百合をするためのTRPG!「える・えるシスターTRPG」感想
体験する機会に恵まれましたので軽く感想をば。 ステータスや要素、ルールなどはPC達が百合をするために必要な物は揃っている感じですね。 コスプレイヤー、クール、めがね、腐などなど。おもしろみのある名前の属性がそろっていて、それがゲームに影響を及ぼしています。もちろん突き詰めるとPC同士の優劣が色濃...Continue reading «百合をするためのTRPG!「える・えるシスターTRPG」感想»
体験する機会に恵まれましたので軽く感想をば。 ステータスや要素、ルールなどはPC達が百合をするために必要な物は揃っている感じですね。 コスプレイヤー、クール、めがね、腐などなど。おもしろみのある名前の属性がそろっていて、それがゲームに影響を及ぼしています。もちろん突き詰めるとPC同士の優劣が色濃...Continue reading «百合をするためのTRPG!「える・えるシスターTRPG」感想»
不具合が出ていたようなので微妙に更新しました。Continue reading «aoringo CAT settter 微妙に更新»
ひとまずはホッと一息といった所でしょうか。 どうやらエラッタ等が当てられた第二版のようです。primeなので配送料の心配も無いですね。安心です。 基本ルルブ、サプリメント1のアマゾン在庫復活も楽しみに待ちましょう。Continue reading «「ネクロニカ」サプリメント第二弾「歪曲の舞踏」のアマゾン在庫が復活»
大ジャンプは当たり前。加速板にコース無視、巨大ループなどまさになんでもあり。操作も簡単。さくっと遊べてさくっと辞められる。良い感じにカジュアルだ。 グラフィックもかなり綺麗で、コースのバラエティも見てて楽しい。コースカスタマイズもあり、なんだこりゃというコースがお手軽に出来る。Continue reading «はちゃめちゃっぷり無限大のレースゲーム「TrackMania²」感想»
目次 ロストウィッチ・ブライドマジカル フルメタル・パニック! ロストウィッチ・ブライドマジカル #ロストウィッチ・ブライドマジカル 魔法=罪という設定、素敵。かといって暗いわけでもない、イメージカラーは晴れそうな明るい曇り空といったところか。魔法の有効度の加減や登場人物の出方、どんでん返し。バランスが丁度だと思った。知らない作家さんに手を出しただけのリターンはあった。#鯉読 — 鯉 (@koichan779) October 6, 2013 あらすじに書かれていた「奇跡と罪の力―魔法」という一節に一目ぼれして購入。伏線をばらまきながらずんずん変わっていく人間関係と結末のリズムが良かった。 http://www.amazon.co.jp/ロストウィッチ・ブライドマジカル-電撃文庫-藤原祐/dp/4048919431/ フルメタル・パニック! #フルメタル・パニック! 1年くらいかけて古本屋で買い集め、残り2冊になったところ我慢できず本編の穴だけ図書館で借り一気読みしたら、もったいないくらいの勢いで読んでしまった。面白かったので後悔はしていないどころか面白すぎて、読めるものがなくなった今はふぬけ気味(笑)。#鯉読— 鯉 (@koichan779) October 22, 2013 子のツイートをした後に、アナザーの既刊も読破しました。こちらもおすすめです。それどころかアニメ1期まで見ました。ここまでのめり込むことになるとは……恐るべし。 前半は1冊完結で物語内の時間もゆっくり流れますが、後半はテンポが速くなると同時に話の間の因果関係が増え1つの大きな物語を描きます。それはまるで上がったり下がったりしながら全体的に見ればちゃくちゃくと上っているジェットコースターが最後に一気に駆け降りるようでした。今年読んだ面白かった物語ベスト5入りは、10月末時点で確実です。 http://www.amazon.co.jp/%E6%88%A6%E3%81%86%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%9F%E3%83%BC%E3%83%84%E3%83%BB%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%AB%E2%80%95%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%A1%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%91%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%AF-1-%E5%AF%8C%E5%A3%AB%E8%A6%8B%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%82%B8%E3%82%A2%E6%96%87%E5%BA%AB-%E8%B3%80%E6%9D%B1-%E6%8B%9B%E4%BA%8C/dp/4829128399/ おわりに 3日坊主ではなく2ヶ月ぼうずになるところでした、危ない危ない。フルメタは20冊以上を半月ほどで読んだらしいです。本当にもったいない。 11月になりましたので、何時までもふぬけていないで、またいろいろ読もうと思います。
この短編は、irc.cokage.ne.jp系IRCサーバー群に設置されている #もの書き チャンネルで2013年10月に行われた「台風接近中競作」の参加作品です。「台風接近中競作」の参加者・参加作品一覧は #もの書きwiki(Hiki) からたどれます。 […] «台風接近中競作「テント内」»
<無題> Type1 第8章原稿リスト第7章原稿リストへ戻る<無題>トップへ戻る 第8章1 私の日課はそれから、基地内の散策になった。あっちへふらふら、こっちへふらふらと歩き回る。もらったカードで入れない場所はわずかな例外を除いてないも同然だった。唯一の難点は、外へ出るためにある唯一のエレベーターが“わずかな例外”の一つだったこと。もうこの2ヶ月というもの、太陽も空も星も月も見ていない。 私には退屈を紛らわせる手段が散歩しかなかった。学校に通っていたころはあんなに待ち遠しかった暇のある休みが、いまとなっては苦痛でしかない。私はまだ10代だ、やることが無くて夜も早く寝ると、昼寝すら満足にできなくなる。学校に通っていたころはあんなに望んでいた暇な時間は、やること・出来ることが無ければまったく価値がないのだと痛感した。 しかし山本は今、山と積まれた仕事を一つずつこなしているのだろう。 なぜ、あんな悲惨な目に遭っておきながら今なおクラッキングを繰り返すのか、聞いたことがあった。その時彼はこともなげにこう言った。 僕にはもうこれしか残っていないからだ、と。 私はそれを否定したが、彼は笑って、もう何も言いかえさなかった。そんな彼のことだ、私のことなんて何も考えずキーボードと格闘しているのだ、きっと。 私がそれを寂しく思うという事を、今さら思い知った。「彼に次、会えるのは何時だろう」 油断するとそんな独り言ばかり言っている気がする。 葉村はどうしているのだろうかと、毎日悶々としながら専用のベッドに縛り付けられたまま僕は課せられた仕事を手当たり次第に片付けていた。 奴らの監視をかいくぐってどうにか、葉村だけでも逃がしたい。そのための仕掛けを、自分が一人で立つ体力が残っているうちに実行できるようにしておかなければならない。 自分が帰れなかったときに必要な記録も用意しておいたほうがいいだろう。 そのためにはさらに仕事のペースを上げて、並行でやるべきことをこなすしかなかった。2 そしてその日は何の前触れもなく訪れた。 停電だ。自前のバッテリーを持つノートPCのバックライトがまぶしい。「きた、葉村、よし、やった」 システムに仕掛けておいたトロイの木馬が活動を開始したのだと信じて、僕は逃走の準備を始める。苦労してのっとっておいた拘束具の管理系に開放を命じると、はたして偽の主人のコマンドをあっさり受け付けた。この僕を縛るためのものが、コンピュータによって制御されている。敵は思ったよりマヌケなのかもしれない。ちなみに監視システムは今も、ダミーのデータをサーバーに送信し続けている。 1ヶ月あまりベッドに固定されていた足が急に全体重をかけられて悲鳴を上げた。一歩、進もうとして僕は派手に転んでしまった。 それでも僕は自分の着替えに手を伸ばす。 ストレッチしながら、立ちくらみをこらえながら作業着を着こむと、ベッドに引き返して愛用のノートPCを手に取った。 経過時間は約1分。停電から無線LANが回復しているのを確認し偽装アドレスで接続を試みる。 成功。 やはり、僕のトロイの木馬が動き出していた。マスターサーバーのメインシステムが攻撃を受けたことを認識し、自動的にサブシステムに切り替えようと停電を引き起こし、失敗したために回復までの時間を引き延ばした。 仕掛けは全て正常に、システムを正常でない状態にしていた。 これで基地全体を管理するシステムは僕の手の中にある。手始めに監視カメラ網に侵入した。 僕がいるこの狭い部屋の外に誰かいるのか、葉村は今どこにいるのか。 それを知るために。3 今が夜の時間帯、一番動いている職員が少ない時間帯だったのはひとえに僕らの運がいいからだろう。葉村は食堂にいた。PCに表示される構内図と監視カメラの映像で人のいないルートを選び葉村との合流を図る。「おい、葉村ななみ!」「――山本っ!?」 暗闇のなか、僕が持つ懐中電灯に照らされた彼女は、まぶしそうに光を遮りながら振り返った。「迎えに来た」「確かカードキー、持たされていたよな。それ、貸してくれないか」「パスのこと? うん、いいけど」 葉村からカードキーを受け取り、裏のバーコードに記載された数字をデータベースに侵入して照会、入室権限を最上位のマスターキーに設定する。「よし、行くぞ」 厨房に入る。「……狭いんだけど」「文句言うな、連中の盲点を突いたほうがいいとは思わないか」「というか、重すぎて壊れたりしない?」「ちゃんと確認してある。余裕だ」 厨房の隅には荷物用のリフトが設置されていた。恐らく、この下にある各階層の詰所に直接料理を届けるため立ったのだろうが、実際には各階の詰所は使われていないので必要ないらしい。食べ物による汚れよりも埃による汚れのほうが目立っていた。 普通の店や学校なんかにおいてある機械より、一回りも二回りも大きいリフトに僕らは無理やり乗り込み、第8階層へ向かう。「いいか、動かすぞ」 荷物用だから当然外にしかないスイッチを押し、素早く手を引っ込めると、扉が閉まるとがくんと揺れて下降を始めた。「……真っ暗ね」 やがてまた揺れて停止し、ブザーの音と共に箱が開いた。 丸腰の僕らはやっとたどり着いた詰所に職員がすでにいたらゲームオーバーだったが、幸いにも運はまだ僕らの見方をしているらしい。部屋は真っ暗だった。赤外線監視カメラ映像でチェックした後、蛍光灯を点けて再度確認したが、詰所には誰もいなかった。「これからどうするの?」「まず、現在位置だが。今いるここは第8階層の職員詰所だ。見ての通り今では使われていない」 置かれていた事務机の天板に指を走らせると、埃の跡が残った。「第8階層には何があったか覚えてるか?」「……確か、倉庫じゃなかったっけ」「正しくは武器庫と薬品庫、燃料プールだ。まず、敵に見つかった時に使える武器を手に入れる。時間があったら薬品庫と燃料プールの中身でこの階層を使えなくする」 敵も武器を持っていたらせっかくのアドバンテージが意味をなさなくなってしまう。「戦う、の?」「いざという時に備えるためだ、戦わないで済むに越したことはない」「ノリノリに見えるけど」「気のせいじゃないか? 僕の目的は葉村がここから逃げ出せるようにすることだ」「わかった、じゃあさっそく動こ、時間ないんでしょ」 監視カメラの映像で、まだ誰も第8階層まで下りてきていないことを確認。 斜向かいにある武器庫をあらかじめ遠隔で開錠しておく。コンピュータシステムから遠隔ロックできるようになっているということは、もちろん逆もできるということでもある。「行くよ」 足の遅い僕が詰所から第8階層に入ったことが分からないようにし、葉村には先に武器庫に入って待機してもらう。「いいぞ」 廊下の横断、成功。無事武器庫に転がり込む。「何を探すの?」「とりあえず手軽に扱えそうな銃だ」「私、銃なんて詳しくないよ」「僕もだ。適当に、たくさんあるのを選べばいいんじゃないか?」 同じものばかりが何十丁もある様子を想像していたが、天井まで届く棚には無機質なラベルが貼られて、長いの細いの丸っこいの、様々な銃が並んでいた。 どれを選べばいいか見当もつかない。小さければきっと体力不足の僕や女子の葉村にでも扱えそうだと勝手に決めつける。「こういうのって、素人が下手に使うと危ないんじゃないの?」「持ってないよりはましだろ、きっと。……よし、次へ行くぞ」「うん」 警戒しつつ向かったのは隣の薬品庫だ。「なんか、思ってたより散らかってないね」「ここは来たことなかったのか」「面白くなさそうだったんだもん」「……まあ、普通はそうだろうな」「何を探してるの?」「塩素系漂白剤とさらし粉だ」「漂白剤? 分かった」「いや、君は酸を探してくれ」「さん? 薬品でさんっていうと塩酸とか硫酸とか?」「そうだ」 やがて見つかった箱入りの漂白剤と、おそらく風呂の消毒に使うためだろう大量に保管されていた消毒薬。酸に、亜鉛や鉄など金属の粉末試薬を、葉村に頼んで入口の広いスペースに運んでもらう。 その間に僕は金属を集め、換気扇を止め、必要ない電灯を消しておく。「何やるの?」「化学の授業で習ったことだ。塩素と水素を混ぜると何が起きる?」「え? ……塩酸だっけ」「正確には塩化水素だが。その時に何が起きる?」「……ゴメン、覚えてない」「爆発する」 NaClO、つまり次亜塩素酸ナトリウムは“混ぜるな危険”と書かれた漂白剤に含まれる物質だが、強酸と混ぜると有毒な塩素ガスを発生させる。さらし粉とも呼ばれるプールの消毒などに使う消毒薬、Ca(ClO)2つまり次亜塩素酸カルシウムも同様に塩酸と反応して塩素を出す。 この塩素だけでも人が命を落とすには十分な毒性を持つ気体だが、更に金属まで持ってきてもらったのにはわけがある。強酸に金属を入れると発生する水素は、塩素と混ぜると光によって爆発的な反応を引き起こして塩化水素になる。この塩化水素を水に溶かしたものが塩酸、これも強力な酸だが、僕が意図したのはこの、光によって爆発的な反応を起こす、という点だ。 暗く密閉した部屋で塩素と水素を十分に発生させ、遠隔でその部屋の電灯を点ければ、簡単な遠隔制御の爆弾になるはずだ。はずだ、というのは、実際にやったことがないからだ。「あっちに塩酸と消毒薬、そのあたりに硫酸と金属を撒いてくれ。僕は漂白剤と余った酸をやる。火傷するなよ」「分かった」 最初こそ瓶のふたを開けてちまちま出していたが、途中から面倒になったらしい。葉村は豪快に瓶ごと投げ始めた。ガラスの砕ける音が心地いい。「……火傷もだが、怪我もするなよ」「へーきへーきっ」 ストレス発散ー、と叫びながらガラス瓶をたたきつけている。 そうこうしているうちに、あっという間に見つけてきた瓶をすべて壊して、もとい中身をすべてぶちまけてしまった。「嫌な臭いだね」 薄い緑色の気体が発生しているのが分かる。「早く出よう。反応しないうちに」 葉村を促し、薬品庫の扉を閉鎖する。「次は?」「燃料庫。ガソリンがあるはずだ」「了解」 隣の燃料庫の前に立つ。「時間がない、行くぞ」「うん」 発電機が使うギリギリの分を除いて、保管されていた石油が入っていそうな容器のことごとくを倒して回る。すぐに揮発した独特のにおいが充満してきた。 その時、ちらと見たパソコンの画面に、敵が階段を下りてくる様子が映った。「まずい、そろそろ行くぞ。敵が下りてくる」「これで最後、ねっ」 一抱えほどもある大きな缶を、手近な棒をてこに無理やり倒し、そしてやはり元の通り、隔壁を閉める。「こっちだ」 来た方とは反対側にある非常階段室に潜るのと、敵が通路の反対に現れるのはほぼ同時だった。「……見つかった!?」 ひそめた声で彼女が聞いてくる。「いや、ぎりぎり見つかっていないようだ……と思いたい」 パソコンのディスプレイを見ながら答えた。あやふやな言い方をしたが、おそらく見つかっていないだろう。 ディスプレイのリアルタイム画像に映る敵は、注意深くわざと不自然な閉まり方をしている武器庫に注意を払っていた。 重い足に無理をさせながら、足音を立てないように、僕は階段を登り始めた。4 第5階層。 階段室から出て通路のこちら側にある詰所で息をひそめていた。「さっきの。どうやら見つかっていたらしい」「……嘘」「普段ならともかく、こんな時には吐かないさ。どうやら追いかけるまえに罠がないか調べようとしたらしい」「罠って……頑張って硫酸まいたのに」「いや、薬品庫は後回しになったみたいだな。やつら、武器庫の点検をしているようだ」 こわばっていた葉村の肩が少し、緩んだ。「そっか……。何を盗まれていたかを調べれば、私たちがどんな武器を持ってるか分かる、ってことね」「そうだ」「それで、私たちはこれからどうするの?」「逃げる」 当たり前だ。まだシステムは僕の手の中にある。「薬品庫のトラップが成立するまで、あと僕の足が動けるようになったら、ここから出てエレベーターホールまで走る。そこから第1階層まで上がってエレベーターに乗り換えて、地上に出る」「乗り換えるの?」「地上に出るエレベーターは第1階層まで行くものしかない。どうしても乗り換えないと地上へは行けないんだ」「そうなんだ」 初めて知った、という顔をする葉村。「あちこち見て回ってたんじゃないのか?」「入れないところに興味ないもん」「……」 分からなくはないが。「とりあえず行動方針はそれでいいか?」「うん、いいよ。大丈夫、きっと2人で逃げられるよ」 にっこり笑った彼女はどこか、遠かった。「それで、君は何をやってるの?」 パソコンにつないだ、カートリッジ式の光学ディスクを頻繁に入れ替えながら僕は答える。「システムのバックアップ。うまく逃げられたって、土産の一つもないんじゃつまらないだろう」「よかった、ちゃんと君も逃げるつもりなのね」「……え?」 つい、まじまじと葉村を見返してしまう。「だってね。君のこと見てると、山本は一人でここに残るつもりなんじゃないかな、ってそんな気がして、不安になるの」 黙り込む。肯定ととられるかもしれないが、それでも生半可な言葉が継げなかった。「自分だけ一人残って、逃げる私を助けるために内側から組織を壊して」 微笑みながら、遠くを見るような目は笑っていなかった。「私が一人で家族のいる、“本来私がいたはずの”場所に帰らされるんじゃないかってね」 いかにも僕が言いそうな、そしてするつもりだったことを言い当てられた。「……こんなバカなことってないよね。ちゃんと二人で、帰れるよね……?」 時々鋭いことを言って困らせるのはいい加減やめてほしかった。 ――もちろん知っている。それは単なる自分のわがままにすぎないということを。 彼女の言うとおりだ。自分はこの薄暗い研究所を、破壊しつくすつもりだった。 ――彼女を無事に逃がすためと言い訳して、でもそんなものは個人的な復讐に過ぎない。「私は、もう、とっくに、決めてるの」「……何を?」「一生、君の荷物になり続けることを、君に添い遂げることを」 ――自分の価値はそんなに――「だから君がここに残ると言ったら、私は無理やりにでもここに居座るわ」 ――自分に誰かの何かを失わせる決断するほどの価値は――「誰が何を言おうとも、君がどんな強引な手を使ってでも」 ――やめてくれ、僕は、俺は、「動けなくなっても君の隣にいる。だって私は君のことが」 ――続きを言わないでくれ、お願いだから、引き返せなくなるから、その続きが向かう相手としての資格がないから……「好きなの」 ――俺は誰かに好かれていい理由がないのだから。「やめてくれよ……っ」 柄にもなく、反射的に大声が出てしまった。落ち着けと頭の片隅にいる誰かが叫んでいる。「俺には誰かの告白を受ける資格なんてないんだ、君なら分かってるんだろう!?」 だが俺は誰かの忠告を無視した。 人のことを考えず目的のためなら手段を選ばない。人を平気で撃ってなんとも思わない。人らしい感情を持ち合わせていない。そういうやつはすでに人じゃない。つまり、「俺はすでに人じゃねぇんだよ!!」 がさつで、食べれられれば構わない程度の飯ばかり作って、1日中コンピュータとにらめっこしてさえいればそれで良くて、人のことなんて考えず目的のためなら手段を選ばなくて、話すことはつまらなくて頭が良くてもそれを生かそうともしないで頑固で感情が無くて人の役に立たなくて会話が成立することがまれで花の名前もろくに知らなくて。 俺なんかに葉村みたいな“できた娘”が釣り合うわけがない。 何しろ彼女は料理が旨くて、自給自足ができて、掃除ができて、人を気遣えて、可愛くてセンスが良くて話すと面白くてユーモアがあって笑うと左側にだけえくぼができて涙もろくて頭が良くて優しくてよく何もないところで転んでそんなドジなところも魅力的で猫舌でアイスを食べると頭が痛くなって醤油が好きで花粉症で朝顔が好きでちょっと気が強くて 愕然とした。 俺はどれだけ彼女の事を観察していたのか。「……君、ねぇってば、山本くん!?」 思ったよりショックを受けていないのか。「え、あ、う、その……どうした」「怒鳴ったと思ったら今度は急に黙り込んで、なんなのよ!?」「あれだ、うん……えっとすまん」 彼女は普段と違わないように見えるのに対して、俺は何故かどこか葉村を意識して普段通りの受け答えができない。「……?」 訝しげに首をひねる彼女を見ていられなくて、気まずく顔をそむけた。「で、どういう事よ。人じゃないって」「それはその……、俺は。つまり他人のことなんて考えていなくてだな」「知ってるわよ、そんなこと。考えてないように振舞ってるくせに、誰であっても巻き込まないようにずっと周りばっかり見てることくらい」 虚を突かれた。「俺が? 周りを見ている?」「そうじゃない。おばさまにも妹さんにも勝手をすること黙ってたのは、行き先を知っていると酷いことされるかもしれないからでしょ? 私がついていくって言った時だって必死に止めようとしたし」「いや、それはただ単に、居場所が知れると面倒だったからであって」 というか周りの人間を信頼していないのだ。 だが彼女は違う意見だったらしい。一つ深いため息をついて、「いい加減、自分をだますのやめたら?」 あきれたように言う。 もう絶句するしかない。「前から思ってはいたのだが。人を疑ったことはあるか?」「あたりまえじゃない。君を疑ってるから性にあわないこと言ってるんじゃない」「……そういう意味ではないんだが」 彼女には勝てなさそうだ。思えば彼女に口で勝ったことが今まであっただろうか。「でもそんなことどうでもいいわ。重要なのは」 どうでもいいらしい。確かに、今このシチュエーションにおいてこんな押し問答をしていても仕方がない。たった今、重要なのは、どうやってこの研究所から逃げ出すことだ。「山本祐樹という名前の人間がたった今、前にしている女をどう思っているか、よ」 違ったらしい。「そんなこと、ちっとも重要じゃないだろう。第一答えは簡単じゃないか、俺が葉村をどう思っているかだろ。つまり――」 ……。「つまりだな――」 …………俺は彼女をどう思っているのだろう。「その――」 ふと葉村を見ると目が合った。あわてて顔を背けなおすと、視界の隅で彼女が真っ赤になってうつむいていた。 頭の中は大混乱に陥っていた。彼女をどう思っているか。それを表す言葉を僕は知らなかった。今の俺なら分かる気がするが、“答え”があっているか自信がなかった。 生半可な考えで“答え”ては失礼だろう。完全な“答え”が欲しい。彼女は命を懸けてついてくると言った。ふさわしい“答え”があるはずだし、間違いは許されない。 そんなとき、頭の片隅で逃げちゃえとささやかれた。 “答え”を待っているらしい彼女をまた盗み見て……続いて|思い出した《・・・・・》パソコンのディスプレイを見て、凍り付いた。のっとったままの監視カメラが送る映像に、すぐ下の階層を走る兵士の姿があったからだ。「まずい……」「え?」「今、こんなことをやってる余裕がないことくらいわかるだろ!?」 自己嫌悪で八つ当たり、葉村を強く怒鳴りつけた自分がますます嫌いになった。 いらだったようにパソコンを操作する僕を見て、葉村はぽかんとした。すぐに羞恥と悔しさが混ざった表情が浮かんで、背を向けて膝を抱えてしまった。 馬鹿だ。 彼女はこんなどうしようもないやつに好意を向けてくれたというのに。どうしようもない奴はやはりどうしようもない最悪の“答え”しか返すことが出来なかった。 エンターキーを押し込んだ。1拍の後、階下から振動と爆発音が届く。 塩素と水素は、残っていたガソリンと未使用の弾薬を巻き込んで、想像以上の働きを見せてくれた。 自分よりはるかに役に立つ2つの気体に、俺は少しばかりの嫉妬を覚えた。 僕らは詰所を出て、エレベーターホールを目指し第3階層の廊下を縦断する。5 足音を立てて走りながら、上がった息の合間に葉村へ話しかける。「君が逃げるのに、僕はついていけそうもない。申し訳ないがあそこからは1人で逃げてくれ。いいかい、今後の計画を説明するから、よく聞いてほしい。あの突き当たりの……」「――」「……あ? 何か言った、よく聞き取れなかった」「嘘つき」 前を向いて走りながらそう返すと、斜め後ろにいた葉村が僕のひじをつかんで立ち止まった。「は?」 立ち止まらずをえなくなり葉村に向き直ると、彼女は僕を赤い眼で睨みつけていた。「そんなの嘘だ。いろいろ考えて、ちゃんと実行できる計画を立てる山本祐樹は、そんなつまらないミスなんてしない。私一人で逃げるのは最初からそう決めてたんでしょ?」 その通りだ。「ちょっと考えれば私にだってすぐ分かるの。私はここじゃ、天才だけど簡単には言う事を聞いてくれない面倒な|外注《君》を無理やり働かせる、そのためだけにいる無駄飯食いよ。当の本人にはこれっぽっちも、なんとも、思われてないのに。君が仕事を終えるまでって言われてるけど、どうせ次から次へと仕事が尽きることはないでしょう。するといつまでたってもうちに帰ることはできないし、君がここに居続けるという事は君を働かせつづけるために私だって何処へも行けずにこの研究所の中で年を取っていくんだわ。だから君は、はやいうちに私を外に逃がそうと考えてくれたんだ。そしてほとぼりが冷めるまではちゃんと言われたことをやって、そのあとはなるようになれとでも思ってる」「分かってるなら言うことはない、さっさと逃げろ」「嫌だ。理由はもうさっき言った」「いい加減にしてくれよ。いつまでわがまま言ってるんだ」 俺がわがままなんだ。葉村は本当に、俺がお前の気持ちに気付いていないと思っているのか。 俺が何故こんなに“他人”の未来を気にしているのか、自分でその理由が分からずに行動している、わけがないだろうに。「すまないが」 ある意味では、俺は喜ぶべきだった。こんなどうしようもない人間を好いてくれる相手に巡り合えた運。そして、それを相手に気付かせないでおこうと決め、その思惑が成功していたこと。 そして彼女は傷つき悲しむ。こんなどうしようのない人間を好いてしまったことを。相手も自分を好きだと気付けなかったことを。 俺は彼女が傷つくことを理解したうえでしらばっくれる。片思いだと思い込んでいたほうが、長い目で見れば彼女の傷が浅くすむはずだと思うから。「君が何を言っているのか、僕にはさっぱり分からないよ」 だからこそ、僕は自分に嘘を吐く。彼女の指摘は間違っていない、僕は自分をだまし続け、だまされ続ける。 俺が“彼女”のことを好きだという事に。 決して、“彼女”に気付かれないように。「……私は、君にとってさえ、価値がないの? 勝手に連れ出した責任感から本来いるべき安全な場所に帰す、それだけなの?」「そうだ、それだけだ。お前に書ける労力にそれ以上の意味なんてない。だからさっさと、素直に言う事を聞いてここから去ってくれ」 葉村はしばらく僕をにらみつけたまま黙り込み、おもむろに「分かった、なら自分の好きにするわ」 と言った。「私はここからいなくなって、二度と戻ってこない。……その銃、貸してよ。女の子1人にするのに、武器がないなんて危ないじゃない?」 半秒ほど逡巡してもっともだと判断する。「もう予備の弾、こっちのマガジンに入ってる分しかないからな。無駄遣いするなよ」「大丈夫、私に必要なのは、たった1発だけだから」 葉村は笑いながら拳銃を受け取り、大きく3歩下がった。ごく自然に銃を上下さかさまに持つ。「じゃあ、もう会うことはないでしょうけど。――またね」 そう言って彼女は自分のあごの下に銃口を構えた。「……おい、待て」 こんな展開は流石に予想していなかった――。あわてて手を伸ばそうとしたが、鈍った体はついてこれずに足をもつれさせてその場に転んだ。「やめろ」 呻き声しか出せない僕は今後の自然な成り行きを脳裏に思い描いて。 止められない自分を恨みながら、彼女を追い詰めた自分自身を憎みながら、せめて彼女の最後を見届けなければいけない――。 ……火薬がはじける音がした。 想像より遠くで。「っ」 凍り付いたような世界で、なくなったのは葉村の頭ではなく持っていた銃だった。「……なんで」 手からもぎ取られた銃が少し先で地面に落ちた。 その反対側には、場違いなスーツで決めている男と、守るように立つ灰緑の作業着を着た4人の男がいた。「中佐」6「お嬢さん。誰の許可を得てそんな勝手な真似をしようとしたんです? お渡ししたパスで入れる場所ならどこに行ってもいい、とは言いましたが、その隣で這いつくばっているモノと会談していいだなんて、ましてや死んでいいなんて、誰に言われたんですか?」「誰かに許可をもらわなきゃいけないの?」「当たり前じゃないですか、あなたは我々に養われているのです。給料を先に払っているのですから、あなたの仕事が終わるまできちんと働いてもらうのは当然のことでしょう?」「……最初にそんなこと言わなかったじゃない」 葉村の言葉に答えず、中佐は話を逸らす。「そもそもあなたたちは国の呼びかけに応えなかった犯罪者ですからねぇ。戦時中だという事を忘れてはいませんか」 逸らされたことに気付かないほど頭に血が上った彼女は、言う事がなくなて悔しそうに唇を噛んだ。「我々が甘い顔をしているうちに、もといた場所に戻ることをお勧めします」「それは我が家のことじゃなくて、私に割り当てられたあのせまっくるしい部屋のことよね」「あなたの家は既にあの個室ですよ。相部屋にしなかっただけ親切だと思って欲しいものですが」「お断りよ。私は彼と一緒に逃げるの」「その彼はあなた一人だけを逃がすつもりのようですが」「なら私は今すぐここから“逃げる”だけよ」「わがままですねぇ。せっかくきれいな顔をしているのに、お嫁に行けませんよ」「物理的に行けないじゃない」「私の部下はだめですか。仲人を務めさせていただきますよ」「断固拒否させていただくわ」「そうですが、残念ですね。……失礼」 中佐は耳をおさえた。どうやらトランシーバのイヤホンを着けているらしい。 満足そうに数度うなずくと、一言二言何かマイクの向こうに言って僕らに向き直った。「もしかして君、私がただ単に親切心からこんな無駄話をしていると思ってはいませんよね?」「……どういう意味よ」「この君との会話は単なる、時間稼ぎにすぎません。私の部下たちに脱走者2人を捕まえるための準備をしてもらっていたのです。それなのに上官が何も仕事をしていないのは申し訳ないじゃないですか」「……」「どうやら用意が出来たようです。猶予時間は過ぎました。命令違反を謝らないばかりか、私の大切な部下たちを殺したバカな子供たちに、慈悲を与えるほど優しくはないのでね。残念ですが、君たちの望み通り“逃げて”もらうことにします」 葉村が絶句した。「君の相方のウイルスが壊してくれた我々のマスターサーバーをネットワークから切り離す準備が整ったそうです。あと5秒で切り替えます」 カウントダウン。「3……2……1……、今」 通路の様子は何も変わらない。が、僕がまだ持っていた端末の画面に表示された、切り替えられた事を示すメッセージを覗き込んだ葉村が息をのんだ。「そんな」「事実ですみません。それにしても残念でしたね、|予備《スレイブ》サーバーへの切り替えにもう少し時間がかかると踏んでいたのでしょうけど。さすがに前科のあるものにシステムをいじらされるわけですから対応策はきちんととってあるのですよ。これで|主《マスター》システムはウイルスの解析用に保存され、ワクチンを適用しますから同じ手は使えません」「随分優秀なオペレータたちだな。頭が下がるよ」「そうでしょう? 君にはもう少しばかり働いてもらうつもりだったのですが、今回のことはさすがに許せません。不正プログラムを実行させないための対策は見事に破ったわけですから有能なことには違いありませんが、部下への示しも付きませんしね。せっかくのチャンスを不意にしたのはそちらですから悪くは思わないでください」「誰が褒めたか。相変わらず詰めが甘いと言ってるんだ、ほら」 無造作にエンターキーを叩いた。 照明が一瞬、通路を白い光で焼いて消える。「……なっ!?」「葉村、行くぞ」「えっ、うん」 直前まで、倒れ込んだ体の陰に隠れて目をつぶっていた僕はともかく、葉村も恐らく光で目をやられているだろう。バックライトで位置を特定されないように端末のディスプレイを閉じて、葉村の手を引いて前へ進む。「こっちだ」 エレベーターホールの非常階段に飛び込んだ背後で、銃声が聞こえた。 閉じて内側から施錠した防火壁に、開くと破裂するようにクラッカーを仕掛ける。 小さく悲鳴を上げる葉村を前に押して階段を四つん這いで登らせた。「まだ何も見えないか?」「うん、……もうちょっと」「分かった。そのまま2層分、この階段の一番上の第1階層まで登るんだ」 葉村の四つん這いと僕の立った全速力がほとんど等しい。「着いた」 第1階層にたどり着いたところで階下から破裂音が聞こえた。「そうだ、急げ」 階段室から転がり出てすかさず防火壁を施錠する。手近なコンセントから導線を引っ張って、触れたら感電するようにしたところでもう一度エンターキーを押した。 先ほど変圧器の設定を無理やり変えて落としたブレーカーが、自動修復処理をしてから通電を許可する。「コンピュータ系インフラが他の施設の電気系統から独立してて助かった」 僕の仕掛けはごく簡単だ。メインサーバーに侵入するとき、電子戦をする時につかうダミーシステムをマスター・スレイブどちらも展開しておいた。それをここの職員は見事に本来修復すべきシステムと勘違いしたのだ。彼らはダミーのメインサーバーをネットワークから切り離し、ダミーのスレイブサーバーをメインとして再設定したのだ。本来侵入者に目的のシステムだと勘違いさせるためのダミーシステムは、その管理者さえもだましおおせた。「だから実際にはまだ侵入されたままの、本物のメインサーバーが施設を管理してる。僕は思い通りに動かせるメインサーバーに一般電源系の変圧器の設定を変えさせて、3倍くらいの電圧を回路にかけたのさ。すると電灯は一斉に明るくなって故障する。ブレーカーは落ちて停電する。停電してるからむき出しの電線に触っても感電せずに済むけど、今ブレーカーを直したからね。切れた電灯は点かないで薄暗いままだけど、あの金属の防火扉は今頃触るとしびれるだろうね、エアコン用の200Vを流してるから」 葉村へ勝手に解説しながら、僕は端末を操作する。「よし、地上行きエレベーターの凍結解除完了、これですぐに来る」 地上へつながる、今では唯一の生きているエレベーターに遠隔で電源を投入した。「葉村、まだ動けるよな」「うん、大丈夫。……やっと外に出られるってのに、実感わかないけど」「研究所内はある程度、自由に動けたんだったか? ならここまでは来たことあるんだもんな。そりゃそうだよ」「帰ったら何する?」「気が早いな」「そうかな」「そうだ。まだ逃げ切れるか分からないのに」「ずっと信じてたもん、助けに来てくれる、って」「どっちかっていうと僕のほうが助けに来てもらいたい状況だったんだけどなぁ」「だって自分で逃げれたじゃん」「それもそうか」 不意に葉村が黙り込んだ。「……どうした?」「ね、本当に、君も一緒にここから出てくれるの?」「ああ」「じゃあ、さ。聞かせてよ、私への答え」 答えようとしたところで、ポーン、と軽い音を立ててエレベーターが僕らを迎え入れようとする。 不意にエレベーターホールが明るくなった。「……乗ろうぜ」「うん」 ちょっと不満そうだった。「……あっち、暗くて何にも見えないじゃない?」 エレベーターに乗りながら、第1階層の通路の奥を指さして葉村がそう言った。「でもここは非常灯が私たちを照らしてる。状況は全然違うのに、なんか映画のワンシーンにありそうだよね?」「……写真でも撮るか」「写真? どうやって?」「あそこに監視カメラがついてるだろ、それで」 置き土産を仕込み終え一通りすべきことを終わらせた僕は、改めて施設の監視カメラ網に侵入した。「ほら、もっと寄って」「……こんな、かな」 照れたように、彼女は肩が触れるか触れないかくらいまでしか寄ってこない。「……もっと、だ」「え、きゃ」 じれったくなった僕は彼女を抱き寄せる。暖かかった。「ほら、はいチーズ」 瞬時に真っ赤になった葉村を画面越しに見て、すかさずスクリーンショットを撮った。カシャ 電子のシャッター音が、冷たい暗闇に反響する。「――な、ゆ、え、……」「ほら可愛い。もう一枚――」 恥ずかしくてぐにゃぐにゃになっている葉村の手を自分の方に回させて、もう一度。 より頬を染め、目を少しうるませた彼女が笑い方を忘れたようなぎこちない表情の男と写っていた。「俺さ。感情、戻ったみたいなんだ」「うん、知ってた」「そうか。……“答え”があってるか分かんねぇんだけど、さ」「うん」「多分、俺もお前のことが、その……」「うん」 恥ずかしい。続きが言えない。「……」「……」 くっそ、「俺もお前がっ、好きになってたみたいなんだ」「…………そっか」 彼女は呟くようにそう言った。 俺らはそのまましばらく動かずにいたが、やがて葉村は背伸びをして、俺の耳に息が届くほど近くまで顔を寄せた。「ありがとう」 ゆっくりとエレベーターの扉が閉まる。地上へ動き始める。 上昇するエレベーターのケージの中で、俺らは――。 <無題> Type1 第8章原稿リスト第7章原稿リストへ戻る<無題>トップへ戻る
織田信長という人物への評価は、なかなかに難しい。 歴史上の人物というのは、だいたいそういうもの、と言えるが。 いや、歴史上でないにしても、人間というものはだいたい評価が難しい。 私の評価はどうだろう? あなたの評価はどうだろう? 仕事の評価。人間性の評価。相手によって、見方によって、私の評価も、あなたの評価も、ずいぶんと違うのではないだろうか。 織田信長もまた、革命家だとか、いやそんなことはないとか。尊皇だとか、朝廷とは敵対していたとか。仏教に厳しいとか、そうでもないとか。とかく、あれこれ評価が分かれている。それだけ、多くの研究家が、さまざまな切り口で信長像を見てきたせいであろう。 ひとりの人間を、多面的に見れば、「人間だからいろいろある」となってしまうのはこれはいたしかたない。 本書『信長の政略』は、江戸時代から現代に至る多くの信長への研究を参考にしつつ、筆者の谷口克広氏なりの信長像というものを描いている。たいへん誠実で、分かりやすい良書である。ツイッターでこの本を紹介していただいた、お菓子っ子さん( @sweets_street )に感謝したい。 この本を読みながら、私の中では現実的な合理主義者、という信長像が浮かんできた。 信長としては、なんといっても、現実的にならざるを得ない事情がある。 19才で父から家督を継いだとはいっても、信長は四面楚歌の状況であった。 まず、家督そのものを自分が継ぐか弟が継ぐかで一族や家臣が争っている。 さらに、その家督といっても、織田弾正忠家というのは、織田家の中でも傍流である。 父親の信秀がぶいぶい言わせていたといっても、その根拠になる家柄はたいしたことがないのだ。 かように。尾張半国にしたところで、誰が支配するのが正しいかとか、その理由はとか考えると、曖昧模糊としていて、よくわからない。戦国時代が実力主義だとか言われても、その実力ってナニよ? 誰かが、別の誰かと実力が違うって、それ、どんな客観的な根拠があるのよ? ってなもんである。 世の中というのは虚と実が混じり合っていて、ややこしい。 そんな中、信長は現実に対して合理的に対処する術を身につけていった。 合理的というのは、言い方を変えると。・自分には、出来ることと、出来ないことがある・出来ることの中にも、かけたコストへのリターンが見合うものと、見合わないものがある。 こういうことではないかと思う。 家督相続から十年。一族やらご近所やらと狭い尾張の中で戦い抜くうちに、信長の合理主義者としてのセンスは鋭く磨かれていった。 そのひとつが、速度重視である。 野戦を重視した機動的な戦い方は、若い頃から信長に共通している。 その総仕上げが、桶狭間の戦いである。 ぎりぎりまで、決戦戦力を動かさず、動かさないことによって、敵に情報を与えない。 そして、いざ動くと決めた時には、ひたすら駆け抜ける。一日二日なら兵站にも負担がかからないから、強行軍などの無理もきく。そして、メールも携帯電話もない時代には、移動を続ける軍勢に関する十分な情報を、敵が手にすることはできない。どんな情報も、それを伝えるまでのタイムラグのせいで古くなるからだ。 桶狭間で今川義元を討ち、尾張を、そして美濃を手に入れて十分な実力を身につけた信長は、その後は天下人への道を進む。 天下人としての信長の行動原理は、やはり現実に対して合理的であった。 もちろん、うまくいかなかったこともある。信長が前提とした「現実」が、情報の不足や信長の願望、予断によって曲げられていた場合は特に。 信長なりに「現実はこうだ」と思っていても、実際には違っていれば「合理的な判断」とやらも、間違うことになる。 しかし、おおむね信長の現実への見方は正しかった。 信長が、中世的な因習やら制度やらをどのくらい好いていたか、嫌っていたかは分からない。しかし彼は、そういうものがある、ということについては現実的に判断した。 自分が利益を得るために、それらを排除しようとすれば、当然、大きな抵抗がある。 ここで信長は考える。「そのコストは、かけるに足りるか? 否か?」 結論は、だいたいにおいて、否、だった。 だから信長は、自分に敵対するのでない限り、中世的な制度に手をつけることをしなかった。自分に必要でなければ、無視をして距離を取った。 経済発展のために、座や荘園をどこでもかしこでも撤廃するのは、コストばかりかかってリターンのないことだった。だから、信長は悪影響がない限り、放置した。そのかわり、交通の便を良くする道路の普請には熱心だった。これはかけたコストに見合う投資だった。 寺社にしても、敵対すれば戦うが、その必要がなければ放置した。 世論に対して気を配り、悪評を気にしたのも、評判が悪くなることで生じる不利益を放置することが、合理主義者の彼には我慢ならなかったからだ。 籠城を嫌い、すぐに決着がつく野戦を好んだのも、そのために敵よりも多くの兵力を集めることに腐心したのも、合理主義ゆえである。一か八かの賭けは、その必要があればためらわないが、必要がなければ避ける。合理主義者だから。 そうして考えると、信長が短気で気むずかしい人間であったのもよくわかる。 現実を直視する人間は、そこに自分の価値観とは相容れないもの、気に入らないものを山のように見てしまう。善意や悪意で現実をほしいままにねじ曲げる方が、気に入らないものは見ないですむのだ。 しかし、若い頃に一族や家臣ですら敵に回す経験をしてきた信長には、そのように現実をねじ曲げることは望んでもできなかったに違いない。結果、彼はできるだけ現実を、不愉快であっても、自分に可能な限り直視し続けた。だんだんと気むずかしくなるのも分かろうというものである。自分の権力が増すに従って、周囲に当たり散らすことや無駄にプレッシャーをかけることも増えたに違いない。 粛正もしたし、その反動で謀反も増えたが、信長の力は日ノ本に比類なきものになる。「いろいろ反感も買ったが、このままいけば、天下はオレのもの」 天正10年6月。本能寺にて。 現実主義者で、合理主義者の信長はそんな風に現状を分析していたのではないかと思う。 それが突然の、光秀謀反である。やはり、信長も人間である。自分で「これが現実だ」と思っていたものに、バイアスがかかっていたのだろう。「こいつは、しょうがねえ(是非もなし)」 自分が勘違いしていた「現実」を即座に修正した信長は、合理主義者らしく、そう言って炎の中に消えたのである。
〈大和〉を手に入れる激戦の『南方海域強襲偵察』のマップ4をクリアしてからしばらく。 我が鎮守府では平和な日々が続いていた。〈舞風〉「おーい、提督ー。仕事しようよー」 あー?〈舞風〉「ほらほら、第2艦隊も第3艦隊も第4艦隊も戻ってきたよ」 おー。んじゃ、士気高揚艦娘はそのまま。 士気高揚が切れちゃった艦は、待機状態の士気高揚艦娘と交代。〈舞風〉「だから、その士気高揚艦娘がもういないんだって。ぼけーっと何日も回してるから、交代で全員、元に戻っちゃってるよ。あたしも含めて」 そうか。じゃあしょうがないな。ウィークリー任務もそろそろこなさないと週末になっちまう。〈舞風〉「ルーチンだなー。大丈夫? 飽きてない?」 いやいや、楽しんでるぞ? 私は、根っこのところが内政ゲーマーなんだ。人と遊ぶ時には攻撃的なプレイもするけど、他人と競争しない場合には、ひたすらだらける。〈舞風〉「まあ、そうだろうね……資源の備蓄量をみれば分かるよ」▼資源量燃料:100k(40k)弾薬:110k(28k)鋼材:68k(20k)ボーキサイト:25k(10k)高速修理資材:500(168)※()内は〈大和〉入手時〈舞風〉「貯めたもんだねー」 デイリー任務・ウィークリー任務以外は、遠征くらいしか回してなかったからな。〈舞風〉「そのデイリー建造だって、ALL30だよね。新しい艦娘、欲しくないの?」 欲しいのは〈長門〉と〈瑞鶴〉だからなー。 建造で資源を使うのはもったいない。 いずれドロップするさ。〈舞風〉「しないよ。このところずーっと、南西諸島海域くらいしか行ってないじゃない」 でもなー。西方も北方も、けっこう敵が強いからなー。昔は潜水艦を送って被害吸収艦にできたんだが、今は潜水艦送ると、対潜装備持った軽巡がお出迎えしちゃうからなー。〈舞風〉「そりゃするよ! 深海棲艦だって、頭はあるんだから、対策くらい取るって」 あるのかー? いや、頭部はあるのは分かるが、知性はあるのかな、あれ? ……おや、誰か来たぞ。〈天龍〉「おいこら、いい加減にしろ、この堕落提督。いつまでぐーたらしてんだ。気がつきゃ、星が減って中将になってるぞ」 おや、本当だ。 仕事してないから、ランキングも落ちたか。〈天龍〉「何すかしたこと言ってやがる。やる気ないのか、こっちは暇して……いや暇はしてないか」〈龍田〉「遠征艦隊は、簡単な任務でも6隻編成ですものねー。軽巡2隻と駆逐艦4隻」〈天龍〉「ああ、しかも士気高揚状態にするため、毎日のように、鎮守府近海を回ってるから経験値だけは貯まりやがる」〈龍田〉「私も〈天龍〉ちゃんもレベル40。他の軽巡娘もレベル35~39ですものねー。忙しくてデートもできない」〈天龍〉「ウチにいるちびっ子(駆逐艦娘)も、レベル30ばっかりだ。まあ、艦隊の底上げしてんのはいいことか」 そうだぞー。軽巡と駆逐艦は、太平洋戦争の後は、だいたい仕事が同じような感じになってきて、現代海軍ではこの2種類がいれば、だいたいのことは片が付くようになったからなー。〈天龍〉「うんちくはいいんだよ。でも、おかげで〈赤城〉とか完全に食っちゃ寝モードだぞ。三段飛行甲板空母どころか、そのうち三段腹空母だ」 デイリーで演習に出してる〈大和〉もレベル70を超えて改になったしなー。 もう、することないかなー。クッキーでも焼くかなー。〈響〉「そんな自堕落提督に、朗報だよ」 お、どうした〈響〉?〈響〉「僕を70レベルまで育ててよ」 うわ、今は何レベルだっけ?〈暁〉「私たち、第6駆逐隊は全員42レベルよ!提督なら覚えててよね!」〈天龍〉「俺らより高いんだよな」〈電〉「あうあう。3-2海域をクリアするために頑張ったのです」〈雷〉「それでね!提督!〈響〉を70レベルに育てると、改2で第二段階になるんだって!」 なるほど……(ごそごそと鎮守府情報を見る)ふむ、ソ連艦娘になるのか。これは面白い。育ててみよう。〈響〉「それともうひとつ。新マップで、南方海域が解放される。MO作戦で、珊瑚海とかあるみたいだよ」〈祥鳳〉「珊瑚海!」〈翔鶴〉「MO作戦!」 わ、どこから沸いて出た。〈祥鳳〉「珊瑚は嫌いですが、珊瑚海は因縁の海です!今度こそ、勝ちます!」〈翔鶴〉「はい!ポートモレスビーを手に入れて、FS作戦を成功させましょう!」 あー、昔の架空戦記だと、よく成功したなー。ポートモレスビー攻略。その後は、フィジー=サモア線を制圧して、オーストラリアを孤立させて単独講和したりとか。 実際には、オーストラリアまでの兵站を維持するための輸送船が……〈響〉「はいはい」 最後まで喋らせてくれよ。 まあ、いいか。よし〈響〉の育成と、艦娘の前世からの因縁を晴らすとするか。 備蓄を取り崩せ! 主力艦のビルジを抜け! 〈大和〉と〈陸奥〉をたたき起こせ! 久しぶりに、戦争らしい戦争をやってみようじゃないか!〈雷〉「なんだか、心の底から楽しそうね」〈響〉「内政プレイヤーとかなんとかカッコつけてるけど、提督は本当はお祭りが大好きなのさ」〈電〉「わくわくしてきたのです!」〈翔鶴〉「待っていて〈瑞鶴〉。ポートモレスビーまで行けば、きっとあなたにも会えるはず……」 あ、〈翔鶴〉は留守番ね。〈翔鶴〉「なんでですかーっ」 レベルまだ低いからなー。今回は〈赤城〉〈加賀〉の一航戦でやる。〈加賀〉「ここ(攻略艦隊)はゆずれません」〈翔鶴〉「うー……でも〈瑞鶴〉来たら、五航戦で育ててくださいね?」 というわけで、海軍休日を終え、攻勢再開であります。
物語概要 リベルニア建国王が田舎領主からリベルニア王都の建都に至るまでの立身出世物語 時代設定など 一般的にリベルニアを使って作られている動画のさらに100年ほど前の設定。 フレス山脈(仮名) リベルニアの北に連なる2000m級の険峻な山脈。リベルニア平原と中原地方を隔てており、リベルニア建国王によってHauptarterie(大動脈道路)が建設されるまで人の生き気はほぼ不可能だった。 神聖王国 リベルニア建国以前に栄えていた中央集権型の王国。末期は悪性が続き有力豪族の専横と権力争いが激化し、幼帝暗殺をきっかけに内部分裂して戦国時代に突入する。 リベルニア 中原との陸路および、東方との海路を結ぶ貿易都市。名は自由の都の意味する。後にリベルニア王国建国のときに首都に定められ、国名もと氏名に合わせてリベルニア王国と名付けられる。 登場人物 ・フレスベルク公 山間に住む鳥人族の長の爵位名。フレスベルクは古くは魔石鉱山を預かる有力豪族だったが、鉱山の枯渇とともに主だった収入がなくなり没落し、お家断絶となり領地は古王国に没収された。その後、魔石鉱山一帯を領地を与えられたリベルニア建国王が大動脈道路建設の折に、鳥人族の協力を得るために爵位を与え、当時の鳥人族の長にフレスベルクの名も与える。それが代々鳥人族の長の名として受け継がれている。 ・リベルニア建国王 名前未定(それっぽいドイツ語の名前を考える) 遺跡図書館(ライトノベル図書館をドイツ語訳した感じの名前にする)より軽く7~8世紀分は進んだ社会学、情報学などの情報を得て、科学技術を魔法でまねることを思いつき、技術および情報チートによって覇権を握る。 戦術よりも戦略に秀でた策士で、遺跡図書館から発掘されたまおゆうを読んで、世界の改革を志すようになる。というと聞こえは良いが、実際にはどうにかして旧神聖王国の体制をぶっ壊したかっただけの危険人物。 魔法に秀でた一族の出だが、当人にはあまり魔法の才能がなく早々に魔術師の道を断念、戦略を学んで武官としての道を歩む。闇視や遠視、幻音といった簡単な知覚魔法を駆使して反乱軍を誘導し、開戦直後に敵首領を待ち伏せ急襲して首を上げるというゲリラ戦術で武功をあげる。 ・大商人 かつては鉱山商いで栄えた御用商人の一族。旧フレスベルク家の没落に伴い主軸であった魔石の取引による収益を失うが、当主の手腕が優れておりあの手この手でなんとか生き残っていた。建国王赴任後に古代遺跡の情報をもたらしたのもこの大商人で、その後リベルニア王国の海運陸運をたばねる大商人となる。 ・魔法の発明家 建国王が大商人から情報を得て古代遺跡探索のために雇った異国の魔法使い。付与魔術を得意としており、遺跡の情報を元に強化石弓や無限機関などの数々の魔動器を発明し、後に大商人の支援を得て建設された魔法大学校の初代校長に就任する。 ・巫女 遺跡図書館の情報に魅入られて、訳本を生涯作り続けた本の虫。 魔法のアイテム ・強化弩弓 金属軟化の弓手を使い弦を引くことを前提にした強化クロスボウ。素のままだとよほどの力自慢が渾身の力を振り絞らない限り弓が引けないくらいの威力を持つが、弓を弾く瞬間だけ弓を軟化させることで女性の力でも弓を弾くことができた。ソードワールド旧版で言うとクレインクインクロスボウが毎ターン発射できる感じのチート兵器。 ・魔力外輪車 車輪の前半分に重量化、後ろ半分に軽量化の魔法をかけて駆動する重量変化型第一種永久機関をエンジンとした自走式駆動車。巨大な前輪が特徴。最高速度はさほどでもないが、たくさんの貨車を引くことができた。同じ原理で魔力外輪船も作られる。 ・ゼンマイ式プロペラエンジン 巻く時に金属軟化の魔法を使うことで強力な回転力を長時間維持する特殊なゼンマイを使ったプロペラエンジン。本体には軽量化の魔法もかかっており、金属製ながら重さはほとんどない。鳥人族にこれを背負わせることで、平地での長距離滑空を可能にした。 ・通信球 従来の魔力砲台の遠視に使われていた遠見の水晶球の小型版。二つの水晶球が対になっており、両方の水晶球に魔力を注ぎ込むと送信側の水晶球に映った映像を受信側で投影することができる。小型のものほど遠くまで効果が及ぶという特徴があり、親指大の水晶球で約100kmで受信可能だった。この大きさでは映像は読み取れないが、ランプの光を遮る間隔を操作することでモールス信号通信を行った。 技術チート要素 ・教育革命 →税役による留学制度、日常魔法の整備と基礎教育 →活版印刷による情報伝達 ・農業革命 →パペットオークの魔法を使った農作業ノウハウの確立 →耕作、脱穀などの農機具の発明 →新種の作物の輸入 ・情報革命 →インド式数学の導入 →モールス符号と遠見の水晶を使った遠隔通信システムの整備 ・産業革命 →軽量化魔法による動力装置の発明 →ばね式 →トレース型人形による精密機器の製作 ・軍事革命 →鳥人族による空偵察システム →金属軟化魔法による強力弩弓兵とスカーミッシュ戦術 リベルニア建国史(仮) リベルニアがそれまで放置されていた理由→険峻な山脈に阻まれている上、人間(というかよそ者)に対して敵対的な態度をとっている鳥人族の勢力下にあったため、道を整備して安全に山を越すことができず、海側に人が住んでいなかった。 鳥人族:知能を有して独自の言語を持っていたが、活動範囲はカルモ山脈に限られており、よほどの事情がない限りふもとまで下りてくることはなかった。部族争いに敗れた一族が地上に降りてきて、食うに困ってふもとの村で行き倒れていたところを、たまたま通りがかった当時の領主:ガター・シンナに拾われ、客人としての待遇を受ける。 コーストライン公国:中原地方との陸路を持ち、内陸部に栄えていた王国。キューキヨ、リューチ、ダイマー、ルマエの4門閥貴族が交代で公王を務める [...]
明治維新後、日本の工業化が成功したのはよく知られている。 緻密なデータで知られるパラドックス社のゲーム『Victoria』では、文化や技術というその国が固有に持つパラメタを「書き換える(チート)」かのごとき大成功イベントとして、明治維新を扱っている。 もちろん、結果として日本は世界史に残るほどの成果を出した。そしてそれは、欧米列強がお手本としての工業化をすでに成し遂げており、その手法を真似たからでもある。 しかし、何もないところから成果が出たわけではない。 すべてが、真似たいと思っていた通りにできたわけではない。 SFでは昔から、タイムスリップ物で現代人が過去へ行き、現代(未来)の知識や情報を元に社会を変革するというお話がある。マーク・トゥエインの『アーサー王宮廷のヤンキー』や、L・スプレイグ・ディ・キャンプの『闇よ落ちるなかれ』などだ。 21世紀の現代でも、ライトノベルでは異世界転移・転生などの形で、先進情報による社会変革が描かれた作品が書かれている。 しかし、世の中は「先輩がうまくいってたやり方で、俺も成功したっす!」とはいかないものである。憧れの金持ち父さんになるには、成功者がやった手法を無批判に取り入れてもうまくいかないものだ。 というわけで、日本が近代技術を取り込むに至る流れを、本書を通して自分なりにまとめてみる。誤読・勘違いがあればご寛恕いただきたい。 古来、日本は大陸から海を渡ってやってくる文物に憧憬を抱いてきた。それは仏像や貨幣などの物だけではなく、言語も、宗教も、思想にいたるまで、日本は中国の強い影響を受け、学び続けてきた。 欧州列強が大航海時代を迎えて、ユーラシア大陸の果てから商船が到着するほどに海上交通が発達した室町時代の後半より、そこに新しいものが加わってきた。 木綿である。『朝鮮王朝実録』にある朝鮮側の交易記録によると15~16世紀の日本との交易においては、朝鮮からは主に木綿が輸出され、日本はその代金として銀を支払っていたとある。(村井章介『中世倭人伝』より) 交易が統制された江戸時代になると木綿は国内での生産が中心になる。 江戸時代半ばまでの、日本が海外から多く輸入した品が生糸である。西陣などは、ほぼ完全に中国産生糸に頼っていて、これが海外への金銀の流出につながっていた。 その後、元禄の頃より日本国内でも生糸の生産が始まる。諸藩は財政的にきつくなっていたこともあって、風土が養蚕に向いているようであれば、藩が主導して生糸の生産を始めるようになった。余談であるが、朝日新聞で連載中の宮部みゆきさんの小説『荒神』でも生糸の殖産が物語に関わっている。 生糸はこの後、昭和の時代まで長く日本の主力輸出品となる。その始まりは、江戸時代にあり、ここで明治を迎えるまでの一世紀、あれこれ試行錯誤を繰り返してノウハウや人材が日本全国に浸透していたことが、明治以後の大ブレイクにつながっている。 このあたりは木綿の生産もそうで、明治のチート的な日本の工業化は何もないところから生まれたわけではなく、貿易統制をされていた江戸時代にちゃんと国内産業として発達をしたものが下地になっていることが分かる。 だが、幕末になって国を開いたとたん、日本は容赦なく海外との品質競争にさらされることになる。ここで、日本が幕末に結んだ通商条約が不平等であったことも大きい。関税などを自由に決めることができないため、もろに品質と価格で海外製品に圧倒されてしまうのだ。このまま滅びるわけにはいかないという強い危機意識も、積極的な技術導入につながったことだろう。 本書では、海外と日本の綿糸の品質の差について、当時の人の記録が紹介(P86~87)されていて、これが面白い。 同じ織機で、国産の糸と輸入糸とを使って織らせてみると、音が違うのだそうだ。 国産の糸の織機は、3秒ごとに、「パタン・・・パタン・・・パタン」。 輸入糸の織機は、それが「パタンパタンパタン! パタンパタンパタン! パタンパタンパタン!」と3倍の速度になる。 この違いは、海外綿糸が製糸に工夫をかけて細く長く強い糸を作り上げたことで生じたものだ。そして、そうした工夫も、自然になったのではなく、インドの優れた綿布に圧倒されたイギリスの織物業界が、国際競争に打ち勝つために知恵と金を注ぎ込んだ結果である。海外との交易が競争を生み、競争が品質の向上を促したわけである。 開国の後、日本は一時は先行していた海外の高品質の商品に圧倒される。日本製の生糸にせよ、綿糸にせよ、海外では『安かろう悪かろう』で今ひとつ評判がよろしくない。 そこで、国が主導して海外から成功事例を導入しようとしたわけであるが、これは直接的にはうまくいかないことが多かったようだ。 富岡製糸工場など官営の工場は、海外から技術者や機械を導入して『成功した』『実績のある』ものを取り入れようとしたが、それは当時の日本においては高コストになりすぎ、利益よりも維持費が高い、というものになっていた。このあたりは、八幡製鉄所の建設においても言えることで、自分にノウハウの蓄積がないものを取り入れると、うまくいっている時にはいいのだが、何かトラブルがあった時に解決できずに詰まる、ということになる。タイムスリップした時や、異世界に転移した時のために覚えておきたい。 鉄道もまた製糸業と深い関係がある。明治13年に政府主導から民間資本導入へと切り替わってから、上野~前橋など、北関東に向けて鉄道が延びていく。北関東は江戸時代から生糸の産地であり、これが前述した海外からの技術導入によって発展しているところへ、輸送インフラである鉄道がやってきたのだ。建設着工から1年。上野から60kmの熊谷まででもう、沿線が活況を呈し、前橋まで到達するや北関東全体の経済を押し上げた日本鉄道株式会社とは、ずいぶんと違う。以後、まるでPCゲーム『A列車』のごとく、両者ががっちりと噛み合って、日本の産業は驚くべき持続的発展を遂げ始める。 ちなみに、この逆が本書ではメキシコ鉄道の例としてあげられている。首都で大産業地帯であるメキシコシティと、海外との交易を行うベラクルス港の間、400kmは人も産業もほとんど存在しないこの鉄道は、まったく国内経済を活性化しなかったというのだ。 経済発展なくして技術発展は定着しない。自分の金になるから、人は頑張るのである。 ここまでがだいたい本書の前半を読んでのまとめである。本書の後半、二度の世界大戦と戦後の発展については、また機会があればまとめてみたい。
「本物の空を見たくない?」 眼前に座るその人は、脚を組み直してそう言った。 ――ほんもののそら 朽ちた施設の奥の奥。機材と機械の山の中で、不敵に微笑んでいる。敵意もなく、害意もなく、さりとて、善意もない。自分の願望を叶えるために、その手伝いに、貴方たちは選ばれた。 その人は上を見上げた。 Continue reading «そらのいろ、はいのいろ「蒼穹願眼のサテライト・コール」»
プリキュアとか特撮でおなじみの時間帯ですね! 毎週日曜日が待ち遠しい。そんな人もいるのではないでしょうか。 今回、記事数7000越えのや、制作タイトルの全てを網羅せんとするなどを運営する こかげ工房 さんが、新たなwikiとして「ニチアサキッズタイムwiki」を立ち上げました。Continue reading «スパロボwikiやTYPE-MOON wikiを運用している こかげ工房さんが「ニチアサキッズタイムwiki」を始動させました!»
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