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魔機復元09

エルランとイスカンダル ―― Elran & Iskandar

 エルランの意識状態が回復するまでは、なるべく動かない方がいいだろう。ヘッドライトを修理しながら、ついでに車体の点検もする。タイヤの空気圧は問題なし。電池もまだ予備がある。冷却系異常なし。しかし、セラミックのフレームにごく小さなクラックが入っていた。たぶん放置してもしばらくは大丈夫だと思うが、念のため焼き直して修復する。

 地味な作業を続けながら、ふと、この術式が生まれるきっかけになった出来事を思い返した。
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魔機復元08

魔法工学者 ―― Who am I?

「あなたは何者なのか?」

 と聞かれたら、ぼくは何と答えるべきだろう?
 もちろんぼくは魔法使いで魔法学者だが、「何の」魔法学者なのかと言われるとちょっと言いよどんでしまう。
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魔機復元07

魔機復元 ―― Reconstruct Machine Maiden

「Combat load, ready.」 (戦闘態勢)

 いくつもの戦闘補助術式が起動され、視界がワイヤーフレームのような簡素化された表示に置き換えられる。戦闘時に必要なのは、たくさんの情報ではなく、不必要な情報を意識から隠すことだ。多すぎる情報は迷いを生み、瞬時の判断を難しくする。
 達人と言われるような魔法戦のプロたちなら、訓練と経験で意識しなくても情報の取捨選択ができるらしいけど、ぼくはプロではないので、魔法でなんとかする。
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魔機復元06

魔法近接戦 ―― Magical Closed Combat

 魔法使い同士の戦闘というのはとかく不毛なもので、毎時数千基数の防御魔法を垂れ流しながら、お互いの探知魔法を数時間から数日にわたってつぶし合うとか、そういうただひたすらダルいものになりがちだ。仮に相手がぼくよりよっぽど弱くて充分勝ち目があるとしても、ぼくが費やした魔力に見合う報酬を得られる可能性はほとんどない。
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アニメ『氷菓』3年目の答え合わせ

 先だって、米澤穂信〈古典部〉シリーズ最新作が『野性時代』2016年1月号に掲載されることが発表された。
 2001年から続く大人気シリーズだが、現在「連峰は晴れているか」「鏡には映らない」「長い休日」の短編3作が単行本未収録となっており、長らく単行本化が嘱望されて来た。まだいささか気の早い話だが、この最新作をもって『遠まわりする雛』以来の短編集として出版されることを一ファンとして期待したい。
 なぜなら、この短編集はおそらく〈古典部〉シリーズ最大の“謎”に対する解決編となることが予想されるからだ。

(以下、本編およびアニメの一部ネタバレが含まれます)
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魔機復元05

盗賊になろう ―― Parallel World

 ぼくのライブラリによれば、「カウバ」という単語には少なくとも2つ該当する言語がある。ひとつはハワイ語で「奴隷」という意味だが、ここがハワイのようには思えない。もうひとつは……ぼくの考えが正しければ、「カウバ」はこの大陸の先住民の言葉で「岩」という意味のはずだ。彼らは白人種ではないので、このお嬢さんは後からやってきた移民かその子孫だろうと思われる。
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魔機復元04

脳と心の相関地図 ――Brain-mapping

 賢明なる読者諸兄は先刻承知と思うが、現代の魔法の多くは「科学技術の後追い」である。すでに原理の解明されたものを魔法で再現しているに過ぎない。燃料を使う代わりに魔力を使っているだけで、そこに不思議なことは何もない。しかし、いくつかの部分では科学よりも魔法の方が進んでいる分野もある。

 そのひとつが、ブレインマッピング――脳と心の相関地図だ。
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魔機復元03

既知の言語に該当なし ――No data in a known language.

 さて、タブレットの表示を見ると、井戸の方はまだ時間がかかるようだ。既に夜を越す算段はついているので、次はもうちょっと快適に過ごす方法を考えよう。
 まず、簡単な魔力感知術式を組む。たいていの生き物は強い魔力を帯びているので、生き物が動くとその周囲にさざなみのような魔力の波紋が生まれる。この魔力の波を計測する術式を複数の箇所に置いて、三角法を用いれば対象までの方向と距離が分かる。まあもちろん、面倒な計算はタブレットにやらせるけど。
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魔機復元02

井戸を掘る ――Wishing Well

 エアコン代わりに気温を下げる簡単な魔法(といってもこれのおかげで魔力の集まる速度が8割に減った)を使い、ようやく砂の上に腰を落ち着けることができた。尻が熱いとか砂まみれになるのはもう気にしていられない。どっちみち、魔法陣を描いた時に砂まみれの手で顔をぬぐったりしたから、何もかも手遅れだ。
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魔機復元01

まずはじめに じめんをかく
つぎには そらをかく
それから おひさまと ほしと つきをかく

(谷川俊太郎 『えをかく』)

光あれ ――Light will be.

 見渡す限りの、砂と空。
 真昼の日差しを浴びた砂はただただ白く輝き、空はひたすら青い。
 気がつくとぼくは、砂漠の真ん中に立っていた。
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