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『魚で始まる世界史 ニシンとタラとヨーロッパ』越智敏之 ヨーロッパの歴史における魚の役割についてまとめられた良書

ヨーロッパの歴史と魚の関わりを、 人々が「どんな魚を食べていたのか?」 その魚は「誰が、どこで取っていたのか?」 そして、獲った魚は「どのように加工されて流通していたのか?」 以上の3つの視点でまとめたものが主な内容になります。 現代日本で、世界中を繋げた物流ネットワークと、冷蔵庫のある暮らしをしているとついつい忘れがちでありますが、人類200万年の歴史のほとんどで、我らがご先祖様は「歩いて1日」の距離にあるものを、ある時だけ食べておりました。 それ以上の距離を大量に、そして日常的に運ぶのはあまり現実的でなく、また食べ物を長期間保存するのも、技術的に困難であったからです。 じゃあ、その「歩いて1日」に食い物なかったらどーすんだ、飢えて死ぬのか、というと、その通りであります。それゆえ、飢えて死なないために人類は親戚筋である他のお猿さんと同様に、一カ所に留まらずに昨日はあっち、今日はここ、明日はそっちと、食べ物のある場所へ、ある場所へとフラフラしておったわけです。どのくらいフラフラしておったかというと、200万年前にはアフリカに住んでいたのが1万年くらい前には気が付いたら南アメリカの南端の方まで移動している者がいたりするくらい。私たちの故郷である日本にも、大勢がやって来て、狩猟採集をもっぱらの生活をしておりました。 その頃から日本に住む人々はせっせと貝を掘って食っており、そのせいか今なお私らの味覚はやけに旨味成分に敏感というか、貪欲であります。 やがて農耕の技術が発達して、ある程度の保存が利く穀物を生産できるようになると、うろうろするのをやめて定住する人間も増えてまいりました。肉も、狩猟以外に豚や鶏などを家畜として飼うことで食べることができるようになります。 しかし、家畜は餌が不足する冬場には多くを屠殺して解体する必要がありました。その肉をせめて次の収穫が見込める春頃まで食いつなぐには保存方法も考えねばならず、塩漬けにしたり、干したり、燻製にしたりしたわけです。 魚も、肉と同じく動物性タンパク質の供給源です。ですが肉と違い、家畜のように人が育てるのはごく一部の品種、そしてつい最近のこと。今なお、魚は海や川で獲ってくるものなのです。 どんな魚が、どこにいるか? 魚を食料源として考えた場合、これがまず大事になります。 巨大な群れを作り、たくさん獲れる魚というのは、常に同じ場所に同じだけいるわけではありません。たいていは季節に応じて産卵して数を増やし、海を回遊してあちらへこちらへと移動しております。そして、しばしば、ふ、とその移動ルートが変更になります。 北ヨーロッパでよく食べられた魚のひとつ、ニシン。 ニシンの回遊ルートが移動したことがスカンジナビア半島での食料不足を招いてヴァイキングの移動を招いた原因のひとつかもしれない、などという意見があるほど、ニシンは当時のヨーロッパで重要な食料でした。 北海やバルト海で大量に獲れたニシンですが、獲れただけではダメで、それを多くの人が食料源としてアテにするには保存がきかなくてはいけません。 ニシンは不飽和脂肪酸が多く、すぐに酸素と結合して傷みやすいので、これを塩漬けにして保存する、というのは昔からあった手です。これを、より大規模に、より高品質にしたのが、ハンザ同盟諸都市でした。船を改良して樽を多く運べるようにし、岩塩を大量に輸入して品質の高い塩漬けニシンを作れるようにしたり、したわけです。 後にこの手法を受け継いだのがオランダです。同じ時期のイングランドよりも高品質なのが売りであり、オランダの塩漬けニシンはイングランドの倍以上の値段で売れたという記録があります。 イングランドは燻製ニシンの品質ではオランダに勝っていたようですが、大量に塩を輸入して安くあげる塩漬けニシンに比べると、燃料である木材を地元で消費する燻製ニシンは、やはり高価な上、大量に作ることができません。 イングランドが海洋覇権を作り上げる前のオランダの強さのひとつは、塩漬けニシンの市場を独占していたことにあるようです。 もう一つ、北ヨーロッパで食を支えた魚、タラ。 タラは回遊魚のニシンほどには群れが増えたりしませんが、脂が少ないので、じっくり天日干しして棒ダラ(ストックフィッシュ)にすれば、塩漬けニシンよりもさらに長期間、最大で五年近く保存がききます。 ここまでカチコチにしてしまうと、いざ食べようという時に、ぼこぼこに叩いてから水で一日以上戻して、ようやく調理、という手間もかかりますが、この保存性の良さは大航海時代の食料として、大いに役立ったようです。 また、新大陸に渡った初期アメリカ移民の食を支えたのも、北米沿岸で獲れるタラでした。 後には、カリブ海の島々で各国の砂糖のプランテーションが作られ、奴隷労働で砂糖ばかりを作る農園ができます。これらの島々は奴隷に食べさせる食料の自給ができませんから、北米植民地で作った干タラの格好の市場となります。 今でこそ世界の超大国として君臨するアメリカですが、独立前は干タラが主要輸出品で、これと引き替えに砂糖や茶、その他諸々を輸入していたわけです。 この時に英国本国が保護貿易として外国産の砂糖などに高い関税をかけたことへの不満も、アメリカ独立につながっているようで、干ダラといってもあだやおろそかにはできませぬ。独立後もマサチューセッツ州の州議会には、そのことを象徴するように『聖なるタラ』の像が飾られていたそうです。 越智敏之先生の『魚で始まる世界史』はこうした面白エピソードが満載してあります。 帯にある『ハンザとオランダの繁栄はニシンが築き、大航海時代の幕は塩ダラが開けた』にワクワク来る人には、オススメの一冊です。

By |2014-08-21T00:20:08+09:008月 21st, 2014|Categories: 歴史, 読書感想|『魚で始まる世界史 ニシンとタラとヨーロッパ』越智敏之 ヨーロッパの歴史における魚の役割についてまとめられた良書 はコメントを受け付けていません

キャンペーン『鋼鉄郷の黒騎士』基本コンセプト

 辺境の開拓村にひとりの君主(PC1)がいる。 村の住人は30家族、およそ100人。 辺境領においても、取るに足らぬ規模の村だ。 だが、この開拓村のすぐ近くにある魔境の存在が、そこで産出する産物の価値が、開拓村に周辺領主の注目を集める。 鋼鉄郷(スティールカントリー)。 異界から来た投影体が闊歩し、この世界では手に入らない貴重な鉱物や物品が手に入る魔境である。 開拓村に身を寄せる投影体(PC3)もまた、そのひとりだ。 開拓村を拠点とし、鋼鉄郷からの産物を独占すれば、その君主の国は膨大な富と強大な軍事力を手に入れることになる。 開拓村を狙える位置にある領主はふたりいる。 ひとりは、東のバリスタ男爵。 もうひとりは、西のデストリア伯爵だ。 バリスタ男爵は、己の野心のため。 デストリア伯爵は、傾いた財政を立て直すため。 それぞれ、開拓村と鋼鉄郷を手にする理由があった。 そして、その様子をじっとうかがう、第三の集団がいる。 パンドラと呼ばれる、秘密結社だ。 彼らもまた、何かを求めてこの地へとやってきた。 グランクレストRPGキャンペーン 『鋼鉄郷の黒騎士』 混沌(カオス)を治め、聖印(クレスト)に至れ。   ===PCの所属、立場===PC1:開拓村の領主(固定)PC2:バリスタ男爵の部下(変更可)PC3:鋼鉄郷から来た投影体(固定)PC4:PC2の知人・親族(変更可)※素案ではPC1はバリスタ男爵に従属していることにしてありますが、デストリア伯爵側、あるいは独立領主でもかまいません。※PC1が独立領主の場合、PC2とPC4も、男爵の部下ではなくPC1の協力者という形になります。PC2/PC4がロードの場合、もうひとつ開拓村を作って、そこの独立領主という形でも良いでしょう。===キャンペーンの流れ=== 4~5回くらいのキャンペーンを想定しています。 バリスタ男爵と、デストリア伯爵の対立に、パンドラがいろいろ陰謀を仕掛けて状況をさらに悪化させます。 PCはその中で、基本的にパンドラと対立する形になります。 パンドラとの対立の流れで、バリスタ男爵やデストリア伯爵と敵対することがあります。 男爵や伯爵の家臣を選んだ場合、PC2やPC4は、板挟みになる危険があります。

By |2017-01-14T18:09:33+09:006月 20th, 2014|Categories: 未分類|キャンペーン『鋼鉄郷の黒騎士』基本コンセプト はコメントを受け付けていません

アリアンロッド・サガ二次創作短編『ギィの朝帰り』

==================================== このお話は、『アリアンロッドRPG2E サガ・クロニクル』(菊池たけし/F.E.A.R.)収録のワールドセクションに書かれた、人類戦争後のアルディオン大陸に関するネタバレを含みます。 あと、小説の内容については私の妄想でありますゆえ、ふたりの過去と合わせて、そういうことが本当にあったわけではありません。ご了承のほどを。==================================== 早朝のノルウィッチ。この町で最初に朝日を浴びるのが、町のシンボルとも言うべき、高い城壁だ。まだ周囲が暗い中、壁だけがやんわりと白く浮かび上がって見える。「春は曙、ようよう白くなりゆく壁ぎわ、ってか……ふわあ」 まだ闇が残る下町の通りを歩きながら大きくあくびをした眼帯の男。名前をギィという。 フェリタニア合衆国の密偵を束ねる立場にあり、戦いにおいては弓を得手とする。狙った獲物を決して逃さぬ弓の腕前から、敵対する連中に『隻眼の鷹』なるあだ名をちょうだいしているが、本人はあまり気に入っていない。「朝になっちまったし、そろそろ帰って寝るか……うーむ……」 ねぐらに向かう足が重い。 理由は分かっている。見たくない顔が、そこにいるからだ。「いるんだろうなぁ……マム」 ギィがマムと呼ぶ人物の名はオーレリー・カルマン。小柄で童顔なフィルボルの女性だ。ギィにとっては弓を始めとする戦闘術の師匠であり、可愛らしい外見とは裏腹に恐るべき女傑だ。マムという名の由来にしても、王蛇会という犯罪組織の女首領であることから来ている。 そのマムが、王蛇会を放り出してギィの家に転がり込んで、もうずいぶんになる。「まったく、いつまでいる気なんだか」 王蛇会の本来の縄張りはアルディオン大陸東部だ。今もそこに本部があり、マムの留守をギィにとっては妹分にあたるルナ・チャンドラが守っている。この間もギィ宛に手紙がきてマムがいなくて大変だという愚痴とギィへの恨み節が延々と書かれていた。「昔はけっこう可愛かったのに、すっかり甲冑の似合う魔術師になりやがって……だいたい、俺はもう王蛇会とは縁が切れて……切れてるようなもんだろうが」 歯切れが悪いのは、王蛇会が犯罪結社によくある、裏切りを許さない組織だからだ。 裏切り者は処刑される。その恐怖の掟があればこそ、王蛇会は裏社会で一目置かれているのだ。実力がいくらあっても、そのあたりが甘い組織は、舐められる。「もう、そんな時代じゃないだろうに……って、俺が言っても説得力はないか」 ギィは立ち止まり、がっくり首を落として大きくため息をついた。「ん……」 その動作の際に、ギィの鼻が白粉の匂いをかぎ取った。懐から、白粉の匂いと、そしてもうひとつの臭いが漂う。「あー……昨夜のアレか……」 朝帰りのギィが、夜の間にどこにいたかというと、白粉と香水を付けた女たちが大勢いる、そういう界隈にいたのである。「この匂いはまずいな……何か、わざとらしくない別の匂いは……」 きょろきょろと周囲を見回したギィの鼻に、香ばしい匂いが漂ってきた。ソースの焼ける匂いである。「お、焼きそばの屋台か」 朝の早い労働者向けの朝食を出す屋台が並ぶ一角に、焼きそばの屋台があった。焼きそばはノルウィッチからみて南方にあるニュービルベリの名物で、最近はあちこちにビルベリ焼きそばの屋台が進出している。「おっちゃん、ひとつくれ」「あいよ」 気のよさそうなドゥアンの男が、鉄板の上で焼きそばを焼いて皿にのせる。一緒に入っているのはそこらの店で出たクズ野菜を刻んだものだが、歯ごたえがしゃきしゃきしていて、旨い。「そういやニュービルベリじゃ、ギデオンのおっさんが焼きそば作ってたな」 何の気なしにギィがもらした言葉に、ドゥアンの店主が驚いて聞き返す。「あんた、ギデオンさんの知り合いかい?」「まあ、そんなものだ。ギデオンを知ってるってことは、おっちゃんは、ニュービルベリの出身かい」「ああ。出稼ぎでな。この屋台はここで借りたモノだが、ソースはニュービルベリで作ったやつを運んできた。どうだ、違うだろ」「ああ。こっちのソースは味が平板でな。こんなに複雑な味はしちゃいないよ」「そうだろう、そうだろう。ギデオンさんが町の連中と苦労して作ったソースだ」 得意そうに語るドゥアンの店主の話を聞きながら、ギィはギデオンという男について考えていた。 ――あいつも俺も、どっちかといえば、俺たちが戦っている悪党の側に近い人間だ。いったい、何が俺やギデオンを、悪党の側に追いやらなかったんだろうな。 今の自分やギデオンには、仲間がいる。守りたいものがある。だからもう、悪党の側に回ることは考えられない。 けれど、その前は? 仲間がいなかった頃の自分とギデオンは、なぜ、悪党の側にいなかった? しばらく考えて、ギデオンについては答えが浮かんだ。 ――あのおっさん、悪党になるには、怠け者すぎるな。 悪党は、勤勉だ。バルムンクも、他の悪党も、アンリのような男でさえ、勤勉だった。恨み、憎しみ、欲望……そういう強い負の感情が、彼らを駆り立て、行動させた。怠惰に適当に、のんべんだらりと過ごすことを許さなかった。 怒ったり憎んだりすることすら面倒に感じるギデオンが、悪党になれるはずもなかった。 ――俺は、どうだ? ギデオンのおっさんに比べれば、まだしも勤勉だ。何より、王蛇会って組織で育てられ、マムに鍛えられている。悪党の側にいても、おかしくはないよな。 答えは見つからず、焼きそばを平らげたギィは、ねぐらのあるアパートへ戻った。「た・だ・い・ま~~?」 相手はマムである。今さら足音を隠すような真似はしない。だが、どうしても声が探るようなものになってしまうのは、子供の頃からの刷り込みの効果か。「よう、お帰り放蕩息子」 今日のマムは、どういう心境かエプロンドレスのメイドさんだった。 ――似合っているのが、腹が立つな。「まったく、毎日毎日、朝帰りとはいいご身分だな」「仕事だよ、仕事」「ほう……?」 マムがすっと間合いを詰めてギィの胸元に飛び込んできた。これが恋人や夫婦なら抱きしめるところだろうが、相手がマムとなると子供の頃からの条件反射で、思わずギィはのけぞってしまう。「その動き、やめてくれよ。そのままブスっとやられそうで怖いんだよ!」「ほほう、ブスっとやられる心当たりはあるようだな」 くんくん、と近づいたマムがギィの胸元で鼻をならす。その顔がアテが外れたという表情になり、ギィはにやっと笑った。「これは……ソースを焼いた香り?」「夜っぴいての仕事帰りだからな。腹が減ってたんで、そこの屋台で焼きそばを食ってきたんだよ。じゃ、そういう訳なんでもう寝るぜ」 してやったりというギィが、あくびをしてみせる。「待て、ギィ」 そのまま寝室へ向かうギィの背中に、マムの声が届いた。 ぴたり、と足が止まる。「なんだい、マム?」「服を脱げ、今日はいい天気だ。洗濯してやる」「おう」 ギィは服を脱いだ。服の中に仕込んであるさまざまな道具や武器をはずして居間にある机に置く。そちらにはマムも手を触れない。プロが持つ仕事の道具は、同じプロだろうが家族だろうが、他の人間が触ってよいものではない。彼らはそういう決まりの中で生きている。「ほいよ」 上半身裸になったギィが、服をまとめてマムに渡そうとする。マムはそれを受け取ろうと手を伸ばし―― すっ、と間合いをつめてギィに身体を密着させるほどに近づいた。 予測していたギィが、くるりと身体を回転させて離れようとする。 エプロンドレスのスカートから伸びたマムの足が、ギィの軸足を払う。 洗濯物がばさっ、と広がって周囲の床に散らばる中、体勢を崩したギィを床に押さえつけて馬乗りになったマムがギィの右の脇腹に手をやった。一カ所、青黒くなっている場所があった。魔法で癒したが、完全には塞がっていない傷を探られてギィが痛みに呻く。「ふん、下手に策を弄するからだよ」「……」 ギィはだんまりである。「あんたが昨夜、どこにいたかは知ってる。白粉の匂いなら、ごまかす必要はなかったんだよ。いつものようにあたしに皮肉を言われて、それで終わりだろ」「……」「ギィ、あんたが隠そうとしたのは血と薬……毒の匂いだ」「仕事だからな。毒を持った敵とやり合うことだってあるさ」「ああ、そうだね。でも……あんたが昨夜戦って、殺したのは自分の部下だ」「……知ってたのか」 その部下は、表向きは歓楽街の女たちを専門にみる薬師だった。おしゃべりがうまく、人好きのする青年で、女たちから情報を聞き出して集める任務に就いていた。しかし、合衆国を裏切ってラングエンドに情報を流し、そのせいで別の部下が死ぬことになった。 最初から殺すつもりだったわけではない。だが、捕らえようとして抵抗された時、ギィには殺す以外の選択肢はなかった。「組織を裏切った間諜は、組織の手で殺さなきゃいけない。あんたがいる場所は、王蛇会と変わらないんだよ、ギィ。だから――」 そこでマムは何かを言いかけて口をつぐんだ。「だから、戻れってか? それはできない相談だぜ、マム」「どうしてだい? 王蛇会でなら、あたしが――」 再びマムの言葉が途切れた。ギィの人差し指が、マムの唇に当てられていた。「それはダメだ、マム。俺はもう、あんたにそういうことをさせたくないんだ」 ギィはようやく思い出した。 何が自分を悪党の側から遠ざけていたのかを。 子供の頃に、一度だけ、ギィはマムが泣いている場面を見たことがある。「なんで……なんで、あんたが……あんな男のために……」 王蛇会を裏切り、自分が殺した女の形見となった髪飾りを前に、マムが泣いていた。 マムとは仲のいい、友達のような女性だった。気だてがよく、お日様のような笑顔が似合う優しい女性だったと、ギィも覚えている。 悪い男に恋をして、悪い男に騙されて、王蛇会の金を盗んで男と一緒に逃げようとしたところで、殺された。「あの男、逃げた先であんたを殺して金を独り占めにするつもりだったんだよ……あんただって、分かってたはずじゃないか。好きな男と一緒になれる、そんな甘い、綺麗な話が、あたし達に来るはずないって……なんで、そんな、夢を……」 子供のギィにとって、無敵だと思っていたマムのそんな姿は衝撃だった。 マムを泣かせたくない。マムが泣かないためには、どうすればいいだろう。 ギィという男の歩く道は、その先にあった。そこにしかなかった。 ――だから俺は今、ここにいる。 上半身裸で床に押し倒され、マムに馬乗りにされたまま、ギィは言った。「なあ、マム。マムの方こそ、王蛇会を――ぐほぉあっ?!」 みぞおちに、掌底を一発。横隔膜が大痙攣を起こし、呼吸すら困難になったギィは苦しさで床をごろごろと転げる。「まったく、朝から何を間抜けなことを、間抜けな格好で言おうとしてるんだい」 立ち上がったマムは、涙目でのたうつギィには目もくれず、ギィが脱いだ服を床から拾い上げて抱えあげた。 マムは部屋を出て洗い場へ向かう。扉を閉じると、扉に背を預けてため息をついた。「あたしに、裏切り者を処分するなんてことさせたくないなら、まず自分が王蛇会に戻って裏切り者でないことを証明すべきだろうに……そこをやらずに、どこに向かってるつもりだい、あいつは」 マムは洗濯物を抱えたまま、人指し指でそっと自分の唇に触れてみる。「……ま、しょうがないね。もうしばらく、あたしが面倒を見てやらないとね」 ふふっ、と笑ってから、マムはぎゅっ、とギィの脱いだ服を抱きしめた。 服からは、ソースの匂いがした。 おしまい

By |2014-05-15T02:03:16+09:005月 15th, 2014|Categories: TRPG, アリアンロッド2E, 小説|アリアンロッド・サガ二次創作短編『ギィの朝帰り』 はコメントを受け付けていません

艦これRPGシナリオ 鼠輸送作戦

===シナリオ 鼠輸送作戦=== このシナリオは、孤立した島に補給物資を送るというものです。 スニーカー文庫の艦これノベライズ『艦隊これくしょん 一航戦、出ます!』の第3章をシナリオの元ネタにしております。===シナリオスペック===艦娘人数:3~4人プレイ時間:2時間リミット:2任務:・ドラム缶を集めて、鼠輸送作戦の準備をする。・敵艦隊を撃破して物資を届ける。※注意! 決戦フェイズは夜戦となります。 PCの艦娘として空母を選ぶことはできません。 ===シナリオMAP=== ===導入フェイズ===●読み上げ きみたちは、提督に呼ばれて提督執務室に集まった。「深海棲艦が出現して、孤立した島がある」「きみたちに、島へ補給物資を届けてもらいたい」「本来なら、補給は輸送船が行うのだが、空母の深海棲艦が近くにいるようで、昼間に近くを通ると、沈められてしまうんだ」「だから、ドラム缶に物資を入れて、きみたちが引っ張って島まで届けてほしい。昼間になると空襲を受けるから、夜の間に行って帰ってくるんだ」「ドラム缶は鎮守府のあちこちにあるだろうから、それを集めてくれ。物資はこちらで用意する」「ドラム缶を引っ張って物資を輸送することを、昔は鼠輸送作戦と呼んでいたそうだよ」●本シナリオの流れ 1サイクル目は、鎮守府の中を移動して回ってドラム缶を集めます。 1サイクル目の終わりに、イベントが発生し、出撃と戦闘があります。 2サイクル目は、うまく鼠輸送ができるように練習したり、物資を詰め込んだりします。 2サイクル目が終わると、鼠輸送作戦で決戦フェイズです。===鎮守府フェイズ===■1サイクル目:ドラム缶を集めよう 1サイクル目は、ドラム缶集めになります。 もちろん、イベントカードではどのイベントを選んでもかまいません。 イベントの判定で『達成』がでれば、ドラム缶を見つけたことになります。 『残念』がでると、ドラム缶は見つかりませんでした。 この結果は、任務で得られる経験点に影響します。■イベント1:ドラム缶泥棒! このイベントは1サイクル目の終わりに発生します。 これは出撃イベントとなります。●読み上げ キミたちは、演習海域に来ている。 キミたちが集めたドラム缶がちゃんと輸送で使えるかどうか、海に浮かべて確認しているのだ。 紐で数珠つなぎにしたドラム缶は、ぷかぷかと、海の上に浮かんでいる。 と、その時! ドラム缶がずるずると、どこかへ移動していくではないか。 見れば、出現した深海棲艦がドラム缶をつないだ紐に引っかかっている。 どうやら、偵察任務の深海棲艦がたまたま通りかかったようだ。 ドラム缶を取り戻すため、出撃だ。●エネミー 駆逐ロ級×PCと同じ数 駆逐ニ級elite×1(敵旗艦) 同航戦。●読み上げ(戦闘後) 突然の戦闘だったが、ドラム缶は必要な数を集めることができた。 続いてこのドラム缶に物資を入れたり、うまく引っ張れるよう練習したりしよう。■2サイクル目:鼠輸送の準備 2サイクル目は、鼠輸送の準備になります。 もちろん、イベントカードではどのイベントを選んでもかまいません。 イベントの判定で『達成』がでれば、準備がはかどります。 『残念』がでると、準備ははかどりませんでした。 この結果は、任務で得られる経験点に影響します。■イベント2:壮行会 このイベントは2サイクル目の終わりに発生します。●読み上げ 鼠輸送作戦の準備は整った。 日没とともに島の周囲の海域へ行く時間調整のため、鎮守府を出発するのは昼過ぎになる。そこで、昼食の時にこれから出撃するきみたちのため、他の艦娘が壮行会を開いてくれる。デザートもついて、ちょっと上等なお昼ご飯になった。 全PCの行動値を1D6回復する。===決戦フェイズ=== 決戦フェイズで、PCは島の周囲を封鎖している深海棲艦の艦隊と戦闘になります。●特別ルール 夜間での戦闘なので、本シナリオの特別ルールとして戦闘は次のようになります。・夜間での戦闘になるため、航空戦フェイズは発生しません。・砲撃フェイズでは1ラウンド目から短距離砲撃フェイズのみ行います。・夜戦フェイズは通常通り判定します。●エネミー 駆逐イ級×2 軽巡ヘ級×1 重巡リ級elite×1(敵旗艦) 同航戦。===終了フェイズ=== エピローグは、決戦フェイズの勝敗によって以下のいずれかを読み上げてください。●読み上げ(勝利) きみたちは、島を封鎖している深海棲艦の艦隊を撃破し、無事にドラム缶を島に届けることができた。 鎮守府に戻ったきみたちを、提督が桟橋まで出迎えてくれる。「ありがとう。これで島に残された地上部隊は一息つくことができるだろう」「これで時間を稼ぐことができた。次は主力艦隊を率いて、あの島の周囲の深海棲艦をまとめてやっつけるぞ」「さあ、修理用ドックはあけてある。傷ついた子はすぐに入ってきなさい。出てきたら、みんなで祝賀会だ」●読み上げ(敗北) きみたちは、島を封鎖している深海棲艦の艦隊を撃破することができず、引き上げることになった。 鎮守府に戻ったきみたちを、提督が桟橋まで出迎えてくれる。「残念だったね。でも、きみたちが戻ってきてくれて、良かった」「引き返せば、また行くことができる。次こそ、勝利しよう」●経験値と任務の達成 任務の経験点は次のように計算します。・1サイクル目でドラム缶を集めた+20点・2サイクル目で鼠輸送作戦の準備をした+20点・イベント1の戦闘で勝利した+10点・決戦フェイズに勝利して鼠輸送作戦を成功させた+50点・決戦フェイズで敗北して鼠輸送作戦が失敗した+10点

By |2017-01-14T18:10:48+09:003月 22nd, 2014|Categories: TRPG, 艦これRPG|艦これRPGシナリオ 鼠輸送作戦 はコメントを受け付けていません

宮澤伊織『ウは宇宙ヤバイのウ! セカイが滅ぶ5秒前』ライトノベル版『銀河ヒッチハイクガイド』的な、良質のユーモアSF

 宮澤伊織さんの『ウは宇宙ヤバイのウ! セカイが滅ぶ5秒前』がたいへん面白いSFで、私のツボにはまりまくりましたので、ここにご紹介を。 舞台は現代日本(少なくとも最初はそんな感じだった)。主人公はごく平凡な高校生(少なくとも最初はそんな感じだったし、読み終わってもそんな感じ)。 そこに、隕石は落ちてくるわ、暗殺者は襲ってくるわ、列強種族(列強種族!列強種族ですよ!この言葉の響きのかぐわしさ!)が地球に迫るわで、次から次へとトラブルが押し寄せるのを、元敏腕エージェントで世界線混淆機なる超絶ガジェットで世界がぐっちゃんぐっちゃんに入り混じってしまった結果、記憶を失って普通の男子高校生になってしまったという、寺沢武一さんの『コブラ』っぽい主人公君がなんとかしちゃうというお話であります。 『銀河ヒッチハイクガイド』的とタイトルに書きましたが、ところどころに出てくるライブラリのうさんくさい記述が、まったくもって、ヒッチハイクガイドっぽいです。要約して説明しろと機械に命じると、機械が悲しそうにするところとか! ライトノベルのユーモアSFですと、山本弘さんの『ギャラクシー・トリッパー美葉』に近いと言えるかもしれません。 漫画のユーモアSFですと、長谷川裕一さんの『わかりすぎた結末 あるいは失笑した宇宙 もしくはキャプテン・オーマイガーの華麗なる挑戦』的な感じでもあります。あと、不遇なタイムパトロールが出てくるあたりは、横山えいじさんの『マンスリープラネット』っぽいです。 本作品のポイントはやはり、状況が悪くなると、世界をぐっちゃぐちゃにして何とかしてしまう世界線混淆機の大活躍と、それによって、どんどん世界が変革されていくスットコドッコイな展開、さらにそれが、「学校の授業の内容」という形で半ページでさらりと要約される手際の良さでありましょう。 主人公も、周囲のキャラクターも、みな、愉快で気のいい連中で、安心して読むことが出来ます。 売れ行きがよければ、2巻以後もあるみたいですので、ここは興味を持たれた方はぜひ! ぜひ! 私が続きを読みたいので! 脳の因果地平が広がるとか、生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答えが手に入るとか、そういうことはありませんが、にやにや笑いながらページをめくる楽しさに満ちた、たいへん良質のユーモアSFであることは、保証いたします。

By |2014-01-10T23:49:12+09:001月 10th, 2014|Categories: ライトノベル, 読書感想|宮澤伊織『ウは宇宙ヤバイのウ! セカイが滅ぶ5秒前』ライトノベル版『銀河ヒッチハイクガイド』的な、良質のユーモアSF はコメントを受け付けていません

林譲治『太平洋戦争のロジスティクス』日本軍の兵站補給の成功と失敗について知ることができる、優れた著作

 兵站補給とは何だろう? 本書で紹介してある、第一次世界大戦でのアメリカ海兵隊ソープ少佐の言葉がなかなか、洒落た言い回しとなっている。『戦争を演劇にたとえれば、戦略は脚本で、戦術は役者の演技、ロジスティクスは舞台管理、舞台装置、舞台の維持である』(P18) 太平洋戦争において、日本軍は最終的に、『舞台管理、舞台装置、舞台の維持』に失敗して敗北している。 本書では、この日本軍の失敗が、何に帰因しているのか、について、平時における日本軍の兵站補給の体制作りから、実際の運用に至るまでを丁寧に追っている。 本書を読んだ上での私なりの理解としては、次のようになる。 まず、日本軍の兵站補給は、平時における法制度や組織の準備がきちんと行われており、『軽視』は当てはまらない。 だが、平時においては日本の持つ国力の限界から、どこを優先してどこを後に回すか、という判断が成されており、兵站補給は出来るだけ、平時には小さい組織と人材で回し、戦時には必要とされる動員を行いつつを、不足分を民間人の徴用や、民間組織の利用で補うという仕組みとなっていた。 この仕組みは、日清と日露というふたつの戦争を教訓として、それなりに当時の日本の国力としては、まともなものだった。 それが歪み始めたのは、戦前の日本の他のこととも関係するが、中国との戦争の始まりと、その長期化である。 日華事変の前、日本陸軍は17個師団を有していた。陸軍の兵站補給の諸制度や人員・予算も、この17個師団を戦わせることを前提として作られている。 中国との戦争がなし崩しに拡大し、止めどころを失ってから4年。太平洋戦争の直前には、これが51個師団に3倍増している。 そして太平洋戦争の間に、戦争末期の本土防衛の動員も含めると、120個師団が増設されている。もちろん、陸軍の臨時予算も増額されてはいるが、どう見ても兵員の増加分には達していない。 太平洋戦争における日本の兵站補給は、まず、軍の規模の拡大に追いついていない。末期の動員になればなるほど、武器も弾も装備も何もなく、すでに30代40代になっているおっさんまでが徴兵されているわけだから「この戦争はもうだめじゃろ」と感じた国民が多くいたのは当然である。 では、兵站補給において、まったく打つ手がなかったのか、と言われるとそうではない。 合理的に考えれば、動員しても使えない軍隊を増やすよりは、戦線を縮小して兵站補給の負担を軽減し、その余力でもって、より機動的でアメリカにとって「いやらしい」戦い方は可能であったろう。 実際、太平洋戦争序盤のマレー半島におけるマレー電撃戦が本書では日本の兵站補給が成功した事例として紹介されている。ここでは、日本軍は自動車化された補給部隊を重点配備した第25軍でもって、電撃戦を成功させ、その兵站補給も無事にこなしている。 しかし、戦争の半ば以後、日本軍が主導権を失ってからは、広げすぎた戦線の整理も追いつかず、それどころか、戦局の打開がアメリカ相手には不可能となったので中国戦線での攻勢を行うようになったりと、人が負けが込んでいる時にやらかす迷走ぶりだけが目立つようになる。 打開策のない状況に追いつめられると人間というのは、「どうせ」とか「いっそ」とかの自暴自棄な精神になりやすく、この精神状態では、ロジスティクスはうまく機能しない。 ロジスティクスの語源は「計算術」である。兵站補給を考えるには、定量化して、数字にする必要がある。さらに言えば、数字に「従う」必要がある。ダメなものは、ダメなのである。無理なものは、どうやっても無理なのだ。出来ることにするため、数字の方をいじりはじめてはいかんのである。 だがダメだ、無理だ、という声を人や組織が聞き入れるには、未来への展望や、希望が必要となる。 展望や希望がないのに、ダメだ、無理だと数字を持ち出されては、「なら対案を出せ」「んなものあるかボケ」的な感じで売り言葉に買い言葉となってゆき、「お前の言うことが正しかろうが聞いてやらん」という状態になってしまう。 数字や正論で相手をへこますだけでは意味がない。 その上で、より良い未来を提示することが出来て、人も組織も動かせるのである。 そういう意味ではやはり―― アメリカもイギリスも中国も敵に回して戦争している状態で、より良い未来を提示しろ、というのは、かなり難易度が高かったようにも思う。 著者の林譲治さんは、あとがきで、このテーマではまだまだ扱うべき題材が多くあると述べられておられる。しかし、本書は日本軍の兵站補給の組織がどのようなもので、どう動いていたかを含め、たいへん分かりやすく、網羅的に知ることができる。また、導入部で兵站補給を「地区の野球大会を開催することになった」という日常的で身近な例で例えられており、こうして点でも初心者にも分かりやすい良書である。 兵站補給についてちょっと勉強してみようかしら、くらいの軽い気持ちでも十分に楽しめると思うので、是非、多くの人に読んでいただきたい。

By |2013-12-20T23:49:09+09:0012月 20th, 2013|Categories: ミリタリ, 兵站補給, 歴史|林譲治『太平洋戦争のロジスティクス』日本軍の兵站補給の成功と失敗について知ることができる、優れた著作 はコメントを受け付けていません

谷口克広『信長の政略』 現実的な合理主義者としての信長像

 織田信長という人物への評価は、なかなかに難しい。 歴史上の人物というのは、だいたいそういうもの、と言えるが。 いや、歴史上でないにしても、人間というものはだいたい評価が難しい。 私の評価はどうだろう? あなたの評価はどうだろう? 仕事の評価。人間性の評価。相手によって、見方によって、私の評価も、あなたの評価も、ずいぶんと違うのではないだろうか。 織田信長もまた、革命家だとか、いやそんなことはないとか。尊皇だとか、朝廷とは敵対していたとか。仏教に厳しいとか、そうでもないとか。とかく、あれこれ評価が分かれている。それだけ、多くの研究家が、さまざまな切り口で信長像を見てきたせいであろう。 ひとりの人間を、多面的に見れば、「人間だからいろいろある」となってしまうのはこれはいたしかたない。 本書『信長の政略』は、江戸時代から現代に至る多くの信長への研究を参考にしつつ、筆者の谷口克広氏なりの信長像というものを描いている。たいへん誠実で、分かりやすい良書である。ツイッターでこの本を紹介していただいた、お菓子っ子さん( @sweets_street )に感謝したい。 この本を読みながら、私の中では現実的な合理主義者、という信長像が浮かんできた。 信長としては、なんといっても、現実的にならざるを得ない事情がある。 19才で父から家督を継いだとはいっても、信長は四面楚歌の状況であった。 まず、家督そのものを自分が継ぐか弟が継ぐかで一族や家臣が争っている。 さらに、その家督といっても、織田弾正忠家というのは、織田家の中でも傍流である。 父親の信秀がぶいぶい言わせていたといっても、その根拠になる家柄はたいしたことがないのだ。 かように。尾張半国にしたところで、誰が支配するのが正しいかとか、その理由はとか考えると、曖昧模糊としていて、よくわからない。戦国時代が実力主義だとか言われても、その実力ってナニよ? 誰かが、別の誰かと実力が違うって、それ、どんな客観的な根拠があるのよ? ってなもんである。 世の中というのは虚と実が混じり合っていて、ややこしい。 そんな中、信長は現実に対して合理的に対処する術を身につけていった。 合理的というのは、言い方を変えると。・自分には、出来ることと、出来ないことがある・出来ることの中にも、かけたコストへのリターンが見合うものと、見合わないものがある。 こういうことではないかと思う。 家督相続から十年。一族やらご近所やらと狭い尾張の中で戦い抜くうちに、信長の合理主義者としてのセンスは鋭く磨かれていった。 そのひとつが、速度重視である。 野戦を重視した機動的な戦い方は、若い頃から信長に共通している。 その総仕上げが、桶狭間の戦いである。 ぎりぎりまで、決戦戦力を動かさず、動かさないことによって、敵に情報を与えない。 そして、いざ動くと決めた時には、ひたすら駆け抜ける。一日二日なら兵站にも負担がかからないから、強行軍などの無理もきく。そして、メールも携帯電話もない時代には、移動を続ける軍勢に関する十分な情報を、敵が手にすることはできない。どんな情報も、それを伝えるまでのタイムラグのせいで古くなるからだ。 桶狭間で今川義元を討ち、尾張を、そして美濃を手に入れて十分な実力を身につけた信長は、その後は天下人への道を進む。 天下人としての信長の行動原理は、やはり現実に対して合理的であった。 もちろん、うまくいかなかったこともある。信長が前提とした「現実」が、情報の不足や信長の願望、予断によって曲げられていた場合は特に。 信長なりに「現実はこうだ」と思っていても、実際には違っていれば「合理的な判断」とやらも、間違うことになる。 しかし、おおむね信長の現実への見方は正しかった。 信長が、中世的な因習やら制度やらをどのくらい好いていたか、嫌っていたかは分からない。しかし彼は、そういうものがある、ということについては現実的に判断した。 自分が利益を得るために、それらを排除しようとすれば、当然、大きな抵抗がある。 ここで信長は考える。「そのコストは、かけるに足りるか? 否か?」 結論は、だいたいにおいて、否、だった。 だから信長は、自分に敵対するのでない限り、中世的な制度に手をつけることをしなかった。自分に必要でなければ、無視をして距離を取った。 経済発展のために、座や荘園をどこでもかしこでも撤廃するのは、コストばかりかかってリターンのないことだった。だから、信長は悪影響がない限り、放置した。そのかわり、交通の便を良くする道路の普請には熱心だった。これはかけたコストに見合う投資だった。 寺社にしても、敵対すれば戦うが、その必要がなければ放置した。 世論に対して気を配り、悪評を気にしたのも、評判が悪くなることで生じる不利益を放置することが、合理主義者の彼には我慢ならなかったからだ。 籠城を嫌い、すぐに決着がつく野戦を好んだのも、そのために敵よりも多くの兵力を集めることに腐心したのも、合理主義ゆえである。一か八かの賭けは、その必要があればためらわないが、必要がなければ避ける。合理主義者だから。 そうして考えると、信長が短気で気むずかしい人間であったのもよくわかる。 現実を直視する人間は、そこに自分の価値観とは相容れないもの、気に入らないものを山のように見てしまう。善意や悪意で現実をほしいままにねじ曲げる方が、気に入らないものは見ないですむのだ。 しかし、若い頃に一族や家臣ですら敵に回す経験をしてきた信長には、そのように現実をねじ曲げることは望んでもできなかったに違いない。結果、彼はできるだけ現実を、不愉快であっても、自分に可能な限り直視し続けた。だんだんと気むずかしくなるのも分かろうというものである。自分の権力が増すに従って、周囲に当たり散らすことや無駄にプレッシャーをかけることも増えたに違いない。 粛正もしたし、その反動で謀反も増えたが、信長の力は日ノ本に比類なきものになる。「いろいろ反感も買ったが、このままいけば、天下はオレのもの」 天正10年6月。本能寺にて。 現実主義者で、合理主義者の信長はそんな風に現状を分析していたのではないかと思う。 それが突然の、光秀謀反である。やはり、信長も人間である。自分で「これが現実だ」と思っていたものに、バイアスがかかっていたのだろう。「こいつは、しょうがねえ(是非もなし)」 自分が勘違いしていた「現実」を即座に修正した信長は、合理主義者らしく、そう言って炎の中に消えたのである。

By |2014-04-22T12:52:30+09:0010月 1st, 2013|Categories: 歴史, 読書感想|谷口克広『信長の政略』 現実的な合理主義者としての信長像 はコメントを受け付けていません

アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(27) 海軍休日ふたたび

〈大和〉を手に入れる激戦の『南方海域強襲偵察』のマップ4をクリアしてからしばらく。 我が鎮守府では平和な日々が続いていた。〈舞風〉「おーい、提督ー。仕事しようよー」 あー?〈舞風〉「ほらほら、第2艦隊も第3艦隊も第4艦隊も戻ってきたよ」 おー。んじゃ、士気高揚艦娘はそのまま。 士気高揚が切れちゃった艦は、待機状態の士気高揚艦娘と交代。〈舞風〉「だから、その士気高揚艦娘がもういないんだって。ぼけーっと何日も回してるから、交代で全員、元に戻っちゃってるよ。あたしも含めて」 そうか。じゃあしょうがないな。ウィークリー任務もそろそろこなさないと週末になっちまう。〈舞風〉「ルーチンだなー。大丈夫? 飽きてない?」 いやいや、楽しんでるぞ? 私は、根っこのところが内政ゲーマーなんだ。人と遊ぶ時には攻撃的なプレイもするけど、他人と競争しない場合には、ひたすらだらける。〈舞風〉「まあ、そうだろうね……資源の備蓄量をみれば分かるよ」▼資源量燃料:100k(40k)弾薬:110k(28k)鋼材:68k(20k)ボーキサイト:25k(10k)高速修理資材:500(168)※()内は〈大和〉入手時〈舞風〉「貯めたもんだねー」 デイリー任務・ウィークリー任務以外は、遠征くらいしか回してなかったからな。〈舞風〉「そのデイリー建造だって、ALL30だよね。新しい艦娘、欲しくないの?」 欲しいのは〈長門〉と〈瑞鶴〉だからなー。 建造で資源を使うのはもったいない。 いずれドロップするさ。〈舞風〉「しないよ。このところずーっと、南西諸島海域くらいしか行ってないじゃない」 でもなー。西方も北方も、けっこう敵が強いからなー。昔は潜水艦を送って被害吸収艦にできたんだが、今は潜水艦送ると、対潜装備持った軽巡がお出迎えしちゃうからなー。〈舞風〉「そりゃするよ! 深海棲艦だって、頭はあるんだから、対策くらい取るって」 あるのかー? いや、頭部はあるのは分かるが、知性はあるのかな、あれ? ……おや、誰か来たぞ。〈天龍〉「おいこら、いい加減にしろ、この堕落提督。いつまでぐーたらしてんだ。気がつきゃ、星が減って中将になってるぞ」 おや、本当だ。 仕事してないから、ランキングも落ちたか。〈天龍〉「何すかしたこと言ってやがる。やる気ないのか、こっちは暇して……いや暇はしてないか」〈龍田〉「遠征艦隊は、簡単な任務でも6隻編成ですものねー。軽巡2隻と駆逐艦4隻」〈天龍〉「ああ、しかも士気高揚状態にするため、毎日のように、鎮守府近海を回ってるから経験値だけは貯まりやがる」〈龍田〉「私も〈天龍〉ちゃんもレベル40。他の軽巡娘もレベル35~39ですものねー。忙しくてデートもできない」〈天龍〉「ウチにいるちびっ子(駆逐艦娘)も、レベル30ばっかりだ。まあ、艦隊の底上げしてんのはいいことか」 そうだぞー。軽巡と駆逐艦は、太平洋戦争の後は、だいたい仕事が同じような感じになってきて、現代海軍ではこの2種類がいれば、だいたいのことは片が付くようになったからなー。〈天龍〉「うんちくはいいんだよ。でも、おかげで〈赤城〉とか完全に食っちゃ寝モードだぞ。三段飛行甲板空母どころか、そのうち三段腹空母だ」 デイリーで演習に出してる〈大和〉もレベル70を超えて改になったしなー。 もう、することないかなー。クッキーでも焼くかなー。〈響〉「そんな自堕落提督に、朗報だよ」 お、どうした〈響〉?〈響〉「僕を70レベルまで育ててよ」 うわ、今は何レベルだっけ?〈暁〉「私たち、第6駆逐隊は全員42レベルよ!提督なら覚えててよね!」〈天龍〉「俺らより高いんだよな」〈電〉「あうあう。3-2海域をクリアするために頑張ったのです」〈雷〉「それでね!提督!〈響〉を70レベルに育てると、改2で第二段階になるんだって!」 なるほど……(ごそごそと鎮守府情報を見る)ふむ、ソ連艦娘になるのか。これは面白い。育ててみよう。〈響〉「それともうひとつ。新マップで、南方海域が解放される。MO作戦で、珊瑚海とかあるみたいだよ」〈祥鳳〉「珊瑚海!」〈翔鶴〉「MO作戦!」 わ、どこから沸いて出た。〈祥鳳〉「珊瑚は嫌いですが、珊瑚海は因縁の海です!今度こそ、勝ちます!」〈翔鶴〉「はい!ポートモレスビーを手に入れて、FS作戦を成功させましょう!」 あー、昔の架空戦記だと、よく成功したなー。ポートモレスビー攻略。その後は、フィジー=サモア線を制圧して、オーストラリアを孤立させて単独講和したりとか。 実際には、オーストラリアまでの兵站を維持するための輸送船が……〈響〉「はいはい」 最後まで喋らせてくれよ。 まあ、いいか。よし〈響〉の育成と、艦娘の前世からの因縁を晴らすとするか。 備蓄を取り崩せ! 主力艦のビルジを抜け! 〈大和〉と〈陸奥〉をたたき起こせ! 久しぶりに、戦争らしい戦争をやってみようじゃないか!〈雷〉「なんだか、心の底から楽しそうね」〈響〉「内政プレイヤーとかなんとかカッコつけてるけど、提督は本当はお祭りが大好きなのさ」〈電〉「わくわくしてきたのです!」〈翔鶴〉「待っていて〈瑞鶴〉。ポートモレスビーまで行けば、きっとあなたにも会えるはず……」 あ、〈翔鶴〉は留守番ね。〈翔鶴〉「なんでですかーっ」 レベルまだ低いからなー。今回は〈赤城〉〈加賀〉の一航戦でやる。〈加賀〉「ここ(攻略艦隊)はゆずれません」〈翔鶴〉「うー……でも〈瑞鶴〉来たら、五航戦で育ててくださいね?」 というわけで、海軍休日を終え、攻勢再開であります。

By |2013-09-21T01:21:13+09:009月 21st, 2013|Categories: アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌, 未分類, 雑記|アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(27) 海軍休日ふたたび はコメントを受け付けていません

『近代技術の日本的展開 蘭癖大名から豊田喜一郎まで』中岡哲郎:明治からの日本の後発工業化について考えさせられる良書

 明治維新後、日本の工業化が成功したのはよく知られている。 緻密なデータで知られるパラドックス社のゲーム『Victoria』では、文化や技術というその国が固有に持つパラメタを「書き換える(チート)」かのごとき大成功イベントとして、明治維新を扱っている。 もちろん、結果として日本は世界史に残るほどの成果を出した。そしてそれは、欧米列強がお手本としての工業化をすでに成し遂げており、その手法を真似たからでもある。 しかし、何もないところから成果が出たわけではない。 すべてが、真似たいと思っていた通りにできたわけではない。 SFでは昔から、タイムスリップ物で現代人が過去へ行き、現代(未来)の知識や情報を元に社会を変革するというお話がある。マーク・トゥエインの『アーサー王宮廷のヤンキー』や、L・スプレイグ・ディ・キャンプの『闇よ落ちるなかれ』などだ。 21世紀の現代でも、ライトノベルでは異世界転移・転生などの形で、先進情報による社会変革が描かれた作品が書かれている。 しかし、世の中は「先輩がうまくいってたやり方で、俺も成功したっす!」とはいかないものである。憧れの金持ち父さんになるには、成功者がやった手法を無批判に取り入れてもうまくいかないものだ。 というわけで、日本が近代技術を取り込むに至る流れを、本書を通して自分なりにまとめてみる。誤読・勘違いがあればご寛恕いただきたい。 古来、日本は大陸から海を渡ってやってくる文物に憧憬を抱いてきた。それは仏像や貨幣などの物だけではなく、言語も、宗教も、思想にいたるまで、日本は中国の強い影響を受け、学び続けてきた。 欧州列強が大航海時代を迎えて、ユーラシア大陸の果てから商船が到着するほどに海上交通が発達した室町時代の後半より、そこに新しいものが加わってきた。 木綿である。『朝鮮王朝実録』にある朝鮮側の交易記録によると15~16世紀の日本との交易においては、朝鮮からは主に木綿が輸出され、日本はその代金として銀を支払っていたとある。(村井章介『中世倭人伝』より) 交易が統制された江戸時代になると木綿は国内での生産が中心になる。 江戸時代半ばまでの、日本が海外から多く輸入した品が生糸である。西陣などは、ほぼ完全に中国産生糸に頼っていて、これが海外への金銀の流出につながっていた。 その後、元禄の頃より日本国内でも生糸の生産が始まる。諸藩は財政的にきつくなっていたこともあって、風土が養蚕に向いているようであれば、藩が主導して生糸の生産を始めるようになった。余談であるが、朝日新聞で連載中の宮部みゆきさんの小説『荒神』でも生糸の殖産が物語に関わっている。 生糸はこの後、昭和の時代まで長く日本の主力輸出品となる。その始まりは、江戸時代にあり、ここで明治を迎えるまでの一世紀、あれこれ試行錯誤を繰り返してノウハウや人材が日本全国に浸透していたことが、明治以後の大ブレイクにつながっている。 このあたりは木綿の生産もそうで、明治のチート的な日本の工業化は何もないところから生まれたわけではなく、貿易統制をされていた江戸時代にちゃんと国内産業として発達をしたものが下地になっていることが分かる。 だが、幕末になって国を開いたとたん、日本は容赦なく海外との品質競争にさらされることになる。ここで、日本が幕末に結んだ通商条約が不平等であったことも大きい。関税などを自由に決めることができないため、もろに品質と価格で海外製品に圧倒されてしまうのだ。このまま滅びるわけにはいかないという強い危機意識も、積極的な技術導入につながったことだろう。 本書では、海外と日本の綿糸の品質の差について、当時の人の記録が紹介(P86~87)されていて、これが面白い。 同じ織機で、国産の糸と輸入糸とを使って織らせてみると、音が違うのだそうだ。 国産の糸の織機は、3秒ごとに、「パタン・・・パタン・・・パタン」。 輸入糸の織機は、それが「パタンパタンパタン! パタンパタンパタン! パタンパタンパタン!」と3倍の速度になる。 この違いは、海外綿糸が製糸に工夫をかけて細く長く強い糸を作り上げたことで生じたものだ。そして、そうした工夫も、自然になったのではなく、インドの優れた綿布に圧倒されたイギリスの織物業界が、国際競争に打ち勝つために知恵と金を注ぎ込んだ結果である。海外との交易が競争を生み、競争が品質の向上を促したわけである。 開国の後、日本は一時は先行していた海外の高品質の商品に圧倒される。日本製の生糸にせよ、綿糸にせよ、海外では『安かろう悪かろう』で今ひとつ評判がよろしくない。 そこで、国が主導して海外から成功事例を導入しようとしたわけであるが、これは直接的にはうまくいかないことが多かったようだ。 富岡製糸工場など官営の工場は、海外から技術者や機械を導入して『成功した』『実績のある』ものを取り入れようとしたが、それは当時の日本においては高コストになりすぎ、利益よりも維持費が高い、というものになっていた。このあたりは、八幡製鉄所の建設においても言えることで、自分にノウハウの蓄積がないものを取り入れると、うまくいっている時にはいいのだが、何かトラブルがあった時に解決できずに詰まる、ということになる。タイムスリップした時や、異世界に転移した時のために覚えておきたい。 鉄道もまた製糸業と深い関係がある。明治13年に政府主導から民間資本導入へと切り替わってから、上野~前橋など、北関東に向けて鉄道が延びていく。北関東は江戸時代から生糸の産地であり、これが前述した海外からの技術導入によって発展しているところへ、輸送インフラである鉄道がやってきたのだ。建設着工から1年。上野から60kmの熊谷まででもう、沿線が活況を呈し、前橋まで到達するや北関東全体の経済を押し上げた日本鉄道株式会社とは、ずいぶんと違う。以後、まるでPCゲーム『A列車』のごとく、両者ががっちりと噛み合って、日本の産業は驚くべき持続的発展を遂げ始める。 ちなみに、この逆が本書ではメキシコ鉄道の例としてあげられている。首都で大産業地帯であるメキシコシティと、海外との交易を行うベラクルス港の間、400kmは人も産業もほとんど存在しないこの鉄道は、まったく国内経済を活性化しなかったというのだ。 経済発展なくして技術発展は定着しない。自分の金になるから、人は頑張るのである。 ここまでがだいたい本書の前半を読んでのまとめである。本書の後半、二度の世界大戦と戦後の発展については、また機会があればまとめてみたい。

By |2013-08-21T21:52:16+09:008月 21st, 2013|Categories: 歴史|『近代技術の日本的展開 蘭癖大名から豊田喜一郎まで』中岡哲郎:明治からの日本の後発工業化について考えさせられる良書 はコメントを受け付けていません

アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(25)

■『南方海域強襲偵察』マップ3クリア 期間限定海域『南方海域強襲偵察』のマップ3をクリアした。●E-3「敵集結地を強襲せよ」:航路上に立ちふさがるフラッグ戦艦とフラッグ空母 イベントマップ3は、実質的なクライマックスと運営が宣言しただけあって、マップ2に比べて格段に手強い海域であった。 特に、航路上に立ちふさがるフラッグ空母とフラッグ戦艦は、クリティカルで命中すれば、改造済みの〈長門〉型戦艦であろうが一発でごっそりhpをもっていく難敵である。 この難関に対しては、こちらも十分な準備を整えて立ち向かうしかない。 まず、燃料と弾薬は、5万、3万をそれぞれ用意した。 鋼材とボーキサイトは、2万3千と、1万8千。高速修復材も260個。 今回のクリア目標は、米国海軍プレイである。 艦これの提督の間では、課金によって資源やアイテムを確保して遊ぶやり方を、米帝プレイと呼んでいるが、アメリカ海軍はどちらかというと「足りなくなったら増やす」ではなく、「足りなくならないように用意する」戦い方をしている。 実際に消費するかどうかは別として、必要量よりも多めの量が常に前線に到着し続けるように、兵站システムを整えて戦いに望むのである。 当然、このやり方には「無駄」が多い。 何しろ、使わない燃料、弾薬、資材を前線に送り続けるのだ。硫黄島の戦いでは、戦いが終わった後も大量の武器弾薬が余ったものだが、回収する価値がない、と判断したものは、どんどら穴ほって爆破して埋めている。必要なものをジャストタイムで必要量だけ届けるトヨタのカンバン方式とは違って、無駄だらけのこのやり方は、洗練された美しさはないが、戦争のように何が起きるか分からない状況では強みを発揮する。 思わぬトラブルが生じた時、この方法ならば、余裕をもって対処できるのだ。 質が同じなら、戦争で強いのは「無駄」と「犠牲」を許容できる軍と国家だ。▼資材消費・所要時間・出撃回数燃料:51k→40k(約11000消費)弾薬:34k→25k(約9000消費)鋼材:23k→19k(約4000消費)ボーキサイト:18k→14k(約4000消費)高速修理資材:261→210(51+α個消費)時間:7時間出撃:18回前後 序盤にフラッグ空母のクリティカルや、荒ぶる羅針盤によって栗田ターンを繰り返したため、思っていたよりは時間も資材もかかってしまったが、目標であるアメリカ海軍プレイはできたように思う。 ようは、相手が泣いて謝るまで殴り続けるのをやめなければいいのだ。英国紳士の戦い方は、まったくもってエレガントである。▼第1攻略艦隊・CV〈赤城〉Lv80 彩雲、烈風、流星改、彗星・CV〈加賀〉Lv66 応急修理要員、烈風、流星、彗星・BB〈陸奥〉Lv88 応急修理女神、46cm砲、91式徹甲弾、33号電探・BB〈金剛〉Lv77 応急修理女神、46cm砲、21号電探、15.5cm三連装副砲・DD〈島風〉Lv65 応急修理要員、61cm四連装酸素魚雷、10cm連装高角砲・DD〈雪風〉Lv40 応急修理要員、61cm四連装酸素魚雷、10cm連装高角砲消費燃料:292 消費弾薬:330 アメリカ海軍プレイなので、旗艦以外にはダメコン要員を搭載した。そのおかげで、ボス前で中破でもためらわずに前進を続けることができた。なお、お守りがわりになったのか、ダメコン要員を実際に使用することはなかった。▼第2航空支援艦隊・CVL〈千代田〉航改Lv57・CVL〈千歳〉航改Lv55・CVL〈飛鷹〉Lv52・CVL〈隼鷹〉Lv53・DD×2消費燃料:108 消費弾薬:84 「前衛支援任務」では、軽空母4隻を送り出した。一度も支援してくれなかったことがあり、マップ1-1で士気高揚状態にしてから支援を行わせたところ、そこそこの活躍をみせてくれた。ただし、潜水艦相手には1度もダメージを与えることができなかった。▼第3砲撃支援艦隊・BBV〈扶桑〉Lv61・BBV〈山城〉Lv56・BBV〈伊勢〉Lv54・BBV〈日向〉Lv50・DD×2消費燃料:208 消費弾薬:368 「艦隊決戦支援任務」では、航空戦艦4隻を送り出した。攻略艦隊がボスにまでたどりつけなくても、砲撃支援艦隊は燃料と弾薬を消費する。しかし、無駄を恐れてはアメリカ海軍プレイはできない。それに、実際に支援があった場合の効果は、やはり大きかった。相手の耐久力をこれで削った結果、砲撃戦2巡目ではなく1巡目で敵艦隊の何隻かを沈めることができれば、味方の受ける被害はずいぶんと少なくなるのだ。 苦労はしたものの、イベントマップ3はクリアし、ドロップ艦である重巡〈鈴谷〉も獲得した。 最大の難関であるイベントマップ4には……〈大和〉が待っている。 果たしてここに挑むべきかどうか。じっくりと考えてみたい。 悩むのも、このゲームの楽しみのひとつであろうから。

By |2013-08-07T18:37:23+09:008月 7th, 2013|Categories: 未分類|アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(25) はコメントを受け付けていません

アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(24)

●『南方海域強襲偵察』マップ1、マップ2クリア 期間限定海域『南方海域強襲偵察』のマップ1、マップ2をクリアした。▼E-1「警戒線を突破せよ」:対潜水艦対策がキモ イベントマップ1は、ボス艦隊が潜水艦3隻を含む艦隊で、これを撃破するためには、対潜能力が必須となる。 次の艦隊編成で戦い、勝利をおさめた。・対潜水艦任務部隊2隻(いずれも94式爆雷投射機&93式水中聴音機を装備) 軽巡〈五十鈴〉Lv45 or 軽巡〈名取〉Lv50 駆逐艦〈島風〉Lv64 or 雷巡〈北上〉Lv50・主力艦2隻(いずれも46cm三連装主砲と21式対空電探を装備) 戦艦〈陸奥〉Lv83 戦艦〈金剛〉Lv76 or 〈比叡〉Lv60 or 〈榛名〉Lv59 or 〈霧島〉Lv70・空母2隻 正規空母〈赤城〉Lv80 軽空母〈祥鳳〉Lv88 このマップでは、支援艦隊を遠征任務で送り出すことができる。 ボス艦隊が潜水艦隊で、支援攻撃があまり有効でないと思い「前衛支援任務」で軽空母艦隊を送り出した。・「前衛支援任務」艦隊 軽空母〈千歳〉航改Lv54 軽空母〈千代田〉航改Lv51 軽空母〈飛鷹〉Lv51 軽空母〈隼鷹〉Lv51 駆逐艦×2 軽空母4隻+駆逐艦2隻で、一回の遠征で燃料108、弾薬84を消費した。 敵前衛艦隊のうち軽巡1隻、駆逐艦3隻を支援爆撃で沈めるなどの活躍をみせたが、潜水艦にはノーダメージで、支援がない場合もある。主力艦隊が強力であったこともあり、このE-1マップでは「なくても大丈夫」という評価である。▼E-2「敵洋上戦力を排除せよ!」:連続した攻勢をいかに維持するか イベントマップ2では、敵の戦力ゲージが一定時間で回復する。 そのため、連続した攻勢が必要となり、資源の備蓄が不可欠である。 今回は、十分な備蓄をもって戦いにのぞんだ。燃料:39k→37k(約2000消費)弾薬:25k→23k(約2000消費)鋼材:16k→14k(約2000消費)ボーキサイト:13k→12k(約1000消費)高速修理資材:223→205(18個消費)時間:3時間トライ回数:5回(6回かも?) おおむね、各資材2000の消費である。 艦隊は次の編成で挑んだ。・対潜水艦任務部隊2隻(いずれも94式爆雷投射機&93式水中聴音機を装備) 軽巡〈五十鈴〉Lv48 or 軽巡〈名取〉Lv53 駆逐艦〈島風〉Lv65 or 雷巡〈北上〉Lv51・主力艦2隻(いずれも46cm三連装主砲と21式対空電探を装備) 戦艦〈陸奥〉Lv84 戦艦〈金剛〉Lv76 or 〈比叡〉Lv60 or 〈榛名〉Lv59 or 〈霧島〉Lv70・空母2隻 空母〈赤城〉Lv80 or〈翔鶴〉Lv55 空母〈祥鳳〉Lv88 or〈加賀〉Lv66  支援艦隊は最初3回、様子見で出さずに戦闘をした。 しかし、最後のボス艦隊は南方棲鬼(戦艦)に戦艦1隻と護衛要塞2基を含んでおり、まともにぶつかると、かなりの損害を被ることが明らかになった。 最初に軽空母〈祥鳳〉がhp1にまで削られて肝を冷やし(応急修理女神を搭載してはあった)、以後も軽巡〈名取〉空母〈赤城〉が大破するのを見て、支援艦隊を送り出して敵の戦力の減殺を試みることにした。・「艦隊決戦支援任務」艦隊 航空戦艦〈扶桑〉Lv60 航空戦艦〈山城〉Lv55 航空戦艦〈伊勢〉Lv53 航空戦艦〈日向〉Lv49 駆逐艦×2 これだと最初の砲撃支援でかなりの損害を敵に与え、砲撃戦1巡目で南方棲鬼(戦艦)と戦艦以外はあらかた沈めることができるようになった。 ただし、資源の消費も大きい。燃料208と弾薬364は、第一艦隊の消費する燃料316と弾薬396に匹敵するほどだ。 しかしもちろん、資源を消費して被害を抑えて勝利できるなら、そうすべきである。資源を惜しむ戦い方は、結果として資源をより多く消費してしまうからだ。 孫子の兵法でも、兵は平時には掌中の玉のごとく扱い、戦時には塵芥のように扱えとある。島本和彦先生の『仮面ボクサー』で30年パンチを打つ心づもりで、ぱーっと資源を消費させていただいた。 支援艦隊を使っての後半2戦は中破どまりですみ、無事にイベントマップ2もクリアすることができた。 ただし、さっくり成功したせいか、艦のドロップはなし。クリアボーナスであるソナーや爆雷、応急修理女神などを獲得したにとどまった。 バケツと資源を増やした上で、いずれイベントマップ3にも挑戦してみたい。

By |2013-08-05T02:40:29+09:008月 3rd, 2013|Categories: 未分類|アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(24) はコメントを受け付けていません

アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(21)

●艦これの終焉を妄想してみる 今や飛ぶ鳥をレールキャノンで落とす勢いの艦隊これくしょん。 提督数も、新しいサーバの登場で10万を超え、20万に迫る勢いである。 だが、盛者必衰、円環の理に従っても始まりがあるものにはいつか終わりがくる。 果たして、艦これの終わりはどのようにもたらされるのであろうか? 以後は、私が妄想した艦これの終焉(イベント)である。===▼遠征艦隊、帰還せず 終焉は、遠征艦隊の帰還と共に始まった。〈天龍〉「すまねえ・・・提督、しくじった」 第2艦隊を任せている〈天龍〉が、満身創痍で鎮守府に帰還したのである。提督「おい〈天龍〉!お前、海上護衛任務じゃなかったのか!」〈天龍〉「ああ・・・くそっ、あたしとしたことが、ドジふんじまったぜ・・・」〈龍田〉「提督、失礼します――〈天龍〉ちゃん!ダメじゃない、ドックに入らなきゃ!あなた、触雷して大破してるのに!」提督「〈龍田〉!お前もボロボロじゃないか!話は後にして、ふたりともドックに――」〈天龍〉「いいから聞けっ!大事な話なんだっ!」提督「う・・・」〈天龍〉「鎮守府の港の外に機雷原が敷設されている。すぐに掃海艇部隊を編成して、航路を切り開け。このままじゃ、他の遠征艦隊までやられちまう」提督「わかった。すぐに向かわせる」〈天龍〉「よぉし、いい子だ。それと、資材とチビ(駆逐艦娘)どもは無事だ」提督「ああ、お前のおかげだ。いつも助かる」〈天龍〉「へ、そう思ってんのなら、たまにはあたしを第1艦隊に編入しろってんだ・・・ったくよぉ・・・」提督「おい〈天龍〉!しっかりしろ〈天龍〉!」===▼海上封鎖 遠征艦隊に送り出した艦艇が、鎮守府周辺に敷設された機雷によって、次々と損傷を受けるようになる。そしてそれに伴い、任務が失敗する割合も増えてくる。 それまで出撃せずに遠征艦隊を回していれば、それなりに資材が回復していたというのに、今や遠征や機雷の掃海任務に送り出す艦艇の消費する燃料と弾薬の方が、上回るようになったのだ。 備蓄していた燃料と弾薬がじりじりと減少する。 これを補うには、課金しかない、と提督の多くが財布を握りしめてアイテム屋に駆け込むが――そこには、すべての棚が空になり、しょぼくれるアイテム屋娘の姿しかなかった。 考えてみれば、道理である。アイテム屋にだって、無から燃料や弾薬が生じるわけではないのだ。今や、鎮守府周辺の海は、深海棲艦により完全に封鎖されつつあった。===▼機雷原を突破せよ その頃、第1艦隊は、はるか南泰平洋で立ち往生していた。戦艦と空母を中核とする第1艦隊は、南泰平洋の根拠地であるトラクター島で、母港に戻ることもならず、雪隠詰めとなっていた。〈長門〉「こうなっては、いたしかたあるまい。どれだけの損害を被ろうが、全艦隊が一丸となって鎮守府への航路を突破するのだ」〈陸奥〉「姉上、ですが今となっては突破こそ至難の業かと」〈霧島〉「私の計算でも、機雷原を全艦が突破できる可能性は3%未満です」〈加賀〉「そう、戦艦も空母も機雷原を切り開く能力はない。とても危険」〈金剛〉「主力艦だけで来たのが仇になってマース」〈長門〉「そのことを悔やんでも仕方ない。我々は、何としても、母港に戻るのだ。たとえ半数が沈んだとしてもな」〈扶桑〉「先頭は、私に任せていただけないかしら?」〈山城〉「姉様っ?!」〈扶桑〉「こういうのは、順番があると思うの。〈長門〉さん、あなたならそのことが分かるはず」〈長門〉「・・・ひどい人だ、あなたは。また私に、あの夜を繰り返せというのか」〈扶桑〉「何度でも。それが必要である限り」〈長門〉「分かった。先頭は〈扶桑〉続いて〈山城〉〈伊勢〉〈日向〉。その後に私と〈陸奥〉。〈金剛〉たちは最後尾だ」〈比叡〉「ちょっと待って! 私たちの方が機動力があります!前衛には向いています!」〈長門〉「だめだ。相手が機雷なら、機動力は関係ない。そして、お前たちの防御力では一発の機雷が致命傷になりかねん」〈比叡〉「ですけど!」〈長門〉「それに、こちらが逃げようとしたら、敵の追撃もあり得る。そのときこそ〈金剛〉型の出番だ。いいな」===▼鎮守府最後の戦い 満身創痍となった第1艦隊が帰還した後も、戦況は悪化の一途をたどる。 せっかく戻ってきた第1艦隊だが、出撃するどころか、資材不足で修理すらままならぬ状態でボロボロになった身体を港にさらしている。〈赤城〉「提督」提督「こんな夜中に、なんだ?」〈赤城〉「提督こそ、こんな暗い部屋で書類仕事なんて、目が悪くなってしまいますよ」提督「そうも言ってられない。なんとか燃料と資材を調達しないと。このままでは、じり貧だ」〈赤城〉「そんなにも、悪いのですか。駆逐艦娘たちにあげる燃料すらないほど」提督「いや・・・ん、そうだな。お前に隠してもしょうがないか。今や、最後の備蓄に手を出すかどうか、ってところだな」〈赤城〉「あの・・・いざとなったら、私を解体・・・いひゃい、いひゃいれふ!」提督「さんざん、今まで食っちゃ寝しておいた身で、ロクな資材にもならないくせに、解体されて楽になろうだぁ、どういう了見だ? 怒るぞ、こらっ」〈赤城〉「すみません。でも、相手が機雷原と潜水艦型だけになった今、私に出来ることは、もうこれくらいしか・・・」提督「いや、こうなったからこそ。お前には最後の仕事がある」〈赤城〉「最後の仕事って・・・いやですよ、提督を見捨てて逃げる役なんて」提督「そうじゃないって。あー、なんて言ったらいいかな」 提督は、鎮守府の床にどっかとあぐらをかいた。 〈赤城〉もまた、その隣に横座りとなる。提督「深海棲艦の狙いは、なんだと思う?」〈赤城〉「何って・・・恨みを晴らすために、船や人を襲ってるのでは?」提督「そりゃ恨みはあるだろう。けど、こうなってみると分かるが、あいつらは、俺たち人間なんか、最初から眼中にない。深海棲艦がこんな風に機雷原で航路を封鎖する手をとってたら、ハナからお手上げだった。なのに連中は、最後の最後になって、反則とも言うべき、通商破壊に出た。手を出せない深海から、機雷だけ放出して来ている。これまでこっちに合わせて海の上でドンパチやってたのに、だ。なぜだ?」〈赤城〉「そう言われても・・・嫌がらせのようにしか思えませんね」提督「そうだ。こいつは嫌がらせだ。それも、俺たち人間にじゃない。お前たち、艦娘への嫌がらせだ。深海棲艦の狙いは、お前たち、艦娘を絶望させることなんだ」〈赤城〉「私たちを戦わせ、勝てると思わせて絶望に・・・まさか、彼らの狙いは・・・」提督「お前たち艦娘を絶望させて深海棲艦にし、仲間にする気だろうな」〈赤城〉「そんな、ひどすぎます! 私たちの心を弄ぶなんて! 提督よりひどい!」提督「奴らは人間じゃないから・・・いやいやいや! なんでそこで俺? 俺ってそんなにひどい? セクハラって、そんなにひどい罪?」〈赤城〉「希望を持たせておいて、突き放すあたりが、そっくり同じ手法ですね。極刑に値する罪です」提督「濡れ衣だ! 俺はお前以外にそんな希望を持たせるようなことは・・・コホン」〈赤城〉「・・・ほら、そうやって繰り返す」提督「話を戻すぞ。連中は、最後にお前たちに絶望をたたき込むためやってくる。この鎮守府に、全力で侵攻してくる。そうしなければ、せっかくの準備が意味を持たない。このまま戦わずに勝利しても、お前たちが絶望して深海棲艦にならなかったら、連中にとっては意味がないからな」〈赤城〉「その最後の戦いに――私は必要なのですね」提督「全員が、必要だ。もう一隻たりとも失うわけにはいかない」〈赤城〉「でも、燃料と弾薬は? あと、ボーキサイト」提督「それは俺の仕事だ。なんとかする。だから、今はこらえてくれ。最後の戦いに、勝利するために」〈赤城〉「いいでしょう。でも、最後の戦いに勝利したら、覚悟してくださいね。バケツと資材と、それと・・・期待、してますから」=== かくして、提督と艦娘たちは最後の戦いにおもむくのである! ばばーん!

By |2013-07-19T00:55:55+09:007月 18th, 2013|Categories: アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌, 雑記|アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(21) はコメントを受け付けていません

『宇宙戦艦ヤマト2199』のSFネタ解説その3:ガミラスの猛将ドメル

 宇宙戦艦ヤマト2199に出てくるギミックや台詞を元に妄想をたくましくしていくSFネタ解説シリーズの3回目。 今回はヤマトの好敵手である、ガミラスの猛将ドメルと、その戦い方をみていきたい。■ヤマト2199第11話『いつか見た世界』での小マゼランの戦い ドメルがどのような指揮をするかは、ガトランティス(旧作の白色彗星帝国)との戦いである程度読み取ることができる。 ドメル対ガトランティスの辺境での戦いは、かなり途中経過がはしょられているので画面から推測するしかないが、それがこの図である。 囮で敵艦隊を誘引、拘束したかどうかは画面からは読み取ることができないが、私はかなり高い確率で囮艦隊がいたものと考える。 こうした、主攻と陽動を分けるというのは、戦術の基本である。ガトランティス側が何も警戒せず、単にドメルの奇襲を受けた間抜け……という可能性は、もしあるとしても、ドメルが、そういう敵の間抜けさに頼る戦いを仕掛けるとは思えない。 私は、ガミラスの戦い方の基本は機動力を活かした戦い方であると考える。そして、自軍の機動力を活かすために重要なのが、敵の動きを制限することである。 機動力というのは相対的なものだ。こちらの機動力は艦や指揮通信などのハード・ソフトでどうしても上限が決まる。ドメルとて、艦に性能以上の速度は出させられない。 だからこそ、自軍の機動力が、より、致命的になるように、敵の動きを制限することにドメルは意を配るだろう。 ガトランティスの持つ一番高い機動力は(彼らが旧作の白色彗星帝国に近いとして)航空戦力である。艦載機の持つ機動力こそ、ガトランティスが持つ強みだ。しかし、艦載機は常時、飛ばしておくわけにはいかない。普段は空母の中に格納しておき、敵を発見したら、発進してこれを攻撃するのだ。 ドメルはそれゆえに「敵の偵察部隊に発見されない」ことを第一とした。 惑星の公転面から垂直になるように艦隊を動かし、死角のような場所から一気に逆落としで高速の駆逐艦隊を突入させたのは、偵察部隊に発見されず敵本隊に接近し、一撃で敵空母を壊滅させるためだと思われる。■ヤマト2199第15話『帰還限界点』中性子星の戦い ドメルがヤマトと戦う前にまず何をしたか……というと、まずはヤマトの戦力分析をしたと考えられる。 ヤマト最大の武器は、なんといっても波動砲である。 この時点でドメルがヤマトの旅の目的を理解しているとは思えないが、惑星に直撃させれば、ただではすまない破壊兵器を、ガミラス帝国の中に入れるわけにはいかない。母星の滅びを迎えてやぶれかぶれになったテロン人(地球人)が、ガミラスの首都に自爆攻撃を仕掛けることは大いに考えられるからだ。実際、地球への扱いや、この話の冒頭での親衛隊の暴挙を考えれば、ガミラスはそのくらい恨まれている。 ならば、この波動砲を使わせない、使っても大丈夫な場所での戦いを考えねばならない。 すでに恒星が寿命を迎えて大爆発(スーパーノバ)した残骸である中性子星カレル163は、うってつけの戦場である。 ここでならば、周囲を気にせず自由に戦える。 ドメルがガミラスの誇る猛将である理由は、彼の旺盛な戦意だ。第11話で登場した後、ガミラス首都でのドメルは、良き夫、良き軍人としての顔しか見せていない。政治には興味がなく、良識的で、妻や子を愛しているごく普通の男だ。 しかし、この15話でドメルの裏に隠れているものが露わになる。彼は、戦争が大好きなのだ。その彼にとって、カレル163は格好の遊び場だった。 そしていよいよヤマトと戦うにあたり、ドメルが一番気を配ったのは、何か。 それは、ヤマトに「ガミラスには戦意がない」と思わせることだった。 罠というものは、こちらの意図に気づかれてしまうと、まず不発に終わる。 中性子星カレル163は重力勾配が強く、ワープ時にその影響を受けやすいことは、罠の存在を知らない時のヤマトですら、ある程度は見抜いていた。 じっくり時間をかけてヤマトが重力勾配をチェックし、カレル163を迂回したり、ドメルが待ちかまえるポイントとは違う場所へワープしては、ドメルの策は失敗してしまう。 だから、ドメルは頻繁に偵察を繰り返させ、しかも戦いは慎重に避けてきた。苛立ちと共に、ガミラスには戦意がない、という意識がヤマトクルーの中にはあったはずだ。 カレル163へのワープ直前への、偵察部隊の突然の攻撃。 沖田艦長に代わってヤマトを指揮していた真田副長は、交戦を避け、急いでカレル163へワープするよう命令する。これは、ガミラスに戦意がない、という前提が正しければ、無理のない選択である。攻撃をしてきたとはいえ、相手は小型艦が2隻。ヤマトの戦力をもってすれば、簡単に打ち払える。 そして、当然ながら『ガミラス艦も彼我の戦力差は知っている』のである。 敵艦がヤマトと本気で交戦するはずがない。真田副長はそう考え、この戦いをこれまでの嫌がらせの延長と考えた。これまでは、少し距離を置いて逃げていったが、今回は少し踏み込んできた。これを追えば逃げ出すだろう。こんな小型艦の嫌がらせに、毎回時間を食われてはたまらない。いつも冷静であっても、真田副長もタイムスケジュールの遅れは気にしている。時間のかかることは極力避けたい意識が働く。 ならば、さっさとワープしてこの場を離れるのが得策だ。 真田副長の推論は正しい。 「ガミラスには戦意がない」という前提が正しいかぎり。 事実は逆である。 ドメルは旺盛すぎる戦意の持ち主である。だからこそ、自分の戦意を隠すためにわざわざ手間をかけて偵察艦による嫌がらせを繰り返したのだ。 前提を間違えていれば、どんな頭脳の持ち主でも、正しい結論にはたどりつけないからだ。 カレル163にヤマトがワープした時点で、ドメルの罠はほぼ完成していた。 大規模な敵艦隊に囲まれていることを知った真田副長の命令が、艦載機(ハヤブサ)を発進させるというものであったのは、この時点においても、真田副長の頭の中に「ガミラスには戦意がない」という前提があることをうかがわせる。 真田副長は、まずここで「様子を見る」ことにしたのだ。 「ガミラスには戦意がない」のだとしたら、これは遭遇戦である可能性が高い。ガミラスがどう動くかを見極めると同時に、いざ戦闘という時のために手持ちの戦力を増やしておくべきだ、と考えたわけである。 ここで、沖田艦長が指揮に戻る。 ぎりぎりのタイミングである。もし、真田副長の命令通りに、艦載機を発進させていれば、そのままヤマトは敵の重包囲の中で沈められていただろう。 沖田艦長は状況に気づくや、これまでのドメルの策略のほぼすべてを見抜いたに違いない。とにかく、いきなり命じたのが敵艦隊への正面からの突撃である。顔つきも険しい。「死中に活を求めねば、この包囲を突破することはできない!」 これまで疑問だったガミラス偵察部隊の動きの真意を沖田艦長だけは見抜いている。 そして、それが意味するものも。 ガミラス艦隊は、ここでヤマトを仕留めるつもりなのだ。逃げればとことん追いかけてくるし、他にどんな罠が仕掛けられているかわからない。(事実、分散配置した別働隊が集まってきた) 正面から突っ込んできたヤマトを見て、ドメルの顔が歓喜に歪む。ヤマトとすれ違う時の表情たるや、嫁さんや亡くなった子供がみたら、ドン引くのではないかというくらい、嬉しそうである。二面性、というよりはどちらもドメルの素顔なのだろう。 沖田艦長の打った手は、罠に落ちたヤマトの取り得る最善手だった。 しかし、今回ばかりは準備と仕掛けに時間をかけたドメルの側に分があった。 ドメルの直衛艦隊を正面突破して振り切ろうとするヤマトを、分散配置した別働隊が取り囲む。いずれも高速艦。傷ついたヤマトが振り切れる相手ではない。 ドメルにしてみれば、してやったり、である。 ヤマトの艦長が無能であれば、あるいは真田副長のように頭脳明晰でも慎重であれば、ドメルの本隊だけでヤマトを仕留めることができる。時間がかかったとしても、部隊をローテーションさせて傷ついた艦艇を後方に下げ、新しい艦を前に出させていくというやり方で、勝利できる。 しかし、ヤマトの艦長が有能で度胸があれば? その時は、即座に正面から突破するはずだ。沖田艦長がそう判断したように。 だからドメルは、自分の本隊をヤマトが突破した時の位置に、別働隊を集結させたのである。あるいは子飼いの前線指揮官なら、このくらいの判断は具体的に指示せずとも臨機応変にやってくれると確信していたか。 ヤマト艦内で、ドメルの仕掛けた罠の全体像に気づいたのは沖田艦長だけだろう。しかし、激しい戦いの連続に南部が戦意喪失したように、このままでは勝てないとは多くのクルーが感じたはずだ。 この時点でなおも、古代進だけは旺盛な戦意を保っている。 どうやればこのピンチを切り抜けられるか、という計算は古代にはない。 しかし、彼は諦めていない。このあたりは、さすが古代守の弟である。 そして、沖田艦長もまた、諦めていない。 諦めてはいないが、計算もできてしまうのが沖田艦長である。 ヤマトの側に、新たに打つ手はない。後はもう、ひたすら耐えるだけだ。 ヤマトに積極的に打つ手がない以上、何か変化が起きるのを沖田艦長は待っている。 なので、敵の猛攻が一瞬だけ途切れた、その変化に沖田艦長は即座に反応する。 カレル163での変化は、ガミラス艦隊の全面撤退だった。 しかし、ここまでの僥倖でない場合――たとえば、敵の別働隊同士が接近しすぎて、艦隊運動に乱れが生じた、など――でも、沖田はすぐにその変化に気づき、敵から離脱するための策を練ったはずだ。 その変化が、ヤマトが沈められる前に起きたかどうか、それは分からない。 しかし、沖田艦長は最後の一瞬まで、諦めることなく、罠をかいくぐるきっかけを探り続けたはずだ。 諦めることのないものにこそ、幸運の女神は微笑むのだから。

By |2017-01-14T18:15:08+09:007月 15th, 2013|Categories: 『宇宙戦艦ヤマト2199』のSFネタ解説, 雑記|『宇宙戦艦ヤマト2199』のSFネタ解説その3:ガミラスの猛将ドメル はコメントを受け付けていません

アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(20)

●種別ごと初代艦から、これまでを振り返る 編成場面のソート機能に「New」というのがある。 これを使えば、古くから艦隊に参加した艦娘ほど、後の方に表示される。 遊びはじめてずいぶんになるので、各艦種ごとに、初代の艦娘をピックアップしてみた。▼駆逐艦〈深雪〉(建造) プレイ開始時に私が秘書艦として選択したのは〈吹雪〉である。 だが、彼女は期間限定の敵泊地への突入で轟沈、喪失した。 彼女のあっけなく、取り返しのつかない死に私は衝撃を受け、以後、艦艇の喪失に注意するようになる。〈吹雪〉「あの、提督。そうすると今の私は……?」 おお、そこは脳内ドラマで補完してある。キミは作戦行動中に行方不明(MIA)になったが、記憶を失って漂流しているところを発見したという設定を採用した。〈吹雪〉「なんだか複雑な気分です」 まったくだ。記憶はともかく、経験値が失われたのは痛かった。〈吹雪〉「……」▼軽巡洋艦〈那珂〉(建造) 我らが艦隊のアイドル。 が、毎回のように中破大破を繰り返すので、懲罰人事として遠征艦隊(どさまわり)に配置する。こういうのも落ち目のアイドルっぽくて良い。〈那珂〉「ひっどーい! 提督の鬼!悪魔!」 やがてレベル20になったので改造のため遠征艦隊からはずしたものの、その頃には、主力艦がそろっており、〈那珂〉ちゃんの居場所はなかった。 TV版マクロス後半のリン・ミンメイみたいで、これまた味わい深い。〈那珂〉「ぶーぶー!」▼重巡洋艦〈足柄〉(建造) 美人で、そして残念なお姉さん。 それまで主力艦が存在しなかった我が艦隊に、最初に重巡洋艦として登場した時の期待は大きかった。 性能も本人が主張するだけのことはあり、戦果も期待通りにあげている。 主力艦が出そろう前の序盤の旗艦として、彼女にはたいへんお世話になった。〈足柄〉「当然よね!」 重巡洋艦はOLっぽい外見の艦娘が多いが〈足柄〉は職場でばりばり働くタイプと見た。後輩の面倒見もよく、上司からも頼りにされている。〈足柄〉「任せて!」 なのに、なぜだろう……〈足柄〉が結婚して幸せな家庭を築いている場面が想像できないのは……〈足柄〉「うるさいわね! もう時代は自立した個人の時代よ!」▼戦艦〈扶桑〉(マップ1-4ボス戦で獲得) 画面一杯に広がる砲塔の数々。 初登場がこれほどインパクトのある艦娘は、そうはいない。見ただけで、戦艦と分かるデザインである。〈扶桑〉「それほどでも……あるかも」 艦娘としての〈扶桑〉さんは豊満な癒し系お姉さんである。レベルが上がれば、航空戦艦にもなれる。〈扶桑〉「運用できるのは水上機ですけどね」 戦艦としては旧式になるが、序盤~中盤の主力艦が少ない時期、頼りにさせていただきました。〈扶桑〉「いえいえ……あの、オチとかは?」 ありません。史実がアレですので、〈扶桑〉さんには全力で幸せになっていただけるよう、全力を尽くさせていただきます。〈扶桑〉「あ、はい。こちらこそお願いいたします」※ドックの裏にて(〈足柄〉「な、なによこの態度の違いは……」)(〈羽黒〉「まあまあ、提督さんがお姉ちゃんに遠慮がないのは、お姉ちゃんのこと、それだけ親しく思っているからだと思うな」)(〈足柄〉「ま、まあね。それほどでもあるけどね! あいつがまだ新米の時に助けてやったのは、私だものね!」)(〈羽黒〉「……ちょろすぎるよ、お姉ちゃん」)▼軽空母〈祥鳳〉(建造) 初期に登場し、そして今もレベルでトップ(76)を独走しているのが〈祥鳳〉である。 装甲は薄いが、運用コストも低く、まことにリーズナブルな空母である。 正規空母が登場するまでの間、どれだけ助けられたか。 現在は、偵察機の〈彩雲〉を搭載しており、艦隊の目としての活躍がさらに高まった。〈祥鳳〉「つまり、便利にコキ使われてるってわけですね」 そこは重要なポイントだ。 便利に使える、消耗しても惜しくない(資材的な意味で)というのは〈祥鳳〉他、軽空母全般に言えることだろう。 ひたすら尽くす系の女。昔なら髪結いとか、そういう感じ。会社で言えば秘書や経理担当。メロドラマで言えば妾か愛人枠。それが軽空母である。〈祥鳳〉「もう、お妾さんとか……古風ですね」 ……そこで何となく嬉しそうなのが、頼もしいのだか怖いのだか。 情が深いので、提督が裏切ると腹を刺してくる。ガンパレの原さんのように。▼正規空母〈赤城〉(任務) なぜか任務がなかなか出てこなかったので、登場は少し遅れたが、初の正規空母である。 その航空戦力の充実ぶりと、中破大破した時のドック入りの時間と資材の消費量から、腹ぺこ慢心キャラがすっかり定着。 我が艦隊でも、資材不足で2日ほど中破したまま鎮守府の海に浮かんでいた。〈赤城〉「あの時のことは、今思い出しても恥ずかしいです」 序盤の正規空母は、新米提督にとって過ぎたるものだからな。運用コストが高いので、持っていても使えないなんてことも多い。〈赤城〉「でも、それなら戦艦も同じはずなのに……」 戦艦は、装甲が厚い。ダメージがなかなか通らないので、ドック入りする間隔は開く。出撃のたびに燃料と弾薬は消費するが、印象に残るはどうしても、ドック入りだ。 その点、序盤のお前さんは……〈赤城〉「ぶー……私だって成長したら、硬くなります」 そりゃ、なるけど。お前さんのレベルが高くなる頃には、提督のレベルも高くなって遠征艦隊が2~3常時回るから、資材不足も初期ほどクリティカルじゃないんだ。〈赤城〉「つまり、資材がボトルネックな序盤に、強いけど脆い私が登場するから、腹ぺこキャラの汚名がついちゃうんですね……これって、運営の罠?」 罠だな。恨むなら、運営を恨め。俺を恨むな。〈赤城〉「いえ、運営は恨みません。だって、任務で参加できる仕様があるから、提督に真っ先に会えたんですもの」 おおう、そう来たか。〈赤城〉「でも、提督は恨みます。私がこれだけ序盤から頑張ってるのに、最近は〈飛龍〉はまだか〈瑞鶴〉はまだかって……私より若い子がいいのね」 古女房ポジションかっ。似合いすぎだろ。

By |2013-07-19T00:55:54+09:007月 12th, 2013|Categories: アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌, 雑記|アカガネダイ提督の『艦隊これくしょん』日誌(20) はコメントを受け付けていません

アルシャードセイヴァー『ミョルニルの雷石』キャンペーンBチーム第3回『暗闇の中へ』今回予告、ハンドアウト、地図

■今回予告  ワームスカルの奇襲により、ミーティア駐屯地は大打撃を被った。  だが、たまたま居合わせた冒険者たち(AチームPC)の活躍により、将兵の多くは救出される。  しかし、基地施設と装備の多くを失っており、このまま座して二度目の襲撃を受ければ今度こそ部隊は壊滅してしまう。  帝都から戻ったキミたちは、グンターの命令ですぐさま偵察任務に出る。  主目的は、地下のワームスカルの戦力と動きを探り出すこと。  副目的は、ワームスカルが戦略輸送に使用している“奈落回廊”を封じること。  “奈落回廊”を封じさえすれば、敵の増援や補給を断つことができるからだ。  しかし、地下へ向かうキミたちの前に[ライバル]が立ちふさがる。  彼らもまた、ワームスカルと戦うためにここに来ているようだが……?  アルシャードセイヴァー  『ミョルニルの雷石』キャンペーン  Bチーム第3回『暗闇の中へ』  そして今、君は神話を越える。 ■ハンドアウト: 選択ハンドアウトA: コネクション:グンター・グーデリアン 関係:上官  ワームスカルの奇襲により、ミーティア駐屯地は大損害を被り、指揮官のグンターも負傷した。このまま二度目の襲撃を受ければ今度こそ駐屯地は壊滅し、ミーティア遺跡を含むエリアがワームスカルの手に落ちる。  まずは地下に潜って敵の情報を集めなくてはいけない。  しかし、[ライバル]もまた、同様の目的でこの地にやって来ているようだ。 【クエスト:地下に潜り偵察を行う】(集めた情報×5点) 選択ハンドアウトB: コネクション:[ライバル] 関係:好敵手  ワームスカルは、奈落回廊という奈落を使った移動手段を持っている。今回の襲撃も、この奈落回廊によって行われた。  ミーティア平原の地下に張り巡らされた奈落回廊を封鎖しなければいつか奴らの軍勢に押し切られるだろう。  しかし、[ライバル]もまた、同様の目的でこの地にやって来ているようだ。 【クエスト:奈落回廊を封鎖する】(封鎖した数×5点) ■ライバル(ROC) 1:蒼のシェルリイ(エクスカリバー導師) 2:ヘルムート・ゾンバルト(帝国軍西部方面軍団長) 3:ナガセ・ミナ(ウィンカスター・フォーチュン・サービス所長) 4:ハワード・マッキンタイヤ(アカデミー教授) 5:セレーナ・ゴルデンバウム(皇帝の侍従長) 6:ガイウス枢機卿(バルトロマイ枢機卿にて異端審問官) (今回は部分的に『ナイトレンジャー』のシナリオクラフトを使用します) ■シナリオ地図 「暗闇の中へ」マップ

By |2017-01-14T18:15:11+09:007月 12th, 2013|Categories: 未分類|Tags: |アルシャードセイヴァー『ミョルニルの雷石』キャンペーンBチーム第3回『暗闇の中へ』今回予告、ハンドアウト、地図 はコメントを受け付けていません