も飛行機も、ほとんど存在しなかった。民間のパイロットは少なく、大量に育成するための組織や資源を手に入れることもできなかった。
 苦労して育てた母艦航空隊も、南太平洋の消耗戦によって失われていき、新たな機体の開発もさまざまな制約からうまく軌道にのらなかった。

 太平洋の戦いも後半になると、日本海軍は空母機動部隊を再建するよりも、トラックやサイパンなどの島に作った航空基地に航空隊を配置し、その戦力 で戦おうと計画するようになる。空母は沈むが、島は沈まない。それに、地上配備であれば、空母搭載機に比べて大きさや運用面で自由がきき、より高性能の機 体が開発できる。
 アメリカ海軍が空母を連ねて島に攻め込んできた時に、空母機動部隊と基地航空隊とが連携して戦えば、戦力差をくつがえして互角以上の戦いが可能だと考えられたのだ。

 しかし、日本海軍のこうした努力もまた、実ることなく終わる。

 アメリカ海軍は、艦これで言えば重課金プレイヤーで資源もバケツも使い放題である。彼らは、何度も何度も、艦隊を出動させて日本海軍に揺さぶりを かけた。日本海軍は、これに対応できない。出撃すれば、燃料がなくなる。機体も整備しなくてはいけない。日本海軍の基地航空隊も、空母機動部隊には、何度 も出撃するだけの資源もバケツもないのである。アメリカ海軍に振り回されているうちに、ロクな戦果もあげることなく、再建した航空隊は消耗してしまう。そ してそこに、アメリカ海軍が主力を率いてやってくるのだ。

 結局のところ、負けようが作戦が失敗しようが、何度でもやり直せるアメリカ海軍に、たとえ一度や二度はうまく作戦が決まって勝利しても、何度も同じ作戦を行う余裕のない日本海軍に勝ちの目など、最初からなかったのである。

 ありがたいことに、艦これでは、こちらが消耗したところに敵が攻めてくることはない。
 プレイヤー提督が「さて、今日のウチの娘たちはどうしているかしら」とブラウザでつなげたら、炎上する鎮守府と、港に押し込められたまま沈む艦娘たちの阿鼻叫喚を見せられたりはしないのである・・・しないよね?

 であればこそ、プレイヤー提督は、艦が修理され、資源が十分に貯まるまでじっと我慢して、それから戦いに挑むことも可能であり――

 そしてそれこそが、史実の日本海軍には、いかに望んでもかなわぬことであったのだ。

アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(6)

2013年6月1日 アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌 No comments

●近代化改装
 軍艦、特に大型艦の寿命はそこそこ長い。
 戦争がなかったら、10年20年は普通に現役だし、長いのになると30年40年と改装を続けながら海に出ることもある。
 21世紀の現代でも、アメリカ海軍のニミッツ級空母は50年の運用を前提に建造と改修が行われており、一番艦の〈ニミッツ〉が1975年に就役し、今も現役である。

 このへんは、お金の問題もある。艦これのプレイヤー提督なら同意するだろうが、苦労して手に入れた艦があっさり寿退役して、「提督さん、お世話に なりました。私、これからカレと幸せになります」と旅だってしまわれては、「相手の男(艦?)を殺してやる!」と叫びたくもなるだろう。艦娘には、永遠に 手元にいて欲しいと願ってしまうのが父親……じゃなくて、海軍側の事情というものだ。

 しかし、そうは言っても時代が移ろえば、必要とされる機能も変わってくる。艦娘にいつまでも綺麗でいてもらうためには、ファッション(装備)は新しいものに切り替えなくてはいけない。

 艦これでは、戦艦を改装すると、砲塔が新しくなったり、水上偵察機が新型になったりする。砲塔はともかく、なぜ偵察機、と思われるかもしれない。実は、太平洋戦争が始まる前まで、将来の戦艦には航空機の支援が必須、と考えられていたのだ。
 それは、戦艦の主砲の性能がアップし、砲戦距離が昔の1万mくらいから3万m以上にぐん、と伸びたことが背景にある。大砲の弾は遠くに届いたとしても、 じゃあ、それが命中するのか? という問題が生じたのだ。何せ、遠くまで届くということは、発射してから命中するまでの滞空時間もかかる。発射して1分く らいして相手に届くのだから、こりゃ、狙って撃っても当たらないんじゃないか? と考えられたのだ。
 そこで、少しでも命中率を上げるために考えられたのが、偵察機を艦隊の上空に飛ばし、砲撃の観測をさせようというものだった。戦艦の多くに水上偵察機が搭載されたのも、最初は遠くの敵を発見するというよりは、砲撃戦の観測用であったわけだ。

 そのあたりも反映してだろうか。艦これでは、水上偵察機を搭載することで、偵察能力だけでなく、命中率が向上している。
 実際には、敵味方の戦艦が悠長に観測機を飛ばして砲撃を照準しつつ殴り合う白昼堂々の艦隊決戦など太平洋戦争では発生せず、夜中に近距離で殴り合う暗闇 デスマッチとか、はるか彼方から空母艦載機だけが波状攻撃して戦艦が海の藻屑になる戦艦にとってミスマッチな戦いばかりがWW2の太平洋の戦いでは発生し ている。
 良い戦術とは、相手に実力を発揮させないことである。WW2の戦艦は砲撃戦に特化した優秀な軍艦だったが、それゆえに、まともな砲撃戦をさせてもらえなかったのだ。

●期間限定海域「警戒線突破」成功!……だが、「湾内突入」で攻勢頓挫
 さて、地味にレベル上げと日々の任務を達成しながら、第2、第3艦隊に遠征任務をこなさせて、物資を貯めていくことしばし。
 物資の備蓄が石油も弾薬も鉄も3000を超え、ボーキサイトにいたっては8000オーバーとなった。あまり危険な任務に空母を投入しないので、艦載機の 損耗が低く抑えられているのである。史実の日本海軍は、空母艦載機部隊を地上に配置して航空優勢をかけては、消耗するという悪循環に陥ったが、その愚はお かさない。

 いよいよ物資が貯まったので、期間限定海域「警戒線突破」への攻勢を開始する。
 我が第1艦隊の陣容は以下の通り。

 旗艦:空母〈赤城〉改 零戦52型×20、零戦21型×10、彗星艦爆×20、97式艦攻×32 
 軽空母〈祥鳳〉改 零戦52型×18、彗星艦爆×12、97式艦攻×12、応急修理女神
 戦艦〈霧島〉改 41cm連装砲、35.6cm連装砲、15.5cm三連装副砲、零式水上偵察機×3
 重巡洋艦〈足柄〉改 20.3cm連装砲、12.7cm連装高角砲、61cm四連装魚雷、零式水上偵察機×2
 重巡洋艦〈羽黒〉 20.3cm連装砲、61cm四連装魚雷、零式水上偵察機×2
 軽巡洋艦〈名取〉改 20.3cm連装砲、61cm四連装(酸素)魚雷、21号対空電探

 空母2隻を中心とする高速艦隊である。
 ……あれ〈名取〉? お前さん、そのレーダーどうした?

〈名取〉「あ、〈五十鈴〉ちゃんから奪……貸してもらいました」

 ……うん、分かった。ほどほどにしとけよ?

 「警戒線突破」マップでは、途中で巡洋艦中心の前衛艦隊と、潜水艦隊2つと激突するが、潜水艦については諦めることとして・・・よし、出発!

===ドッグの裏にて
〈五十鈴〉「もがー、もがもがー」
〈隼鷹〉「わ、〈五十鈴〉どないしたんや。お前、対潜水艦用に期間限定海域行くんやなかったんか?」
〈五十鈴〉「もががーっ!」
〈隼鷹〉「あー、なんか分かったわ。分かりたくないこととか、全部」
===

 しかし、ここで〈名取〉が大活躍をする。必殺の酸素魚雷による雷装99のパラメタが夜戦で炸裂したのだ。敵のエリート戦艦にバックスタブで忍び寄り、クリティカルヒットを連発する。ここぞというところで頼りになるヤンデレである。
 もちろん、無傷とはいかないが、20個以上貯めておいた緊急修理バケツをざぶざぶ使って、攻勢を繰り返す。そして思っていたよりは簡単に、マップ「警戒線」突破はクリアすることができた。レアアイテムの46cm三連装砲も獲得である。

 続いて、少し時間を置いて「湾内突入」マップである。
 航空戦艦中心の陣容ということで、艦隊を再編成して〈扶桑〉〈山城〉姉妹に頑張ってもらう。

 旗艦:空母〈赤城〉改 零戦52型×20、零戦21型×10、彗星艦爆×20、97式艦攻×32 
 航空戦艦〈扶桑〉46cm三連装砲、35.6cm連装砲、21号対空電探、瑞雲偵察機×10
 航空戦艦〈山城〉35.6cm連装砲×2、21号対空電探、瑞雲偵察機×10
 戦艦〈霧島〉改41cm連装砲、35.6cm連装砲、15.5cm三連装副砲、零式水上偵察機×3
 軽空母〈祥鳳〉改 零戦52型×18、彗星艦爆×12、97式艦攻×12、応急修理女神
 軽巡洋艦〈五十鈴〉改 20.3cm連装砲、12.7cm連装高角砲、61cm四連装(酸素)魚雷

 航空戦艦といっても、瑞雲偵察機を除けば搭載しているのは主砲と電探である。
 ……あれ、今度は〈五十鈴〉なのか?

〈五十鈴〉「ま、〈名取〉センパイには謝ってもらいましたし。引っぱたきましたけど」

 わー。ドロドロしてるなー。

〈五十鈴〉「そんなんじゃないです。〈五十鈴〉はいちいち、根に持つタイプじゃないですから。出来る後輩が恨まれるのは仕方ないですし」

 そういう話なのかなー。そうだといいなー。

 対潜能力に秀でた〈五十鈴〉を組み込んでの攻略は、それなりに順調に進む。何しろ対潜54である。当たればエリート潜水艦でも吹っ飛ぶ。

 しかし、敵停泊地の最深部にいたのは泊地棲鬼と空母フラグシップを中心とするエリート艦隊であった。派手な殴り合いになるものの、さずがに削りきれず戦術的敗北を重ねる。
 そして、応急修理バケツよりも先に、連戦で修理用の鉄鋼が尽きてしまう。
 無念の作戦中断となった。
 捲土重来、臥薪嘗胆。リメンバー、どっかのハーバーである。
 期間限定海域は6月5日までだそうで、なんとか空母〈翔鶴〉は獲得したいところだ。

アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(5)

2013年6月1日 アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌 No comments

●主力艦配備状況 少しずつ、主力艦がそろってきた。

〈名取〉「……」

・戦艦 〈扶桑〉※航空戦艦に改造

〈山城〉

〈伊勢〉※航空戦艦に改造

〈霧島〉※改造済み

 〈扶桑〉と〈山城〉は姉妹艦、つまり基本設計が同じ艦である。 姉妹艦は、性能が近いため、艦隊を組ませて行動するのに適している。 いつも一緒の仲の良い姉妹というわけだが、妹が心配でたまらない〈扶桑〉さんは、我が艦隊に〈山城〉がいない頃から「〈山城〉大丈夫?」などと空中に向 かって語りかけていて、たいへん怖かった。

 少々苦労したが〈山城〉を獲得できたことは、提督である私にも、他の艦娘にとっても、精神の安定に良いことで あった。 〈伊勢〉は〈扶桑〉〈山城〉の発展改良型である。〈扶桑〉さんが、ああみえて〈伊勢〉型戦艦にライバル心旺盛なため、バランスを取るため〈扶桑〉さん優先でレベルアップや、装備の改良は進めている。

 〈霧島〉は高速戦艦だ。眼鏡さんで、いかにも頭が良くてドジばっかりしてそうである。機動力が高いので、小型艦や空母を引率させて出撃させることが多い。装甲が若干弱かったが、改良型になってこちらも十分になってきた。今後の同型艦の登場が期待される。 戦艦は一度出撃させると燃料も弾薬もしこたま消費するため、ここぞという作戦以外では、港に浮かべてある。史実でも〈大和〉が、南太平洋で激戦が続く間 も、なかなか停泊地から動かないので〈大和ホテル〉と揶揄されていたが、こうして提督の側に立つと動かせなかった気持ちがよくわかるというものだ。

〈名取〉「……」

・正規空母 〈赤城〉※改造済み

 正規空母は、現時点で〈赤城〉1艦のみ。正規空母はたいへん強力なのだが、どうしても空母の特質上、攻撃に脆い。おかげで資源がどんどんなくなる。

 …… ひょっとしたら、〈赤城〉さんだけで、他の空母ならここまで資源は食わないのかもしれないが、何にしても今は〈赤城〉さんを養うので手一杯である。ツイッ ターをながめたところ、他の艦隊でも腹ぺこキャラが板についているようだ。強いけど、燃費が悪い。fateのセイバーさんポジションか。

〈名取〉「……」

・軽空母 〈祥鳳〉※改造済み

〈隼鷹〉※改造済み

〈飛鷹〉

〈鳳翔〉

〈龍驤〉

 我が艦隊の実質的な主力が、この軽空母艦隊である。陣容もそれなり。特に〈祥鳳〉と〈隼鷹〉は出撃回数が多いせいで、レベルも上がり改装を施して流星爆撃機や、零戦52型などの新型機を搭載している。 燃料や弾薬の消費は正規空母よりも低い上、戦闘力はほぼ互角。敵に空母がなければ、搭載機の少なさもそれほど気にならない。 ただし、レベルが上がると、損傷の修理には時間がかかるようになる。ちょっとした修理に1時間とか2時間とかの時間が必要なので、こまめに任務をこなして修理用資材(バケツ)の備蓄が必要となってくる。

 あと、主力艦以外として〈川内〉がついに参入。〈川内〉型そろい踏みで第3艦隊が運用できるようになった。これで、遠征艦隊が2つになる。 第2艦隊は、固定で海上護衛任務を回し続け、第3艦隊はそのときの資源備蓄に応じて、タンカー護衛や、資源輸送、鼠輸送などを実施している。地道に経験点も入るので、レベルの低い駆逐艦の育成にも使っている。

〈名取〉「……」

 ところで〈名取〉。『巨人の星』のお姉ちゃんのように物陰からじっと見るのやめてくれないかな。

〈名取〉「……」

 えーと。駆逐艦、食べる?

〈名取〉「いりません。これ以上駆逐艦を食べても、雷撃能力限界値なので上がりませんから」

 ああ、そういえばもう、雷装が99(酸素魚雷込み)まで上がってたっけ。 当たればでかいんだよなぁ……当たれば。

〈名取〉「どうせ、私は外してばっかりのダメな子です」

 いやいや、艦隊決戦では使わせてもらうって。

〈名取〉「そう言って、こないだだって〈五十鈴〉ちゃんを連れてったじゃないですか。騙されません」

 ああ、あれはほら。〈五十鈴〉が成長したらレーダーが手に入るとか聞いて……

〈名取〉「そうですよね。私なんか、成長しても代わり映えのしない酸素魚雷が手に入るくらいですし。もうお役に立てませんよね」

 むむむ。

〈名取〉「いいんです、私。どうせ旧式艦ですし。でも、時々は、若い子の引率、任せてくださいね?」

 ああ、はい。分かりました。 というわけで、しばらくは軽巡洋艦や駆逐艦など水雷戦部隊の育成に励んでみたい。 レーダーも手に入れたいし。

アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(4)

2013年5月30日 アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌 No comments

●潜水艦との戦い
 戦艦〈扶桑〉と空母〈赤城〉が登場し、いよいよ陣営も整ってきた我が艦隊。
 ここは、もう一度期間限定の『敵泊地に突入せよ』マップに挑戦してみよう。
 最初に挑戦した時には、途中で潜水艦にぼこぼこにされたあげく、ボス戦で水上機母艦〈千代田〉と駆逐艦〈吹雪〉が轟沈した死のマップである。

 この潜水艦というのは、実にやっかいな軍艦である。
 艦これでの敵潜水艦は、海面から腕がにょろーんと伸びた、まるで妖怪“船幽霊”ぽいイメージの敵だ。怪談話では、夜の海で船に乗っていると、海から“船幽霊”が現れて「ひしゃくー、ひしゃくを寄こせー」と言ってくるのだが、うっかり供養のつもりでひしゃくを渡すと、船の中に水を汲まれて船が沈むのである。
 艦隊これくしょんの敵が、沈んだ船の怨念が原型であるならば、潜水艦型の敵とはまさに、この“船幽霊”に他ならない。海に潜って姿を消せるあたりも“船幽霊”っぽい。

 潜水艦は、海に潜ることができる軍艦だ。初期の潜水艦は、空気や動力の関係から、長時間の潜水が難しかった。海の上であれば空気(酸素)がふんだんにあるので、石炭や石油を燃やして、その力で動くことができる。しかし、海の中では、石炭や石油を燃焼させる空気がない。そこでWW2頃の潜水艦は、潜った後は電池を使った。海の上では石油を燃やして動き、そのついでに電池も充電し、敵と戦闘となれば海に潜って電池で動くのだ。ずっと潜りっぱなしはできないので、初期の潜水艦は『可潜艦』とも呼ばれる。

 水上艦同士の戦いで効果を発揮する大砲や魚雷は、海の中にいる潜水艦には無効である。そこで、対潜水艦用の爆弾、いわゆる爆雷が必要とされる。
 艦娘の中で爆雷を装備しているのは、軽巡洋艦と駆逐艦だ。特に軽巡洋艦の〈五十鈴〉と〈由良〉は対潜能力が40もあり、潜水艦が登場するマップでは心強い。
 航空機からの爆撃も、浮上航行中か浅い深度で航行中の潜水艦相手には有効である。あと、横隊にするとダメージが増える。最初、いつものように単縦陣でつっこんで、ダメージが1点とか2点とかしか通らなかった時には、泣きそうになった。

 艦これの時代の後、潜水艦はさらなる進化を遂げる。原子力動力の原子力潜水艦が誕生したのである。燃料を燃やさず核分裂反応からエネルギーを引き出す原子力は、酸素を必要としない。長時間の潜行と水中での高速発揮が可能であるため、対処がとてもやっかいな敵だ。また、潜水艦の持つ見つかりにくさを利用して、冷戦時代には多くの原子力潜水艦が、潜水艦発射型の核ミサイルを搭載して海に潜んだ。
 もし、核戦争が奇襲的に発生して片方の勢力が火の海になったとしても、核ミサイルを搭載した原子力潜水艦が海の中で生き残っていれば、それで反撃を行うことができる。核ミサイルをつきつけあった相互確証破壊とは「ワシが負ける時には、お前も道連れじゃ」という実に覚悟完了した戦略である。そのへん、21世紀はだいぶ理性的な時代になったと言える。

 理性的な時代の遊びが可愛らしい女の子を軍艦にしちゃう艦隊これくしょんというゲームなのはどうかと思われるむきもあるだろうが、大丈夫。そのうち、イギリス海軍とかが参戦してくれて、こちらはきっと可愛いらしい男の子を軍艦にしてくれてバランスを取ってくれるに違いない。インド出身のマハラジャーな男の子とか、グルカ兵っぽい男の子とか、メイド服で女装した男の子が! 根拠はないが、21世紀は理性の時代だから!

●敵の補給艦をたたけ
 『敵泊地に突入せよ』マップに突入を開始して数日が経過した。
 ようやっとマップ1『前哨戦』をクリアしたが、そこで弾や油が尽きてしまう。
 敵にエリート艦が存在していて、味方に相応の損害が出るので、再び2個しかないドッグの前には、損傷した艦娘による長蛇の列ができている。
 少し目先を変えて、『南西諸島海域』のバシー島沖へと向かう。
 この海域には、敵に補給艦が出てくる。補給艦を対象とした任務もあり、これを実行して資源を手に入れようという魂胆だ。
 だが、これは残念ながら失敗に終わった。
 補給艦は攻撃はしてこないが、意外と沈めにくい。また、このあたりのマップともなると、敵にエリート艦がちらほら見えるようになって、手痛い反撃も受ける。今の我が艦隊では、任務を達成して手に入る資源より、修理などで出ていく資源の方が多いのだ。

 補給は、軍がその戦力を維持するために必須の存在である。特に燃料と弾薬の重要性は、艦これを遊んでいるプレイヤーには言わずもがなのことであろう。
 加えて、日本やイギリスのような海洋国家の場合は、戦略物資の輸送を担う輸送艦が途切れることなく海を渡ってくれないことには、経済が壊死してしまう。

 補給艦や輸送船を守るためには、補給艦や輸送船にとっての脅威を排除すればよい。
 かつて商船にとっての最大の敵は、巡洋艦、フリゲートだった。そして巡洋艦、フリゲートを駆除する一番の方法が、その根拠地となる港を叩くことであった。
 日露戦争以前は、敵の根拠地となる港を封鎖・占領することが海軍の作戦行動の多くを占めていた。日露戦争の旅順軍港の戦いは、その代表例である。
 しかし、第一次世界大戦の頃になると、敵の港を直接封鎖するのは機雷などの兵器の発達で危険が大きくなり(日露戦争の時点でも、封鎖中だった日本軍の戦艦2隻が相次いで機雷で失われている)戦艦を含む主力艦隊は、敵艦隊の出撃に合わせてこちらも出撃する、という風になってきた。

 かわりに、活躍するようになったのが、潜水艦と、通商破壊用の商船改造型巡洋艦、いわゆる特設巡洋艦である。これらの船は、潜水して、あるいは商船に擬装してこっそりと敵の警戒網をぬけて外洋に出、敵の商船を狙ったのである。

 第二次世界大戦では、これに航空機と、航空機や潜水艦がばらまく機雷が含まれるようになる。日本海軍はそうでなくとも補給路を維持するための商船の数が足りていなかったが、戦いが激しくなるにつれ、潜水艦と航空機の攻撃によって、いよいよ致命的に物資不足へと追い込まれることになる。

 なお、補給艦というのは数があればいいというものではなく、ガダルカナル島の戦いでは、夜の闇に乗じて補給艦や駆逐艦に搭載した物資を島に届けるまではできても、海岸にごろごろ並べるまでが精一杯で、そこから内陸に輸送する手段がなく、昼間になってから空襲で焼かれたりしたそうである。港湾施設の重要性がよくわかるエピソードだ。

アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(3)

2013年5月28日 アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌 No comments

●超ド級戦艦〈扶桑〉参戦
 戦艦という言葉の響きには、魅惑的なものがある。
 しかし、艦娘の元となった、第二次世界大戦で戦った「装甲が厚くて甲板の上に砲塔が乗っかっていて、でっかい」という戦艦は、軍艦の歴史の中では、それほど新しいものではなかったりする。
 そもそも、全体が装甲に覆われた軍艦というものは、ナポレオンの頃には存在せず、その後のリンカーン大統領の南北戦争の頃になって、ようやくそれっぽいのが出てくるほどなのだ。
 第二次世界大戦の頃は、現代的な戦艦というのは、まだ100年とたっていない新しい艦種だったのである。
 そして、新しいがゆえに、進化も早い。
 日露戦争の日本海海戦で戦艦が大活躍した翌年の1906年に進水した戦艦ドレッドノートも進化を加速した戦艦のひとつである。
 効率的な砲戦能力と、有利な砲戦に必要な位置取り能力とを備え、従来型のあらゆる戦艦を時代遅れにしたとされるドレッドノートの登場で、戦艦は、「ドレッドノート前」と「ドレッドノート後」に分けられたのである。
 ドレッドノートより古い設計の戦艦が、前ド級戦艦。
 ドレッドノートと同じ設計の戦艦が、ド級戦艦。
 そして、ドレッドノートより一段階進化した戦艦が、超ド級戦艦である。
 超ド級戦艦よりもさらに一段階進化した戦艦を超々ド級戦艦と呼称することもあるが、ここまでくると訳が分からなくなるので、艦これ的にはド級と超ド級だけ押さえておけば良いだろう。

 我が艦隊に配属された〈扶桑〉は、日本で建造された最初の超ド級戦艦である。
 特徴はやはり、火力と防御力である。戦艦の進化は彼女以後も急ピッチで進むため、史実の彼女は鈍足で使い勝手が悪い戦艦となったが、艦これでは違う。
 何しろ、艦これで提督(プレイヤー)が一番恐れるのは、自らが手塩にかけた艦娘が沈むことである。たとえ旧式であろうが、戦艦の装甲と耐久力は、提督(プレイヤー)にとってたいへん心強い。

 さっそく扶桑は第1艦隊に配属され、敵の攻撃を引きつける盾役として大活躍するのである。

「それって、損害担当艦ということですよね」

 いや、そうだけど。そういう台詞をにこにこと笑いながら言わないでくれるかな〈名取・改〉!

「だぶった駆逐艦娘(1レベル)、食べさせてくれたら黙っておいてあげます」

 キミすでに装甲が40、雷装も60あるよね!
 ついつい食べさせちゃう(近代化改装すること)、俺も俺だけど!

「そんなこといいから、撃っていい? ねえ、撃っていいよね? ねっ、ねっ」

 いいから落ち着け〈足柄〉。あんたはパトレイバーの太田か。なんでそんなに残念系美人なんだ。

●空母〈赤城〉登場! そして大破!
 「敵空母を撃沈せよ!」というミッションが出現した。
 すでに、敵空母は何隻も沈めており、今さらなんだろうと思ってかる~く実行してみると、空母〈赤城〉が手に入った。
 今まで空母を手に入れようとして大量に消費した資源は、いったいなんだったんだ、と呆れるほどにあっさりと。
 第二次世界大戦で、海の主力となった空母。21世紀の現代では航空機の航続距離が伸びたおかげで、かつてほどの神通力はなくなったが、今も空母を持つことを、一等海軍のステータスとする風潮は根強い。

 なぜ空母は強いか。それは砲撃や魚雷に対する圧倒的なアウトレンジ能力である。
 戦艦の砲撃戦の射程は、せいぜいが30km。30km向こうに大砲の弾を届かせることを考えると、それでもすごいものだが、相手も戦艦がいれば、それは互いに撃たれることが前提となる距離だ。
 だが、空母は違う。空母の間合いは搭載した航空機の航続距離だ。艦これではおなじみの九九式艦上爆撃機の行動半径は500kmである。一度、敵の空母に発見されてしまえば、この500kmから30kmまでの間は、空母艦載機に殴られほうだいになってしまうのである。悪天候や夜の闇に乗じるにしても、そうそう詰められる間合いではない。太平洋戦争の戦いが、空母中心になったのは、このためだ。
 だから、この時代の海戦は、敵味方に空母があれば、狙うのはまず敵の空母となる。空母がいなくなった敵は、一方的に空襲されるのがいやなら、逃げるしかなくなるからだ。

 もちろん、史実通りではWEBゲームにならないので、艦これでは、空母はそれほど一方的な存在にはなっていない。一方的な空襲は最初の1回だけで、それが終われば、空母は敵の砲撃の間合いへと入れられてしまう。空襲は可能だが、砲撃の対象ともなるのだ。

 それが、どのような影響をもたらすかは〈赤城〉が旗艦となった最初の戦いですぐに明らかになった。
 敵巡洋艦の砲撃を受けた〈赤城〉が、いきなりクリティカルで中破の判定を受けたのである。そしてもう一撃。たちまち耐久力のゲージが真っ赤になる。いくらなんでも、呆れるほどの運のなさである。
 這々の体で港に戻ってきたが、ここで衝撃の事実が明らかになる。
 赤城の修理の見積もりをとったところ、えらい数の資源が必要とされたのだ。
 もちろん、そんな資源はない。
 地道に艦隊護衛任務をこなしつつ、資源がたまるのを待つ。
 そしてようよう、資源がたまった頃。

「あの……提督。私の修理、そろそろの予定では?」

 すまんな〈赤城〉。〈扶桑〉が魚雷を受けて損傷したので、そっちに資源を回す。

「いえ、いいんです。私、その……いつまでも待ってますから」

 だが、それから数日。
 〈赤城〉はボロボロの姿のまま、ドッグの外に係留され続けたのである。
 その間、艦隊の航空戦力の要として大活躍を続けたのが軽空母〈祥鳳〉だった。
 最前線で戦い続けるから、あっというまにレベルが上昇。気が付けば〈祥鳳・改〉となっていて、搭載機数も48に上昇。主力は新型の彗星爆撃機である。長く問題であった装甲も40になり〈赤城〉に迫る勢いだ。
 後方支援能力という身の丈にあったリーズナブルさというのは、兵器にとって大事だなぁ、とつくづく感じるゲームである。

アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(2)

2013年5月25日 アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌 No comments

●遠征任務(わけても海上護衛任務)の重要性について
 艦これの面白いところに、後方支援の重要性がある。
 かつての太平洋戦争において、日本海軍は序盤でこそハワイで真珠湾したり、南太平洋にまで進出したり、それなりの活躍をみせたが戦争が進むにつれて、精細を欠いていく。
 その原因として、ミッドウェー海戦の敗北や、ガダルカナルでの消耗がよくあげられるが、空母が沈んだり、航空機や熟練パイロットが失われたことは、痛くはあっても致命傷ではない。
 日本海軍が、ぱっとしなくなった最大の理由は、艦隊や航空部隊を前線に送り出し、彼らに実力を発揮させるための補給や整備を整えるという、後方支援能力の貧弱さにある。
 対するアメリカ海軍については、有坂純さんが『歴史群像アーカイブ3』所収の『怒涛の米軍物量戦』で書かれているが、守勢ではなく、攻勢に出た戦争後半における後方支援能力の高さには瞠目すべきものがある。フィリピン侵攻作戦において、アメリカ海軍は第3艦隊に空母8隻、軽空母8隻を編成したが、こいつらが大量に消費する燃料は、タンカーでどんどん後方から送り出された上、給油艦34隻、護衛空母11隻などでなる海上兵站戦務群が洋上給油ステーションとなって前線近くまで進出し、腹を空かせた空母に燃料を供給し続けたのである。
 このあたりの、「無駄になってもいいから、大量の物資を途切れることなく送り出し続ける」アメリカ軍の兵站センスはたいしたものである。同時に、このセンスは、いらなくなった物資をどんどら捨てたり爆破して処分したりして平然とできる人や組織でなくては、なかなか身に付くまいとも思う。対して日本的な美意識はやはりカンバン方式に代表される、無駄を削ぎ落として効率を追求するところにあるように思う。

 閑話休題。艦これに話を戻す。

 艦これでも、艦隊が充実してくると兵站がネックになってくる。出撃して損傷した艦艇が、ドックに順番待ちの長い列を作り、資源がなくなったので、出撃できない艦隊が暇そうに港でちゃぷちゃぷ水遊びをしている風景は、艦これを遊んでいる人であればおなじみであろう。
 もちろん、WEBゲームであるからには課金をすることで足りない資源を何とかする手はある。ドッグも、課金して数を増やすことが可能だ。このあたりの感覚も、史実っぽさが出ていて、なかなかに面白い。
 しかし、多くの場合、兵站を支えるのは遠征(おつかい)任務である。中でも海上護衛任務は、そこそこの難易度・時間で、燃料200&弾薬200を補給してくれるので、艦隊の生命線となっている。
 だが、第1艦隊はこの遠征任務に参加できない。これはなんとも無念な話で、常に物資不足に泣いている我が海軍としては、第1艦隊も海上護衛任務に投入したいのが本音だ。
 というか、艦隊決戦とかいらないよね。

 検索したところ、遠征任務を担当できる第3艦隊が運用できるようになるのは、川内型軽巡洋艦3隻がそろう任務を達成したら、ということらしい。
 〈神通〉と〈那珂〉の2隻は、ちょくちょく出現しているので艦隊にそろえているが、いつまでたっても〈川内〉が登場しない。早くこいー。

●南西諸島防衛戦~敵機動部隊を撃滅せよ!
 遠征艦隊を海上護衛任務に送り出し、物資をためる。
 物資がたまったら出撃し、経験点と艦娘を獲得する。
 すでに同じ艦がいる艦娘は、見なかったことにして廃棄処分にし、物資をためる。あ、その魚雷発射管と12.7cm連装砲は剥いておけ。使えるからな。
 これを繰り返しているうちに、だんだんと主力艦隊の陣容が整ってきた。

 旗艦は我が艦隊初の空母〈祥鳳〉である。戦闘機は相変わらず搭載せず、九九式艦爆と、九七式艦攻が主力である。よく命中させるので常にきらきらモード(高揚状態)にあり、テンションも高い。脆いが、修理にさほど手間がかからない。まことにお手軽な、いわゆるチョロイン枠。

 護衛部隊の主力は、これまた我が艦隊初の重巡洋艦〈足柄〉である。〈足柄〉は史実ではイギリス海軍から「飢えた狼」とまで評された艦であり、黙っていれば、すらりとしたプロポーションのモデル体型な美人さん。だが口を開くと「飢えた狼」どころか「血に飢えた狼」になる。いいから落ち着け。美人なのにヒロインになれない枠。

 艦隊のまとめ役として重宝するのが、初期から長く旗艦を続けて気が付けばレベル20越えで酸素魚雷搭載艦となった〈名取(改)〉である。〈祥鳳〉の空襲、〈足柄〉の砲撃で撃ちもらした敵艦を、魚雷攻撃や夜襲で、こっそり後ろから忍び寄って刺し殺す。どうみてもヤンデレ枠。

 これら頼もしすぎる3隻を中核に、マップ1-4「南西諸島防衛戦」に挑むわけであるが……制空能力が足りない。
 マップ1-4「南西諸島防衛戦」をクリアするには、マップボスである敵機動部隊を撃破する必要があるのだが、この艦隊には正規空母が含まれる。
 戦闘機を搭載していない〈祥鳳〉では、敵艦隊にたどりつく前に搭載機をばたばた落とされてしまい、戦力が半減してしまうのだ。かといって、空母なしではつらい。
 もう1隻、どうしても空母が欲しい。
 そんな中で建造されたのが、軽空母〈隼鷹〉である。
 同じ軽空母だが、搭載機数は〈祥鳳〉の30機に対して〈隼鷹〉は58機。
 また、最初から戦闘機を搭載しているのだが……九六式艦上戦闘機である。ちと古い。
 仕方ないので、慣熟航海(レベル上げ)を繰り返しながら装備品を作ってみる。
 運良く、さほど失敗を繰り返すことなく零式艦上戦闘機21型、名高き零戦が完成する。ありがとう、庵野監督!

 こうして軽空母〈祥鳳〉〈隼鷹〉、重巡洋艦〈足柄〉、軽巡洋艦〈名取(改)〉に、「なのです」駆逐艦〈電〉、「ボクっ娘」駆逐艦〈時雨〉を加えた我が第1艦隊は、幾度かマップ1-4「南西諸島防衛戦」に挑み、ついに敵艦隊を退けたのである。

 そして登場したのは……なんと戦艦〈扶桑〉であった。
 ついに本当の意味での主力艦、超ド級戦艦が我が艦隊に加わったのである。

(続く)

アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(1)

2013年5月25日 アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌 No comments

ツイッター上で、フォローしている方々がやたらとプレイしている、WEBゲーム『艦隊これくしょん、通称『艦これ』を遊んでみましたので、その日誌を。

●『艦隊これくしょん』とは?

旧日本海軍の艦艇をコレクションして、その中から6隻を艦隊に編成して出撃させ、敵と戦って戦果をあげていくゲームです。 最初は、駆逐艦などの小型軽量艦艇(弱い)が中心ですが、だんだんと戦艦などの大型艦艇(強い)が使えるようになります。

DMM公式サイトはこちら

●ゲーム開始から~水雷戦隊結成

最初に、駆逐艦〈吹雪〉を手に入れる。 とにかく何をやればいいかは分かるが、何をやれば得になるか、損になるかの判断基準がないので画面上にある『任務』をひとつずつこなしていく。

・艦隊を編成したり

・艦隊を出撃させたり

・他のプレイヤーの艦隊と演習をしたり

・損傷した艦艇の修理や新造艦の建造をしたり

 まず『任務』欄をクリックし、次に実行し、任務を『達成』ボタンを押したら資源や艦がもらえる、という仕組みである。実行してから『任務』をクリックしても、一部をのぞいてダメである。

 そうこうしているうちに、軽巡洋艦と駆逐艦の数が増えてくる。

 この時期の艦隊編成は、軽巡洋艦〈名取〉を旗艦に+1隻軽巡洋艦、4隻駆逐艦編成であった。旗艦には命中ボーナスでもつくのか、〈名取〉はもうダメだダメだと言うくせに、よく当てる。 しかし、いつまでたっても軽巡洋艦よりも大きな艦艇がやってこない。 これは自分で作るしかないのか、と資源を消費して艦艇を建造してみるが、ことごとく駆逐艦と軽巡洋艦である。どうも、資源を100ずつとか200ずつバランスよくばらまいてはいかんようだ。 そこで鉄と弾薬を300消費して、後はそのままにしたら、駆逐艦だった。 腹いせにその場でスクラップにする。鉄300使って鉄7かよ、ちっ。

●敵空母出現!

 などとやっていると、敵に軽空母がでてきた。 現実の海戦がそうであったように、このゲームでも空を制するものが強い。 海戦の流れは、偵察の後、まず空母機動部隊の空襲からスタートし、その後で砲撃戦(ときどき空襲)があり、締めに魚雷を発射する。遠距離、中距離、近距 離の順番である。魚雷は、駆逐艦や巡洋艦が発射できるが、それまでに中破以上の損害を受けていると、魚雷戦は仕掛けられない。

 魚雷戦というのは、位置取りである。現代のミサイルと違い、当時の魚雷は発射するとまっすぐ進むだけなので、ちゃんと良い位置について、しかも距離は肉薄していないと魚雷は当たらない。損傷を受けていれば、速度が落ちたりして位置取りができないのだ。 その後、プレイヤーが望めば夜戦を挑むことができる。夜戦では航空機は使用できない。敵に空母がいれば、ここで一方的に攻撃することも可能だ。 しかし、そうは言っても空母の空襲は先手を取ってくるので痛い。かなり運が作用するが、小型艦であれば一発くらっただけで中破大破はざらであり、こうなれば、魚雷を撃つこともできずに殴られまくることとなる。 敵に空母がでてきたのも痛いが、重巡洋艦が出てきたのも痛い。 軽巡洋艦と重巡洋艦という切り分けは、分類的にはあまり意味のあることではない。ワシントン軍縮条約のからみで、戦艦などの大型艦をほいほい作るわけに はいかなくなったので、ぎりぎり条約に引っかからないサイズの巡洋艦を主力艦として使用しようとしたのが、重巡洋艦である。 重巡洋艦は何とかサイズを押さえようとしたせいで、バランスはちょっと悪くなったが、それでも主力艦を目指しただけあって、砲撃のパンチ力は従来型の巡洋艦、つまり軽巡洋艦よりもでかい。装甲も軽巡洋艦に比べるとあるので、これまたタフだ。 小型艦艇しかないこちらが頼りにできるのは魚雷だけだ。

 駆逐艦や軽巡洋艦から砲塔をおろして代わりに廃棄処分にした他の艦の魚雷発射管を山盛り搭 載して出撃させたところ、肉を斬らせて骨を断ったり、骨を斬らせて骨を断つ獅子奮迅の戦いぶりをみせ、勝率はそこそこ上がった。 しかし、鎮守府に帰還してくる艦隊は毎回ボロボロである。修理しようにも、修理ドッグは2カ所しかなく、順番待ちの長い行列ばかりが伸びてくる。とはい え、建造したり戦闘で獲得するのもやはり、小型艦ばかりなので、交代要員はいくらでもいる。〈綾波〉など4番艦までいる。まさに「私が死んでも代わりはい るもの」である。

●ついに空母建造、その名は〈千代田〉……いや、お前違うだろ!

 だが、このやり方は私もストレスがたまるが、艦隊の女の子=艦娘からもえらく不評であった。いい加減に大型艦を導入しろというのである。

 とうとう、艦娘を代表して〈名取〉が目に涙を浮かべて抗議してきた。他に大型艦がいないので、ひたすら旗艦として働かせてきたせいでいつの間にか、20 レベルである。頭上に高々と酸素魚雷を持ち上げ、「提督を殺して私も死にます」などと言われては、私としても心を入れ替える他ない。 しょうがないので、空母を導入することにした。鉄と弾薬と燃料を300ずつにして、ボーキサイトを500投入である。ひとまずは軽空母を造って、防空艦にしようと考えたのだ。

 そして登場したのは……〈千代田〉である。 いやいや、水上機母艦だろ、お前! 空母じゃないだろ! 装備を調べてみたら、高角砲と水上偵察機が12機である。 確かに、12機というのはそれなりの数であるが、搭載してるのが水上偵察機ではどうしようもない。母艦そのもにも攻撃力はない。これはダメかとがっかりしたが、ひとまず〈名取〉と組んで戦場に送り出してみる。 そしたらこれが、意外な大活躍。いや、大というほどではないが中活躍。 まず、偵察能力が高いので、敵を発見し、命中率、回避率が(心持ち)よくなる。が、この(心持ち)よくなるのが、小型艦艇中心の我が艦隊ではけっこう心 強い。敵の攻撃が当たらなくなってきたのだ。毎回、煙をあげながら無事な味方艦に曳航されてよろばうように港に戻り、しかも、ドッグが埋まってるものだか ら港でボロボロの姿をさらしていた艦娘たちの姿が、どんどん減っていったのだ。

 また、砲撃戦での偵察攻撃はどうも特殊攻撃扱いになるようで、時に魚雷命中並のダメージをたたきだす。 いけるいける。これはいける。 調子に乗った私は期間限定イベントマップ『敵泊地に突入せよ』に〈名取〉と〈千代田〉の艦隊を送り出した。 数日後、ボロボロになった艦隊が戻ってきた。 艦娘の顔は一様に暗く、その中に〈千代田〉の姿はなかった。 〈名取〉はしばらく私と口をきいてくれなかった。

●重巡洋艦〈足柄〉登場

 さすがに〈千代田〉の喪失は精神的にこたえた。 しばらく時間を置いて(具体的には資源がたまるのを待って)大型艦の建造をやり直すことにする。

 南北戦争からの近代海戦の流れを振り返ってみるに、やはり、近代海戦では装甲が一番大事である。〈モニター〉と〈バージニア〉の戦いをみよ。 毎回、毎回、艦娘たちがボロボロになって戻ってくるのも、彼女らが紙のような薄い装甲しか持たないからだ。ここはやはり、装甲の厚い大型艦に登場してもらうしかあるまい。 そして登場したのが、鉄500を投入した我が艦隊で初の大型艦〈足柄〉である。これまで旗艦をしていた〈名取〉とはまるで逆の、超ハイテンションな艦娘である。 大丈夫かいなと思わなくもなかったが、戦意旺盛な〈足柄〉は〈千代田〉喪失で沈む我が艦隊にとって、かっこうのカンフル剤となった。 彼女が皆の気分を立て直してくれたおかげで、我が艦隊は何とか鎮守府海域のマップ3をそこそこの成績でクリアできるようになり、艦艇の数も増えてくる。 これまでは、一度クリアしたマップには艦隊を送らなかったのだが、地道にレベルをあげるのも大事だと分かってきたのである。

 一回、大型艦が登場すると(あるいは提督レベル?)何か内部処理が切り替わるのか、以後はぽつぽつと、重巡洋艦が増えるようになってきた。なぜか〈足 柄〉ばかり3隻増えたのには頭を抱えたが。ひとつの艦隊に同じ艦は1隻しか入れられないのである。3隻あっても、1隻しか使えないのだ。

●軽空母〈祥鳳〉建造

 しかし、鎮守府海域のマップ4「南西諸島攻防戦」をクリアするには、さすがに空母が欲しい。せめて、防空の傘があるとちょっとは違うのではないか。そう考えて、ボーキサイト500を使って再び建造。今度こそ軽空母〈祥鳳〉が登場した。 よし、戦闘機だけ搭載して防空艦として使おうと考え、装備欄を確認したら。 97式艦上攻撃機と、99式艦上爆撃機。 戦闘機はかけらも存在しない。 これはどういうことかと問いつめたかったが、持ってないのは仕方ない。 〈千代田〉のこともあるので沈まないように〈祥鳳〉を旗艦に据え、はらはらしながら、まずはマップ3「製油所地帯沿岸」へと送り出す。 そうすると……おお、強い強い。 ここには敵に空母はいないが、巡洋艦はいる。こいつらの魚雷にはけっこう痛い目にあっていたのだが、敵に魚雷を発射させることなく、〈祥鳳〉の空襲が次々と敵を沈めていくではないか。なんだ意外と使えるじゃないか、こいつ。

「当然です! 正規空母には負けません!」

 よし、この調子でマップ4「南西諸島攻防戦」もやってもらおう。 意気揚々と送り出したが、私は大事なことを忘れていた。 敵空母がいる場合、当然、敵の空母は戦闘機も搭載しているのである。これまで、こっちが航空機がないので気づいていなかっただけである。 戦闘機を持たない〈祥鳳〉の艦載機は、ばたばたと面白いように落ちていき、ついでに敵の空襲でこちらの艦艇はボロボロになったのである。 こいつはどうしたものかしら。 (続く)

『宇宙戦艦ヤマト2199』のSFネタ解説その2:コスモリバースシステム

2013年5月24日 雑記, 『宇宙戦艦ヤマト2199』のSFネタ解説 1 comment , , , , , , , , , , , , ,

 宇宙戦艦ヤマト2199に出てくるギミックや台詞を元に妄想をたくましくしていくSFネタ解説シリーズの2回目。
 今回は人類救済のためのコスモリバースシステム、旧作では放射能除去装置コスモクリーナーDについてである。

 いったい、あそこまで破壊された地球の環境を復活させるというコスモリバースシステムとは、いかなるものだろうか。

 まず考えられるのが、旧作のコスモクリーナーDと同じような機械がイスカンダル星にあって、それを部品の状態でヤマトの中に運び込んで組み立て、地球に帰還すると地球が青い星に戻る、というパターンだ。

 このパターンだと、干上がった地球の海が戻り、動物や植物が復活し、しかもそれがごくごく短い時間で成し遂げられるというわけなので、

「ぱんぱかぱーん!世界創造装置ー」
「それはなんだいドラえもん」
「七日間で世界をひとつ創造するという装置さ。もちろん、作られるのは小さな箱庭世界だけど、未来の小学校では夏休みの宿題に、世界創造観察日記というのがあるくらい、よく使われている装置なんだ」
「劇場版じゃあるまいし、それじゃエドモンド・ハミルトンの『フェッセンデンの宇宙』だよ。ロクなオチが待ってないと思うな」
「21世紀ののび太くんは、ノリが悪いなぁ」

 という、ほとんどドラえもんの不思議道具並のパワーが装置に必要となる。
 いずれにせよ、地球環境の現状を考えると、こうした形での再生で一番ネックになるのが、時間である。何しろ人類滅亡までおよそ一年という時間を区切って いるのがヤマト世界だ。コスモリバースシステムを持ち帰ったはいいが、地球再生に千年も二千年もかかっていたのでは、地下都市に暮らす人々が全滅してしま う。
 時間を圧縮する方法として20世紀末あたりからSFでよく使われてきたのが、ナノマシンの使用である。今流行のノリでいくと、ナノマシンで作った物質を3Dプリンタ方式で組み立てて、植物や動物を作り出すのだ。
 このノリでいくともうひとつの地球が作れるということで……

「カーティス、きみは地球をもうひとつ造れるというのか」
「もうひとつの地球を造れるかと聞いたんだ、カーティス。山や海や街を造り、男や女や子供たちの声でいっぱいにすることができるのか。そして、もうひとりの、オットーやグラッグやサイモンを造れると言うのか」
(エドモンド・ハミルトン『物質生成の場の秘密』より)

 またもやエドモンド・ハミルトンが!

 さらに逆転の発想としてロバート・チャールズ・ウィルスンの『時間封鎖』手法がある。生き残った人間の方を時間的に凍結しておいて、地球環境が何万年かかけて復活するまで待ってからこれを解凍するという方法が考えられる。
 時間操作となるとかなりの超技術だが、ラリイ・ニーヴンのノウンスペースシリーズで登場した停滞フィールド的なものを使えば、ヤマト2199の作中のテクノロジー的にも妥当な範疇で何とかなりそうだ。人類が暮らす地下都市を、停滞フィールドに閉じこめておくのである。

 あとは並行宇宙とアクセスする技術を使って、人類が誕生していないが自然がそのままの並行宇宙から、地球を引きずりだして今の赤茶けた地球と交換 するという荒技もある。そろそろこのあたりになると、ハリイ・ハリスンの『ステンレス・スチールラット 世界を救う』っぽくなってきたな。

 なんにしても、遊星爆弾であそこまでむちゃくちゃになった地球を元に戻すのはよほどのテクノロジーがなくては難しそうである。惑星環境というのは、破壊するのは簡単だが再生してバランスを取り戻すには手間がかかるのである。

 だがしかし。
 ここでやはり、大いなる疑問が出てくる。
 いったいぜんたい、なぜ、イスカンダルは、そしてスターシャは「地球の環境を回復させる」ために「イスカンダルまで来い」という迂遠な方法をとっているのか、ということだ。
 これが神話や民話などの物語世界であれば、この流れはごくごく自然なものである。
 ウラジーミル・プロップが『昔話の形態学』で31の類型にまとめたように、物語はしばしば、主人公に試練を課してその力を証明させる。そこで使われるの が、苦難の旅路だ。連れ去られた幼なじみを取り戻すために、雪の女王の宮殿に行ったアンデルセンの『雪の女王』のように、ヤマトは地球環境を取り戻すため に、イスカンダルへ向かうのである。
 ヤマト2199も物語である以上、この構造自体に問題はないが、SF的な仕掛けもまた、そこにありそうである。

 そこで出てくるのが第5章で登場したビーメラ4の遺跡である。
 ビーメラ4には、今から400年ほど前にイスカンダルの使者がやってきて、波動コアを渡して、当時はまだ存在していたビーメラ星人に救済を約束している。
 遺跡や、不時着したイスカンダル宇宙船の様子からみて、どうもビーメラ星には恒星間航行に十分な科学力がまだ存在しなかったのではないかと考えられる。

 にも関わらず、イスカンダルが示した救済策は「イスカンダルへ来い」であったようだ。波動コアの内部情報からみて、ビーメラ星人に与えられた情報 の中にはイスカンダル人が作り(400年前の時点では)ガミラス人がメンテナンスしているゲートネットワークの情報も入っている。
 つまり、十分なワープ技術を作れないであろうビーメラ星人には、ゲートネットワークによるショートカット航路を、イスカンダルは示したと思われる。

 そしてもうひとつ、ビーメラ4の遺跡で気になる点がある。
 それは、イスカンダルの宇宙船が「そのまま」である点だ。
 これまで、サーシャの乗っていた宇宙船が1話で火星まで到達したところで爆発したから忘れていたが、実はイスカンダルからの宇宙船はもう1隻、ユリーシャが乗って無事に到着した1年前の宇宙船があるのだ。
 それはどうなったのか?

 思うに、もともとイスカンダルから送られる宇宙船というのは『一方通行』なのではないだろうか。サーシャの宇宙船のように爆発せずとも、地球に着陸したところで、自壊して機能を停止してしまうような。
 イスカンダルの、スターシャの一族は、400年の昔から、あるいはそれよりはるか昔から。滅亡の危機が訪れた知的生命体の星に、そうやって一族を宇宙船で送り出した。救済が欲しければ、イスカンダルへ来るよう伝えるメッセージを携えて。
 そして、成功すれば、一族のものは知的生命と共にイスカンダルへと帰還する。
 失敗したら――そう、失敗したら、その星で一生を終えるのである。ユリーシャも、サーシャも、元から任務に失敗すればイスカンダルへ戻れない運命だったのだ。
 400年前、ビーメラ4に送り込まれた過去の姉妹がそうであったように。

 これはまた、えらい覚悟である。なるほど、ある程度は裏の事情を知っていた沖田艦長がメ号作戦において「信じるんだ、彼らを」と言ったのも分かる。血を分けた一族の者を地球人と道連れにする覚悟で、イスカンダルは地球を救済しようというのだから。
 いったいぜんたい、何がイスカンダルをして、そのような理想追求というか、宗教的な情熱に駆り立てているのか。
 そこについては、まだ不明である。ガミラスとの関係も、何やらきな臭いものを孕んでいるようだ。

 しかし、もしすべての裏側に救済という名の罠があるとしても、どうやらスターシャやユリーシャらの一族は(ひょっとしたらガミラスやデスラーも!)その犠牲者であるらしい、と考えられる。
 滅びたくなければイスカンダル星へ来い、という救済の仕組みは、400年以上前から、地球やガミラスとは無関係なところで存在していたようだからだ。

 ガミラス人と地球人が遺伝的にほぼ同一であるように(そして、第5章冒頭で滅ぼされた惑星オルタリアの住人や、シュルツ司令の故郷ザルツも)大マゼランから銀河系にかけては広く、同一種族がはるか大昔に播種された可能性がある。
 それがイスカンダルの唱える救済とやらのシステムを作り出した連中だろう。
 我らの銀河系や大マゼラン銀河が巨大な「農場」だとすれば。
 イスカンダルの救済は、種をまいた「農夫」が用意したツールなのかもしれない。
 それぞれの惑星で育った「苗」が、日照りやその他の理由で滅びようとしたら、イスカンダルがチェックをする。よく育った「苗」であれば、救済を。育ってない「苗」はそのまま間引くのである。
 ビーメラ4は間引かれた。「農夫」が望む知的生命体としては、出来が悪かったからである。
 では、地球人は?
 地球に育った「苗」は、果たして間引くべきか?
 それとも、コスモリバースシステムという救済を与えて、育てるべきか?

 そして、だとすると。
 すでにコスモリバースシステムは、地球にあるのではないだろうか?
 「農夫」が「苗」を育てるために、地球環境をはるか昔に操作したシステムは、今も地球の地下深くに残されており、イスカンダルへ到着する、というのは、そのシステムを再起動するための試練であるのかもしれないのだ。

『宇宙戦艦ヤマト2199』のSFネタ解説その1:第二次火星会戦

2013年4月12日 『宇宙戦艦ヤマト2199』のSFネタ解説 No comments , , , , , , ,

 宇宙戦艦ヤマト2199に出てくるギミックや台詞を元に妄想をたくましくしていくSFネタ解説シリーズの1回目。
 第1話で名前だけ出てきた第二次火星沖会戦である。

 まずは2199年1月の太陽系の惑星の配置は以下の通り。
(※この図は、Solar System Liveを使って作成したものに、手を加えた)

2199_太陽系惑星配置図.preview

 第一話の冒頭。沖田提督率いる地球艦隊は、冥王星軌道の近くで、ガミラス軍と接触、交戦に入る。
 彼我の戦力は圧倒的で、地球艦隊はたちまち壊滅状態に追い込まれる。

 地球艦隊の目的は、表面上は、ガミラスの冥王星基地の破壊である。
 この段階で、地球は海が干上がり、赤茶けた死の星となっている。それを成したのが、冥王星から発射される遊星爆弾だ。
 冥王星基地に打撃を与えて、これを食い止める、というのはいかにも納得のいく作戦目的である。ガミラス側も、地球艦隊の総力を挙げたこの作戦に、全力で迎撃をしている。

 さて、それにしては――地球艦隊が妙に弱いようには思えないだろうか。
 ビーム砲は跳ね返されるわ、ガミラス艦の砲撃に対して地球艦隊の装甲は紙同然だわで、とてもではないが、戦いになっていない。
 作中で名前だけ出てくる第二次火星沖会戦では、ガミラス艦隊の侵攻を阻止できるほどの損害を与えたはずなのに……である。
 これには、戦場における準備と支援の有無が影響していると考えられる。
 地球艦隊は、火星において迎撃戦を行った。
 メ号作戦では、はるばる冥王星まで進出したあげく、迎撃されたのである。
 艦の性能差に加え、はるばる地球から(おそらく、有力な拠点は他にもうないものと考えられる)ワープ航法は使わずにやってきたのである。燃料(推進剤)もギリギリの状態だったのではないか。

 では、作中の描写を踏まえて、第二次火星沖会戦の展開を妄想してみよう。なお、妄想のソースとして谷甲州さんの『アナンケ迎撃作戦』を使用している。

2199_第二次火星沖会戦.preview

 

 火星での迎撃作戦前。ガミラス艦隊との交戦記録から、ガミラス艦の基本性能や、戦術については地球艦隊も理解していた。
 ワープ航法(ゲシュタム航法)を使わない場合の機動力はほぼ互角としても、彼我には火力と防御力に圧倒的な差がある。通常の戦い方では、勝ち目がない。

 地球艦隊が対抗策として用意したものがふたつ。
 ひとつは、ダイモスに設置した要塞砲である。
 もうひとつは、試作の反物質機雷だ。
 だが、どちらも運用には制限がある。
 要塞砲はガミラス艦が相手でもアウトレンジ砲撃が可能だが、射角に制限があり、また、冷却やエネルギーの注入に時間がかかるため、連射ができない。
 反物質機雷は、威力は十分だが大型なのでステルス化は困難。敵が接近すれば、搭載したブースターで加速しての攻撃が可能だが、通常の方法では接近する前に迎撃されて破壊されてしまう。

 沖田提督は、このふたつを組み合わせて運用する作戦を立てた。
 まず、火星のフォボス軌道に囮の艦隊と戦闘衛星を配置して、ここが火星の絶対防衛線であるように見せかけた。使われたのは、内惑星戦争時の旧式艦と、同じく内惑星戦争で火星独立同盟から終戦時に接収した戦闘衛星である。
 どちらも、追加の核融合エンジンを搭載させ、エネルギー(赤外線)反応を実際よりも高く見せかけてある。接近すれば、張り子の虎であることは明らかだが、この作戦は敵に接近されてしまえば、どちらにせよ負けである。
 続いて、ダイモス軌道にありったけのレーダー衛星を設置した。レーダー衛星群は要塞砲とデータリンクされており、接近するガミラス艦隊をアウトレンジ攻 撃するための照準データを送り届ける役目である。数が多いのはデータの精度と、戦闘開始直後から敵の攻撃でその多くが失われることが想定されていたからで ある。
 最後に、地球艦隊の主力艦は、主砲の1/3~2/3を降ろして身軽になり、代わりに反物質機雷を曳航・敷設する機能を備え付けた。そして、ダイモスのクレバス内部で、息を潜めて作戦開始を待ち続けたのである。

 戦闘は、沖田提督の想定通りに始まった。
 ゲシュタムアウトしたガミラス艦隊は、フォボス軌道に浮かぶ囮艦隊と戦闘衛星をテロンの主力と考え、接近を開始した。これまでの戦いからテロンの艦艇の 砲撃力を甘く見ていたのだろう。ダイモス軌道のレーダー衛星群からのレーダー照射も、さほど気にする様子がなく、艦隊を前進させた。

 十分な照準データを蓄えた後、ダイモスの要塞砲が砲撃を開始した。最初の一発は狙い違わずガミラスの大型艦に命中。これを撃破する。
 こしゃくな要塞砲の反撃に、ガミラス艦隊はしばし混乱したが、要塞砲が連射できないことを察知するや、すぐさま駆逐艦隊を分遣し、要塞砲の死角に回り込んだ。その間に、要塞砲は七回砲撃をするが、命中は三発。撃沈できたのは最初の一隻を含めても二隻だけである。

 ここで沖田提督の罠が発動する。

 ダイモスのクレバスから、偽装地表を突き破って、地球艦隊が躍り出たのだ。地球艦隊はいずれも大型の反物質機雷を一個、ないし二個曳航していた。そして、接近するガミラス艦隊の軌道前方、宇宙的な距離感覚ではすぐ鼻先で切り離したのである。
 ガミラス艦隊に与えた被害は甚大なものがあった。七割の駆逐艦が撃破され、残りも大量にばらまかれた高出力ガンマ線によってむき出しのアンテナ類に損傷を被ったのである。
 そしてそこに、反物質機雷を切り離して身軽になった地球艦隊が転進して迫ってきた。
 艦砲の撃ち合いとなれば、ガミラス艦隊はさすがのタフさを見せたが、地球艦隊は損害にかまわず肉薄して主砲とミサイルをたたき込む。戦いはこのまま、地球艦隊が優勢で終わるかと思われた。

 だが、ここで新たなガミラス艦隊がゲシュタムアウトする。
 ガミラス艦隊を率いるシュルツもまた、艦隊をふたつに分け、ゲシュタム航法を使った時間差攻撃で地球艦隊の側背を衝く作戦を立てていたのである。反物質機雷を使い尽くし、激しい機動戦で推進剤の多くを消耗した地球艦隊に、この新たな艦隊と戦う力はなかった。

 それでも、地球艦隊は死力を振り絞って最初のガミラス艦隊(α)を壊滅に追いやり、新たなガミラス艦隊(β)の追撃を振り切って地球へと撤退に成 功する。だが、その時には艦隊の九割が失われ、ダイモスもフォボスも陥落し、囮艦隊や戦闘衛星のすべてが破壊され尽くしていた。
 地球艦隊は、この時点で宇宙戦力をほぼ喪失したが、ガミラス側もまた、ゲシュタム航法も持たない辺境の蛮族相手としては前代未聞の手痛い損失を被ってい た。慎重なシュルツ司令は――二等ガミラス人である自分たちの空間機甲旅団に増援があるはずもないという現実も踏まえて――地球への直接侵攻を断念。以後 の作戦を、冥王星からのロングレンジ攻撃に切り替えることとなる。