【TRPG】【ログ・ホライズンTRPG】『LHZ』で版権キャラを遊ぶ

【TRPG】【ログ・ホライズンTRPG】『LHZ』で版権キャラを遊ぶ

前回の記事では、「ログホラTRPG」の設定が、説明を省き、ゲームに参加する際の負担を大きく軽減する、ということについて書いた。 さて、今回はもう少し具体的な、かつ一般性の低い話をしていく。 なぜわざわざそんな話をするのかというと、長年僕が考えてきた疑問に、同作が一種の回答を出しているように思えるからだ。 疑問というのは、ずばり「TRPGで原作のあるキャラを遊ぶのはいけないことなのか?」ということだ。 (注:『ログ・ホライズンTRPG』の話になるまでにかなりの量の前起きがあります) http://www.amazon.co.jp/%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%BA%E3%83%B3TRPG%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF-~%E3%82%AD%E3%83%9F%E3%82%82%E3%80%88%E5%86%92%E9%99%BA%E8%80%85%E3%80%89%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8C%E3%82%8B-~-%E6%A9%99%E4%B9%83%E3%81%BE%E3%81%BE%E3%82%8C/dp/4047293598 […] «【TRPG】【ログ・ホライズンTRPG】『LHZ』で版権キャラを遊ぶ»

By |2017-01-14T18:10:02+09:005月 15th, 2014|Categories: TRPG, ログ・ホライズンTRPG, 考察|Tags: , , |【TRPG】【ログ・ホライズンTRPG】『LHZ』で版権キャラを遊ぶ はコメントを受け付けていません

アリアンロッド・サガ二次創作短編『ギィの朝帰り』

==================================== このお話は、『アリアンロッドRPG2E サガ・クロニクル』(菊池たけし/F.E.A.R.)収録のワールドセクションに書かれた、人類戦争後のアルディオン大陸に関するネタバレを含みます。 あと、小説の内容については私の妄想でありますゆえ、ふたりの過去と合わせて、そういうことが本当にあったわけではありません。ご了承のほどを。==================================== 早朝のノルウィッチ。この町で最初に朝日を浴びるのが、町のシンボルとも言うべき、高い城壁だ。まだ周囲が暗い中、壁だけがやんわりと白く浮かび上がって見える。「春は曙、ようよう白くなりゆく壁ぎわ、ってか……ふわあ」 まだ闇が残る下町の通りを歩きながら大きくあくびをした眼帯の男。名前をギィという。 フェリタニア合衆国の密偵を束ねる立場にあり、戦いにおいては弓を得手とする。狙った獲物を決して逃さぬ弓の腕前から、敵対する連中に『隻眼の鷹』なるあだ名をちょうだいしているが、本人はあまり気に入っていない。「朝になっちまったし、そろそろ帰って寝るか……うーむ……」 ねぐらに向かう足が重い。 理由は分かっている。見たくない顔が、そこにいるからだ。「いるんだろうなぁ……マム」 ギィがマムと呼ぶ人物の名はオーレリー・カルマン。小柄で童顔なフィルボルの女性だ。ギィにとっては弓を始めとする戦闘術の師匠であり、可愛らしい外見とは裏腹に恐るべき女傑だ。マムという名の由来にしても、王蛇会という犯罪組織の女首領であることから来ている。 そのマムが、王蛇会を放り出してギィの家に転がり込んで、もうずいぶんになる。「まったく、いつまでいる気なんだか」 王蛇会の本来の縄張りはアルディオン大陸東部だ。今もそこに本部があり、マムの留守をギィにとっては妹分にあたるルナ・チャンドラが守っている。この間もギィ宛に手紙がきてマムがいなくて大変だという愚痴とギィへの恨み節が延々と書かれていた。「昔はけっこう可愛かったのに、すっかり甲冑の似合う魔術師になりやがって……だいたい、俺はもう王蛇会とは縁が切れて……切れてるようなもんだろうが」 歯切れが悪いのは、王蛇会が犯罪結社によくある、裏切りを許さない組織だからだ。 裏切り者は処刑される。その恐怖の掟があればこそ、王蛇会は裏社会で一目置かれているのだ。実力がいくらあっても、そのあたりが甘い組織は、舐められる。「もう、そんな時代じゃないだろうに……って、俺が言っても説得力はないか」 ギィは立ち止まり、がっくり首を落として大きくため息をついた。「ん……」 その動作の際に、ギィの鼻が白粉の匂いをかぎ取った。懐から、白粉の匂いと、そしてもうひとつの臭いが漂う。「あー……昨夜のアレか……」 朝帰りのギィが、夜の間にどこにいたかというと、白粉と香水を付けた女たちが大勢いる、そういう界隈にいたのである。「この匂いはまずいな……何か、わざとらしくない別の匂いは……」 きょろきょろと周囲を見回したギィの鼻に、香ばしい匂いが漂ってきた。ソースの焼ける匂いである。「お、焼きそばの屋台か」 朝の早い労働者向けの朝食を出す屋台が並ぶ一角に、焼きそばの屋台があった。焼きそばはノルウィッチからみて南方にあるニュービルベリの名物で、最近はあちこちにビルベリ焼きそばの屋台が進出している。「おっちゃん、ひとつくれ」「あいよ」 気のよさそうなドゥアンの男が、鉄板の上で焼きそばを焼いて皿にのせる。一緒に入っているのはそこらの店で出たクズ野菜を刻んだものだが、歯ごたえがしゃきしゃきしていて、旨い。「そういやニュービルベリじゃ、ギデオンのおっさんが焼きそば作ってたな」 何の気なしにギィがもらした言葉に、ドゥアンの店主が驚いて聞き返す。「あんた、ギデオンさんの知り合いかい?」「まあ、そんなものだ。ギデオンを知ってるってことは、おっちゃんは、ニュービルベリの出身かい」「ああ。出稼ぎでな。この屋台はここで借りたモノだが、ソースはニュービルベリで作ったやつを運んできた。どうだ、違うだろ」「ああ。こっちのソースは味が平板でな。こんなに複雑な味はしちゃいないよ」「そうだろう、そうだろう。ギデオンさんが町の連中と苦労して作ったソースだ」 得意そうに語るドゥアンの店主の話を聞きながら、ギィはギデオンという男について考えていた。 ――あいつも俺も、どっちかといえば、俺たちが戦っている悪党の側に近い人間だ。いったい、何が俺やギデオンを、悪党の側に追いやらなかったんだろうな。 今の自分やギデオンには、仲間がいる。守りたいものがある。だからもう、悪党の側に回ることは考えられない。 けれど、その前は? 仲間がいなかった頃の自分とギデオンは、なぜ、悪党の側にいなかった? しばらく考えて、ギデオンについては答えが浮かんだ。 ――あのおっさん、悪党になるには、怠け者すぎるな。 悪党は、勤勉だ。バルムンクも、他の悪党も、アンリのような男でさえ、勤勉だった。恨み、憎しみ、欲望……そういう強い負の感情が、彼らを駆り立て、行動させた。怠惰に適当に、のんべんだらりと過ごすことを許さなかった。 怒ったり憎んだりすることすら面倒に感じるギデオンが、悪党になれるはずもなかった。 ――俺は、どうだ? ギデオンのおっさんに比べれば、まだしも勤勉だ。何より、王蛇会って組織で育てられ、マムに鍛えられている。悪党の側にいても、おかしくはないよな。 答えは見つからず、焼きそばを平らげたギィは、ねぐらのあるアパートへ戻った。「た・だ・い・ま~~?」 相手はマムである。今さら足音を隠すような真似はしない。だが、どうしても声が探るようなものになってしまうのは、子供の頃からの刷り込みの効果か。「よう、お帰り放蕩息子」 今日のマムは、どういう心境かエプロンドレスのメイドさんだった。 ――似合っているのが、腹が立つな。「まったく、毎日毎日、朝帰りとはいいご身分だな」「仕事だよ、仕事」「ほう……?」 マムがすっと間合いを詰めてギィの胸元に飛び込んできた。これが恋人や夫婦なら抱きしめるところだろうが、相手がマムとなると子供の頃からの条件反射で、思わずギィはのけぞってしまう。「その動き、やめてくれよ。そのままブスっとやられそうで怖いんだよ!」「ほほう、ブスっとやられる心当たりはあるようだな」 くんくん、と近づいたマムがギィの胸元で鼻をならす。その顔がアテが外れたという表情になり、ギィはにやっと笑った。「これは……ソースを焼いた香り?」「夜っぴいての仕事帰りだからな。腹が減ってたんで、そこの屋台で焼きそばを食ってきたんだよ。じゃ、そういう訳なんでもう寝るぜ」 してやったりというギィが、あくびをしてみせる。「待て、ギィ」 そのまま寝室へ向かうギィの背中に、マムの声が届いた。 ぴたり、と足が止まる。「なんだい、マム?」「服を脱げ、今日はいい天気だ。洗濯してやる」「おう」 ギィは服を脱いだ。服の中に仕込んであるさまざまな道具や武器をはずして居間にある机に置く。そちらにはマムも手を触れない。プロが持つ仕事の道具は、同じプロだろうが家族だろうが、他の人間が触ってよいものではない。彼らはそういう決まりの中で生きている。「ほいよ」 上半身裸になったギィが、服をまとめてマムに渡そうとする。マムはそれを受け取ろうと手を伸ばし―― すっ、と間合いをつめてギィに身体を密着させるほどに近づいた。 予測していたギィが、くるりと身体を回転させて離れようとする。 エプロンドレスのスカートから伸びたマムの足が、ギィの軸足を払う。 洗濯物がばさっ、と広がって周囲の床に散らばる中、体勢を崩したギィを床に押さえつけて馬乗りになったマムがギィの右の脇腹に手をやった。一カ所、青黒くなっている場所があった。魔法で癒したが、完全には塞がっていない傷を探られてギィが痛みに呻く。「ふん、下手に策を弄するからだよ」「……」 ギィはだんまりである。「あんたが昨夜、どこにいたかは知ってる。白粉の匂いなら、ごまかす必要はなかったんだよ。いつものようにあたしに皮肉を言われて、それで終わりだろ」「……」「ギィ、あんたが隠そうとしたのは血と薬……毒の匂いだ」「仕事だからな。毒を持った敵とやり合うことだってあるさ」「ああ、そうだね。でも……あんたが昨夜戦って、殺したのは自分の部下だ」「……知ってたのか」 その部下は、表向きは歓楽街の女たちを専門にみる薬師だった。おしゃべりがうまく、人好きのする青年で、女たちから情報を聞き出して集める任務に就いていた。しかし、合衆国を裏切ってラングエンドに情報を流し、そのせいで別の部下が死ぬことになった。 最初から殺すつもりだったわけではない。だが、捕らえようとして抵抗された時、ギィには殺す以外の選択肢はなかった。「組織を裏切った間諜は、組織の手で殺さなきゃいけない。あんたがいる場所は、王蛇会と変わらないんだよ、ギィ。だから――」 そこでマムは何かを言いかけて口をつぐんだ。「だから、戻れってか? それはできない相談だぜ、マム」「どうしてだい? 王蛇会でなら、あたしが――」 再びマムの言葉が途切れた。ギィの人差し指が、マムの唇に当てられていた。「それはダメだ、マム。俺はもう、あんたにそういうことをさせたくないんだ」 ギィはようやく思い出した。 何が自分を悪党の側から遠ざけていたのかを。 子供の頃に、一度だけ、ギィはマムが泣いている場面を見たことがある。「なんで……なんで、あんたが……あんな男のために……」 王蛇会を裏切り、自分が殺した女の形見となった髪飾りを前に、マムが泣いていた。 マムとは仲のいい、友達のような女性だった。気だてがよく、お日様のような笑顔が似合う優しい女性だったと、ギィも覚えている。 悪い男に恋をして、悪い男に騙されて、王蛇会の金を盗んで男と一緒に逃げようとしたところで、殺された。「あの男、逃げた先であんたを殺して金を独り占めにするつもりだったんだよ……あんただって、分かってたはずじゃないか。好きな男と一緒になれる、そんな甘い、綺麗な話が、あたし達に来るはずないって……なんで、そんな、夢を……」 子供のギィにとって、無敵だと思っていたマムのそんな姿は衝撃だった。 マムを泣かせたくない。マムが泣かないためには、どうすればいいだろう。 ギィという男の歩く道は、その先にあった。そこにしかなかった。 ――だから俺は今、ここにいる。 上半身裸で床に押し倒され、マムに馬乗りにされたまま、ギィは言った。「なあ、マム。マムの方こそ、王蛇会を――ぐほぉあっ?!」 みぞおちに、掌底を一発。横隔膜が大痙攣を起こし、呼吸すら困難になったギィは苦しさで床をごろごろと転げる。「まったく、朝から何を間抜けなことを、間抜けな格好で言おうとしてるんだい」 立ち上がったマムは、涙目でのたうつギィには目もくれず、ギィが脱いだ服を床から拾い上げて抱えあげた。 マムは部屋を出て洗い場へ向かう。扉を閉じると、扉に背を預けてため息をついた。「あたしに、裏切り者を処分するなんてことさせたくないなら、まず自分が王蛇会に戻って裏切り者でないことを証明すべきだろうに……そこをやらずに、どこに向かってるつもりだい、あいつは」 マムは洗濯物を抱えたまま、人指し指でそっと自分の唇に触れてみる。「……ま、しょうがないね。もうしばらく、あたしが面倒を見てやらないとね」 ふふっ、と笑ってから、マムはぎゅっ、とギィの脱いだ服を抱きしめた。 服からは、ソースの匂いがした。 おしまい

By |2014-05-15T02:03:16+09:005月 15th, 2014|Categories: TRPG, アリアンロッド2E, 小説|アリアンロッド・サガ二次創作短編『ギィの朝帰り』 はコメントを受け付けていません

閃の軌跡周回プレイメモ

前提:実績系のコンプリートは完了している。あとはレベルとリンクを上げるだけ。複数のキャラが装備できて、1周で一つしか手に入らないアイテムやクォーツのみ回収の最短ルート。絆イベントはスルー、熾煌の徽章のためクエストは隠しも含めて全回収。 序章 特に注意点なし 第一章 トマス教官(教官室前)に珍妙料理を渡す:幻妖牙 ロッテ(第一寮前)に独自料理を渡す:熾天使 釣りポイントの交換:氾濫、青龍刃 隠しクエスト:旧校舎第一層攻略後、キルシェにて「切れた調味料の調達」 選択肢ありクエスト:「壊れた街道灯の交換」パスコード466515を選択する 隠しクエスト:実習一日目必須クエストクリア後に大市で「大市商人の体験」→選択肢は「35ミラ」「900ミラ」「2割引チーズ」「6個60ミラ」 選択肢イベント:実習二日目の推理シーン動きに説明の付かないのは?:領邦軍 第二章 選択肢イベント二章直後:導力通信 選択肢イベント寮に帰るタイミングでクロウの手品の種明かし:持っていた巾着バッグ 選択肢ありクエスト:「約50年前」「C・エプスタイン博士」「火薬式の銃や大砲などの武器」 旧校舎二層の敵出現宝箱:死神のクォーツ 旧校舎二層クリア後隠しクエスト:美術室で「生花の受け取り」 実技テストのAPアップ条件:駆動解除 オーロックス峡谷道2敵出現宝箱:薫風のクォーツ 実習二日目の隠しクエスト:オーロックス砦「旅行者の護送」 第三章 試験勉強最短ルート(絆MAXの場合) 本校舎2階の音楽室の本棚 本校舎2階ロビー:ガイウス&マキアス 本校舎1階保健室:メアリー教官 本校舎1階教官室前:マカロフ教官 学生会館1階:リンデ 学生会館1階:エマ&フィー 学生会館文芸部本棚 学生会館生徒会室:トワ会長 図書館1F:エリオット&マキアス 図書館2階:トマス教官 図書館2階:本棚 ギムナジウム1階:青ベンチにある本 ギナジウム2階:エマ&ラウラ 本校舎前:ベッキーとヒューゴ 本校舎屋上:ベリル 技術棟:クロウ 試験解答 「952年、7月」「スケッチ」「機甲部隊」「③内部機構のみで魔法現象を発現」 「帝国交通法」 「B→D→A→C」 選択肢ありクエスト:導力バイクの能力テスト「レバーをゆっくりじわっと放す」「すばやく握って、ゆっくり放す」「前を強めで後ろは軽め」 旧校舎三層の敵出現宝箱は二周目以降はゼラムパウダーなので無視してよし 旧校舎三層クリア後隠しクエスト:中庭のムンク「大切なステッカー」→技術棟前、グラウンド倉庫裏、旧校舎前 実技テスト条件:アーツ不使用 実習初日午前最短ルート:店、薬師の家でクエスト開始→ゼンダー門で手配魔獣クエスト開始→手配魔獣撃破でゼンダー門にイベント移動→監視塔へ移動しながらエポナ草回収→集落側の奥まった先にある宝箱から朱雀刃のクォーツ回収→集落に戻り薬師の報告→店に移動し報告→ウォーゼル家に移動 選択肢ありクエスト:子供たちへの特別授業「約8時間」「80万人」「およそ220年前」「(どれでもよい)」 実習初日午後最短ルート:集落のクエストを全部受けておく→北部で羊三匹回収、集落から左側端の宝箱(白虎刃)、カメラマンはスルーして集落に戻る→北部→ゼンダー門食堂で隠しクエスト「想いの架け橋」を受ける→ノルド高原南部で羊回収し自動的に集落へ→トーマに色を確認しゼンダー門に戻る→集落に戻りノルド高原北部へ→カメラマン回収し自動的に集落へ→ラクリマ湖畔側の宝箱(豊穣)を回収→ラクリマ湖畔へ ノルド高原北部で回収する宝箱:ラクリマ湖畔側(豊穣) 石切場で回収する宝箱:一旦外に出た先(破霊の牙) 第四章 自由行動日のサブクエスト2つともクリア後、教官室でナイトハルト教官に話しかけると隠しクエスト「水練の稽古」 旧校舎四層は宝箱は無視してよし 旧校舎四層クリア後、焼却炉前の用務員話しかけると隠しクエスト「東方風の筆」 [...]

By |2014-04-20T12:45:47+09:004月 19th, 2014|Categories: 未分類|閃の軌跡周回プレイメモ はコメントを受け付けていません

艦これRPGシナリオ 鼠輸送作戦

===シナリオ 鼠輸送作戦=== このシナリオは、孤立した島に補給物資を送るというものです。 スニーカー文庫の艦これノベライズ『艦隊これくしょん 一航戦、出ます!』の第3章をシナリオの元ネタにしております。===シナリオスペック===艦娘人数:3~4人プレイ時間:2時間リミット:2任務:・ドラム缶を集めて、鼠輸送作戦の準備をする。・敵艦隊を撃破して物資を届ける。※注意! 決戦フェイズは夜戦となります。 PCの艦娘として空母を選ぶことはできません。 ===シナリオMAP=== ===導入フェイズ===●読み上げ きみたちは、提督に呼ばれて提督執務室に集まった。「深海棲艦が出現して、孤立した島がある」「きみたちに、島へ補給物資を届けてもらいたい」「本来なら、補給は輸送船が行うのだが、空母の深海棲艦が近くにいるようで、昼間に近くを通ると、沈められてしまうんだ」「だから、ドラム缶に物資を入れて、きみたちが引っ張って島まで届けてほしい。昼間になると空襲を受けるから、夜の間に行って帰ってくるんだ」「ドラム缶は鎮守府のあちこちにあるだろうから、それを集めてくれ。物資はこちらで用意する」「ドラム缶を引っ張って物資を輸送することを、昔は鼠輸送作戦と呼んでいたそうだよ」●本シナリオの流れ 1サイクル目は、鎮守府の中を移動して回ってドラム缶を集めます。 1サイクル目の終わりに、イベントが発生し、出撃と戦闘があります。 2サイクル目は、うまく鼠輸送ができるように練習したり、物資を詰め込んだりします。 2サイクル目が終わると、鼠輸送作戦で決戦フェイズです。===鎮守府フェイズ===■1サイクル目:ドラム缶を集めよう 1サイクル目は、ドラム缶集めになります。 もちろん、イベントカードではどのイベントを選んでもかまいません。 イベントの判定で『達成』がでれば、ドラム缶を見つけたことになります。 『残念』がでると、ドラム缶は見つかりませんでした。 この結果は、任務で得られる経験点に影響します。■イベント1:ドラム缶泥棒! このイベントは1サイクル目の終わりに発生します。 これは出撃イベントとなります。●読み上げ キミたちは、演習海域に来ている。 キミたちが集めたドラム缶がちゃんと輸送で使えるかどうか、海に浮かべて確認しているのだ。 紐で数珠つなぎにしたドラム缶は、ぷかぷかと、海の上に浮かんでいる。 と、その時! ドラム缶がずるずると、どこかへ移動していくではないか。 見れば、出現した深海棲艦がドラム缶をつないだ紐に引っかかっている。 どうやら、偵察任務の深海棲艦がたまたま通りかかったようだ。 ドラム缶を取り戻すため、出撃だ。●エネミー 駆逐ロ級×PCと同じ数 駆逐ニ級elite×1(敵旗艦) 同航戦。●読み上げ(戦闘後) 突然の戦闘だったが、ドラム缶は必要な数を集めることができた。 続いてこのドラム缶に物資を入れたり、うまく引っ張れるよう練習したりしよう。■2サイクル目:鼠輸送の準備 2サイクル目は、鼠輸送の準備になります。 もちろん、イベントカードではどのイベントを選んでもかまいません。 イベントの判定で『達成』がでれば、準備がはかどります。 『残念』がでると、準備ははかどりませんでした。 この結果は、任務で得られる経験点に影響します。■イベント2:壮行会 このイベントは2サイクル目の終わりに発生します。●読み上げ 鼠輸送作戦の準備は整った。 日没とともに島の周囲の海域へ行く時間調整のため、鎮守府を出発するのは昼過ぎになる。そこで、昼食の時にこれから出撃するきみたちのため、他の艦娘が壮行会を開いてくれる。デザートもついて、ちょっと上等なお昼ご飯になった。 全PCの行動値を1D6回復する。===決戦フェイズ=== 決戦フェイズで、PCは島の周囲を封鎖している深海棲艦の艦隊と戦闘になります。●特別ルール 夜間での戦闘なので、本シナリオの特別ルールとして戦闘は次のようになります。・夜間での戦闘になるため、航空戦フェイズは発生しません。・砲撃フェイズでは1ラウンド目から短距離砲撃フェイズのみ行います。・夜戦フェイズは通常通り判定します。●エネミー 駆逐イ級×2 軽巡ヘ級×1 重巡リ級elite×1(敵旗艦) 同航戦。===終了フェイズ=== エピローグは、決戦フェイズの勝敗によって以下のいずれかを読み上げてください。●読み上げ(勝利) きみたちは、島を封鎖している深海棲艦の艦隊を撃破し、無事にドラム缶を島に届けることができた。 鎮守府に戻ったきみたちを、提督が桟橋まで出迎えてくれる。「ありがとう。これで島に残された地上部隊は一息つくことができるだろう」「これで時間を稼ぐことができた。次は主力艦隊を率いて、あの島の周囲の深海棲艦をまとめてやっつけるぞ」「さあ、修理用ドックはあけてある。傷ついた子はすぐに入ってきなさい。出てきたら、みんなで祝賀会だ」●読み上げ(敗北) きみたちは、島を封鎖している深海棲艦の艦隊を撃破することができず、引き上げることになった。 鎮守府に戻ったきみたちを、提督が桟橋まで出迎えてくれる。「残念だったね。でも、きみたちが戻ってきてくれて、良かった」「引き返せば、また行くことができる。次こそ、勝利しよう」●経験値と任務の達成 任務の経験点は次のように計算します。・1サイクル目でドラム缶を集めた+20点・2サイクル目で鼠輸送作戦の準備をした+20点・イベント1の戦闘で勝利した+10点・決戦フェイズに勝利して鼠輸送作戦を成功させた+50点・決戦フェイズで敗北して鼠輸送作戦が失敗した+10点

By |2017-01-14T18:10:48+09:003月 22nd, 2014|Categories: TRPG, 艦これRPG|艦これRPGシナリオ 鼠輸送作戦 はコメントを受け付けていません

【二次創作】【プリティーリズムRL】プリズムむかしばなし・寿限無

アニメ・プリティーリズム・レインボーライブが好きすぎるので書きました。 むかしむかし、あるところになかなかプリズムライブができない女の子がいました。 仮に蓮城寺べると呼びましょう。「名指しじゃないの!」初っぱなからナレーションにツッコミを入れるべるでしたが、歩道橋の上で泣き崩れるぐらい悩んでいました。 […] «【二次創作】【プリティーリズムRL】プリズムむかしばなし・寿限無»

By |2014-03-11T18:28:50+09:003月 10th, 2014|Categories: 二次創作, 未分類|【二次創作】【プリティーリズムRL】プリズムむかしばなし・寿限無 はコメントを受け付けていません

【TRPG】【グランクレストRPG】テキスト版キャラクターシート

公式サイトのPDFが入力できることで話題になったグランクレストですが、 オンラインセッションで使うにはちょっとPDFは重すぎる……。 というわけで、結局テキスト版キャラクターシートを作りました。 オンセ仲間のtorosianさんが作ったモノをベースに真紅朗が調整しました。 お持ち帰りはご自由にどうぞ。改変もお好きに。自分が作ったとは偽らないでください。 http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%88RPG%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF-1-%E5%AF%8C%E5%A3%AB%E8%A6%8B%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%B4%E3%83%B3%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF-%E7%9F%A2%E9%87%8E%E4%BF%8A%E7%AD%96-%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AB/dp/4047129836 http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%88RPG%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF-2-%E5%AF%8C%E5%A3%AB%E8%A6%8B%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%B4%E3%83%B3%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF-%E7%9F%A2%E9%87%8E%E4%BF%8A%E7%AD%96-%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AB/dp/4040700155/ref=pd_cp_b_0  

By |2017-01-14T18:11:33+09:002月 8th, 2014|Categories: TRPG, グランクレストRPG|Tags: , , |【TRPG】【グランクレストRPG】テキスト版キャラクターシート はコメントを受け付けていません

【TRPG】【アルシャードセイヴァー】シナリオ「夏と水着と海の怪」

アルシャードセイヴァーが出てすぐに作成したシナリオを、せっかくなので公開しておきます。 今は完全に真冬ですが、シナリオの中では夏です。 シナリオの1ページ目には、プレイヤーに見せていい情報のみ書いてある親切設計です。 ●今回予告 臨海学校に合わせて、夏の海にやってきたクエスターたち。しかしそのビーチは、突如として巨大な結界に包まれる!奈落の支配下に置かれ、脱出不能の牢獄と化した海水浴場。脱出するためには、主である奈落を倒さねばならない!アルシャードセイヴァーRPG『夏と水着と海の怪』蒼き星にまた奇跡が生まれる。 ●シナリオデータ プレイ人数:3~5人 クエスターレベル:3~4 プレイ時間:4~5時間 シナリオのダウンロードは↓からどうぞ。 […] «【TRPG】【アルシャードセイヴァー】シナリオ「夏と水着と海の怪」»

By |2017-01-14T18:11:43+09:001月 26th, 2014|Categories: TRPG, アルシャードセイヴァーrpg|Tags: , , |【TRPG】【アルシャードセイヴァー】シナリオ「夏と水着と海の怪」 はコメントを受け付けていません

宮澤伊織『ウは宇宙ヤバイのウ! セカイが滅ぶ5秒前』ライトノベル版『銀河ヒッチハイクガイド』的な、良質のユーモアSF

 宮澤伊織さんの『ウは宇宙ヤバイのウ! セカイが滅ぶ5秒前』がたいへん面白いSFで、私のツボにはまりまくりましたので、ここにご紹介を。 舞台は現代日本(少なくとも最初はそんな感じだった)。主人公はごく平凡な高校生(少なくとも最初はそんな感じだったし、読み終わってもそんな感じ)。 そこに、隕石は落ちてくるわ、暗殺者は襲ってくるわ、列強種族(列強種族!列強種族ですよ!この言葉の響きのかぐわしさ!)が地球に迫るわで、次から次へとトラブルが押し寄せるのを、元敏腕エージェントで世界線混淆機なる超絶ガジェットで世界がぐっちゃんぐっちゃんに入り混じってしまった結果、記憶を失って普通の男子高校生になってしまったという、寺沢武一さんの『コブラ』っぽい主人公君がなんとかしちゃうというお話であります。 『銀河ヒッチハイクガイド』的とタイトルに書きましたが、ところどころに出てくるライブラリのうさんくさい記述が、まったくもって、ヒッチハイクガイドっぽいです。要約して説明しろと機械に命じると、機械が悲しそうにするところとか! ライトノベルのユーモアSFですと、山本弘さんの『ギャラクシー・トリッパー美葉』に近いと言えるかもしれません。 漫画のユーモアSFですと、長谷川裕一さんの『わかりすぎた結末 あるいは失笑した宇宙 もしくはキャプテン・オーマイガーの華麗なる挑戦』的な感じでもあります。あと、不遇なタイムパトロールが出てくるあたりは、横山えいじさんの『マンスリープラネット』っぽいです。 本作品のポイントはやはり、状況が悪くなると、世界をぐっちゃぐちゃにして何とかしてしまう世界線混淆機の大活躍と、それによって、どんどん世界が変革されていくスットコドッコイな展開、さらにそれが、「学校の授業の内容」という形で半ページでさらりと要約される手際の良さでありましょう。 主人公も、周囲のキャラクターも、みな、愉快で気のいい連中で、安心して読むことが出来ます。 売れ行きがよければ、2巻以後もあるみたいですので、ここは興味を持たれた方はぜひ! ぜひ! 私が続きを読みたいので! 脳の因果地平が広がるとか、生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答えが手に入るとか、そういうことはありませんが、にやにや笑いながらページをめくる楽しさに満ちた、たいへん良質のユーモアSFであることは、保証いたします。

By |2014-01-10T23:49:12+09:001月 10th, 2014|Categories: ライトノベル, 読書感想|宮澤伊織『ウは宇宙ヤバイのウ! セカイが滅ぶ5秒前』ライトノベル版『銀河ヒッチハイクガイド』的な、良質のユーモアSF はコメントを受け付けていません

無題 Type1 第4章 第4稿

<無題> Type1 第4章原稿リスト第3章原稿リストに戻る 第5章原稿リストへ進む<無題>トップへ戻る 第4章1 リハビリがてら、久々に本屋へ行こうと新宿まで足を延ばしたその帰り。乗った地下鉄副都心線は座席が半分ほど空いていた。やがて発車ベルが鳴り新宿三丁目を発車して、次の駅よりも手前のトンネルの中で、遠くでかすかに爆発音がした。読んでいた本から顔をあげると同時、電車が前触れなく停止し車内・トンネル内の灯りが一斉に消えた。 あたりが闇に包まれて、一瞬音もなくなった。 最初に聞こえた音は驚いた赤ん坊の泣き声で、暗い空間に反響し始める。「……停電?」 それからそんな声がすぐ近くで聞こえた。 そのあとはもう、誰がなんと言っているのか分からない、ざわざわした声の集合がだんだん大きくなっていく。 僕はといえば、座席に座ったまま、目が暗闇になれるのを待っていた。しばらくそのまま動かずにいたが、蓄光塗料が塗られた消火器の位置を示すシール以外に携帯端末のバックライトという強力な光源が出てきたあたりで、足元に置いていたリュックサックのチャックを開ける。 自分の端末のバックライトで中身を確認しながら、山に行くときに入れて取り出すのを忘れていた応急装備のヘッドランプを取り出した。 旧式の超々高輝度LEDだったがトンネルを歩くのには十分役に立つだろう。 無造作に点灯しかけて、パニックになりかけたほかの乗客に奪われたくはないなと思い直した。僕は携帯端末のバックライトを頼りに電車の先頭車両へ歩き出す。非常用ドアコックを操作して車両の扉を開け、線路に飛び降りる。ここは単線シールド工法のトンネル、もし通電しても逆から電車がやってくることはない。 カーブで電車から見えなくなるまでバックライトの細い光を頼りにして、完全に見えなくなったところでヘッドランプを点けた。 暗いトンネルを半径5メートルしか照らせない灯りを頼りにてくてく歩いていった。電車内の動騒が届かない静かな暗闇の中、どこからか重く低い衝撃が聞こえる。それはRPGのダンジョンの中のBGMようで、柄にもなく状況を楽しんでいる自分がいた。 不意にトンネルが広くなった。線路が分岐している。東新宿の駅にたどり着いたようだ。地上へ上がって何が起きたのか確認するか、それとも駅に設置されている非常用情報端末からインターネットにつないで状況を確認するか。ホームドアのせいでホームに上がれないため、線路を歩きながら考えていると、暗闇にも関わらずドタドタと階段を駆け下りてくる足音がした。嫌な予感がして、あわててヘッドランプを消す。(暗闇なのに、光源なしで階段を駆け下りる……。駅に暗視装置なんて用意してあるか、普通?) どう考えても怪しい。 ホームの真下にある待避スペースの奥に隠れて気付かれないようにやり過ごすことにした。灯りをつけられないから手探りだ。何とかもぐりこんだところで、線路に何人かが飛び降りてくる気配を感じた。息を殺してよりまるまった。 首筋に水が垂れてくる。危うく叫ぶところだった。反射的に腰を上げ、頭を打って舌をかんでしまった。声が出ずに済んだからよしとするが、口の中まで痛すぎる。「~~~~~~~~っ」 痛いのは刺された背中だけで足りているのに。 気配はしばらくあたりを探っていた。いい加減、足がしびれてくる。 やがて僕が歩いてきた方向へ去っていった。それでも120を数えてじっとしていたが、感覚がなくなってきたので線路へ戻ることにする。用心して灯りをつけずに探ったため、ホームの下に設置された接続ボックスを探り当て、持っていたPCと接続するために無駄な時間を使ってしまった。 接続したことがばれないようにウイルスを流し込み、それからインターネットへつなぐ。内部ネットワークにしか入れないように設定されていたが、相互通信をするためのサーバーに侵入すると簡単に外部ネットワークへ回線が開いた。 自宅地下に設置したうちのサーバーは、停電してもある程度の時間、稼働し続ける簡易下水処理施設の電源を使って稼働している。とはいっても、実際に停電している時に外部からアクセスを試みたことはない。十中八九停電しているこの状況で自宅サーバーに接続できなければ、流石に今の手持ちの装備では信ぴょう性のあるデータを取ってくることはできない。だからこれはある種の賭けだった。 しかし無事、うちのサーバーは正常に稼働しているようで、平時と変わりなくログインすることが出来た。 システムを開発するためにもらった正規のアカウントを使って産業情報庁のサーバーにアクセス。開発・管理用のアカウント権限は強大だった。職権乱用だが、いくつかのコンピュータを経由して、ネットワークの奥深くにしまい込まれている中枢のサーバーに到達した。 後は速やかに欲しい情報を集めるだけだった。1つ目のウィンドウが接続ログを示す文字に埋め尽くされる。2つ目のウィンドウで軍事衛星が撮影した衛星画像を要求し、3つ目のウィンドウで産業情報庁が収集した警察・自衛隊・米軍の命令系統の記録をざっと検索する。 分かったのはとんでもないことが起こった、という事。東京が敵国に爆撃されたらしい。 深呼吸をしてからいつも通りの人間離れしているらしい速さでキーボードを叩いてサーバーからログアウト。文字列がいつも通り律儀に|さよなら《Bye.》を返した。 意識していつも通りを心掛けないと、葉村に話した、昔のような目に遭うような気がした。接続の痕跡となるログを抹消し、何事もなかったかのように接続ボックスを閉じる。 端末と通信ケーブルをリュックにしまい込み、ヘッドランプを低輝度に切り替えて池袋方面のトンネルに駆け寄る。 地上は今も、爆撃の危険にさらされている。爆撃された時、安全性が高いのは防空壕として使えるように補強がなされた地下鉄のトンネルの中だ。僕はトンネルを行くことにした。 何時、さっきの気配たちが帰ってくるか分からない。後ろから狙われる可能性はできるだけ下げておきたい。だから、僕は暗いトンネルをしっかり確実に、走り出す。 僕の足音と共に、“日常”が何処かへ逃げ去っていくような気がした。2 副都心線で要町駅まで、そこから有楽町線の線路に出て護国寺駅へ。 途中、立ち往生した列車や、ターミナル駅である池袋を越えるときには見つかるのではないかとひやひやしたが、無事に通過することが出来た。 人が近くにいないことを確認してから護国寺駅ポンプ室の扉をたたき壊して侵入し、そこから雨水管に潜り込む。コケやらゴミやらネズミやらが支配する臭いトンネルを通って自宅の地下、簡易下水処理施設までたどり着いた。 下水処理装置の非常電源はまだかろうじて生きているようだが、案の定停電していた。壁の隅にある発電機を起動させる。軽い唸りが生まれ、これで地下施設は電気が使えるようになった。 天井の蛍光灯を点ける。ヘッドランプでは見えなかった部屋の隅まで人工の光が届く。 そこは見慣れた自宅地下だったが、自分自身の姿はみすぼらしいものだった。「かなり汚れたな……夏服だからうちでも洗えるか」 地上の惨状を見る限り、学校に通える状況なのかは疑問だが。 すっかり泥だらけのビショビショになってしまった制服を脱いで、処理室のロッカーに置いてあるジャージに着替えた。 階段を上って点検準備室に移動する。 10畳ほどの下水処理装置点検準備室。そこは僕の、もう一つの自室だった。 3台のワークステーション、1台のノートパソコン。20型のディスプレイが3枚、37型のテレビ。壁の2面を埋め、通販で買った可動式の本棚5つにぎっしり詰め込まれ、それでもおさまらずに床に積まれた本本本本……。 そして部屋の隅に地上へ上がる梯子。その終点、一番下に人がうずくまっている。僕は人影に駆け寄った。「……母さん? ちょっと母さん、ねぇ」「……うぅ、……あ、祐樹?」「うん、そう。ただいま」「ああ、お帰りなさい」「梯子から落ちたのか、怪我はない?」「大丈夫、平気平気、ちゃんと……っ」 立ち上がろうとして、足をかばってバランスを崩す。母さんは梯子の段にとっさにつかまったので転ぶことはなかったが、見ているこちらとしてはヒヤッとした。「ちょっと足見せて」「え、そんな、平気平気。30分も座ってればへっちゃらになるわ」「……捻挫してちょっと腫れてる、全然大丈夫じゃない」 僕はパソコン机の引き出しから毛布を取り出して、本の間の狭い床に敷く。「ほら、肩貸すから。床にいつまでも座ってると体に毒だよ」「ありがとう」 母さんを毛布の上に連れて行って座らせ、応急セットを取り出した。「ほら、湿布貼るから足出して」「……すっかり頼もしくなったのねぇ、母さん、嬉しいわ」「馬鹿なこと言ってないで。どれくらいの高さから落ちたの」「そんな高くなかったんだけど。外でサイレン鳴り始めたから地下にいようと思って降りてきたんだけど。あと何段、ってところで停電しちゃって油断して、つるっと、ね」「サイレン、って空襲警報?」「多分ね。私も初めて聞いたもの。テレビでは聞いたことあったけど」「そうか。……話を戻すけど。いつまでも若いわけないんだから、もうちょっと年相応の気はまわして欲しいな」「まっ、失礼な」「40台になったんだから、もうおばさんって言われても仕方ない年なんだよ」「老けて見えても心は若いの、息子にそんなこと言われるなんて、心外だわ」「心配してもらえているだけ良いと思って」「あなたはまだ未成年です。親に心配をかけられる立場なんだから。せめてそういうのは成人してからになさい」 周りの空気が和やかなものに変わっていく、そんな気がした。 顔をあげると、母さんと目が合った。するっと気が抜けて、知らず知らずのうちに張っていた緊張が取れていく。「ん、出来た。あんまり激しい動きしないように」「言われなくても、湿布貼ってる間はしませんー」 せっかく息子に張ってもらったんですもの。 子供みたいに顔全体で笑いながらそんなことを言う。「でも、ありがとう」 何故か、急に気恥ずかしくなった。 1リットルの電子ケトルに水――もちろん水道水のほうだ――を満タン入れてスイッチを入れる。 非常電源につないでいなかった|WS《ワークステーション》も勝手に起動を開始し、既に待機状態に移行していた。僕は全ディスプレイをスリープモードから復帰させ、全部マスターWSにつなぐ。いつも持ち歩いているほうのパソコンも起動し、無線LANに接続。 全部で3台のWSの稼働状態を一通り確認したあと、並行演算システムを起動。普通のパソコンよりも高性能なWSを3台並行動作させることで、5年位前の最高速スーパーコンピュータ並みの処理をすることができるようになる。続いて普段は必要だが今からやる処理に必要ない|デーモン《常駐プログラム》をまとめて停止させる。 ここで湯が沸けた。ポットにティーバッグを3つ入れて湯を注ぐ。とりあえずパソコンデスクにおいて、床の本を本棚の前により高く積みなおし、場所を作ってから折り畳みちゃぶ台を出した。マグカップ2つと砂糖を取り出し、ポットと一緒にちゃぶ台に置いた。「冷たい床に倒れてたんだし、これ飲んで温まっていなよ」「あら、忙しそうなのに、ごめんね」「別に、忙しいわけじゃない」 僕はスプーン1杯の砂糖を入れた自分のカップに紅茶を注いで、WSにもう一度向き合う。 クラッキング準備作業の仕上げに、最後片方が処理過多でダウンした時の予備用とクラッキング相手のシステムオペレーターから逆探知された時の攪乱用を兼ねて、インターネット回線を地下室用のものと地上の山本家全体のものと2重に接続する。リンク確立確認のために回線速度と接続情報を取得、ついでにダミー拡散用の偽造データを作成。 深呼吸を一つ。 準備作業半自動化プログラムが進行度を表す棒グラフを100%にするのを待つ間、肩を回しておく。 今日のクラッキングの目的は、先の爆撃の情報を得ること。目標を今一度明確に設定する。 棒グラフが伸び切った。 即座。 Enterを押下、クラッキングツールを作業準備状態から侵入状態に切り替える。 3つのディスプレイに、効率的に作業を進めるに適した画面配置を行う。 メイン画面で補助AIを起動。自己診断ログが一瞬にして一つの小画面を埋め尽くし、|コマンド《命令》を待つカーソルが出て止まった。 侵入対象に敵国の防衛庁、味方国の国防軍、自国の首相官邸、民間の衛星管理企業を指定する。 AIはコマンドを受領し、指定された相手サーバープログラムのバージョンを検出、最適な方法で侵入を開始した。 今時、情報を集めたり共有したりするときにインターネットを使わないなどあり得ない。どんなに巧妙にしまい隠そうとも、|開かれたネットワーク《インターネット》から完全に独立していることはない。 いくつものネットワークに守られたわかりづらい経路も、かなり強固なプロテクトも。3台のWSが全力稼働して時にしらみつぶし、時にサーバーの設定から逆算して。僕とAIはみるみる対象を裸にしていく。 同時に不正侵入で汚れたログも、管理者権限を奪い取って不都合な箇所を全部削除する。怪しまれないように関係ないログは消さないように教えたが、きちんと学習しているようだ。続いてAIはバックアッププログラムをまず殺し、敵オペレーターが対処を始める前に他の管理用アカウントをバイパス、本物らしき応答をするダミーにシステム操作系を置き換えた。 そんなAIの働きをサブウィンドウでざっと確認しながら、僕は産業情報庁の|メインフレーム《中枢》に管理用ユーザーでログイン、最上位オペレータ権限を持つアカウントをバックドアとして作成し、再度入りなおす。 目的のデータがどこにあるか分からないため、それらしきファイルは中身をロクに確認せず、片っ端からダウンロードしていく。ファイル数が多く、結構時間がかかりそうだった。 AIによる侵入が終わったサーバーから同じようにデータをダウンロード。どれが目的に合ったファイルか、大量に保存されている文書から自動的に選び出してダウンロードできるほど、僕のAIはまだ賢くない。 毎回の僕の作業を見習いながら少しずつ経験を増やし、いろいろなことができるようになる自動学習ルーチンを入れてある。そう、あと50回ほど同じような経験を積めば、ファイルの選択・取得も任せることが出来るだろうと踏んでいる。 また捕まるのは御免だ。安心して任せられるところだけをレスポンスの早いAIに任せ、不正侵入時間を減らす。侵入時間が減ればそれだけ、逆探知される可能性が低くなるからだ。 ダウンロードが終わったサーバーから順に回線を切断する。AIによる後始末の確認を済ませる。 手に入れたファイルは膨大な数だ。WSで関連のありそうなキーワードの全文検索をかけ、その間に検索できない画像や動画を荒くチェックしていく。侵入・ファイル取得にかかった時間よりも、成果物の確認のほうが圧倒的に疲れるし、時間がかかる。 単純に腕試しなら確認なんてあっという間だが、今回の目的は情報収集。いわゆるスパイ組織ならそれだけで一つや二つ、専門の部署があるのに、僕の場合は全部一人でこなさなければならない。これは結構な労力を必要とする。得られた情報の正確性を高めるには、こうやって地道な作業を繰り返さなければならないのだ。 そうして1時間ほど、母さんは散乱している文庫本を読み漁り、僕は得たデータを確認して現状確認をしていた。 どうやらここ数年ずっと争い続けている大陸の敵国からの爆撃によって主に、東京は副都心と言われる池袋~新宿~渋谷あたりと、交通の中心である上野~東京~日本橋、政府のある霞ヶ関が被害に遭ったらしい。うちの近くは奇跡的に被害が少なかったようだ。ついさっき撮影された衛星写真を見る限り、ぽつんと島のように建物が残っている地域があった。 真っ先に妹の学校をチェックした。幸い、建物自体は全部残っていた。学校にいてくれれば、きっと助かっているはずだ。半面、僕が通う学校は体育館に直撃を受けていた。この分だとほかの校舎もガラスが飛び散って授業にならない。きっと数日は休校になるだろう。 しかしそうすると、地下鉄のトンネルで遭遇したあの怪しげな気配は何だったのだろう。警察とか駅員とか、乗客の救助に来た人だったのだろうか。僕もあいつも、直感でその可能性は小さいと思っている。 そしてもうひとつ、若干不確実な重要な情報を見つけた。信ぴょう性を考えながら目頭を揉んでいると、梯子の上の方から物音がした。 ガコッ、とふたを開ける音がする。下りてきたのは妹だったが、彼女だけではなかった。 妹に連れられ、葉村も一緒だった。3 普段は無人か、僕一人しかいない地下室。そこに4人の人間が集まっていた。 かなり消耗している風だった葉村を母さんの隣に寝かせ、看病を任せる。その間、僕ら兄妹は更に床面積を広げるため、地上に戻って取ってきた段ボールに本を詰めていた。「いつの間にこんな本が増えたの? いくら片付けても減らないんだけど」「なんか気が付くと増えてるんだ。上に仕舞いきれなくなったものから地下に持ってきて積み上げてそのままで」「お金持ってるのは知ってるけど、しまう場所考えて買いなさいよね」「ごめん」 僕と居るからか、ずっとイライラし通しの妹。後ろから母さんのため息が聞こえた。 そうして床の半分が見えるようになった時、地下に下りてきてすぐ気を失うように眠ってしまった葉村が目を覚ました。「お、起きたか」「……え? ここ、どこ……、あ、山本……君のお母さん!」「おはよう。気分はいかが?」「ごめんなさい、私、どのくらい……」「30分くらいかしら」「ここは山本家の地下室。覚えてない? あたしとハシゴ降りたこと」「……思い出した。ありがとう、私、あの時どうすればいいか分からなくなっちゃって、どこもいぐあでなぐっで」 葉村が泣き始め、よく聞き取れなくなってしまった。「「「…………」」」 僕ら家族は黙って顔を見合わせた。視線で思い切り泣かせてやることにしよう、と結論が出た。 妹は地上に戻り、お茶うけになる菓子を取りに。僕は紅茶を淹れなおし。母さんは葉村の背中をさすってやっていた。 しばらくして、葉村が泣き止んだ。相変わらず感情の動きというものがよく分からないが、本人曰く「思いっきり泣いてすっきりした」そうだ。 詳しく話を聞いたところによると、葉村は今時珍しいことに、田舎から親元を離れ、東京に出てきて一人暮らしをしているのだという。しかし、葉村のアパートは爆撃で焼失した地域にあった。帰る家がなくなって途方に暮れた彼女は、訪ねたことのある僕のうちにやってきて、しかしインターホンに誰も出ないので――地下室にインターホンの受話器はない――玄関口に座り込んで誰か帰ってくるのを待っていた。そこに妹が帰ってきて家に入れ、地下室に案内したのだ。 僕は入院しているときに、早くうちに帰って料理をしなければならない、と彼女が言っていたことを思い出した。どういう事か聞いてみると、葉村のアパートには週に1日2日、お母様がいらっしゃるそうだ。今日は来ない日で、それだけが唯一の救いだと言える。 そこまで聞いて、母さんが僕に、電話を貸すように言った。「きっとご両親は心配されていると思うわ。私はずっとここにいたから見たわけじゃないけど、たぶんテレビで速報をやったんじゃないかしら」「そうだよ、兄さん。電話線が切れてても、兄さんなら電話くらい掛けられるんでしょ?」 例え電話線や通常の光ファイバーケーブルが切れても、地下室のインターネット回線は下水道管を通っているからそう簡単に使えなくなることはない。「掛けられるけど。たかが電話、そんな大事なことか?」「大事なことなの。だから兄さんは……」 妹の説教が始まる前に遮る。「あー分かった分かった、電話ね。葉山、実家の番号はいくつだ」「……いいの?」「問題ない」 遠慮する葉村から電話番号を聞き出す。ノートパソコンにインカムの端子を差し込み、IP電話ソフトを立ち上げる。 無線LANが地下室のネット経由でインターネットに接続されていることを確認してから、葉村にインカムをパソコンごと手渡す。「電池は1時間くらいなら持つほど充電されてる。家族との電話だ、積もる話があるだろ。気兼ねなく長電話してこい。聞かれたくないのならそこの、鉄扉の向こうですればいい」「多分冷えるだろうから、この毛布、持ってお行きなさい」「ありがとうございます。では、ちょっと失礼します」「ゆっくり電話してきなよ、今度いつ話せるか分からないんだから」「うん、そうする」 葉村はパソコンとインカムを抱え、さっき僕が入ってきた鉄扉を開けて準備室を出ていった。 しかしすぐに戻ってくる。「どうした」「……ねぇ、どうすれば電話を掛けられるの?」 ソフトの使い方が分からなかったらしい。コンピューター音痴め。 就職できないぞ。 そうつぶやいたら、聞きつけた妹に後ろから頭を叩かれた。4 葉村が電話している間。山本家の3人はこれからの方針を相談することになった。「まず、これからも爆撃は続く、と思っていて間違いはないのね?」「残念なことだがその通り、敵は人海戦術で来るつもりだ」「どういうこと?」「国民が養えないほど多いことを逆手に取って、爆撃機を100・1000機の規模で差し向けてきた。1発の能力の大きいミサイルを少数撃ってくるのならこちらの自動迎撃ミサイルで間に合うが、1発の規模が小さくてもそれが多数来るとこちらの迎撃が間に合わない」「だからあんなにたくさん、飛行機が飛んできたんだ」「あれでも一応、迎撃はしたらしいんだがな。あのサイズの爆撃機1つに積める焼夷弾の数はたかが知れているし、焼夷弾1発で焼き払える面積はそれほど大きくない。だからうちの周りみたいに、ぽっかりと被害をほとんど受けない地域ができる。そこはつまり、迎撃が成功した爆撃機の担当範囲だった場所だな」「なるほど。じゃあ、今回無事だったからと言って次回も切り抜けられる保証はないのね?」「むしろ次回は、無事な所を狙ってくるだろう」「私たちは、焼かれると困るものから、このシェルターになるだけの強度がある地下室に疎開させることが最優先になるのかしら」「そうね、あたしもなくしたくないもの、いっぱいあるし」「ではこうしよう。一人がそれぞれの避難させたいものを僕の部屋に持ってくる。一人が地下に、一人が梯子の出口である僕の部屋にいて、持ってきた荷物を地下室に運び込む。交代で役割を替われば効率が上がるだろう」「うん、兄さんに賛成。お母さんもそれでいい?」「いい案だと思うわ。誰から上に戻るの?」「最後でいい」「じゃあ、あたしがトップバッターになっていい?」「分かったわ。じゃ、お母さんも一緒に上へ行くわ。まず私が梯子の上で荷降ろしをしましょう」「母さん、足はもう平気なのか?」「え、どうしたの」「さっき慌てちゃって、ハシゴから落ちちゃったの。その時にくじいたんだけど、うん、もう大丈夫」「ならいい」 鉄扉が開き、葉村が帰ってきた。また目が少し赤くなっている。「あ、山本のお母さん、私の母が少し話したいって」「あら、そうなの。……はい、今代わりました。娘さんの同級生の山本祐樹の母でございます。いつもお世話になっております――」 母さんがパソコンを持って、喋りながら鉄扉の外へ出て行った。「……じゃあ、兄さんにはまず、ここの本をどうにかしてもらおうかな。これじゃ、ものを持ってきても置けないから」「棚も上から持ち込んでくれないか。あまりダンボールに本を詰めたくない」「いいわ、分かった」「なに、何の話?」 電話していた葉村にざっとかいつまんで説明する。「そういう事。なら、私も下で整理の手伝いをさせてもらおうかしら」「ダメよ、ななみさんはうちのお客様なんだから。働かせちゃ悪い」「うぅん、これから短くない間、ここに住むことになると思うの。だから私はお客様じゃない。私もやることはやらなくちゃ」「本当にいいの?」「ええ、気にしないで。お姉ちゃんができたとでも思ってくれない? 実は私、可愛い妹ができた気分なの」「分かった。よろしくね、ななみお姉ちゃん」「こちらこそ、よろしく」 女の子同士で、何やら話がまとまったらしい。初めて会った時のあの険悪ぶりは何だったのだろうと思ったが、口に出さないでおいた。可愛いどころか凶暴な妹に、更に嫌われたうえ再び蹴られてはたまらない。 発電した電気を荷降ろし用の簡易エレベーター用の200Vに流し込む。急に負荷が大きくなり、地下室の蛍光灯が瞬いた。「ちょっと、私、暗いの苦手なんだからけど!?」 鉄扉の向こうから葉村の叫び声が聞こえたが無視する。 既にいつもの元気を取り戻しているようだ。「モーター、動いたわよー」 反響して聞きづらくなった母さんの声が梯子の上端から聞こえた。「この梯子通路、1辺は1.5メートルしかないから、あんまり大きなもの降ろして詰まらせるなよ」 そう上に怒鳴り返す。 降ろす荷物をまとめる間、下は暇だ。モーターが動き始める時にはまた蛍光灯がちらつくだろう。それまでの間、僕は先に本を移動させ始めている葉村を手伝うことにした。近くにいてやった方が怖くないだろう。 僕の本は下水処理装置の操作室に詰め込まれることになった。既に地下室に置いてある本を片っ端から操作室に運び込む。 ここもここで、防水処理がきっちりかかっている場所だ。湿って本が台無しになることはなさそうだった。 葉村は余りの多さに辟易していたみたいだが、僕としては懐かしい本ばかりだ。つい手を伸ばしては葉村に怒られる。「にしても、本当に古い本ばっかりだね。それも小説ばっかり、マンガも専門書もない」「もともとあまり、漫画というものを読まないからな。専門書はたまに使うかも知れないと思って全部上に置いてある。滅多に解説書が必要になることはないけどな」「専門書って、もしかして。コンピュータ系の技術書と解説書しかないの?」「その通りだが」「……。頭痛くなりそう」「薬がいるのか?」「そうね、欲しくなってきたかも。あなたを働かせるためのヤツを」「そうか」「と言いながら別の本を読み始めない!」「そうは言うけどな、これ、なかなかいい本なんだぞ。1990年代に書かれた本でな――」「あーはいはい、それはあとで聞くから、次の運ぼ」「次って、この本簡単に取り出せなくなるんだぞ……」「ぶつぶつ言わない」 葉村が手厳しい。「あ、小包届いてるじゃない。早くほどいてよ、本は私がやっとくから」「傷つけるなよ、折るなよ、落とすなよ」「言われなくたって。人の本を雑には扱いませんー」 軽く頬を膨らませて葉村が出て行く。後姿を横目に見ながら地上からの小包からカラビナを外し、上から垂れるロープを軽く引っ張る。先端に結び付けられたカラビナが、梯子の横をするすると上がっていった。 地下に届いたのは鍋2つとおたま、しゃもじ、泡立て器といった調理道具だった。4組のフォークとスプーン、ナイフ、箸がジャラジャラと鍋底で音を立てた。とりあえず部屋の中央に置いておく。 いつの間にか妹の物は全部おろし終わったらしい。中央に置かれた枕やぬいぐるみ、目覚まし時計やその他こまごました雑貨やアクセサリー。意外と少なかった。 そんなことを思っていると次の小包が届いた。かちゃかちゃと音がしてかなり重い。液体が入っているようだ。箱のなかみは調味料だろうか。 荷物を縛っていた細いひもをほどき、カラビナに括り付けてロープを引っ張る。するする上がっていく。 荷物はあとどれくらいあるのだろう。僕は上にある本だけだが。1000冊もなかったはずだ。ここに下ろしてある冊数と比べれば、たいしたことのない量だ。5 ある日、地上に上がったら数年間住んだ自分の家がなくなっていた。快適とは言わないまでも、住み慣れた町が痕跡だけになったその光景は少しショックを受けたが、それでもいつか近いうちに壊されてしまうと覚悟していた分、葉村よりは幾分ましだろう。 そんな風に過ぎ去った2~3週間。地上の状況とは裏腹に、地下はたまに上から爆撃の振動が伝わってくる以外、平和だった。 非日常に慣れ、それが日常になるためにはもう少し時間が必要な頃のある日。 1日1回の郵便物確認の当番だった僕は、3日ぶりに地上へ戻って郵便受けを覗いていた。 火を噴く金属管の雨が降っていない今、地上は、梅雨が明けて真っ青な青空が広がり、この数週間で新しく作られた地平線と、その向こうに山の連なりがよく見えた。しがらみも何もかもがなくなって、風は気持ちよさそうに吹いていた。 新聞が来なくなって久しい郵便受けに、珍しく投函されていたのは1枚の薄赤色の葉書。 切手の部分が丸い、料金後納郵便の印になっていた。宛名面中央には僕の名前、右には住所。左下には何も書かれていない。裏返して通信面を見た。 想像した通りの内容だった。憲法特別臨時改正のお知らせ。戦時特別法の成立。国民特別徴兵義務について。 ほかにも。醜いほど細かい活字が並ぶ、やたら“特別”の多い文面。簡素で質素に、それは僕が徴兵に応じる義務を説き、出頭するよう命じていた。 あくまで冷静に、僕はその葉書を曲げないように来ていたシャツの下に仕舞う。 地下の3人に怪しまれないような時間で帰らなければならない。短時間でこれからの行動を考える必要があった。 昔とは違う。僕はまだ、この世界を生き延びたい。 生き抜く。この命題をかなえる可能性の最も高い行動指針を決定せねばならない。 目をつぶり、しばらく思いにふけり、――僕は自分の未来を決めた。 一人で、山の中に逃げる。 国の内部事情を現在進行形で知りすぎている僕の運命は2つに1つ。 すなわち、産業情報庁諜報部でシステム開発と敵国中枢への|情報戦担当《不正侵入者》になるか、もしくは全線の一番死にやすい部署に送られるか。 可能性としては前者のほうが高い。しかし、方々に恨みを買っている僕には後者の可能性も少なからずあった。だとしたら、生き残る可能性が高い案を新しく作るしかない。 山の中に、僕は隠れよう。そこで一人で生活し、終戦後に改めて身の振り方を決めよう。何食わぬ顔で家族の前に帰ってもいいし、全く違う人間として生きるもいいだろう。 うちの母屋は全壊してしまったが、屋根に取り付けられていた太陽光発電パネルは爆撃前に回収してある。軽トラをどこかで拾って、その荷台に載せて置けば人里離れた山の中であっても電気は、パソコンは使えよう。 ただ、できればそんなことはしたくない。見つかった場合のリスクが大きすぎるからだ。逃走決行前に、産業情報庁へ直接、情報戦担当者に志願しておこう。 ……さあ、もう戻らないと怪しまれる。言い訳になるような要素は、既に焼け野原の仲間入りをしたうちの近くにはない。詳しい“作戦”の立案は、地下室でも十分、間に合う。 家族や葉村が寝ている早朝なら、立案に気兼ねは要らない。 出頭命令は1週間後。それだけ時間があれば十分に脱出計画を練れるし、産業情報庁からの返信を待つ時間として適切だろう。 だとしたら今、気をつけなければいけないのは。 梯子から落ちて怪我をしないこと。家族に感づかれないようにすること。 <無題> Type1 第4章原稿リスト第3章原稿リストに戻る 第5章原稿リストへ進む<無題>トップへ戻る

By |2017-01-14T18:12:23+09:001月 1st, 2014|Categories: 無題|Tags: , , |無題 Type1 第4章 第4稿 はコメントを受け付けていません

ログ・ホライゾンTRPG広報用twitterアカウントが始動

ハッシュタグも既に始動したようです。twitterアカウントが動いたという事は、正式なリリースまでもうちょっとという所ですかね。既にいくつか質問も来ていて注目度を覗う事が出来ますよ。Continue reading «ログ・ホライゾンTRPG広報用twitterアカウントが始動»

By |2013-12-25T22:07:48+09:0012月 25th, 2013|Categories: 雑ネタ|ログ・ホライゾンTRPG広報用twitterアカウントが始動 はコメントを受け付けていません

林譲治『太平洋戦争のロジスティクス』日本軍の兵站補給の成功と失敗について知ることができる、優れた著作

 兵站補給とは何だろう? 本書で紹介してある、第一次世界大戦でのアメリカ海兵隊ソープ少佐の言葉がなかなか、洒落た言い回しとなっている。『戦争を演劇にたとえれば、戦略は脚本で、戦術は役者の演技、ロジスティクスは舞台管理、舞台装置、舞台の維持である』(P18) 太平洋戦争において、日本軍は最終的に、『舞台管理、舞台装置、舞台の維持』に失敗して敗北している。 本書では、この日本軍の失敗が、何に帰因しているのか、について、平時における日本軍の兵站補給の体制作りから、実際の運用に至るまでを丁寧に追っている。 本書を読んだ上での私なりの理解としては、次のようになる。 まず、日本軍の兵站補給は、平時における法制度や組織の準備がきちんと行われており、『軽視』は当てはまらない。 だが、平時においては日本の持つ国力の限界から、どこを優先してどこを後に回すか、という判断が成されており、兵站補給は出来るだけ、平時には小さい組織と人材で回し、戦時には必要とされる動員を行いつつを、不足分を民間人の徴用や、民間組織の利用で補うという仕組みとなっていた。 この仕組みは、日清と日露というふたつの戦争を教訓として、それなりに当時の日本の国力としては、まともなものだった。 それが歪み始めたのは、戦前の日本の他のこととも関係するが、中国との戦争の始まりと、その長期化である。 日華事変の前、日本陸軍は17個師団を有していた。陸軍の兵站補給の諸制度や人員・予算も、この17個師団を戦わせることを前提として作られている。 中国との戦争がなし崩しに拡大し、止めどころを失ってから4年。太平洋戦争の直前には、これが51個師団に3倍増している。 そして太平洋戦争の間に、戦争末期の本土防衛の動員も含めると、120個師団が増設されている。もちろん、陸軍の臨時予算も増額されてはいるが、どう見ても兵員の増加分には達していない。 太平洋戦争における日本の兵站補給は、まず、軍の規模の拡大に追いついていない。末期の動員になればなるほど、武器も弾も装備も何もなく、すでに30代40代になっているおっさんまでが徴兵されているわけだから「この戦争はもうだめじゃろ」と感じた国民が多くいたのは当然である。 では、兵站補給において、まったく打つ手がなかったのか、と言われるとそうではない。 合理的に考えれば、動員しても使えない軍隊を増やすよりは、戦線を縮小して兵站補給の負担を軽減し、その余力でもって、より機動的でアメリカにとって「いやらしい」戦い方は可能であったろう。 実際、太平洋戦争序盤のマレー半島におけるマレー電撃戦が本書では日本の兵站補給が成功した事例として紹介されている。ここでは、日本軍は自動車化された補給部隊を重点配備した第25軍でもって、電撃戦を成功させ、その兵站補給も無事にこなしている。 しかし、戦争の半ば以後、日本軍が主導権を失ってからは、広げすぎた戦線の整理も追いつかず、それどころか、戦局の打開がアメリカ相手には不可能となったので中国戦線での攻勢を行うようになったりと、人が負けが込んでいる時にやらかす迷走ぶりだけが目立つようになる。 打開策のない状況に追いつめられると人間というのは、「どうせ」とか「いっそ」とかの自暴自棄な精神になりやすく、この精神状態では、ロジスティクスはうまく機能しない。 ロジスティクスの語源は「計算術」である。兵站補給を考えるには、定量化して、数字にする必要がある。さらに言えば、数字に「従う」必要がある。ダメなものは、ダメなのである。無理なものは、どうやっても無理なのだ。出来ることにするため、数字の方をいじりはじめてはいかんのである。 だがダメだ、無理だ、という声を人や組織が聞き入れるには、未来への展望や、希望が必要となる。 展望や希望がないのに、ダメだ、無理だと数字を持ち出されては、「なら対案を出せ」「んなものあるかボケ」的な感じで売り言葉に買い言葉となってゆき、「お前の言うことが正しかろうが聞いてやらん」という状態になってしまう。 数字や正論で相手をへこますだけでは意味がない。 その上で、より良い未来を提示することが出来て、人も組織も動かせるのである。 そういう意味ではやはり―― アメリカもイギリスも中国も敵に回して戦争している状態で、より良い未来を提示しろ、というのは、かなり難易度が高かったようにも思う。 著者の林譲治さんは、あとがきで、このテーマではまだまだ扱うべき題材が多くあると述べられておられる。しかし、本書は日本軍の兵站補給の組織がどのようなもので、どう動いていたかを含め、たいへん分かりやすく、網羅的に知ることができる。また、導入部で兵站補給を「地区の野球大会を開催することになった」という日常的で身近な例で例えられており、こうして点でも初心者にも分かりやすい良書である。 兵站補給についてちょっと勉強してみようかしら、くらいの軽い気持ちでも十分に楽しめると思うので、是非、多くの人に読んでいただきたい。

By |2013-12-20T23:49:09+09:0012月 20th, 2013|Categories: ミリタリ, 兵站補給, 歴史|林譲治『太平洋戦争のロジスティクス』日本軍の兵站補給の成功と失敗について知ることができる、優れた著作 はコメントを受け付けていません

ボードゲーム、TRPGのお供に使える素敵グッズ

わっほい! 皆さん遊んでおりますか? ボードゲーム、TRPG共にとても楽しい遊びですよね。しかし入念に準備をしたつもりでも、準備したトランプの山は崩れるし、用意したカードはインパクト足りないし・・・。 みたいな事、よくありますよね。そんなわけで私がよく使うあれやこれやを紹介しますよ。 Continue reading «ボードゲーム、TRPGのお供に使える素敵グッズ»

By |2017-01-14T18:12:35+09:0012月 10th, 2013|Categories: 雑ネタ|Tags: , |ボードゲーム、TRPGのお供に使える素敵グッズ はコメントを受け付けていません

【二次創作】【ガンダムBF】キャロちゃんとニルスくん

アニメ・ガンダムビルドファイターズ9話、チナちゃんがセイとレイジの特訓を受けている裏であったに違いないやりとり妄想。 キャロ「3日後のガンプラバトル大会で優勝したいのですわ!」 ニルス「失礼ですがミス・キャロライン、ガンプラバトルの経験は……」 キャロ「もちろん、ありませんわ!」 ニルス(なんで自信満々なんだこの人……) […] «【二次創作】【ガンダムBF】キャロちゃんとニルスくん»

By |2017-01-14T18:12:40+09:0012月 3rd, 2013|Categories: 二次創作, 小説|【二次創作】【ガンダムBF】キャロちゃんとニルスくん はコメントを受け付けていません