学園恋愛ものっぽいナニかのOP(?)
キミのその言葉を聞いた時。僕の心を覆い尽くしていた曇り空に、陽が差し込んで見えたんだ。 「……なんて言っても、あの子はきっと『良く分からない』って顔するだけだろうなあ」 それとも。 「セーンパイっ、おはようございまーす」 再び思索にふけろうとした僕の意識に割り込んだ、調子のいい声。 予想外の声に驚きつつも、どうにか返事をすることができた。 「お、おはよう。このタイミングで会うとは思わなかったな」 独り言を聞かれてはいなかったかと、若干声が引きつっているのが自分でも分かる。おそらくは、顔も。 「先輩の登校時間が少し早いだけです。私はときどき見かけてましたよ」 ややむくれた表情ながら、挨拶の時そのままの、明るい声。 どうやら気づかれてはいないらしい。 「なるほどね。で、その様子からすると結果は……」 「はい、先輩のおかげです」 「そっか。おめでとう」 「ありがとうございます」 そう言って丁寧にお辞儀をした彼女は、顔を上げるとそのまま僕を追い越して行ってしまった。 わざわざ挨拶してきたのはどうやら、お礼を言うためだったらしい。 同じ委員会だったよしみでの相談だったが、受けたからには上手くいってほしかった。 だから確かに、良かったとホッとする。 しかし。 「はぁ……」 「何を朝っぱらからため息なんぞ。どうしたっていうんだ、ハーレム男」 いつものやり取りのうちだが、イラッとするのは否めない。 「お前なあ」 「ん? 不満なら別の言い方でもいいぞ。イケメン、モテ男、慈善活動家。どれがいい?」 僕の実情はと言えば、どれでもない。 ただ、僕の所に相談にくる女の子が何人かいて、僕はそれに応えているだけに過ぎない。 「知ってるくせに」 「ため息つくくらいなら止めて置けって話さ。イイ人しすぎだと思うぜ、お前」 と言われたところで、僕が掌を返せるような人間だったらそもそもこんな事で悩んではいないだろう。 そう。僕の想い人が「相談にくる女の子の一人」だったとしても、僕の悩みは自業自得でしかないのだ。 「あ~ぁ……」 どうしてこうなったのか、と続ける気にもなれなかった。