雑記

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アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(27) 海軍休日ふたたび

〈大和〉を手に入れる激戦の『南方海域強襲偵察』のマップ4をクリアしてからしばらく。 我が鎮守府では平和な日々が続いていた。〈舞風〉「おーい、提督ー。仕事しようよー」 あー?〈舞風〉「ほらほら、第2艦隊も第3艦隊も第4艦隊も戻ってきたよ」 おー。んじゃ、士気高揚艦娘はそのまま。 士気高揚が切れちゃった艦は、待機状態の士気高揚艦娘と交代。〈舞風〉「だから、その士気高揚艦娘がもういないんだって。ぼけーっと何日も回してるから、交代で全員、元に戻っちゃってるよ。あたしも含めて」 そうか。じゃあしょうがないな。ウィークリー任務もそろそろこなさないと週末になっちまう。〈舞風〉「ルーチンだなー。大丈夫? 飽きてない?」 いやいや、楽しんでるぞ? 私は、根っこのところが内政ゲーマーなんだ。人と遊ぶ時には攻撃的なプレイもするけど、他人と競争しない場合には、ひたすらだらける。〈舞風〉「まあ、そうだろうね……資源の備蓄量をみれば分かるよ」▼資源量燃料:100k(40k)弾薬:110k(28k)鋼材:68k(20k)ボーキサイト:25k(10k)高速修理資材:500(168)※()内は〈大和〉入手時〈舞風〉「貯めたもんだねー」 デイリー任務・ウィークリー任務以外は、遠征くらいしか回してなかったからな。〈舞風〉「そのデイリー建造だって、ALL30だよね。新しい艦娘、欲しくないの?」 欲しいのは〈長門〉と〈瑞鶴〉だからなー。 建造で資源を使うのはもったいない。 いずれドロップするさ。〈舞風〉「しないよ。このところずーっと、南西諸島海域くらいしか行ってないじゃない」 でもなー。西方も北方も、けっこう敵が強いからなー。昔は潜水艦を送って被害吸収艦にできたんだが、今は潜水艦送ると、対潜装備持った軽巡がお出迎えしちゃうからなー。〈舞風〉「そりゃするよ! 深海棲艦だって、頭はあるんだから、対策くらい取るって」 あるのかー? いや、頭部はあるのは分かるが、知性はあるのかな、あれ? ……おや、誰か来たぞ。〈天龍〉「おいこら、いい加減にしろ、この堕落提督。いつまでぐーたらしてんだ。気がつきゃ、星が減って中将になってるぞ」 おや、本当だ。 仕事してないから、ランキングも落ちたか。〈天龍〉「何すかしたこと言ってやがる。やる気ないのか、こっちは暇して……いや暇はしてないか」〈龍田〉「遠征艦隊は、簡単な任務でも6隻編成ですものねー。軽巡2隻と駆逐艦4隻」〈天龍〉「ああ、しかも士気高揚状態にするため、毎日のように、鎮守府近海を回ってるから経験値だけは貯まりやがる」〈龍田〉「私も〈天龍〉ちゃんもレベル40。他の軽巡娘もレベル35~39ですものねー。忙しくてデートもできない」〈天龍〉「ウチにいるちびっ子(駆逐艦娘)も、レベル30ばっかりだ。まあ、艦隊の底上げしてんのはいいことか」 そうだぞー。軽巡と駆逐艦は、太平洋戦争の後は、だいたい仕事が同じような感じになってきて、現代海軍ではこの2種類がいれば、だいたいのことは片が付くようになったからなー。〈天龍〉「うんちくはいいんだよ。でも、おかげで〈赤城〉とか完全に食っちゃ寝モードだぞ。三段飛行甲板空母どころか、そのうち三段腹空母だ」 デイリーで演習に出してる〈大和〉もレベル70を超えて改になったしなー。 もう、することないかなー。クッキーでも焼くかなー。〈響〉「そんな自堕落提督に、朗報だよ」 お、どうした〈響〉?〈響〉「僕を70レベルまで育ててよ」 うわ、今は何レベルだっけ?〈暁〉「私たち、第6駆逐隊は全員42レベルよ!提督なら覚えててよね!」〈天龍〉「俺らより高いんだよな」〈電〉「あうあう。3-2海域をクリアするために頑張ったのです」〈雷〉「それでね!提督!〈響〉を70レベルに育てると、改2で第二段階になるんだって!」 なるほど……(ごそごそと鎮守府情報を見る)ふむ、ソ連艦娘になるのか。これは面白い。育ててみよう。〈響〉「それともうひとつ。新マップで、南方海域が解放される。MO作戦で、珊瑚海とかあるみたいだよ」〈祥鳳〉「珊瑚海!」〈翔鶴〉「MO作戦!」 わ、どこから沸いて出た。〈祥鳳〉「珊瑚は嫌いですが、珊瑚海は因縁の海です!今度こそ、勝ちます!」〈翔鶴〉「はい!ポートモレスビーを手に入れて、FS作戦を成功させましょう!」 あー、昔の架空戦記だと、よく成功したなー。ポートモレスビー攻略。その後は、フィジー=サモア線を制圧して、オーストラリアを孤立させて単独講和したりとか。 実際には、オーストラリアまでの兵站を維持するための輸送船が……〈響〉「はいはい」 最後まで喋らせてくれよ。 まあ、いいか。よし〈響〉の育成と、艦娘の前世からの因縁を晴らすとするか。 備蓄を取り崩せ! 主力艦のビルジを抜け! 〈大和〉と〈陸奥〉をたたき起こせ! 久しぶりに、戦争らしい戦争をやってみようじゃないか!〈雷〉「なんだか、心の底から楽しそうね」〈響〉「内政プレイヤーとかなんとかカッコつけてるけど、提督は本当はお祭りが大好きなのさ」〈電〉「わくわくしてきたのです!」〈翔鶴〉「待っていて〈瑞鶴〉。ポートモレスビーまで行けば、きっとあなたにも会えるはず……」 あ、〈翔鶴〉は留守番ね。〈翔鶴〉「なんでですかーっ」 レベルまだ低いからなー。今回は〈赤城〉〈加賀〉の一航戦でやる。〈加賀〉「ここ(攻略艦隊)はゆずれません」〈翔鶴〉「うー……でも〈瑞鶴〉来たら、五航戦で育ててくださいね?」 というわけで、海軍休日を終え、攻勢再開であります。

By |2013-09-21T01:21:13+09:009月 21st, 2013|Categories: アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌, 未分類, 雑記|アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(27) 海軍休日ふたたび はコメントを受け付けていません

アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(21)

●艦これの終焉を妄想してみる 今や飛ぶ鳥をレールキャノンで落とす勢いの艦隊これくしょん。 提督数も、新しいサーバの登場で10万を超え、20万に迫る勢いである。 だが、盛者必衰、円環の理に従っても始まりがあるものにはいつか終わりがくる。 果たして、艦これの終わりはどのようにもたらされるのであろうか? 以後は、私が妄想した艦これの終焉(イベント)である。===▼遠征艦隊、帰還せず 終焉は、遠征艦隊の帰還と共に始まった。〈天龍〉「すまねえ・・・提督、しくじった」 第2艦隊を任せている〈天龍〉が、満身創痍で鎮守府に帰還したのである。提督「おい〈天龍〉!お前、海上護衛任務じゃなかったのか!」〈天龍〉「ああ・・・くそっ、あたしとしたことが、ドジふんじまったぜ・・・」〈龍田〉「提督、失礼します――〈天龍〉ちゃん!ダメじゃない、ドックに入らなきゃ!あなた、触雷して大破してるのに!」提督「〈龍田〉!お前もボロボロじゃないか!話は後にして、ふたりともドックに――」〈天龍〉「いいから聞けっ!大事な話なんだっ!」提督「う・・・」〈天龍〉「鎮守府の港の外に機雷原が敷設されている。すぐに掃海艇部隊を編成して、航路を切り開け。このままじゃ、他の遠征艦隊までやられちまう」提督「わかった。すぐに向かわせる」〈天龍〉「よぉし、いい子だ。それと、資材とチビ(駆逐艦娘)どもは無事だ」提督「ああ、お前のおかげだ。いつも助かる」〈天龍〉「へ、そう思ってんのなら、たまにはあたしを第1艦隊に編入しろってんだ・・・ったくよぉ・・・」提督「おい〈天龍〉!しっかりしろ〈天龍〉!」===▼海上封鎖 遠征艦隊に送り出した艦艇が、鎮守府周辺に敷設された機雷によって、次々と損傷を受けるようになる。そしてそれに伴い、任務が失敗する割合も増えてくる。 それまで出撃せずに遠征艦隊を回していれば、それなりに資材が回復していたというのに、今や遠征や機雷の掃海任務に送り出す艦艇の消費する燃料と弾薬の方が、上回るようになったのだ。 備蓄していた燃料と弾薬がじりじりと減少する。 これを補うには、課金しかない、と提督の多くが財布を握りしめてアイテム屋に駆け込むが――そこには、すべての棚が空になり、しょぼくれるアイテム屋娘の姿しかなかった。 考えてみれば、道理である。アイテム屋にだって、無から燃料や弾薬が生じるわけではないのだ。今や、鎮守府周辺の海は、深海棲艦により完全に封鎖されつつあった。===▼機雷原を突破せよ その頃、第1艦隊は、はるか南泰平洋で立ち往生していた。戦艦と空母を中核とする第1艦隊は、南泰平洋の根拠地であるトラクター島で、母港に戻ることもならず、雪隠詰めとなっていた。〈長門〉「こうなっては、いたしかたあるまい。どれだけの損害を被ろうが、全艦隊が一丸となって鎮守府への航路を突破するのだ」〈陸奥〉「姉上、ですが今となっては突破こそ至難の業かと」〈霧島〉「私の計算でも、機雷原を全艦が突破できる可能性は3%未満です」〈加賀〉「そう、戦艦も空母も機雷原を切り開く能力はない。とても危険」〈金剛〉「主力艦だけで来たのが仇になってマース」〈長門〉「そのことを悔やんでも仕方ない。我々は、何としても、母港に戻るのだ。たとえ半数が沈んだとしてもな」〈扶桑〉「先頭は、私に任せていただけないかしら?」〈山城〉「姉様っ?!」〈扶桑〉「こういうのは、順番があると思うの。〈長門〉さん、あなたならそのことが分かるはず」〈長門〉「・・・ひどい人だ、あなたは。また私に、あの夜を繰り返せというのか」〈扶桑〉「何度でも。それが必要である限り」〈長門〉「分かった。先頭は〈扶桑〉続いて〈山城〉〈伊勢〉〈日向〉。その後に私と〈陸奥〉。〈金剛〉たちは最後尾だ」〈比叡〉「ちょっと待って! 私たちの方が機動力があります!前衛には向いています!」〈長門〉「だめだ。相手が機雷なら、機動力は関係ない。そして、お前たちの防御力では一発の機雷が致命傷になりかねん」〈比叡〉「ですけど!」〈長門〉「それに、こちらが逃げようとしたら、敵の追撃もあり得る。そのときこそ〈金剛〉型の出番だ。いいな」===▼鎮守府最後の戦い 満身創痍となった第1艦隊が帰還した後も、戦況は悪化の一途をたどる。 せっかく戻ってきた第1艦隊だが、出撃するどころか、資材不足で修理すらままならぬ状態でボロボロになった身体を港にさらしている。〈赤城〉「提督」提督「こんな夜中に、なんだ?」〈赤城〉「提督こそ、こんな暗い部屋で書類仕事なんて、目が悪くなってしまいますよ」提督「そうも言ってられない。なんとか燃料と資材を調達しないと。このままでは、じり貧だ」〈赤城〉「そんなにも、悪いのですか。駆逐艦娘たちにあげる燃料すらないほど」提督「いや・・・ん、そうだな。お前に隠してもしょうがないか。今や、最後の備蓄に手を出すかどうか、ってところだな」〈赤城〉「あの・・・いざとなったら、私を解体・・・いひゃい、いひゃいれふ!」提督「さんざん、今まで食っちゃ寝しておいた身で、ロクな資材にもならないくせに、解体されて楽になろうだぁ、どういう了見だ? 怒るぞ、こらっ」〈赤城〉「すみません。でも、相手が機雷原と潜水艦型だけになった今、私に出来ることは、もうこれくらいしか・・・」提督「いや、こうなったからこそ。お前には最後の仕事がある」〈赤城〉「最後の仕事って・・・いやですよ、提督を見捨てて逃げる役なんて」提督「そうじゃないって。あー、なんて言ったらいいかな」 提督は、鎮守府の床にどっかとあぐらをかいた。 〈赤城〉もまた、その隣に横座りとなる。提督「深海棲艦の狙いは、なんだと思う?」〈赤城〉「何って・・・恨みを晴らすために、船や人を襲ってるのでは?」提督「そりゃ恨みはあるだろう。けど、こうなってみると分かるが、あいつらは、俺たち人間なんか、最初から眼中にない。深海棲艦がこんな風に機雷原で航路を封鎖する手をとってたら、ハナからお手上げだった。なのに連中は、最後の最後になって、反則とも言うべき、通商破壊に出た。手を出せない深海から、機雷だけ放出して来ている。これまでこっちに合わせて海の上でドンパチやってたのに、だ。なぜだ?」〈赤城〉「そう言われても・・・嫌がらせのようにしか思えませんね」提督「そうだ。こいつは嫌がらせだ。それも、俺たち人間にじゃない。お前たち、艦娘への嫌がらせだ。深海棲艦の狙いは、お前たち、艦娘を絶望させることなんだ」〈赤城〉「私たちを戦わせ、勝てると思わせて絶望に・・・まさか、彼らの狙いは・・・」提督「お前たち艦娘を絶望させて深海棲艦にし、仲間にする気だろうな」〈赤城〉「そんな、ひどすぎます! 私たちの心を弄ぶなんて! 提督よりひどい!」提督「奴らは人間じゃないから・・・いやいやいや! なんでそこで俺? 俺ってそんなにひどい? セクハラって、そんなにひどい罪?」〈赤城〉「希望を持たせておいて、突き放すあたりが、そっくり同じ手法ですね。極刑に値する罪です」提督「濡れ衣だ! 俺はお前以外にそんな希望を持たせるようなことは・・・コホン」〈赤城〉「・・・ほら、そうやって繰り返す」提督「話を戻すぞ。連中は、最後にお前たちに絶望をたたき込むためやってくる。この鎮守府に、全力で侵攻してくる。そうしなければ、せっかくの準備が意味を持たない。このまま戦わずに勝利しても、お前たちが絶望して深海棲艦にならなかったら、連中にとっては意味がないからな」〈赤城〉「その最後の戦いに――私は必要なのですね」提督「全員が、必要だ。もう一隻たりとも失うわけにはいかない」〈赤城〉「でも、燃料と弾薬は? あと、ボーキサイト」提督「それは俺の仕事だ。なんとかする。だから、今はこらえてくれ。最後の戦いに、勝利するために」〈赤城〉「いいでしょう。でも、最後の戦いに勝利したら、覚悟してくださいね。バケツと資材と、それと・・・期待、してますから」=== かくして、提督と艦娘たちは最後の戦いにおもむくのである! ばばーん!

By |2013-07-19T00:55:55+09:007月 18th, 2013|Categories: アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌, 雑記|アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(21) はコメントを受け付けていません

『宇宙戦艦ヤマト2199』のSFネタ解説その3:ガミラスの猛将ドメル

 宇宙戦艦ヤマト2199に出てくるギミックや台詞を元に妄想をたくましくしていくSFネタ解説シリーズの3回目。 今回はヤマトの好敵手である、ガミラスの猛将ドメルと、その戦い方をみていきたい。■ヤマト2199第11話『いつか見た世界』での小マゼランの戦い ドメルがどのような指揮をするかは、ガトランティス(旧作の白色彗星帝国)との戦いである程度読み取ることができる。 ドメル対ガトランティスの辺境での戦いは、かなり途中経過がはしょられているので画面から推測するしかないが、それがこの図である。 囮で敵艦隊を誘引、拘束したかどうかは画面からは読み取ることができないが、私はかなり高い確率で囮艦隊がいたものと考える。 こうした、主攻と陽動を分けるというのは、戦術の基本である。ガトランティス側が何も警戒せず、単にドメルの奇襲を受けた間抜け……という可能性は、もしあるとしても、ドメルが、そういう敵の間抜けさに頼る戦いを仕掛けるとは思えない。 私は、ガミラスの戦い方の基本は機動力を活かした戦い方であると考える。そして、自軍の機動力を活かすために重要なのが、敵の動きを制限することである。 機動力というのは相対的なものだ。こちらの機動力は艦や指揮通信などのハード・ソフトでどうしても上限が決まる。ドメルとて、艦に性能以上の速度は出させられない。 だからこそ、自軍の機動力が、より、致命的になるように、敵の動きを制限することにドメルは意を配るだろう。 ガトランティスの持つ一番高い機動力は(彼らが旧作の白色彗星帝国に近いとして)航空戦力である。艦載機の持つ機動力こそ、ガトランティスが持つ強みだ。しかし、艦載機は常時、飛ばしておくわけにはいかない。普段は空母の中に格納しておき、敵を発見したら、発進してこれを攻撃するのだ。 ドメルはそれゆえに「敵の偵察部隊に発見されない」ことを第一とした。 惑星の公転面から垂直になるように艦隊を動かし、死角のような場所から一気に逆落としで高速の駆逐艦隊を突入させたのは、偵察部隊に発見されず敵本隊に接近し、一撃で敵空母を壊滅させるためだと思われる。■ヤマト2199第15話『帰還限界点』中性子星の戦い ドメルがヤマトと戦う前にまず何をしたか……というと、まずはヤマトの戦力分析をしたと考えられる。 ヤマト最大の武器は、なんといっても波動砲である。 この時点でドメルがヤマトの旅の目的を理解しているとは思えないが、惑星に直撃させれば、ただではすまない破壊兵器を、ガミラス帝国の中に入れるわけにはいかない。母星の滅びを迎えてやぶれかぶれになったテロン人(地球人)が、ガミラスの首都に自爆攻撃を仕掛けることは大いに考えられるからだ。実際、地球への扱いや、この話の冒頭での親衛隊の暴挙を考えれば、ガミラスはそのくらい恨まれている。 ならば、この波動砲を使わせない、使っても大丈夫な場所での戦いを考えねばならない。 すでに恒星が寿命を迎えて大爆発(スーパーノバ)した残骸である中性子星カレル163は、うってつけの戦場である。 ここでならば、周囲を気にせず自由に戦える。 ドメルがガミラスの誇る猛将である理由は、彼の旺盛な戦意だ。第11話で登場した後、ガミラス首都でのドメルは、良き夫、良き軍人としての顔しか見せていない。政治には興味がなく、良識的で、妻や子を愛しているごく普通の男だ。 しかし、この15話でドメルの裏に隠れているものが露わになる。彼は、戦争が大好きなのだ。その彼にとって、カレル163は格好の遊び場だった。 そしていよいよヤマトと戦うにあたり、ドメルが一番気を配ったのは、何か。 それは、ヤマトに「ガミラスには戦意がない」と思わせることだった。 罠というものは、こちらの意図に気づかれてしまうと、まず不発に終わる。 中性子星カレル163は重力勾配が強く、ワープ時にその影響を受けやすいことは、罠の存在を知らない時のヤマトですら、ある程度は見抜いていた。 じっくり時間をかけてヤマトが重力勾配をチェックし、カレル163を迂回したり、ドメルが待ちかまえるポイントとは違う場所へワープしては、ドメルの策は失敗してしまう。 だから、ドメルは頻繁に偵察を繰り返させ、しかも戦いは慎重に避けてきた。苛立ちと共に、ガミラスには戦意がない、という意識がヤマトクルーの中にはあったはずだ。 カレル163へのワープ直前への、偵察部隊の突然の攻撃。 沖田艦長に代わってヤマトを指揮していた真田副長は、交戦を避け、急いでカレル163へワープするよう命令する。これは、ガミラスに戦意がない、という前提が正しければ、無理のない選択である。攻撃をしてきたとはいえ、相手は小型艦が2隻。ヤマトの戦力をもってすれば、簡単に打ち払える。 そして、当然ながら『ガミラス艦も彼我の戦力差は知っている』のである。 敵艦がヤマトと本気で交戦するはずがない。真田副長はそう考え、この戦いをこれまでの嫌がらせの延長と考えた。これまでは、少し距離を置いて逃げていったが、今回は少し踏み込んできた。これを追えば逃げ出すだろう。こんな小型艦の嫌がらせに、毎回時間を食われてはたまらない。いつも冷静であっても、真田副長もタイムスケジュールの遅れは気にしている。時間のかかることは極力避けたい意識が働く。 ならば、さっさとワープしてこの場を離れるのが得策だ。 真田副長の推論は正しい。 「ガミラスには戦意がない」という前提が正しいかぎり。 事実は逆である。 ドメルは旺盛すぎる戦意の持ち主である。だからこそ、自分の戦意を隠すためにわざわざ手間をかけて偵察艦による嫌がらせを繰り返したのだ。 前提を間違えていれば、どんな頭脳の持ち主でも、正しい結論にはたどりつけないからだ。 カレル163にヤマトがワープした時点で、ドメルの罠はほぼ完成していた。 大規模な敵艦隊に囲まれていることを知った真田副長の命令が、艦載機(ハヤブサ)を発進させるというものであったのは、この時点においても、真田副長の頭の中に「ガミラスには戦意がない」という前提があることをうかがわせる。 真田副長は、まずここで「様子を見る」ことにしたのだ。 「ガミラスには戦意がない」のだとしたら、これは遭遇戦である可能性が高い。ガミラスがどう動くかを見極めると同時に、いざ戦闘という時のために手持ちの戦力を増やしておくべきだ、と考えたわけである。 ここで、沖田艦長が指揮に戻る。 ぎりぎりのタイミングである。もし、真田副長の命令通りに、艦載機を発進させていれば、そのままヤマトは敵の重包囲の中で沈められていただろう。 沖田艦長は状況に気づくや、これまでのドメルの策略のほぼすべてを見抜いたに違いない。とにかく、いきなり命じたのが敵艦隊への正面からの突撃である。顔つきも険しい。「死中に活を求めねば、この包囲を突破することはできない!」 これまで疑問だったガミラス偵察部隊の動きの真意を沖田艦長だけは見抜いている。 そして、それが意味するものも。 ガミラス艦隊は、ここでヤマトを仕留めるつもりなのだ。逃げればとことん追いかけてくるし、他にどんな罠が仕掛けられているかわからない。(事実、分散配置した別働隊が集まってきた) 正面から突っ込んできたヤマトを見て、ドメルの顔が歓喜に歪む。ヤマトとすれ違う時の表情たるや、嫁さんや亡くなった子供がみたら、ドン引くのではないかというくらい、嬉しそうである。二面性、というよりはどちらもドメルの素顔なのだろう。 沖田艦長の打った手は、罠に落ちたヤマトの取り得る最善手だった。 しかし、今回ばかりは準備と仕掛けに時間をかけたドメルの側に分があった。 ドメルの直衛艦隊を正面突破して振り切ろうとするヤマトを、分散配置した別働隊が取り囲む。いずれも高速艦。傷ついたヤマトが振り切れる相手ではない。 ドメルにしてみれば、してやったり、である。 ヤマトの艦長が無能であれば、あるいは真田副長のように頭脳明晰でも慎重であれば、ドメルの本隊だけでヤマトを仕留めることができる。時間がかかったとしても、部隊をローテーションさせて傷ついた艦艇を後方に下げ、新しい艦を前に出させていくというやり方で、勝利できる。 しかし、ヤマトの艦長が有能で度胸があれば? その時は、即座に正面から突破するはずだ。沖田艦長がそう判断したように。 だからドメルは、自分の本隊をヤマトが突破した時の位置に、別働隊を集結させたのである。あるいは子飼いの前線指揮官なら、このくらいの判断は具体的に指示せずとも臨機応変にやってくれると確信していたか。 ヤマト艦内で、ドメルの仕掛けた罠の全体像に気づいたのは沖田艦長だけだろう。しかし、激しい戦いの連続に南部が戦意喪失したように、このままでは勝てないとは多くのクルーが感じたはずだ。 この時点でなおも、古代進だけは旺盛な戦意を保っている。 どうやればこのピンチを切り抜けられるか、という計算は古代にはない。 しかし、彼は諦めていない。このあたりは、さすが古代守の弟である。 そして、沖田艦長もまた、諦めていない。 諦めてはいないが、計算もできてしまうのが沖田艦長である。 ヤマトの側に、新たに打つ手はない。後はもう、ひたすら耐えるだけだ。 ヤマトに積極的に打つ手がない以上、何か変化が起きるのを沖田艦長は待っている。 なので、敵の猛攻が一瞬だけ途切れた、その変化に沖田艦長は即座に反応する。 カレル163での変化は、ガミラス艦隊の全面撤退だった。 しかし、ここまでの僥倖でない場合――たとえば、敵の別働隊同士が接近しすぎて、艦隊運動に乱れが生じた、など――でも、沖田はすぐにその変化に気づき、敵から離脱するための策を練ったはずだ。 その変化が、ヤマトが沈められる前に起きたかどうか、それは分からない。 しかし、沖田艦長は最後の一瞬まで、諦めることなく、罠をかいくぐるきっかけを探り続けたはずだ。 諦めることのないものにこそ、幸運の女神は微笑むのだから。

By |2017-01-14T18:15:08+09:007月 15th, 2013|Categories: 『宇宙戦艦ヤマト2199』のSFネタ解説, 雑記|『宇宙戦艦ヤマト2199』のSFネタ解説その3:ガミラスの猛将ドメル はコメントを受け付けていません

アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(20)

●種別ごと初代艦から、これまでを振り返る 編成場面のソート機能に「New」というのがある。 これを使えば、古くから艦隊に参加した艦娘ほど、後の方に表示される。 遊びはじめてずいぶんになるので、各艦種ごとに、初代の艦娘をピックアップしてみた。▼駆逐艦〈深雪〉(建造) プレイ開始時に私が秘書艦として選択したのは〈吹雪〉である。 だが、彼女は期間限定の敵泊地への突入で轟沈、喪失した。 彼女のあっけなく、取り返しのつかない死に私は衝撃を受け、以後、艦艇の喪失に注意するようになる。〈吹雪〉「あの、提督。そうすると今の私は……?」 おお、そこは脳内ドラマで補完してある。キミは作戦行動中に行方不明(MIA)になったが、記憶を失って漂流しているところを発見したという設定を採用した。〈吹雪〉「なんだか複雑な気分です」 まったくだ。記憶はともかく、経験値が失われたのは痛かった。〈吹雪〉「……」▼軽巡洋艦〈那珂〉(建造) 我らが艦隊のアイドル。 が、毎回のように中破大破を繰り返すので、懲罰人事として遠征艦隊(どさまわり)に配置する。こういうのも落ち目のアイドルっぽくて良い。〈那珂〉「ひっどーい! 提督の鬼!悪魔!」 やがてレベル20になったので改造のため遠征艦隊からはずしたものの、その頃には、主力艦がそろっており、〈那珂〉ちゃんの居場所はなかった。 TV版マクロス後半のリン・ミンメイみたいで、これまた味わい深い。〈那珂〉「ぶーぶー!」▼重巡洋艦〈足柄〉(建造) 美人で、そして残念なお姉さん。 それまで主力艦が存在しなかった我が艦隊に、最初に重巡洋艦として登場した時の期待は大きかった。 性能も本人が主張するだけのことはあり、戦果も期待通りにあげている。 主力艦が出そろう前の序盤の旗艦として、彼女にはたいへんお世話になった。〈足柄〉「当然よね!」 重巡洋艦はOLっぽい外見の艦娘が多いが〈足柄〉は職場でばりばり働くタイプと見た。後輩の面倒見もよく、上司からも頼りにされている。〈足柄〉「任せて!」 なのに、なぜだろう……〈足柄〉が結婚して幸せな家庭を築いている場面が想像できないのは……〈足柄〉「うるさいわね! もう時代は自立した個人の時代よ!」▼戦艦〈扶桑〉(マップ1-4ボス戦で獲得) 画面一杯に広がる砲塔の数々。 初登場がこれほどインパクトのある艦娘は、そうはいない。見ただけで、戦艦と分かるデザインである。〈扶桑〉「それほどでも……あるかも」 艦娘としての〈扶桑〉さんは豊満な癒し系お姉さんである。レベルが上がれば、航空戦艦にもなれる。〈扶桑〉「運用できるのは水上機ですけどね」 戦艦としては旧式になるが、序盤~中盤の主力艦が少ない時期、頼りにさせていただきました。〈扶桑〉「いえいえ……あの、オチとかは?」 ありません。史実がアレですので、〈扶桑〉さんには全力で幸せになっていただけるよう、全力を尽くさせていただきます。〈扶桑〉「あ、はい。こちらこそお願いいたします」※ドックの裏にて(〈足柄〉「な、なによこの態度の違いは……」)(〈羽黒〉「まあまあ、提督さんがお姉ちゃんに遠慮がないのは、お姉ちゃんのこと、それだけ親しく思っているからだと思うな」)(〈足柄〉「ま、まあね。それほどでもあるけどね! あいつがまだ新米の時に助けてやったのは、私だものね!」)(〈羽黒〉「……ちょろすぎるよ、お姉ちゃん」)▼軽空母〈祥鳳〉(建造) 初期に登場し、そして今もレベルでトップ(76)を独走しているのが〈祥鳳〉である。 装甲は薄いが、運用コストも低く、まことにリーズナブルな空母である。 正規空母が登場するまでの間、どれだけ助けられたか。 現在は、偵察機の〈彩雲〉を搭載しており、艦隊の目としての活躍がさらに高まった。〈祥鳳〉「つまり、便利にコキ使われてるってわけですね」 そこは重要なポイントだ。 便利に使える、消耗しても惜しくない(資材的な意味で)というのは〈祥鳳〉他、軽空母全般に言えることだろう。 ひたすら尽くす系の女。昔なら髪結いとか、そういう感じ。会社で言えば秘書や経理担当。メロドラマで言えば妾か愛人枠。それが軽空母である。〈祥鳳〉「もう、お妾さんとか……古風ですね」 ……そこで何となく嬉しそうなのが、頼もしいのだか怖いのだか。 情が深いので、提督が裏切ると腹を刺してくる。ガンパレの原さんのように。▼正規空母〈赤城〉(任務) なぜか任務がなかなか出てこなかったので、登場は少し遅れたが、初の正規空母である。 その航空戦力の充実ぶりと、中破大破した時のドック入りの時間と資材の消費量から、腹ぺこ慢心キャラがすっかり定着。 我が艦隊でも、資材不足で2日ほど中破したまま鎮守府の海に浮かんでいた。〈赤城〉「あの時のことは、今思い出しても恥ずかしいです」 序盤の正規空母は、新米提督にとって過ぎたるものだからな。運用コストが高いので、持っていても使えないなんてことも多い。〈赤城〉「でも、それなら戦艦も同じはずなのに……」 戦艦は、装甲が厚い。ダメージがなかなか通らないので、ドック入りする間隔は開く。出撃のたびに燃料と弾薬は消費するが、印象に残るはどうしても、ドック入りだ。 その点、序盤のお前さんは……〈赤城〉「ぶー……私だって成長したら、硬くなります」 そりゃ、なるけど。お前さんのレベルが高くなる頃には、提督のレベルも高くなって遠征艦隊が2~3常時回るから、資材不足も初期ほどクリティカルじゃないんだ。〈赤城〉「つまり、資材がボトルネックな序盤に、強いけど脆い私が登場するから、腹ぺこキャラの汚名がついちゃうんですね……これって、運営の罠?」 罠だな。恨むなら、運営を恨め。俺を恨むな。〈赤城〉「いえ、運営は恨みません。だって、任務で参加できる仕様があるから、提督に真っ先に会えたんですもの」 おおう、そう来たか。〈赤城〉「でも、提督は恨みます。私がこれだけ序盤から頑張ってるのに、最近は〈飛龍〉はまだか〈瑞鶴〉はまだかって……私より若い子がいいのね」 古女房ポジションかっ。似合いすぎだろ。

By |2013-07-19T00:55:54+09:007月 12th, 2013|Categories: アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌, 雑記|アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(20) はコメントを受け付けていません

アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(19)

●戦艦のお値段 艦隊これくしょんのサーバが増設され、プレイヤー提督の数も大幅増。 ひとりひとりの提督は並行世界の住人とはいえ、10万人の提督が6隻ずつ戦艦や空母を出せば、60万隻の戦艦と空母が存在することになる。すでに数字が地球上ではなく、銀河帝国とかそっちのレベルだ。 60万隻はともかく、戦艦を何隻も保有する、というのは20世紀の初頭まではそう珍しくもなかった。というのも、工業化が進んで建艦能力があがり、世界中の富が増えたので、新興国(明治の日本も含む)は先進国から、現代の感覚で言えばかなりお安く戦艦を購入することができたのである。 しかし、エポックメーキングな〈ドレッドノート〉が登場して以降、戦艦はどんどん高性能化してゆき、お値段もぐんぐん上昇していく。 比較的分かりやすい例として、英国戦艦でみてみると・・・ 日露戦争で活躍した戦艦〈三笠〉が120万ポンド(竣工1902年)。 〈ドレッドノート〉が167万ポンド(竣工1906年)。 艦娘の高速戦艦〈金剛〉が230万ポンド(竣工1913年)。 英国の艦娘〈プリンス・オブ・ウェールズ〉が739万ポンド(竣工1941年)。〈金剛〉「えーと、ワタシのお値段はデスね~ ちょっと~」〈青葉〉「ちーっす。バックマージン絡みの黒い噂が出てますけど、どう思います?」〈金剛〉「ノーコメントでーす!」〈青葉〉「それにしても、英国の最新鋭戦艦のお値段なんか700万ポンド越えですねー、〈金剛〉さんですと3隻分ですよ」〈金剛〉「インフレを考えても、やっぱり高くなってますネ」 戦艦〈大和〉の予算が約1億4千万円。 1941年の1ポンド=17.2円で計算すると、813万ポンド(竣工1941年)。〈金剛〉「そうすると、大雑把にみて戦艦のお値段は、第一次世界大戦の前が200万ポンドで、第二次世界大戦の前が700万ポンドくらいデス」〈青葉〉「やっぱり3倍くらいにはなってますね」 お値段が上がれば、数を揃えるのが難しくなる。海軍休日も、技術の進歩と共に戦艦の値段が上がったのに、昔のようなペースで数を揃えようとしたので、各国がそろって息切れを起こしたから生じたのである。〈金剛〉「どんな時にも、先立つモノがなくてはお話にならないということですネ~」

By |2013-07-19T00:55:54+09:007月 11th, 2013|Categories: アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌, 雑記|アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(19) はコメントを受け付けていません

アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(18)

●〈陸奥〉と46cm砲 曹操の話をすれば曹操が。 〈陸奥〉の話をすれば〈陸奥〉が。 前回の日誌を書いた翌日、西方海域のカレー海でボス戦でS勝利し、我が艦隊は戦艦〈陸奥〉を獲得した。 大和型戦艦が未実装の現在、艦これでは最新鋭戦艦である。 さっそく演習も含めスパルタ的に鍛え上げ、メンテが終了した本日(7/10)には、レベル48にまで上がっている。 装備も現時点で最高のものを揃えてある。 ・46cm三連装砲 ・41cm連装砲 ・九一式徹甲弾 ・21号対空電探 これにより砲戦力は、火力:153、射程:超長 にまで向上している。 また装甲:95と耐久:90も他の戦艦から抜きん出ており、なるほど、戦前の少年少女の遊ぶカルタで『む:陸奥と長門は日本の誇り』と書かれていただけのことはある。 ただ、実在の〈陸奥〉は46cm砲=18インチ砲を搭載してはいない。ワシントン軍縮条約で世界中で戦艦の建造が中断した時に、最大の砲は41cm砲=16インチ砲で、これを装備した戦艦は7隻しかなかったあった。これを世界のビッグ7と呼び、〈陸奥〉はそのうちの1隻である。 ワシントン軍縮条約では日本の保有する戦艦は、英米の6割とされた。 戦争は基本的に強い側が勝つ。そして強さを支えるのが数だ。戦争はまず何より相手より数をそろえることが大事だ。 しかし、条約で最初から相手の6割と決められた日本海軍では、この数のハンデをどうやって埋めるかに頭を悩ませることになる。 ひとつの手が、ワシントン軍縮条約で制限されていない巡洋艦をミニ戦艦として整備するというもので、〈妙高〉型がやたら砲雷撃戦に特化したのも、小さい船体にできるだけ多くの火力を詰め込もうとしたせいである。 もうひとつの手が、日本に攻め込んできたアメリカ艦隊を、全力で袋だたきにして一度の戦いで勝利する、艦隊決戦への特化である。 41cm砲よりもさらに強力な46cm主砲搭載戦艦は、こうした決戦思想から生み出された。 昭和の頃には46cm砲は、アメリカ戦艦の41cm砲よりも射程が長いから、敵をアウトレンジして叩くためにある、という説がまことしやかに流布しており、私も子供の頃にはそうした本を読んで育っている。しかし、実際には46cm砲に期待されたのは射程よりも一発のパンチ力であった。なぜなら、平時の演習でもアウトレンジな三〇キロメートル以上の超長距離砲撃の命中率はかんばしくないものだったからである。〈赤城〉「アウトレンジは空母のお仕事ですね」〈加賀〉「空母というか、艦載機のお仕事です」〈赤城〉「艦これのシステムでは、最初の空襲1回だけですが」〈陸奥〉「射程が超長なら、専用の砲撃フェイズがあるとうれしいのに」 だから当たらないから、ダメなんだってば。 41cm砲だろうが、46cm砲だろうが、昼間砲戦距離は24km~25km、それでも当たらなければ、もっと近づいての撃ち合いを想定したのである。 艦隊決戦においては、戦艦がずらりと一列に並ぶ単縦陣となる。(敵もたぶんそう) この時の戦艦の数は互いに10隻以下だろうと考えられていた。この数では、1隻あたりの戦力比率が大きい。より早く敵の1隻を戦闘不能にすれば、一気に有利になる。 なので、艦隊決戦では、可能であればこちらの戦艦2隻以上で敵の戦艦1隻を集中攻撃し、とにかく1隻でも早く無力化させよう、と考えていた。〈金剛〉「おう、正しいデース。私たちの戦いでも、敵の戦艦が序盤で沈めば有利になりマース」〈霧島〉「計算の上では〈金剛〉お姉様の言う通りですわ」〈比叡〉「でも、実際にはどれを狙うかは、ランダムですよね」〈榛名〉「提督さんの中には、自分に選ばせろと考えている人も多いみたいなんですが」 理想はそうだが、演習でも艦隊決戦で1隻の敵を複数の戦艦で集中砲撃するというのは、なかなかうまくいかなかった。戦闘が激しくなれば、敵味方の動きも複雑になっていく。 さらに撃ち合いになって艦に被害が出ると、1隻の艦内でも統一射撃管制が困難になることがある。戦争が始まってからは砲塔1つ2つがばらばらに生き残っている場合でも有効な砲撃ができるよう、管制要員を分散配置させるようになる。 また、〈金剛〉型高速戦艦は、敵にうかつに突っ込まないよう注意されている。理由は打たれ弱いから。〈霧島〉「第三次ソロモン海戦・・・ですわね」〈比叡〉「頑張ったんだけどなぁ・・・」 ありがたいことに、艦これでは一方的な空襲は最初の1回だけ、夜戦は必ず砲撃戦の後で、プレイヤー提督側が選択できる(敵に夜戦を強制されない)と、史実とは違う戦艦に優しいルールになっている。 また、バケツ(高速修復材)の存在のおかげで、損傷を受けた戦艦がすぐに復帰できるというおまけつきである。史実ではボロボロになったらそのまま戦争が終わるまで復帰できないこともあったのだから、なんという厚遇であろうか。〈金剛〉「むしろ、沈むまで戦えというブラックな職場になった気がしマース」 いいから、出撃だ。メンテが終わって新しい艦娘も実装されたし、何より我が艦隊には最後の戦艦〈長門〉が来ていない。まずは北方海域3-3:アルフォンシーノ方面だ。〈赤城〉「このマップは空母2隻が必須ですね」〈加賀〉「一航戦の出番でしょうか」 いや、なんか敵艦隊の対空能力が高くてボーキサイトの消費がすごいらしいので、軽空母に行ってもらおう。〈祥鳳〉に彩雲偵察機を搭載してある。 新しい提督プレイヤー諸氏も参加したことだし、まだまだ戦いは続くのだ!〈北上〉「提督っち~、それ未完フラグ」

By |2013-07-19T00:55:54+09:007月 10th, 2013|Categories: アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌, 雑記|アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(18) はコメントを受け付けていません

アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(17)

新型艦娘、大募集  キス島撤退作戦(3-2)をクリアしたことで、3-3へと行けるようになったが、そろそろ、先に進むよりは新しい艦娘をゲットしたいものである。▼優先度「高」:戦艦〈長門〉〈陸奥〉 〈長門〉と〈陸奥〉は言うまでもなく、世界のビッグ7である。 〈大和〉〈武蔵〉が建造されるまでは長く連合艦隊の旗艦は〈長門〉が務め、国民の間の知名度は高かった。 この2艦を望む最大の理由は、貫通力の不足を感じることが多くなったからである。 艦これにおいては、砲撃戦に内部でいろいろ処理をしているっぽく、当たってもダメージがろくに通らない場合と、コレは弾薬庫を誘爆したろ、と思われる大ダメージが出る場合がある。 この時代の戦艦というのは、実に堅牢に作ってあると同時に、どうしても脆いところが残されている。というのも、巨大な艦のすべてを分厚い装甲で覆うわけには、いかないからだ。あまりに重くなりすぎてしまう。 そこで、守らねばならない部分を堅牢に作り、そうでないところは壊れても問題ないような設計にする。いわゆるバイタルパート(VitalPart=重要区画)という概念である。 主砲や艦橋、機関などをバイタルパートとして装甲で囲めば、一発や二発、直撃を受けても戦闘力は低下しない、という設計思想である。 しかし、古い戦艦には、このバイタルパートの設計に欠陥があった。高速戦艦の〈金剛〉型も、超弩級戦艦である〈扶桑〉型〈伊勢〉型も同様の欠陥がある。〈金剛〉「それはもしかして、改装工事で強化されたところデスカ?」 その通り。甲板部分の装甲だ。〈金剛〉「Oh...確かに、上からの攻撃には弱いデス」〈扶桑〉「私もそうですわね。上から責められると、ちょっと・・・」〈伊勢〉「私と〈日向〉は、装甲をちょっと増量してみたけど、やっぱり甲板は薄いね」 こうなったのは、キミたちの基本設計が、第一次世界大戦の経験が得られる前だったことに起因する。〈金剛〉「第一次世界大戦の経験というと……ドッカーバンク海戦や、ユトランド沖海戦デスネ」 そう。戦艦の砲撃力が向上した結果、砲戦距離は日露戦争の日本海海戦よりもさらに伸び、1万mを超える遠距離砲戦となった。こうなると、砲弾は艦の側面ではなく、上面に集中して命中するようになる。 それまでのバイタルパートは、側面から命中する前提で作られていたので、上と下は死角だったのだな。〈伊勢〉「後は弾薬庫が誘爆するとまずいんだよな。火災とかでさ」 内側からの爆発だからね。外側がいかに堅牢でも、中で誘爆したのではひとたまりもない。そういうこともあって、第一次世界大戦以後の戦艦はやたらめたら頑丈に進化していくんだけど、そこで海軍休日(1922~1936年)が発生して、古い戦艦を代替わりできなくなっちゃった。 海軍休日前の最後の戦艦である〈長門〉(1920年竣工)と〈陸奥〉(1921年竣工)は、だから〈大和〉が竣工する1941年まで20年もの間、最新鋭戦艦であり続けたんだ。 艦これでは〈大和〉〈武蔵〉がまだ登場していないから、〈長門〉〈陸奥〉が砲力でも防御力でもトップクラス。敵の深海棲艦の戦艦が頑丈になってきたから、これからの戦いではこの2隻がどうしても欲しい。〈金剛〉「ヘー」〈扶桑〉「そう……ですか……」〈伊勢〉「ま、いいけどさー。若い子の方がいいのは男の性ってね」 あ、いや、もちろん皆さんにも頑張っていただきますよ!▼優先度「中」:空母〈飛龍〉〈瑞鶴〉 〈蒼龍〉がいて、〈飛龍〉がおらず。 〈翔鶴〉がいて、〈瑞鶴〉がいない。 なんとなく、バランスを欠いている感じがするので、この2隻の相方である空母にも、来ていただきたい。 戦力的には、まあ、いなくても問題なく回るのであるが。▼優先度「中」:軽空母〈瑞鳳〉 軽空母〈祥鳳〉の相方である。 戦力として見た場合、燃料と弾薬の消費が激しい正規空母よりも、軽空母の方がいろいろと扱いやすい点も大きい。特に我が艦隊の〈祥鳳〉は最初の空母ということもあって、レベルも一番高く、ここぞというところで頼りになる。〈瑞鳳〉にもぜひ頑張っていただきたい。▼優先度「低」:駆逐艦〈雪風〉 気が付けば、駆逐艦必須のマップ3-2「キス島撤退作戦」も終了した。〈雪風〉の必要性は下がったが、なんといっても幸運艦である。いつかは出会いたいものだ。▼優先度「低」:軽巡〈鬼怒〉〈阿武隈〉 このあたりになると、現状ではコレクションを揃え、図鑑を埋めることが主目的になる。 ところで、将来は外国艦艇が参加する可能性もあるということであるが、WW2で日本の同盟国だったドイツ海軍の艦艇は〈ビスマルク〉〈ティルピッツ〉をはじめ、元は男性の政治家や軍人の名前を冠している艦が多い。ここはやはり、艦娘ならぬ艦漢(かんかん)として、男の子でやっていただくというのはどうだろうか。 そしてもちろん、そう、中破した時には……(ろくろを回す仕草)

By |2013-07-19T00:55:54+09:007月 4th, 2013|Categories: アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌, 雑記|Tags: , |アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(17) はコメントを受け付けていません

『宇宙戦艦ヤマト2199』のSFネタ解説その2:コスモリバースシステム

 宇宙戦艦ヤマト2199に出てくるギミックや台詞を元に妄想をたくましくしていくSFネタ解説シリーズの2回目。  今回は人類救済のためのコスモリバースシステム、旧作では放射能除去装置コスモクリーナーDについてである。  いったい、あそこまで破壊された地球の環境を復活させるというコスモリバースシステムとは、いかなるものだろうか。  まず考えられるのが、旧作のコスモクリーナーDと同じような機械がイスカンダル星にあって、それを部品の状態でヤマトの中に運び込んで組み立て、地球に帰還すると地球が青い星に戻る、というパターンだ。  このパターンだと、干上がった地球の海が戻り、動物や植物が復活し、しかもそれがごくごく短い時間で成し遂げられるというわけなので、 「ぱんぱかぱーん!世界創造装置ー」 「それはなんだいドラえもん」 「七日間で世界をひとつ創造するという装置さ。もちろん、作られるのは小さな箱庭世界だけど、未来の小学校では夏休みの宿題に、世界創造観察日記というのがあるくらい、よく使われている装置なんだ」 「劇場版じゃあるまいし、それじゃエドモンド・ハミルトンの『フェッセンデンの宇宙』だよ。ロクなオチが待ってないと思うな」 「21世紀ののび太くんは、ノリが悪いなぁ」  という、ほとんどドラえもんの不思議道具並のパワーが装置に必要となる。  いずれにせよ、地球環境の現状を考えると、こうした形での再生で一番ネックになるのが、時間である。何しろ人類滅亡までおよそ一年という時間を区切って いるのがヤマト世界だ。コスモリバースシステムを持ち帰ったはいいが、地球再生に千年も二千年もかかっていたのでは、地下都市に暮らす人々が全滅してしま う。  時間を圧縮する方法として20世紀末あたりからSFでよく使われてきたのが、ナノマシンの使用である。今流行のノリでいくと、ナノマシンで作った物質を3Dプリンタ方式で組み立てて、植物や動物を作り出すのだ。  このノリでいくともうひとつの地球が作れるということで…… 「カーティス、きみは地球をもうひとつ造れるというのか」 「もうひとつの地球を造れるかと聞いたんだ、カーティス。山や海や街を造り、男や女や子供たちの声でいっぱいにすることができるのか。そして、もうひとりの、オットーやグラッグやサイモンを造れると言うのか」 (エドモンド・ハミルトン『物質生成の場の秘密』より)  またもやエドモンド・ハミルトンが!  さらに逆転の発想としてロバート・チャールズ・ウィルスンの『時間封鎖』手法がある。生き残った人間の方を時間的に凍結しておいて、地球環境が何万年かかけて復活するまで待ってからこれを解凍するという方法が考えられる。  時間操作となるとかなりの超技術だが、ラリイ・ニーヴンのノウンスペースシリーズで登場した停滞フィールド的なものを使えば、ヤマト2199の作中のテクノロジー的にも妥当な範疇で何とかなりそうだ。人類が暮らす地下都市を、停滞フィールドに閉じこめておくのである。  あとは並行宇宙とアクセスする技術を使って、人類が誕生していないが自然がそのままの並行宇宙から、地球を引きずりだして今の赤茶けた地球と交換 するという荒技もある。そろそろこのあたりになると、ハリイ・ハリスンの『ステンレス・スチールラット 世界を救う』っぽくなってきたな。  なんにしても、遊星爆弾であそこまでむちゃくちゃになった地球を元に戻すのはよほどのテクノロジーがなくては難しそうである。惑星環境というのは、破壊するのは簡単だが再生してバランスを取り戻すには手間がかかるのである。  だがしかし。  ここでやはり、大いなる疑問が出てくる。  いったいぜんたい、なぜ、イスカンダルは、そしてスターシャは「地球の環境を回復させる」ために「イスカンダルまで来い」という迂遠な方法をとっているのか、ということだ。  これが神話や民話などの物語世界であれば、この流れはごくごく自然なものである。  ウラジーミル・プロップが『昔話の形態学』で31の類型にまとめたように、物語はしばしば、主人公に試練を課してその力を証明させる。そこで使われるの が、苦難の旅路だ。連れ去られた幼なじみを取り戻すために、雪の女王の宮殿に行ったアンデルセンの『雪の女王』のように、ヤマトは地球環境を取り戻すため に、イスカンダルへ向かうのである。  ヤマト2199も物語である以上、この構造自体に問題はないが、SF的な仕掛けもまた、そこにありそうである。  そこで出てくるのが第5章で登場したビーメラ4の遺跡である。  ビーメラ4には、今から400年ほど前にイスカンダルの使者がやってきて、波動コアを渡して、当時はまだ存在していたビーメラ星人に救済を約束している。  遺跡や、不時着したイスカンダル宇宙船の様子からみて、どうもビーメラ星には恒星間航行に十分な科学力がまだ存在しなかったのではないかと考えられる。  にも関わらず、イスカンダルが示した救済策は「イスカンダルへ来い」であったようだ。波動コアの内部情報からみて、ビーメラ星人に与えられた情報 の中にはイスカンダル人が作り(400年前の時点では)ガミラス人がメンテナンスしているゲートネットワークの情報も入っている。  つまり、十分なワープ技術を作れないであろうビーメラ星人には、ゲートネットワークによるショートカット航路を、イスカンダルは示したと思われる。  そしてもうひとつ、ビーメラ4の遺跡で気になる点がある。  それは、イスカンダルの宇宙船が「そのまま」である点だ。  これまで、サーシャの乗っていた宇宙船が1話で火星まで到達したところで爆発したから忘れていたが、実はイスカンダルからの宇宙船はもう1隻、ユリーシャが乗って無事に到着した1年前の宇宙船があるのだ。  それはどうなったのか?  思うに、もともとイスカンダルから送られる宇宙船というのは『一方通行』なのではないだろうか。サーシャの宇宙船のように爆発せずとも、地球に着陸したところで、自壊して機能を停止してしまうような。  イスカンダルの、スターシャの一族は、400年の昔から、あるいはそれよりはるか昔から。滅亡の危機が訪れた知的生命体の星に、そうやって一族を宇宙船で送り出した。救済が欲しければ、イスカンダルへ来るよう伝えるメッセージを携えて。  そして、成功すれば、一族のものは知的生命と共にイスカンダルへと帰還する。  失敗したら――そう、失敗したら、その星で一生を終えるのである。ユリーシャも、サーシャも、元から任務に失敗すればイスカンダルへ戻れない運命だったのだ。  400年前、ビーメラ4に送り込まれた過去の姉妹がそうであったように。  これはまた、えらい覚悟である。なるほど、ある程度は裏の事情を知っていた沖田艦長がメ号作戦において「信じるんだ、彼らを」と言ったのも分かる。血を分けた一族の者を地球人と道連れにする覚悟で、イスカンダルは地球を救済しようというのだから。  いったいぜんたい、何がイスカンダルをして、そのような理想追求というか、宗教的な情熱に駆り立てているのか。  そこについては、まだ不明である。ガミラスとの関係も、何やらきな臭いものを孕んでいるようだ。  しかし、もしすべての裏側に救済という名の罠があるとしても、どうやらスターシャやユリーシャらの一族は(ひょっとしたらガミラスやデスラーも!)その犠牲者であるらしい、と考えられる。  滅びたくなければイスカンダル星へ来い、という救済の仕組みは、400年以上前から、地球やガミラスとは無関係なところで存在していたようだからだ。  ガミラス人と地球人が遺伝的にほぼ同一であるように(そして、第5章冒頭で滅ぼされた惑星オルタリアの住人や、シュルツ司令の故郷ザルツも)大マゼランから銀河系にかけては広く、同一種族がはるか大昔に播種された可能性がある。  それがイスカンダルの唱える救済とやらのシステムを作り出した連中だろう。 [...]

By |2017-01-14T18:16:06+09:005月 24th, 2013|Categories: 『宇宙戦艦ヤマト2199』のSFネタ解説, 雑記|Tags: , , , , , , , , , , , , , |『宇宙戦艦ヤマト2199』のSFネタ解説その2:コスモリバースシステム はコメントを受け付けていません