焼きそばパン競作~ゲームと焼きそばパンとご奉仕と。ー第二稿
俺にとってこの世界は、ゲームだ。 昼休み。俺は今学校の廊下を駆けていた。 今俺のマイブームゲームは、いかに早く食堂や購買まで行き、お目当ての飯を食えるか、というゲームだ。 今日もお目当ては……。焼きそばパンだ。 焼きそばパン。焼きそばパン。ああ焼きそばパン。字余り。 そんな事を思いながらも、目の前を歩く学生を追い抜き、目の前から歩いてきたやつをひらりと交わす。ドライブゲームかシューティングゲームかのように。 焼きそばパンちゃーん。 焼きそばをパンに挟んだだけというシンプルな組み合わせ。炭水化物オン炭水化物。 ああ、なんという食べ物。だが、それがいい。 学生の、青春の食べ物である。それを生徒たちは昼間になると争奪しあうのだ。 そのゲームに勝ち、焼きそばパンをゲットすることが今回のゲームだ。 だが、授業の遅れによりちょっと出遅れてしまった。なんという不覚。 急げ。俺。急げ。 そして俺は、購買の校内コンビニへとたどり着いた……。が。 「はいっ、お目当ての焼きそばパンですよっ。最後の一つをゲットしておきましたっ」 「おいちょっと待てよっ!?」 校内コンビニの出入り口のそば。 眼の前に立つのは、ちょっと背のちっちゃい、目のくりっとした女の子。 俺の後輩だ。 なんということだ! 先にパンを買われていた! このゲームは俺の負けだ。畜生! 「あー、ちくしょー! 負けたー! お前に負けたー!! くやしーっ!!」 「せ、先輩!? 落ち着いて落ち着いて!?」 はぁ……っ。はぁ……っ。 しかし、しかしっ!? 「なんで俺のために焼きそばパン買ったんだよ!? お前が買ったんだからお前が食べればいいじゃねーか!?」 悔しい声で言う俺に、後輩は額や腕にキラリと汗を光らせ、うっとりとしながら答えた。 「だって……。先輩にご奉仕したかったから……」