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ROGM回顧録Ex2 The Abyss防衛戦・後編

「守備隊……全滅です!」
「負傷者の収容急げ。……ま、そりゃそうだろうさ。自軍の4倍の敵とまともに殴り合ったんだ」

 ただ一度の攻撃で守備隊は全滅、そして結界(*1)の9割を喪失。なすすべもなく次の攻勢が続き、敵の魔道士部隊がエンペリウム(*2)を攻撃する様を指をくわえて見守るしかない。しかし……。

「エンペリウム、持ち堪えました!」

 ――我々はこの日のために備えてきたのだ。
 わずか2分の間に、キャンプからあらゆるものが失われても、なおエンペリウムは輝き続けていた。
 建設当初から駐留していた聖職者隊が、エンペリウムを際どいところで守っていた。

「聖職者隊の隊長に言っとけ、後で勲章申請してやるってな」
「聖職者隊とは連絡が途絶えています」
「――そうか。では二階級特進も追加だ」

 奇襲の成功を受けて、共和国軍はかさにかかった攻撃を仕掛ける。増える攻撃表示の中、懸命な結界の修復活動を行う。

「援軍に撤退指示を出しますか?」
「まさか。大混乱になる。潰走どころの話じゃない。いいか、ここが命の捨て場所だ。本部からギルドメンバーを呼び寄せろ(*3)。重傷だろうが起きて戦うように言え」

 本国からの指示で調査に出ていたメンバーを、身一つで守備につかせる。回復したばかりのカプラ職員にさえ武器を取らせた。そして。

「第三波と接触しました」
「しめた、これは規模が小さい……!」
 大隊規模の敵軍を、集まった援軍と共同で撃破する。わずかの差で、敵の2倍の防御力を達成……死体は情報を持ち帰らない(*4)。

 シュバルツバルトの攻勢が、止まる(*5)。

「敵、第二陣の部隊が戻ってきます!」

 無傷の敵連隊の再攻撃、迎え撃つ教国の兵士たち。できることはもはやない。あとは友軍に任せるしかない。

「攻撃部隊、すべて撤退しました!」
「は……はは、勝った、勝ったぞ!」

 約二時間の攻防の後、The Abyssに立っていたのは、各地から集った教国の援軍たちだった。
 両軍合わせて2万人に及ぶ兵士たちが参加し、そのうちの1万が異世界の土に消えた。この日の戦いを記した戦士の碑には、こうある。

『シュバルツバルト共和国とアルナベルツ教国の健闘を称えて』

*1 ほぼ唯一のキャンプ防衛施設。攻撃されるとレベルダウンする。
*2 キャンプの中枢。これを破壊されるとキャンプは消滅する。聖職者はエンペリウムの耐久度回復を助ける効果がある。
*3 ギルド本部にいるギルドメンバーは、直接キャンプに配属させることができる。ここでは、攻撃前に移動クエストで外に出ていたメンバーを即時投入した。
*4 戦力に2倍以上開きがあると、敗北側には勝利側の情報が表示されない。
*5 貴重な魔道士部隊を守るため、攻撃側は防御側の戦力表示を常に確認している。敵の戦力がわからないキャンプに魔道士を突っ込ませるのはリスクが大きい。

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