魔機復元

魔機復元09

エルランとイスカンダル ―― Elran & Iskandar  エルランの意識状態が回復するまでは、なるべく動かない方がいいだろう。ヘッドライトを修理しながら、ついでに車体の点検もする。タイヤの空気圧は問題なし。電池もまだ予備がある。冷却系異常なし。しかし、セラミックのフレームにごく小さなクラックが入っていた。たぶん放置してもしばらくは大丈夫だと思うが、念のため焼き直して修復する。  地味な作業を続けながら、ふと、この術式が生まれるきっかけになった出来事を思い返した。 […] «魔機復元09»

By |2016-02-18T02:20:04+09:002月 18th, 2016|Categories: 小説|Tags: |魔機復元09 はコメントを受け付けていません

魔機復元08

魔法工学者 ―― Who am I? 「あなたは何者なのか?」  と聞かれたら、ぼくは何と答えるべきだろう?  もちろんぼくは魔法使いで魔法学者だが、「何の」魔法学者なのかと言われるとちょっと言いよどんでしまう。 […] «魔機復元08»

By |2016-02-24T07:26:03+09:002月 11th, 2016|Categories: 小説|Tags: |魔機復元08 はコメントを受け付けていません

魔機復元07

魔機復元 ―― Reconstruct Machine Maiden 「Combat load, ready.」 (戦闘態勢)  いくつもの戦闘補助術式が起動され、視界がワイヤーフレームのような簡素化された表示に置き換えられる。戦闘時に必要なのは、たくさんの情報ではなく、不必要な情報を意識から隠すことだ。多すぎる情報は迷いを生み、瞬時の判断を難しくする。  達人と言われるような魔法戦のプロたちなら、訓練と経験で意識しなくても情報の取捨選択ができるらしいけど、ぼくはプロではないので、魔法でなんとかする。 […] «魔機復元07»

By |2016-02-24T06:34:06+09:0012月 14th, 2015|Categories: 小説|Tags: |魔機復元07 はコメントを受け付けていません

魔機復元06

魔法近接戦 ―― Magical Closed Combat  魔法使い同士の戦闘というのはとかく不毛なもので、毎時数千基数の防御魔法を垂れ流しながら、お互いの探知魔法を数時間から数日にわたってつぶし合うとか、そういうただひたすらダルいものになりがちだ。仮に相手がぼくよりよっぽど弱くて充分勝ち目があるとしても、ぼくが費やした魔力に見合う報酬を得られる可能性はほとんどない。 […] «魔機復元06»

By |2016-02-24T04:25:28+09:0011月 26th, 2015|Categories: 小説|Tags: |魔機復元06 はコメントを受け付けていません

魔機復元04

脳と心の相関地図 ――Brain-mapping  賢明なる読者諸兄は先刻承知と思うが、現代の魔法の多くは「科学技術の後追い」である。すでに原理の解明されたものを魔法で再現しているに過ぎない。燃料を使う代わりに魔力を使っているだけで、そこに不思議なことは何もない。しかし、いくつかの部分では科学よりも魔法の方が進んでいる分野もある。  そのひとつが、ブレインマッピング――脳と心の相関地図だ。 […] «魔機復元04»

By |2017-01-14T18:05:11+09:0010月 19th, 2015|Categories: 小説|Tags: |魔機復元04 はコメントを受け付けていません

魔機復元03

既知の言語に該当なし ――No data in a known language.  さて、タブレットの表示を見ると、井戸の方はまだ時間がかかるようだ。既に夜を越す算段はついているので、次はもうちょっと快適に過ごす方法を考えよう。  まず、簡単な魔力感知術式を組む。たいていの生き物は強い魔力を帯びているので、生き物が動くとその周囲にさざなみのような魔力の波紋が生まれる。この魔力の波を計測する術式を複数の箇所に置いて、三角法を用いれば対象までの方向と距離が分かる。まあもちろん、面倒な計算はタブレットにやらせるけど。 […] «魔機復元03»

By |2016-02-24T01:05:34+09:0010月 15th, 2015|Categories: 小説|Tags: |魔機復元03 はコメントを受け付けていません

魔機復元02

井戸を掘る ――Wishing Well  エアコン代わりに気温を下げる簡単な魔法(といってもこれのおかげで魔力の集まる速度が8割に減った)を使い、ようやく砂の上に腰を落ち着けることができた。尻が熱いとか砂まみれになるのはもう気にしていられない。どっちみち、魔法陣を描いた時に砂まみれの手で顔をぬぐったりしたから、何もかも手遅れだ。 […] «魔機復元02»

By |2016-02-24T00:24:03+09:0010月 12th, 2015|Categories: 小説|Tags: |魔機復元02 はコメントを受け付けていません

魔機復元01

まずはじめに じめんをかく つぎには そらをかく それから おひさまと ほしと つきをかく (谷川俊太郎 『えをかく』) 光あれ ――Light will be.  見渡す限りの、砂と空。  真昼の日差しを浴びた砂はただただ白く輝き、空はひたすら青い。  気がつくとぼくは、砂漠の真ん中に立っていた。 […] «魔機復元01»

By |2016-02-24T00:15:22+09:009月 17th, 2015|Categories: 小説|Tags: |魔機復元01 はコメントを受け付けていません