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ROGM回顧録18 難攻不落の要塞

 2月半ば、教国は中央ラスダンの支配権をほぼ確立しつつあった。しかし、北側にはまだ共和国の強力な同盟が居座っており、彼らの手で「要塞」と名付けられた難攻不落のキャンプがその拠点となっていた。
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ROGM回顧録17 墨俣の一夜城

 敵のキャンプを落とすだけでは、異世界支配率は上がらない。
 教国の勢力を大きくするには、落とした後の地に自国のキャンプを建てていく必要がある。
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ROGM回顧録16 そして敵はいなくなった

 今思い返しても、ACCAは特異な組織であった。
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ROGM回顧録15 速きこと島風の如し

「高速魔導士戦術」の効果はすぐに現れた。「朝練」でキャンプを撃墜する数が格段に多くなったのである。
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ROGM回顧録14 高速魔導士事始

「スキルで移動時間をカットできる」と聞いて「高速魔導士部隊」という絵を思い浮かべた人間は他にもたくさんいたはずだが、これを実行に移すとなるとまた別の話である。
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ROGM回顧録13 馬鹿が魔導士でやってくる

 この頃、ACCAでは毎週末、土曜深夜から日曜の朝にかけて「朝練」と称し、中央ラスダン付近で共和国のキャンプを破壊する活動を行っていた。
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狐狸狐狸 参

 我が家には座敷童が棲んでいる。
 僕が引っ越す時から既に年季の入った家だったのだが、前の入居者はこの姿の見えない同居人を連れて行かなかったようだ。

 僕は最初そういうモノが棲んでいるとは聞いていなかったので、寝室のドアが「かちゃり……」とひとりでに開くのを見た時、一種形容しがたい感情に呑まれたものである。
 その後も不可思議な事は収まらず、僕が寝ている時に玄関でなにやら物音が聞こえたかと思うと、階段をとてとてと上がる足音が聞こえ、挙げ句に隣室から話し声がするので起き出して見ると誰もいない、ということがあった。

 もちろん、ドアが独りでに開くのは立て付けが悪いせいであり、気圧の変化によってドアに圧力が掛かりやすい構造になっていたからだし、玄関の物音は後に郵便受けにチラシなどを投函する時の音、隣室の話し声は隣家の声が反響しているだけだと後で分かった。

 しかし、階段の足音だけは今以て未解明のままである。

 何か理屈をつけようと思えばできるのかもしれないが、それも味気ない気がして、僕は未だにこの家には座敷童が棲んでいるのだと思うことにしている。

ROGM回顧録12 ブラックホール浄化作戦

 理論上は、キャンプを「兵糧攻め」にすることは可能である。
 キャンプに詰め込まれた兵士は食糧を消費する。食糧は農場という施設で生産されるが、食糧生産量を超える兵士が詰まっていると農場以外の施設を建設することができなくなり、食糧の備蓄がなくなるとそのキャンプに所属している兵士が減少していく。
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狐狸狐狸 弐

 僕が少年時代を過ごした家の、すぐ傍の山には狸が棲んでいた。
 我が家の猫たちにとっては、餌を横取りする招かれざる隣人であったが、この世の中では生きていくのも厳しかろうと僕らは見て見ぬふりをすることにしていた。

 ある年の2月、しん、と静まりかえった夜明け前に僕はふと目を醒まし、新聞を取りに外へ出ようとした。
 すると、眩いばかりの月光の下、庭は一面の銀世界となっていた。サンダル履きだった僕は「こりゃいかん」と回れ右して家に引き返し、結局また寝直してしまった。昼過ぎになって再び目醒めた頃には雪は融けてなくなっていた。
 しかしその後、仲間に「今朝はすごい雪だったなあ」と報告すると、皆口々に「はて、雪なぞ降ったか」と首を捻るばかり。
 どうやら僕は真っ白な月明かりに照らされた我が家の庭を雪と勘違いしたらしい。どう記憶を掘り起こしてもそれは間違いなく雪だったのだが、今思えばあれは狸に化かされたのだろう。

狐狸狐狸 壱

 もうかれこれ二十年ほども前の話になる。
 陰暦四月の初め、父と共に僕は丹沢山中にわけいり、頂を目指していた。春霞む卯月の頃と言っても桜並木に花は無く、見渡す限り芽吹いたばかりの葉が淡く緑色に茂っていた。
 山頂も間近となり、ふと視界が開けた頃、突然生暖かい風が吹き抜けたかと思うと中天より桜の花びらが舞い落ち、あれよという間に僕と父は桜吹雪に見舞われた。周囲に桜の花などないというのに、である。
 僕はなんとも言い表しがたい気分を抱いたが、口には出さず、父もまた無言で歩き続けた。

 後に山頂にたどり着いてみると、そこには未だ桜が咲いており、なるほど先の花吹雪は山頂の桜の花が風に乗って舞い降りたものかと合点した。思うに、世に言う「狐に化かされる」とはこういうことだったのではなかろうか。