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ROGM回顧録33 層の厚さという壁

 ROGMにおける二国間同盟という信じがたい事実を前にしても、僕らは比較的冷静ではあった。

『南東』勢が共和国対人層と何らかの交渉をするかも知れない、という予測は確かにあった。南東勢にとっても主敵は僕らであり、僕らと殴り合うためには、共和国との戦いを止めなければならない。本当にやるとは思わなかったが、やってきたのなら仕方がない。

超ヤバイ

超ヤバイ


 翌週、僕らは『南東』を殴るつもりだった戦力で共和国の主力対人グループを殴った。僕らにしても、二正面作戦を繰り広げる力はないのだ。共和国側から見て旨みの少ない同盟である以上、僕らが本気で共和国を殴れば気が変わるかもしれない。
 しかし、今回ばかりは珍しくACCA内で意見が割れた。共和国など放っておいて、今ある戦力を王国にぶつけるべきだ、というのだ。それはそれでもっともな意見である。共和国が方針を変えるという確証がある訳ではない。
 結局のところ、共和国を叩く方針が採択され、先週王国と呼応して僕らのキャンプを攻めた共和国勢は無事異世界からたたき出された。

 だが、共和国がそれで方針を変えるということはなかった。

 あの日から、教国の領土には昼夜を問わず、縦横無尽に青い「塗り」が走った。僕らは常に、どこから魔導士が飛んでくるか分からないという恐怖に怯えた。僕らの対応は常に後手に回っていた。
 王国の攻撃隊は、移動速度増加スキルを完全に使いこなしていた。そればかりか、「ぐるぐるタイム」をキャンセルして塗りの速度を速める新たな「技」まで編み出していた。

 具体的にはこうだ。移動指示をした後、そのセルに攻撃が成功してぐるぐるタイムが始まる前に、もう一歩先のセルへの攻撃指示をする画面を出す。このままOKボタンを押しても通常はエラーが出るだけだが、この画面が出ている間はブラウザは更新されない。だが、内部的にはきちんと攻撃は完了する。そして、OKボタンを押した時間が「着地後」であれば、その指示は正常なものとして受理される。
 伝え聞くところによれば、王国の攻撃隊はさらに「複数のタブを開いて、あらかじめ数歩先までセルの指定をしておく」ことで、より高速な塗りを実現していたのだという。

 僕らが恐れていた通り、王国の対人層の「厚さ」は脅威だった。そしてついに、ドクトリンでも、戦略でも追いつかれ、あるいは上回られた。僕らにできることは、ただ全力で抵抗することだけだった。

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